元禄忠臣蔵・第一部【国立劇場】

国立劇場開場40周年記念”(緞帳も新調☆)で全10篇からなる壮大な昭和歌舞伎の傑作・真山青果作【元禄忠臣蔵】を、3ヶ月にわたる連続公演!史上初の全篇通し上演!、そして大石内蔵助は月替わりという嬉しい企画。
10月・第一部(江戸城の刃傷・第二の使者・最後の大評定)=吉右衛門
11月・第二部(伏見撞木町・御浜御殿綱豊卿・南部坂雪の別れ)=坂田藤十郎
12月・第三部(吉良屋敷裏門・泉岳寺・仙石屋敷・大石最後の一日)=幸四郎

私【元禄忠臣蔵】はこの度初めての観劇。 やはり忠臣蔵モノは人気なんですねぇ~。 国立劇場の客席がこんなに賑わっているのに遭遇したのは久し振りかも(しかも平日の昼間なのに)
とにかく舞台美術の立派さとセットの使い方に感嘆! まず幕開きがたった今、松の廊下にて刃傷が起こり大騒ぎになっている様子。 舞台奥の廊下には大名が走り回り、負傷した吉良上野介を抱えながら駆け抜けていく…。
江戸城のスケール感が見事に表現されていて、一気にお芝居の中へ気持ちがグッと入りました。前半は舞台というより、映像作品を観ているような…そんな感じでした。
歌昇さん@多門伝八郎 歌昇さんって…武士姿が歌舞伎役者の中でも特に似合う役者さんだと思っている私ですが(鬼平で見慣れているせい?)今回もキリリと力強く『天下御大政の為の喧嘩両成敗』と主張する様はいつにも増して、りりしい武士ぶりで説得力がありました。 信二郎さん@片岡源五右衛門へ、梅玉さん@浅野内匠頭への“主従今生の暇乞い”を許し、庭で控える源五右衛門の存在を、それとなく内匠頭に気付かせる計らいは、正義に情に厚い伝八郎その人そのものであるかのようで心を掴まれました。
主従二人が無言で見つめ合い、泣き伏す源五右衛門と共に涙がとまらず…実に感動的なシーン。 セットも両袖に満開の桜がしつらえ、屋根上にも散った花びらが数枚…という細かい演出で、絶命の時ハラハラと散る花びらにまたしても涙。 照明も悲劇を演出する暗さというか、そんな空間でした。 涙、涙。
私の中では大石内蔵助=吉右衛門さんなので拝見するだけで満たさせるものがあるのですが、最大の見せ場【最後の大評定】では…残念ながら汗
初日開けて間もない上、全編通して膨大なセリフの応酬劇である事を差し引いても…ちょっと…プロンプ付きすぎで、萎える汗 最後に残った56人のうちの一人として、内蔵助の決断に命預けます!という思いで気持ちを寄せて聞き入りたかったのに…悲しい
出来ることなら、公演期間後半に観劇したかった(吉右衛門さんに限らず)
ま、しかしながら3ヶ月連続公演のスタートとして実に見応えがある幕開き公演で「続きが観たい!」と思わさせるものでありました。
今回はお子様方が印象に残りました拍手 セリフもしっかり入ってたし(毒舌)汗
種太郎くん@大石松之丞 最近意欲的に舞台にご出演されている成果が出ている、というと何様な感想ですが…セリフの量に負ける事なく松之丞となっていました。 今後のご活躍が本当に楽しみ。
隼人くん@井関紋左衛門 変声期で不安定な為ちょっと気の毒ではありました。 というのは、必死になればなるほど“軟弱で聞き分けのナイ男子”のように見えてしまって、観客の笑いが起こってしまって…。 本人はコミカルな笑いを取る演技をているつもりは、ナイのでしょうから。 しかしだからこそ父親・富十郎さん@井関徳兵衛に殺されて(心中)しまった悲劇は際立った印象も。 全編通して重~い舞台が続く中、笑いの提供は私的には有り難かったです。
芦村瑞樹くん@吉千代 けなげ! 幼いながらも内蔵助の次男としてのきちんとした自覚があり、懸命に仇討ちに加わりたいと願う熱意に涙が誘われました。 心が洗われるような感じ。 上手いっ!
そしてこの枠に入れるのはもはや…ですが、亀寿さん@磯貝十郎左衛門。 心情を絶叫し泣き伏す様は、城内が人々が今どういう状況であるかがハッキリ解り、一緒に内蔵助の判断を一刻もあおぎたい!という心持ちにさせられます。 好演!
観終わってひと言「ちょんまげオンパレード」。 城内での出来事に終始するのでとにかくひたすら、侍、侍、侍。 ですので芝雀さん@妻おりくの登場でどれだけホッとさせられたか~♪ 私、歌舞伎が好きな要素として“色彩美”の比重が大きく占めているのですが…それはこの演目には望めないんですね汗
ちょんまげ大集合

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