四月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

【籠釣瓶…】がかかったら配役はどうであろうと絶対遠征する!(前も言ってたセリフだわ)とかねてから心に決めていた上…勘三郎さん@佐野次郎左衛門、玉三郎さん@八ツ橋とくれば飛んでいくわいなぁ~♪ と、今回の遠征のお目当てはコレでした。

毛抜

一年振り?に歌舞伎座へ復帰、ご出演の團十郎さん@粂寺弾正。 「やっぱりこんな豪快で、愛嬌のあるお役はピッタリ」と完全復活を嬉しく、そして愛嬌たっぷりに演じる様をニコニコ拝見した…という感じでした、。
勘太郎さん@民部弟秀太郎時蔵さん@腰元巻絹に迫ってはあしらわれ、客席に向かって「真っ平ごめんくだせい」と謝る様がなんと可愛いらしいんでしょう! 客席からは笑いと、復帰を喜ぶ拍手がおこり、なんとも暖かい雰囲気でした♪
勘太郎さん@民部弟秀太郎は、同性から迫られても納得!な繊細な美形小姓ぶりで意外でした(ヤセた?) 時蔵さん@腰元巻絹の手慣れた?あしらいぶりと品の良い「びびびびび~」にはニッコリ。

十八代目中村勘三郎・襲名披露 口上

成田屋親子が居並んでいたのが、なんだか新鮮 左團次さん、段四郎さん…と市川家がズラリと居並んだ様は壮観でした。 今月から復帰の七之助さん、そして勘太郎さん、勘三郎さん。 皆さんから「勘三郎さん共々息子たちも宜しく」との事。 これから“三郎”が一緒になる…と笑いを取っていた玉三郎さんが印象的。

籠釣瓶花街酔醒

お話的には、なんともやりきれないラストで好きではナイんだけれど、映像で観た時にすごく衝撃を受けた作品なんです。
勘三郎さん@佐野次郎左衛門は、前半いかにも真面目で人の良さそうな、田舎者の朴訥した雰囲気が感じられました。 故に初めて吉原に足を踏み入れた時の、ドキドキやワクワク感がとても伝わって、玉三郎さん@八ツ橋を目の当たりにし、微笑みかけられた時の…雷に打たれたような衝撃ぶりが素晴らしかった!
その後一転して吉原に通いつめ、八ツ橋の馴染みとなる次郎左衛門。 この事を仲間に自慢したくてたまらない様が無邪気に喜んでいて憎めないだけに「おいらん、そりゃあちとそでなかろうぜ」と、大勢の人前で何の前ブレもなく突然八ツ橋から縁切りを言われて動揺する様が、哀れで心底かわいそうになります。 満員の歌舞伎座の客席が水を打ったようにシーン。
ここでの段四郎さん@下男治六魁春さん@九重が良かった 険悪な雰囲気に凍り付いた場をそれぞれに取り繕う様が、そのキャラクターを際立たせ、このシーンが泣けてしまいました。
四か月後、吹っ切れたように八ツ橋の前に姿を現した次郎左衛門。 笑顔で優しく語りかける様が、“狂気のスイッチON”となった時と激しい落差でしたが…まだ“イイ人”の方が勝っているような印象で、妖刀籠釣瓶で八ツ橋を切り殺してしまうまでの“憎悪”を受ける印象が弱かった…かな。 しかし、倒れた八ツ橋のそばで般若のような形相で妖刀籠釣瓶をもって立ちすくす次郎左衛門の体からは憎悪の炎が立ち上っているような感じでした。
玉三郎さん@八ツ橋。 出の“花道での微笑み”のなんと艶やかな事! 色っぽくって、艶っぽくって…自分の魅力を熟知していて「どうすれば異性がなびくか」という事を知っている、計算高い…それでいて惹き付けられずにはいられない…そんな微笑みでした。 あんな微笑みをかけられると…異性でなくてもノックアウトされちゃいますよ 実際、客席のどよめきもスゴかったです☆ 玉三郎さんの“美しさ”だけでない役者としてのすごさをこの微笑みで再確認できた感じでした。
縁切りの場面は、表情を殆ど変えずに次郎左衛門に別れの意を告げ…でも決して彼の目を見ない、という様が“仕方なく縁切りしなくてはならない”という彼女なりの心の葛藤が感じられ、以前私が感じていた“八ツ橋の非情さ”は感じられなかった。 それは、四ヶ月後に再会した時の申し訳なさそうに…合わせる顔がないような…部分でより説得力があり、殺されてしまう彼女の哀れさを感じる事ができました。

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