二月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

「【じいさんばあさん】がかかったら…配役がどうであろうと、とにかく一度生の舞台を観たい!」と兼ねてから思っていたのですが…ようやくその機会にめぐりあえました。 と、いう事で仕事で忙殺されている中「気分を切り替えないとやってられないわ!」と強引に自分の中で言い訳をして、強行極秘?歌舞伎座観劇をして参りました。

番町皿屋敷

梅玉さん@青山播磨は…セリフ回しや雰囲気はさすがの貴公子ぶりで素敵なのですが、喧嘩っ早い印象はなく、お菊から自分の気持ちを試された、と判ってからの若者の激昂ぶりが弱い印象。 セリフに抑揚はあるのですが、表情が終始あまり変わらずクールで、愛するお菊を斬ってしまうまでに至る様が「そんなに怒らんでも…」と思ってしまいました 上手く説明できませんが、愛する者から裏切られた、プライドを傷付けられた悔しさが伝わってこなかった、とでも言いますか。
時蔵さん@腰元お菊は、播磨の気持ちに確信が持てなくてボンヤリと心を痛めている所は、彼女の胸の内が伝わってきましたし、皿を割った事を播磨が安易に許してくれる事に安堵する…ちょっと“女のズルイ部分”が見えて、とても好きでした。 ただ、気持ちを試された事に激昂する播磨に対して怯える→斬られる、までがアッサリとした感じで…お話し的には面白いけれども“心に残る何か”がなかった…かな

義経腰越状 五斗三番叟

私、この演目は映像でも観たことがなく初めて。 吉右衛門さん@五斗兵衛の登場を今か今かと出を期待していたら、セットの屋敷廊下から、キョロキョロと辺りの様子を伺いながら出てきてビックリ! あまりにも意表をつかれたのと、恰幅がよく豪快なイメージの吉衛門さんが落ち着きがなく…笑えました☆
三津五郎さん@九郎判官義経に目通りするために登城した五斗兵衛盛次が、目的は果たすまでは…と歌昇さん@伊達次郎+松緑さん@亀井六郎から勧められる酒を我慢するくだりはジリジリとしていて、その我慢の表情が楽しい。 大の酒好きの五斗兵衛に酒を飲ませて、彼を義経に推挙した左團次さん@泉三郎忠衡を失脚させようと企む次郎と六郎の策略に結局は陥ってしまう意志の脆さが笑えます。
歌舞伎には酩酊状態でしでかす失敗談?が演目になっているものが結構ありますが…やっぱりそんなに美味しいものなんですね?(私は下戸)。

【阿古屋】にも出てくる“竹田奴”がズラリ登場は楽しい、楽しい♪ ユーモラスのセンス溢れる顔を作って、もはや本当の目や鼻、口の位置が判らないほど。 あれは…役者さんが自分の好きなように描けるんでしょうか? それとも決まった化粧なのかしら? ぴょんぴょんと飛びながら「イイイイイ」と叫びながら集団で出てくる様はショッカーを連想。 五斗兵衛との立ち廻りの中にはいろいろな楽しい工夫があり、と~っても楽しい。 ラスト、騎馬戦のように五斗兵衛が奴たちにまたがり、酒樽を馬の頭にみたてた引っ込みは愉快♪

隅田川

私は歌右衛門さんの映像でしか観た事がなかったので、鴈治郎さん@斑女の前梅玉さん@舟人で拝見できるのをとても楽しみにしていました。
が…半分以上気絶していました 何も感想を書けない自分が情けない。 やはり早朝1便でお江戸に上がって…昼夜一日通し観劇はあまりよろしくナイですね 特に、昼食後が危険なのは分かっちゃいるけど… なんの為に無理してお江戸に上がったんでしょう、私。

神楽諷雲井曲毬  どんつく

九世坂東三津五郎七回忌追善】という事で、歌舞伎座の正面玄関ロビーにはお写真が飾られていました。
荷持どんつくはもちろん三津五郎さん。 とにかく舞台にズラリと居並んだ役者陣が豪華豪華☆ 巳之助くん@子守を久々に拝見して「また随分と大きくなって…」と親戚のおばちゃん状態でその踊りっぷりを観劇。 三津五郎さん@どんつくは、ユーモラスでありながらさすがに達者な踊りで魅せられたのですが、今回私が特筆したいのは“時蔵さん@芸者” なんなんですか?!あの艶やかな色っぽさは?! もちろん時蔵さんがクール・ビューティーな事は認識していましたが、芸者の…あの黒いお着物と献上帯でキリリのお姿は、どうやら私、初めて拝見したようです。 踊りのしなやかさ、表情の艶っぽさ あまりの綺麗さにクラクラきて「“美しい”という事も芸のひとつだなぁ」と思った次第であります。

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