六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

君が代 松竹梅

友右衛門さん@松の君錦之助さん@竹の君廣松さん@梅の姫。 お目出度い舞踊なんだけど…なんだけど…この演目、ココまで華のナイのって初めて観た(ホントにごめんなさい!正直な感想です)

毛抜

松緑さん@粂寺弾正は初めて拝見(確か)。 う〜ん、夜の部の【十種香】でも感じましたが、松緑さん、セリフになんか変な節回しが付いてて、お芝居もたっぷり…というよりネットリしている感じで、なんか気持ち悪くて背中がゾワゾワする。 私、松緑さん自体を今公演で久々に拝見しているのですが…いつからこんな感じになっちゃってるのかな? う〜ん…。 米吉さん@小野春風は可愛い! 「危ない!全力で超逃げて!」と観る側が焦ってしまう、可愛さ。 米吉さん、あのポヨンとした柔らかが雰囲気と相まって、すごく可愛いですよね。

熊谷陣屋

仁左衛門さん@熊谷次郎直実は、制札の見得をはじめとする型がパシッパシッと“これぞ”というお手本のように決まって気持ちがイイ。 「十六年も一昔、夢であったなぁ〜」は、つぶやくよりも慟哭に近い感じで花道を引っ込んでいったのが、強い悲しみの余韻として残りました。 雀右衛門さん@熊谷妻相模、首実検が我が子と分かってからの悲嘆ぶりが痛いほど伝わってきて、熊谷次郎直実が憎らしく思えるほど。 歌六さん@白毫弥陀六実は弥平兵衛宗清…って、今公演の歌六さん、この一役だけって贅沢〜! 安定の好演。 菊之助さん@経盛室藤の方、これはもっと年輩の役者さんが演じるイメージだったけど、これもまたイイ!(ホント、今公演のMVPは菊ちゃんだわ>私的)

身替座禅

「またぁ?」とガッカリ感が半端ない身替座禅。 もっとさぁ〜、他に演目いっぱいあるでしょう? 配役にしても“毎度お馴染み”でウキウキ感もなく…。
菊五郎さん@山蔭右京左團さん@奥方玉の井、でもって松緑さん@太郎冠者。 尾上右近さん@千枝+米吉さん@小枝の侍女コンビに注力で目を楽しませてもらいました。 うん、米吉さん可愛い。

六月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露【六月博多座大歌舞伎】です。
雀右衛門さんは今年3月末、舞台の成功祈願のため【櫛田神社】を参拝。 5月29日は【船乗り込み】…の予定でしたが、あいにくの雨で式典のみの開催。 意外にも「博多座への出演は久し振り」という役者さんが多い中、竹三郎さんと尾上右近さんは「2ヶ月振り」と言って笑いを誘ってました。

引窓

「そうよ!竹三郎さんはこういうお役で拝見したいのよっ!」という竹三郎さん@母お幸。 仁左衛門さん@南与兵衛後に南方十次兵衛孝太郎さん@女房お早ってこの親子夫婦(変な言い方?)久し振りに観た印象。 観劇する自分が慣れたのか?演じる側がこなれたのか?…しっくりと馴染んでいる夫婦だった。 左團次さん@濡髪長五郎って初めて拝見したかも?(関取役が)
ごめんなさい! この演目、何故か私、気絶演目なんです…。 いつも演題の“引窓”の部分の記憶がnothing!!(ひどい感想、すんまっせん!)

五代目中村雀右衛門襲名披露 口上

下手から…仁左衛門、時蔵、錦之助、松緑、友右衛門、芝雀改め雀右衛門、藤十郎、左團次、孝太郎、菊之助、歌六、菊五郎。
おのずと左團次さんに期待する訳ですが…無難な“犬友達”ネタで♪ 友右衛門さんの口上って初めて拝見したかも? 弟よりも数倍ガチガチに緊張されている印象。 藤十郎さんは、今公演は口上のみ…って贅沢!

十種香

3月の歌舞伎座に続き、初役となる三姫の一つ、八重垣姫! 雀右衛門さん@八重垣姫ですよ! おとなしくいじらしいお姫様かと思いきや、思い込みが激しく我わ通す様が、わりと好きなキャラクターです。 歌舞伎の姫って、世間知らずがそうさせるのか? 恋愛に関してかなり積極的にグイグイいきますよね! かねてから“”静かに耐える美しさ”雀右衛門さんの特筆すべきところですが、今回はその積極性がイイ塩梅に可笑しみも加味されていて◎ その姫を呆れながらもサクサクとコントロールする時蔵さん@腰元濡衣のクールさがイイ! 菊五郎さん@花作り蓑作実は武田勝頼は…役の重さ的には、親父様で妥当なんだけど「菊ちゃんにチェンジ!」と思ってしまったことは内緒。 その菊之助さん@白須賀六郎、すごくイイ! 口跡も動きもキビキビしていて美しい。 対して松緑さん@原小文治、なんであんなに不思議な節回しでセリフを言うんだろう? “三之助”として一時代を築いたお二人に歴然と差が出たように思えました

女伊達

【雀右衛門襲名披露】というのに、ごめんなさい! 昼夜通して、この演目が一番良かった! 菊之助さん@女伊達木崎のお菊に、男伊達の亀三郎さん@淀川の千蔵+亀寿さん@中之島鳴平という亀兄弟が絡んで、目に楽しく華やか☆ 素人ながら、菊之助さんっていろいろな事がすごく上達されてますよね?(何様な感想すみません!) 今まで持っていた華を、もうひとつ背負った、といいますか…“中心に立つ役者”というオーラがキラキラです。 また声がイイ! 観劇後「菊ちゃんイイ!」をしばらく連呼していてました。

maku201606

乱鶯【北九州芸術劇場】

久し振りに“真面目にカッコイイ古田さん”を観た!(いのうえ歌舞伎《黒》BLACKですものね!) 脚本は倉持裕さん。
ちなみに“乱鶯”とは『春に鳴くはずの鶯が夏になっても鳴いているさまを表現する言葉』だそうで、「そいつぁ、往生際が悪くてイイや…」と、つぶやく古田新太さん@十三郎に惚れる。

ストーリーは…
古田新太さん@鶯の十三郎は盗賊の頭だったが、押し込み強盗に失敗し瀕死のところを居酒屋の夫婦(粟根まことさん@勘助+稲森いずみさん@加代)に助けられる。 勘助が病で逝った後、加代を助けて居酒屋で板前として働く十三郎の元に、昔の仲間、橋本じゅんさん@火縄の砂吉が、過去の素性をネタに協力を迫ってくる…。 ここへ十三郎と加代の恋模様が絡んだり、十三郎の更生を信じて罪を見逃した山本亨さん@小橋貞右衛門(幕府目付)の、息子・大東駿介さん@小橋勝之助(御先手組組頭)の立身出世に恩返しの為一役買おうと十三郎が奮闘…というのが大筋。

オープニングはいつもの大音量ヘヴィメタBGM…からの毎度激烈にカッコイイ“芝居タイトル”の表現にシビレていたら、いきなりの大人数の大立ち廻り! 舞台上で所狭しと展開される立ち廻りは、怪我しないかハラハラするほど超高速の殺陣と迫力圧倒される!

火縄の砂吉を追っている大東駿介さん@小橋勝之助が、彼らが押し込み予定の呉服屋へ送り込んだ引き込み役を探る為、十三郎と共に身分を偽って潜入するも、あからさまに不審者で思いっきり空回りする様がいろいろ可笑しい。 高田聖子さん@呉服屋女将のお幸に思いっきり尻に敷かれている逆木圭一郎さん@呉服屋主人・丹下屋総兵衛があんまりな扱いで笑える。 ちょっとくらい話し聞いてあげても〜。 そして…出た! 村木よし子さん@お照中谷さとみさん@お夏親子の面倒臭い客。 河野まさとさん@奉公人太兵衛の飄々とした様を持っても回避できないクドさで迫ってきます!! 笑すぎて、顔痛い…。 でもって要所要所で登場する粟根まことさん@勘助の幽霊。 「あれ?コレいのうえ歌舞伎BLACKだよね?」と途中まで心配になりますが、ラストは畳み掛けるような怒涛のシリアス展開!

橋本じゅんさん@火縄の砂吉の絵に描いたような“蛇のようにねちっこい悪党”ぶりがハマり、大東駿介さん@小橋勝之助の道化役から一変する最期、そして幕引き間際、ラスボスの登場vs十三郎の花火の映像演出が余韻を残して唸るほどカッコイイ! 大谷亮介さん@黒部源四郎(奉行所与力)、山本亨さん@小橋貞右衛門がビシッと締めていらっしゃいました。

いや〜、面白かった! 殺陣、スゴかった!

劇場
北九州芸術劇場大ホール
日時
2016.5.11(水曜日)/12:30〜

スーパー歌舞伎II 『ワンピース』【博多座】

今年3月、約1カ月をかけて舞台装置、照明、音響をリニューアルした博多座での第一弾公演です。 かねてより前・猿之助(現・猿翁)さんが『博多座はスーパー歌舞伎に最高に適した劇場』とおっしゃっていましたが、博多座、更にパワーUPですよ! 初日4月2日(土)は猿之助さんが800回目の宙乗り達成
また、中旬には【熊本地震】が発生し、開演前には猿之助さんの『被災地へのお見舞いと復興支援の口上』、幕間には出演者が客席を回っての募金活動も行われ、なんと!11日間(17公演)で義援金22,870,539円が集まったそうです!! 千穐楽、登壇した福岡市長に託しました。

さて、私、昨年10月の新橋演舞場公演を観た…とはいえ、激しく見切れ席だったうえ、配役変更や新キャラ登場!という博多座公演を楽しみに、6日夜と千穐楽、2回観劇しました。
そして…「博多座公演前までには原作本で今度こそ予習する!」という誓いも果たさず、またしても『ワンピース知識ゼロ』で臨んだ観劇。 スッキリと解りやすくなった部分、新キャラ登場により新に追加された部分、更に膨らませてクドくなった部分…いろいろとテンコ盛りでしたが『原作ファン』には総じて好評で、博多座公演は大入り…ということで、大成功おめでとうございます♪ 10月にはシネマ歌舞伎上映決定☆

地方公演は福士誠治さんから配役変わって平岳太さん@エース。 グッと大人な感じで“心に抱えている闇が深い”印象。 スタイリッシュなニヒル兄貴です。  故に死に向かって行く突き進むかのようなラストへの意気込みと悲壮感が背後から立ち上っているような気迫に圧倒されました(福士エース=陽、平エース=陰って感じ)

尾上右近さん@マルコ/サディちゃん 博多座では初の“逆宙乗り”(3階鳥屋口〜1階花道へ)は初めての事(猿之助さんの“斜め宙乗り”も)。 演舞場ではなかった演出だったので、気が付いたら隣で浮遊してたんでビビったわ!  そして新登場のサディちゃん、右近さんの受け口にテラテラの口紅が艶かしく、ご本人ノリノリ。 意外にもムッチリとした体型に、ショッキングピンクの総スパンコール衣装は猥雑な色気もあり。 演舞場で存在しないお役だった…って事は、原作では重要キャラではナイのかな? 強烈な印象に残るポイントキャラになってました。

他に気になった役者さんは…冒頭の人魚ケイミー、ずっと猿紫さんと思ってたら猿珠さんだった!(演舞場、見切れてたからな!) どっちでも可愛い、うん。 寿猿さん@アバロ・ピサロ竹三郎さん@ベラドンナ、お二人とも“お二人じゃなきゃ”なお役じゃナイのに『若者の本気のお遊びに付き合わさせている爺二人』って感じで…お疲れさまでした。 なんか、見ててとっても申し訳ない気持ちになってしまった…。

他に演出で変わっていた点は『ハンコックが小林幸子仕様』に! うん、盛り上がるものはなんでも取り入れようという、サービス精神に溢れた心意気、イイと思う!  あと『この曲でよく宙乗りできるなぁ…』となんとも間の悪さを感じていた、ゆず曲をBGMとした宙乗りは“ライブ会場仕様”に仕立てる事で、客席のノリを煽ってクリア。 結構、一緒に歌を口ずさんでいる人もいて驚きました。
とにかく芝居がはねた後「あ〜、面白かった」と口々に言っているお客さんが多かったのは素敵☆ 「6月の古典歌舞伎も是非観てね」とこっそり思ったのでありました。

劇場
博多座
日時
■2016.4.6(水曜日)/16:30〜
■2016.4.26(火曜日)/11:00〜

幻想神空海(四月大歌舞伎)【歌舞伎座】

【四月大歌舞伎】夜の部、最後の演目を幕見。 遠征前に演目と配役を見て「幕見でイイかな…」 歌舞伎座が新しくなって幕見席はまだ体験してなかったし。
久々の幕見席は、すっごくシステム化されていて、ビックリしました! チケットもハンコをパンパン押して、定規でビリッと切って渡されていた頃を懐かしむほどの美しいプリントアウトのものになっていて…。 すみません!すごく今更な感想なんでしょうけど。

ここ数年、更に意欲的に作品を生み出す事にチャレンジされている印象の染之助さんの新作歌舞伎【幻想神空海(げんそうしんくうかい)】、原作は夢枕獏さん。 筋を全く頭に入れずの予備知識なしで観劇に臨んだので、物語に入り込むまで「???」
と、時間がかかってしまった失態。

唐の国で留学中の染之助さん@空海松也さん@橘逸勢が、化け猫騒動からの発端に、唐王朝の秘事に係る事件に巻き込まれ、果ては雀右衛門さん@楊貴妃に行き着き…という摩訶不思議なファンタジー演目。
舞台美術が大掛かりで、唐の国の衣装が華やか、レーザーやスモークを使った演出も目新しく派手なんだけど…幻想世界だからか、舞台全体がず〜っと暗いうえ展開が遅く感じ、睡魔が…。  ラスト壁に文字を書く演出は「teamLabか?!」音楽の中華風味は言わずもがですが、なんと染五郎さん@空海が中国琵琶を弾き語りし、生歌披露のおまけ付き。
雀右衛門さん@楊貴妃を取り合っていた友人関係?の二人は、又五郎さん@白龍歌六さん@丹翁?  やたらと「貴妃を抱いたのじゃ〜」と言い合うセリフが異質に感じて違和感が〜。

観劇後「…で?」という感想が残る不思議。

劇場
歌舞伎座
日時
2016.4.22(金曜日)/18:53〜