エリザベート(キャスト感想-1/2)【博多座】

私、2010年の城田優さん@トートがデビューした帝劇公演は、ギリギリまで遠征スケジュール調整に足掻いたものの、結局観劇叶わず…で涙をのみ、それ以来ず〜っと再登板を熱望していました。 が、そのデビュー公演では、ご本人は精神的に相当しんどかったらしい記事を目にしていたので、二度と観る機会はナイだろうと半ば諦めていたところに、昨年まさかの再登板ですよ、奥さん! しかしそれも帝劇だけの出演かと思いきや、今年は全国ツアーで回って、おらが街の博多座で城田トートを観れますよ、奥さん! 昨年、遠征しそうになる気持ちをグッと堪えて…近年例をみない酷暑の8月の福岡、博多座公演に投資。 私『当日券を求めて博多座に並ぶ』という行為は、2007年10月【レ・ミゼラブル/20周年SP全キャスト!奇跡の5日間】(←勝手に命名)以来の事! 博多座公演はいつも公演期間後半になってリピーターが激増してくるので、前半から飛ばしていきました、千穐楽を含め計7回の観劇、全て城田トートです。

演出に関しては別記事に書いたので、キャストの感想のみ。

城田優さん@トート 私が舞台の城田さんを拝見したのは【スウィーニー・トッド】のアンソニー以来、9年振り!2度目(あ!再演のアンソニーは田代万里生さんだ!)。 5年前から待ちに待った観劇の期待が膨らみ過ぎて、自分の目で観るまで不安でしたが、羽背負って降臨した時点で「あ、MY BESTトート決定☆」 二次元か?!と思う美しさが、これまた異次元の空気感を纏って、終始誰よりも高い位置から全体を見渡し支配し、全てを操っている様をヴィジュアルで納得させられ、城田さん、顔に汗かかないから更に体温が感じられナイので“非人間”然として、自分の思い描く“理想のトート”像そのものが舞台上に存在している事に感嘆! 終始「何故、黄泉の国へ来ないのか?」と、苦しみながら必死に生きようする人々を不思議そうに見ている様や、“人間、入ります” と人魂を注入して群衆に紛れていく様は目に新しく、とりわけ人と接した後に手で口を覆って拭う所作と目が印象的。歌は、遥か彼方の記憶を辿った印象としては『こんなに歌える人なんだ!』という驚きと、独自の歌唱が耳に新しく、聴く度に歌い方を少しずつ変えていたので、それも聴きどころのひとつとして楽しめた♪ 『城田優、これだけニンに合ったお役もナイだろう』と思うのだけど、どのインタビューや記事を目にしても“トートを演じる怖さや苦しさ”ばかり語っているので『今ツアーで卒業だろう、ましてや博多座で観れるなんてことは二度とナイだろう』酷暑の熱で目に焼き付けたぞ! …けど、千穐楽のカーテンコール挨拶で『高校生以来振りに毎日楽しく舞台に立った』という前向きコメントだったので、これは…♪ ともあれ次は“顔色の良いお役”で拝見したくもあります(アンソニーとトートしか観てナイから)

花總まりさん@エリザベート レジェントと化した彼女のエリザベートは「いつか観たい!」と思っていたので、こちらも期待値が高過ぎたのですが…歴代の演者が全て上書きされるほどのハマリ役! 大変失礼ながら、これほど歌える方だとは思っていなかった!というのは大きな驚き。 公演期間の後半から、ますます声が出ている歌がノッている印象でした。 舞台の進行と共にちゃんと役として年齢を重ねて行く様は見事で、とにかく丁寧な演技に心惹かれました。 『さすがヅカ伝説の娘役TOPと思うドレス姿や捌き方の美しさ』は他の演目で何度か目にしていましたが、それ以上の印象に残ることはなかったのに、エリザベートでは“気品”を身にまとい、何故こうまでハマるのか?不思議なくらい“花總まり=エリザベート”と、他の追随を許さない圧倒的な“何か”を感じました。 細い腕をトートにブンブンと振り回される度に「折れちゃう!」と心配になるほど細いっ!(後半腕に青タン発見) 花總さん、あの体型と若さを維持しているのも脅威ですね。 他の新しいお役で拝見するのが楽しみになりました。

蘭乃はなさん@エリザベート “エリザベートはヅカ出身者から”という縛りはもう止めませんか? 少女時代から黄泉の世界へ旅立つまで、ず〜っと同じ調子で通していた事にビックリ。 花總さんとのWキャストでは、誰が起用されても酷だろうけど、演者の歌、演技共に観客が忍耐を強いられる起用って…どうよ? …とはいえ、蘭乃さん、ニンに合ったお役にはピタッとハマる方かも?と、是非他の演目で拝見してみたい。

エリザベート(キャスト感想-2/2)へ続く…

 

キャスト
・8/9(火)ソワレ= 蘭乃/城田/京本/香寿/山崎/大河原
・8/10(水)マチネ= 花總/城田/古川/涼風/山崎/大内
・8/13(土)ソワレ= 花總/城田/京本/涼風/山崎/大内
・8/14(日)マチネ= 花總/城田/京本/香寿/成河/大内
・8/17(水)マチネ= 蘭乃/城田/古川/涼風/山崎/大河原
・8/30(火)マチネ= 花總/城田/古川/香寿/山崎/池田
・9/4(日)マチネ= 花總/城田/古川/涼風/成河/池田
劇場
博多座
公演期間・時間
2016.8.6(土)〜9.4(日)/【マチネ】13:00〜【ソワレ】17:00〜

5度目の【博多座エリザ】過去公演記録

今年、博多座での【エリザベート】の上演は4年振り5度目。 
2015年に一新された演出を、自身の観劇の記録として過去の公演と比較して“おぼえ書き”。

☆博多座初演(2001年10月)一路真輝/山口祐一郎・内野聖陽
ずっと周り続ける回り舞台の演出と、もはや伝説になった、トートダンサーズが黒衣を脱ぎ捨て真っ白半裸状態で柱に駆け登り一体化し、羽ばたくラスト。 千穐楽は終演後、博多座正面玄関から全キャストが私服に着替えて出てきて、博多座に横付けされたマイクロバスに乗り込んで打ち上げ会場へ出発(二日市温泉へ…だったはず?) 前年、帝国劇場での東宝版初演を経て翌年の初の全国ツアー最終地の大千穐楽だった為、全国から駆けつけたエリザファンがモッシュ状態で博多座正面でバスお見送り。 何かの優勝パレードのようだったなぁ(後に二度とこんな事は行われてナイ!) この公演では、ちびルドで小野賢章さんがご出演。 今度【ロミオ&ジュリエット】にご出演ですね♪ ミュージカル作品で博多座に戻って来て欲しい!! 「僕はママの鏡だ!(by黒子テツヤ)」

☆2度目(2004年10月)一路真輝/山口祐一郎・内野聖陽
当時、演出の小池さん的にブームだったのか?LED電飾看板で背景が描かれ、非常にチープな印象で不評。 既存曲の歌詞の所々が変更になったり、【夢とうつつの狭間に】【皇后の血筋】がカット、【子供の養育は】【私が踊る時】【ゾフィーの死】が追加。 シシィの傲慢さと、ゾフィーなりの愛情が際立ち、キャラクターへの理解がより深まった印象。  『シシィ、棺桶から棺桶へ』

☆3度目(2008年9月)涼風真世・朝海ひかる/山口祐一郎・武田真治
背景スクリーンにその情景(イラスト)を映し出すものに変更され、今まで観客がイメージで補っていたシーンが舞台美術として表現。 演出うんぬんよりも、武田トートのキャラクター作りが独自色が出ていて印象深かった。

☆4度目(2012年7月)春野寿美礼・瀬名じゅん/山口祐一郎・石丸幹二・マテ・カマラス
ほぼ前回と変更なし…だったかと、多分(←ご指摘お願いします!)

☆5度目(2016年8月)花總まり・蘭乃はな/城田優・井上芳雄
演出、舞台美術、衣装等が昨年の帝劇公演から一新され、今年、博多〜大阪〜名古屋と全国ツアーへ。 全体的に一番暗くて(色味が)、客席からの目線が高く圧迫感があり、舞台が狭い印象。 闇はあんまり広がってナイ。 大好きな【夜のボート】も二人の距離がすごく近くて“スレ違って離れていく”余韻がナイ。 【私だけに】の滑り台は謎な演出。 「私を返して!」「死にたいのか?」は今演出から? カーテンコールの際のトートの曲はいつから【最後のダンス】になってるんだろう?

博多座で上演がナイ年には、日生劇場や帝国劇場に遠征したり、2007年にはウィーン版の来日公演を観劇…と、この作品の何がこんなに私を観劇に駆り立てるのか? 何度観てもやっぱり好きな作品だけど、何処がどう好きなのか未だに解明せず。 作品としての観劇回数は…怖くて数えたことがナイ。ちなみに「いつか宝塚版を観てみたい」という願望は未だ叶わず。

しかし演出がガラッと変わる度に『一度完成して好評に受け入れられたものを、またゼロから創り直して進化させる』って、凄い事だな、と毎度感嘆させられます。 “作品をつくる”というパッションが凄い! でも…何度演出が変わっても、体操室は『吊り輪に捕まろうとしてフラつく』ばかりなので、今度はその横の器具を使って、無茶してみないか?

今公演の観劇レポートは別記事にて。

美女と野獣・千穐楽【キャナルシティ劇場】

キャナルシティ劇場で、3月13日に開幕した劇団四季【美女と野獣】、8月28日の千穐楽公演に行ってきました。 今公演回数158回ので観客動員数15万人超、だそうです。 私は、お目当ての役者さんの登板がなかったので、初日と千穐楽、2回のみの観劇となりました(10年前の公演時はバカみたいに通っていたのに!)

「もう見飽きた…」と思いながらも、観るとやっぱり楽しくて素敵な作品! 10年前に観劇しすぎた弊害で、その時に演じていた役者さんの芝居のリズムがデフォルトとなっている為、ちょっとした違いが自分の感覚にフィットせずにむず痒いところがあったりするのですが…。

お久し振りの佐野正幸さん@ビーストは、10年前に衝撃を受けた2幕ラストの【愛せぬならば】の、劇場がビリビリ震えるくらいの声量と迫力と細かな芝居、王子に戻ってからの全く変わらないスリムな風貌に驚かさせました! あのコンディションを保ち続けている佐野さん、スゴイ…プロって凄いなぁ〜! 王子の姿に戻ってルミエールとコッグスワースにハグする時、思いっきり背伸びしている足元がキュートでした♪

“ザ・ガストン”な田島亨祐さん@ガストンとの再会は嬉しい、嬉しい♪ アニメから抜け出てきたかのような、観た人みんなが「ガストンそのもの!」と思うだろう田島ガストンの健在ぶりに感涙。

千穐楽特別カーテンコールは、メインキャラクターによるリレー挨拶。 公演期間中に相次いで九州に起こった、豪雨や熊本地震などの災害に対し「楽しい舞台の感動を届けて、少しでも皆様のお気持ちが和らげれば」という趣旨と、来年からの上演予定をアナウンス。 「もうイイだろう?」という四季恒例のエンドレスカテコで幕を閉じました。

公演期間中、細かなキャストチェックはしていなかったので分からないのですが、きっと福岡公演を完走されたキャストもいらっしゃるんでしょうね。 今夏の福岡の暑さは異常でしたから後半、なおさら体に堪えたかと〜。 お疲れさまでした、素敵な舞台を有難うございました!
来年2017年6月から3年間、劇団四季が専用使用のキャナルシティ劇場。 まずは【リトルマーメイド】を楽しみにお待ちしております!

あと一言、吉賀陶馬ワイスさん@ムッシュー・ダルク、メイク激しすぎ!!  大和貴恵さん@タンス夫人、コミカルで楽しい♪

キャスト
ビースト:佐野正幸/ベル:平田愛咲/モリース:種井静夫/ガストン:髙橋基史/ルミエール:岩城雄太/ルフウ:村山 剛/コッグスワース:青羽 剛/ミセス・ポット:遠藤珠生/タンス夫人:大和貴恵/バベット:荒木美保/チップ:澁谷陽香/ムッシュー・ダルク:吉賀陶馬ワイス
劇場
キャナルシティ劇場
日時
2016.8.28(日曜日)/13:00〜

王家の紋章(キャスト感想)【帝国劇場】

作品の感想に続いて、キャストの感想を。

浦井健治さん@メンフィス 浦井さんの王子=シャルル王子(by新感線)の印象が強烈な故に「エジプトの王子?!」と扮装を目にするまで唯一違和感を感じたキャスティングだったけど…納得! 激しい気性と勇猛果敢さ+残忍で冷酷という様は、怒鳴りながらバタバタ動くだけで、高貴な感じは薄いけど“若く美しい少年王”にハマる。 私自身、浦井さんの歌をここまでガッツリ聴いた事がなかったので、まず声の高さに驚いたのと、思っていたより歌唱が不安定で、聴いていて息苦しくなる箇所が多い印象。 蠍の毒に侵されて意識が遠のいていく時の表情、現代に帰りたいと泣くキャロルを後ろから包みハグして「泣くな!」というシーンが◎! 「愛いやつ…」が聞きたかった!

宮澤佐江さん@キャロル 考古学好きな16才の女の子、というキャピっとした感じは◎ 失礼ながら歌も思ったよりも…だし、タッパがあるので舞台映えする!けど、小柄に見せようとしている為か?姿勢が悪いのと、表情のバリエーションが少ないのが気になった。 しかしミュージカル作品において今後の活躍が期待させるような好演。

新妻聖子さん@キャロル 歌になんの不安要素もなし。 16才設定が痛いのかと思えば、かなりの頑張り! 周りのキャストが背が高い人が多いのも手伝って、その懐にスッポリ収まるサイズ感が愛らしいキャロル。

宮野真守さん@イズミル 映像も含めて“唄うマモちゃん”を初めて拝見。 デカい、声もデカい…。 熱い、とにかく激アツなイズミル王子。 あのイズミル衣装はタッパがナイと着こなせないですね〜、似合ってる! 芝居は自分に酔っている感じで見ていてちょっと恥ずかしい…かな。 歌唱は『それ、イズミルが歌ってナイよね?』という感じの“宮野真守オンステージ”な印象。 しかし、とにかく舞台映えするし歌える方なので、今後も是非ミュージカル作品で拝見してみたいと思いました。

平方元基さん@イズミル 気高く静かに熱いものを胸に秘めた…という作品のイメージに近い王子。 歌も記憶よりは格段に上手くなっている印象。

濱田めぐみさん@アイシス キャスティングの第一報を聞いただけで「絶対ハマる!遠征決定!」 ファンとしては嬉しいものの、作品全体としてみた時に『ちょっとアイシス曲、多くね?』 いや、どれも期待以上だし、キャラクターとして語り生きる圧倒的な歌唱力には大満足で濱田さんにはなんの不満もナイんだけど。 鑑賞後、猛烈に【アイーダ】観たくなった!

山口祐一郎さん@イムホップ あの歌唱スタイルは…もう治らないのかなぁ? アイシスを国の為と諭すシーンは静かな説得力が良かった!

伊礼彼方さん@ライアン キャラクターの再現率、ピカイチ☆ あまりにも孤独過ぎて同情するレベル。「キャロル…。」の一言で幕…という斬新な幕切れ。 劇中、何度「キャロル…。」とつぶやいたのだろう?

愛加あゆさん@ミタムン ダンスが得意な元ヅカさん? ゾンビ状態になってからの方が長く舞台に上がっているので気の毒。 …って、あの状態のミタムンをず〜っと出す演出が謎。

出雲綾さん@ナフテラ 慈愛に溢れていて素敵! 包み込むような歌唱も◎

矢田悠祐さん@ルカ 誰もが「誰あの綺麗な人?美脚〜」と、そのヴィジュアルに驚いたのでは? ミュージカルの歌唱ではナイものの歌えるし、舞台映えする! ルカは元々“おいしいキャラ”というと語弊があるけど、矢田ルカによって、更にルカが際立った印象。

木暮真一郎さん@ウナス 原作ではあんなに黒い肌の印象はナイんだけど…? ウナスのキャラクターを的確に演じる好演。

川口竜也さん@ミヌーエ将軍 改めて「めっちゃ歌ウマイな、川口さん!」と大変失礼ながら、ホント改めて聴き入る歌の上手さ! あのヅラは難易度が相当高いのに、川口さんの眼力でクリア。 もっと歌、聴きたかったなぁ〜。

工藤広夢さん@セチ 高橋龍輝さんが降板の為、登板とのことでしたが、とっても良かった! ダンスもすごく軽やかなうえ、情感豊かで魅せられました。 母・セフォラとの親子の様、志願して兵士になり、命を散らす様の演技はすごく胸に響く好演でした。

来年の再演で、続投しない方はいらっしゃるんでしょうか? 作品と共に、どのように変化しているのか楽しみでなりません。

 

2016.8.24(水曜日)/13:00〜
キャロル:宮澤佐江/イズミル:宮野真守
2016.8.24(水曜日)/18:00〜
キャロル:新妻聖子/イズミル:平方元基
2016.8.25(木曜日)/18:00〜
キャロル:新妻聖子/イズミル:宮野真守

 

王家の呪い

王家の呪い…(Twitterより/@design_akko3)
a: ライアン兄さんが、桝太一アナウンサーに見えてくる
b: 『敵軍に紛れたウナスがヘルメットを脱いで正体を明かしたものの、その下もヘルメット!』な事に、笑いへの忍耐を試される
c: ルカの美脚ばかり目で追ってしまう
d: イムホテップの指揮に、コーラスで参加しそうになる

王家の紋章(作品感想)【帝国劇場】

201608王家の紋章夏はダイビングに投資してしまう為『夏の観劇遠征は諦める』というモットーを初めて曲げて遠征決行☆ 「あの“王家の紋章”が、ミュージカルになる!しかもアイシスが濱田さん!がシルヴェスター・リーヴァイの曲を唄う!」という事は、私にとってそれほど強大な吸引力だったんです!

そもそも【王家の紋章】を初めて読んだのは、小学生の時で…その時の既刊が果たして何巻だったのかは記憶していないのですが、その時でさえ「随分時代を感じる絵柄だな…」と感じつつも、読む手が止まらずどっぷりとその世界観にハマり、今もなお新刊が出るとレンタル読みしている唯一の作品(【ガラスの仮面】は購入継続中) 宝塚歌劇団ならなんとなく想像も付きそうだけど、東宝でミュージカル化って、どうよ?!

2泊3日で3公演、集中観劇してきました! まずは、作品全体の感想から。

ストーリーは『ヒッタイト軍に囚われたキャロル奪還の為、エジプト軍が敵地に乗り込み戦争勃発→奪還成功→キャロルは古代で生きていく事を決心し、メンフィスへの愛を自覚する』というところまで。 ミヌーエ将軍がアイシス王女に慕っている、なんて設定はすっかり忘れてた!(しかもナフテラ女官長の息子って!) 各々のキャラクターの再現率が素晴らしく、作品ファンは大満足なのでは? 但し、キャロルの“碧眼”設定はナシ(金髪、白い肌は度々セリフで出てくるけど)なのは何故? 碧眼もナイルの水や宝石に例えられ、古代エジプトで“ナイルの娘=神の娘”と崇められる一因だったのでは? そのキャラ豪華再現に比べ、セットがかなり寂しい印象

脚本・演出は『これは…再演ではかなり手が入るだろうなぁ』という、原作を知らないと「?」となる不親切な部分や、テンポの悪さ、『ここにそんな時間を取らなくても』『このキャラクターはこんなに出なくても、こっちはもっと出しても』というバランスの悪さが作品ファンとしては気になりました。 特に1幕最後の現代へ戻る〜2幕冒頭の古代へタイムスリップはひどく解りにくい!! キャロルのタイムスリップはアイシスが操作(っていうの?)している設定のはずなのに、舞台では古代のアイシスはキャロルの事は知らない設定になってるみたい??? イズミル王子がキャロルに惹かれる過程をもう少し丁寧に!いつの間にキャロルに惹かれたの?!という唐突感が否めず。 でもって『骨折治るの早すぎっ!』古代エジプトの医療技術恐るべし! そしてラスト、あれは結婚式?戴冠式? ミタムン王女やセチが生前の姿で群衆に居並ぶし…夢? ちょっと理解が及ばなかったです。(パンフレットを未購入の為、説明の記載があればスミマセン!) “古代エジプト”と“現代”の切り替え表現のメリハリを希望! ライアン兄さん一人で現代を表現するのは…ん〜(ず〜っと暗い闇に佇む感じで“現代=闇”なの?) あと、心の声が度々“録音源再生”されるのがひどくチープに感じた。

印象に残ったシーンは、メインフィスのソロのバックでセチが踊るシーンと、エジプト軍×ヒッタイト軍の群舞。 ロンリー過ぎるライアン兄さんと、セチ+セフォラ親子、ウナス、ルカの描かれ方は大満足♪ “神の娘”を目にし、驚きながら取り囲む人々の【M!】的な囁きナンバー。

曲も初見では「ストーンと心に響いて耳に残る曲がナイ」という印象でしたが、3回の観劇を経ると思わず口ずさんでしまうフレーズも。 但し、キャラクターのナンバー数のバランスの悪さも感じました。 キャロルとメンフィスのLOVE&LOVEデュエット曲や、アンサンブルさんがガーッと迫ってくるような曲の追加希望! 個人的には冒頭のキャロル曲がポップな歌謡曲みたいで、重厚感がなく、物語に入り込むのに戸惑う事に難あり、と感じました。

…と作品+ミュージカルファン故の不満ばかり書き綴ったようだけど、総じて『大河・少女漫画の世界観を見事に具現化』された舞台には感動! とにかくキャラクターの再現率の功績が大きいかと。

次はキャストの感想へ続く…。

2016.8.24(水曜日)/13:00〜
キャロル:宮澤佐江/イズミル:宮野真守
2016.8.24(水曜日)/18:00〜
キャロル:新妻聖子/イズミル:平方元基
2016.8.25(木曜日)/18:00〜
キャロル:新妻聖子/イズミル:宮野真守

 

201608王家の紋章