エリザベート(春野×石丸)【博多座】

前博多座公演以来、4年振りの観劇です。 そんなにご無沙汰だったとは!ちょっとビックリ。 例によってキャスト表とニラメッコして…最大公約数のキャストが観れるように熟慮した2公演のチケットを確保(山口トート、大野ルドルフ、加藤+鈴木チビルドを断念)。 その後確保した両日ともアフタートークショーが開催される事になったのはラッキー☆
演出の大きな変更点はナイんですね。 シシィが木から落下する際の映像は改善されず…で、髪も服も風圧的に上になびいてナイのが毎度激しい違和感
結婚式での♪賽は投げられた~♪の口に手を当ててアワアワする振りや、うるさく感じるほどに過剰に舞うトートダンサーズのダンスに毎度疑問
春野寿美礼さんは、彼女がヅカトップとして初めて立った2002年と2005年の博多座公演で二度拝見したのみで、それ以来の観劇。 正直、その時はヴィジュアルのインパクトの方が勝って…“歌の上手いヅカの人”という印象はなく、ヅカ退団までの功績を聞いて「歌の上手いヅカの人」という情報がインプットされた私。
石丸幹二さんは、四季時代にいろんなお役で結構な回数拝見していますが、トートのような役では初見なので“お耽美ロックな丸ちゃん”にワクワク♪
歌ウマーな二人がどんな風に聴かせてくれるのか楽しみに観劇☆

以下、各キャストについて。

再演の度に「新ルキーニ登場か?!」という淡い期待を打ち砕き、2000年の初演時から唯一シングルで続投中?嶋政宏さん@ルキーニ。 幸四郎さん並みに記録に挑戦? 再演の度に細かい言い回しや演技に変化があり、それを発見するのも楽しみではあるんですが(キッチュの「せからしかぁ~」は健在だけど、前後の歌詞と意味が噛み合ないんだけど?)…今公演は、今まで歌っていたものをセリフ調で流す部分が多くなっている印象。 ?嶋さんの歌、好きなんでちょっと残念。
身長172cm、体重50kg、ウエスト50cmなエリザベートって、きっと春野寿美礼さん@エリザベートくらいがリアル体型なんでしょうけど…怖いくらい筋張ってて細過ぎるぅ~。 春野さん、思ってた以上にヴィジュアルが…。 お芝居は…なんだろう?いろいろなタイミングが早いのかな?余韻が残らない印象。 相手と向き合う感じではなくて、一人で演じているような…うまく説明出来ないけど、ちょっとそんな感じを受けました。 エリザだから独りよがりな感じでイイのか? う~ん。 期待していた歌は、聴いている方が心配になることも、辛くなる事もなく安心して堪能。 でも…これは石丸幹二さん@トートもですが歴代演者では聴くことがなかった“弾むように区切って唄う”箇所が多くて驚き
石丸幹二さん@トート。 四季時代から「丸ちゃんが退団後にエリザ出演ならフランツだろう」と勝手に確信していたら、前公演時からまさかのトート登板でビックリ☆ 写真からは以外にもゴツイ印象を受けていたのですが“自分ダイスキー☆お耽美ナルシスト”ぶりが、独自の工夫されたメイクや所作の随所見れて楽しめました♪ 丸ちゃんのロックテイストなナンバーを聴くのは初めてでしたが…なんだろう?「面白かった」です。 やっぱり上手いし、聴き入りますが…なんだろう?聴き慣れないので「ほぉ~」「へぇ~」という驚きが“面白かった”と感じたのでしょうか? 【私が踊る時】の春野vs石丸は聞き惚れました!! 圧巻でした♪ でも、舞台が進むにつれて…ちょっと重い動きに「誰かに似てる…誰かに…?!」「!!!」 松平健だ! マツケンだ!  ミュージカル【ドラキュラ伝説】を演じた上様に似てるっ!!  なんだろ?目張り具合かな? いやいや魅力的な丸ちゃんトートでした♪
杜けあきさん@ゾフィー。 お綺麗です☆ 貫禄と威厳を誇張するヴィジュアルや所作がモッサリとした印象を受けてしまったのは残念。 声も無理に低くしているのが聴き辛い箇所も。 【結婚○年目】の歌詞で♪初孫(ういまご)です~♪→♪“にいまご”です~♪に変りました? 逆かな?(聴き違いかも…だけど何か引っかかったから違いがあったかと?)
今井清隆さん@マックス至って真面目。 自由人として娘が憧れる父親には見えず、その父性も感じられなかったけど、安定の歌で満足
古川雄大さん@ルドルフ。 “少女漫画で花背負って出て来る美青年”って感じ。 孤独で線の細い愁いを帯びた儚気な雰囲気はキャクターにピッタリ。 常に前のめりの姿勢はトートやフランツとのバランスの為なのか?ちょっと気になりましたが「何頭身?」って、思わず自殺のシーンで数えちゃいました。 安定のダンスは群舞でも華があって目立ち、歌は許容範囲。 後に『ルドルフは古川君でなくっちゃ!』的なエリザファンが増える予感。
石川禅さん@フランツは…ちょっと面白系に? 最後のダンス前のダンスでフェイドアウトとか、1幕最後、登場したエリザを振り返る様などは「プッ」と吹出すくらいに大袈裟で…愛おしい。 いつも以上に目がウルウルしていたような? 歌は超安定。
感想が長くなったので【アフタートークショー】は別記事に改めます。

劇場 キャスト
エリザベート:春野寿美礼/トート:石丸幹二/フランツ・ヨーゼフ:石川禅/ゾフィー:杜けあき/ルドルフ:古川雄大/少年ルドルフ:坂口湧久

サウンド・オブ・ミュージック (初日)【キャナルシティ劇場】

劇団四季の【サウンド・オブ・ミュージック】を観るのは今回が初めて。 これなら母も興味があるかも…と思って観劇を誘うも「私はジュリー・アンドリュースの映画が最高だと思っているから観なくてイイ」との事。 誘いがいのナイ人だ…。
この週末九州は豪雨に襲われ、福岡は朝から一度もやむ事のないくらいの雨で時折ちょっと怖くなるくらいの豪雨っぷりな時もあり…ですが、初日観劇して来ました♪ 入り口は例によって招待客用のデスクが出てて、それらしき人がい~っぱい。 苦労して初日チケットを取った身としては良席確保出来なかった理不尽さを感じながらも、スポンサーが居なければ、福岡での上演も叶わないので…有り難うございます。 ロビーにはユリの香りでむせ返るほどおそろいの花スタンドがズラリ並んでて圧巻の光景。
キャスト表で確認すると予想通り、今や劇団の看板俳優のお二人九州出身の井上×芝コンビ。 トラップ家の子供達は、どんたく前夜祭で観たあの子達が(名前も顔も判別不可だけど)頑張ってるんだな♪って、ちょっと知り合いのお子さんが出るような感覚で楽しみに観劇に臨みました。
総括的な感想は『とにかく映画通り』と言った印象で、舞台ならではの演出や美術、衣装、照明などにおいて特筆すべき事はなかったけど、生歌というのはやっぱりイイですね(音楽はテープだけどさ)。 どれも耳に馴染みのある名曲ばかりですので、「あ!あの曲だ」という出会う楽しみが♪ と~っても優等生的な作品ですし、名曲ぞろいですし…で、学校等の団体観劇や家族で…という客層が多いに見込めるので、動員を頑張って次回作の誘致を期待しています☆

各々のキャスト感想は…開幕キャストを揃えているので、歌に不満がある人がひとりも居なかった! 例えチケット確保が困難でもこれが初日観劇にこだわる大きな理由です。
秋山知子さん@修道院長の声が、歌が、声量が素晴らしい! シスター達のコーラスは表情が妙に個性的だけど、素晴らしいハーモニーで心が洗われるようでした。
井上智恵さん@マリアは超安定。 登場時の裸足での熱唱では…見事な外反母趾で驚く(どこ観てるんだよ!)わりと素に近い舞台メイクの井上さんは「ん~年相応だな」な印象でしたが、久々の井上さんの歌声に聴き入りました。
芝清道さん@トラップ大佐歌い出すシーンは…それまでが女性の歌声ばかりだったので、芝さんの美声が殊更耳に響き心に染みてきました。 失礼ながら「芝さんって上手いのは知っとったばってん、ここまで上手かったとは!」的な驚きがあり、エーデルワイスでは何故かしらホロッと来てしまいました。 改めて「イイ声だぁ」
オーディションで選ばれた地元の子供たち@トラップ一家の子供たち。 セリフの言い方の不自然さは…すでに立派な四季俳優でした。 現代語の…普通の話し言葉のセリフをしゃべってるのに、歌舞伎の子役なみの不自然さを感じるの何故なんでしょう? とはいえ、この日まで厳しいオーディションを勝ち抜き、厳しいレッスンを重ねての登壇ですし、何一つミスは感じられず素晴らしい出来だったかと。 ダブル?トリプル?キャストで回していくんでしょうけど、この中から将来ミュージカル界を背負って立つミュージカルスターが出るかもしれませんね♪ 目指せ!福岡LKの池松壮亮くん@ヤングシンバ☆  私は一度観ればイイな、というキャストが変わってもリピート観劇はナイであろう作品でしたが、福岡公演に通われる方は、子役ちゃんたちの頑張りを見守る楽しみがありますね。

劇場 キャスト
マリア:井上智恵/トラップ大佐:芝 清道/修道院長:秋山知子/エルザ:田野聖子/マックス:勅使瓦武志/シュミット:はにべあゆみ/フランツ:青山裕次/ミシスター・ベルテ:久居史子/シスター・マルガレッタ:保城早耶香/シスター・ソフィア:山本志織/ロルフ:一和洋輔
フォン・トラップ家の子どもたち
リーズル:五所真理子/フリードリッヒ:水流健心/ルイーザ:中原茉鈴/クルト:東 倫太朗/ブリギッタ:辛島玲奈/マルタ:黒木理代/グレーテル:畠山和心菜

六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

本日は朝からかなりの雨脚で降っておりましたが…博多座は【着物の日】です。
去年もそうでしたが…私は例によって、自宅から地下鉄の駅まではビーサンで行って~駅で足袋と草履に履き替えました。 イヤ、半端ナイ雨だったんですって! 館内はさすがに着物率は低かったです。

春調娘七種

芝雀さん@静御前歌昇さん@曽我五郎錦之助さん@曽我十郎…と美男美女がそろい踏み(ってホントは美男オンリーですが) このお三方の組み合わせって珍しいですね。 襲名の舞台の幕開きにふさわしい華やかで艶やかな一幕。 歌昇さんのバーンと張った若い勢いみたいなのが溢れていて、むきみの隈がとてもお似合いで素敵☆ “仕抜き”(大勢の中から、一人あるいは二人が舞台の前に出て踊ること)では、それぞれのキャラクターがよく解る佇まいでその錦絵風情に拍手。

三人吉三巴白浪

染五郎さん@お嬢吉三は綺麗♪ 改めて、顔、小さ~い! 籠から登場の松緑さん@お坊吉三と、花道から登場の梅玉さん@和尚吉三(あのヘアスタイル“ひとつべっつい”の梅玉さんって新鮮!)に高揚。  これまた初めてみたお三方の組み合わせかと~。
しかし、今観劇はアクシデンの印象が強過ぎて、舞台そのものの記憶がフッ飛んでしまいました~。
☆アクシデント・その1
三人を襲った二人組の下手の人がトンボをきった瞬間、ヅラがポロリ!! 取れたヅラは舞台奥にゴロンゴロンと転がっていく~。 私、ジャンルを問わずいろんな舞台を観てますが、本番アクシデントでヅラが取れるというのは初めて観ました! トンボを終えるとサッと染五郎さんの後ろに回って『頭隠して尻隠さず』状態になりましたが、客席のドヨメキはしばらく尾を引きました~。 染五郎さん、笑いを必死にこらえている様子で、口元がフルフルしてるのがツボでした。
☆アクシデント・その2
お嬢の名台詞で思わぬ刺客が客席に! 演目の見せ場「こいつぁ春から縁起がイイわぇ~」で、こともあろうか!客席のおじさんが結構な大きな声で口に出して一緒に言ったんです!(怒) 私の座席の隣ブロックから聞こえましたが「あんたのを聞きにきたんじゃない! 茶の間で観てるんじゃない!」と飛び蹴りしたい衝動にかられました。
今回は夜の部の感想でも書きましたが、今公演では上演中の客席のおしゃべりが目立って、ちょっと不愉快な思いをした残念な観劇でもありました。

太刀盗人

又五郎さん@すっぱの九郎兵衛VS三津五郎さん@田舎者万兵衛です。 お二人ともシャキシャキっと小気味イイ踊りが観ていて爽快感がありますし、お二人の背もほぼ同じで細身vs太め、色白vs黒いって見た目の対比も明確で楽しいです。 オウムでの言い訳が、分っちゃいるけど笑えます~♪ 『目の鞘が外れた(鞘=瞼)=油断ならない奴』という言葉は初めて知りました。 松江さん@従者藤内、私は松江さんの冠者っぽい、正統派二枚目なのにとぼけたお役って好きなんですよね~。 このところ大仰なお役でばかり拝見していた感のある歌六さん@目代丁字左衛門の“普通の顔の役(?!)”に違和感。
今公演は夜の部も合わせて、所作事がすごく良かった印象です!!

極付 幡随長兵衛

「これも黙阿弥の作品なんだ…」と驚いたうちのひとつ。 七五調の台詞って日本人のDNAには心地良いリズムとして刷り込まれているのでしょうか? 男伊達の潔さ…って時には“引っ込みのつかない意地の張り合い”に見えるのは私だけでしょうか?
冒頭の松山座(能舞台ですか?)における劇中劇では、大薩摩のお囃子連中も登場で小芝居をしているのがツボ。 当時は演奏時に頭巾を着用していたんでしょうか? 米吉くん@御台柏の前、可愛い~♪ 隼人くん@伊与守頼義は顔を塗った方がお父様に似ている不思議。 吉之助さん@舞台番って、当時は憧れの職業だったそうで?…どこに憧れる要素が? あの小さい、硬そうな箱の上にちょこんと正座って…痛そうだし。
客席通路から吉右衛門さん@幡随長兵衛が登場☆ 子分の染五郎さん@極楽十三松緑さん@雷重五郎松江さん@神田弥吉も客席通路から。 花道に立つ吉右衛門さんを見上げた花横席のおじいちゃん「吉右衛門、かっけぇ~!」とキラキラした眼差しで観てるのが印象的☆ 長兵衛の倅役の男の子(名前不明)が、顔を塗った七之助さんにソックリ! めっちゃ似ている! 飄々としていて芝居も上手いっ!
長兵衛宅に水野の使いが訪問時の子分達の…座布団を投げて出したり、茶をそっけなく出したりするあからさまな態度が笑える。 長兵衛と妻子の別れのシーンで、着付けを手伝う魁春さん@お時“しつけ糸”を取る…という演出の細やかさに感心。 殺される…というのが解っておきながら敵地に乗り込む度胸と、送り出す側の無念さ。 また棺桶を用意させて迎えて寄こす…という、粋というとちょっと違うかもしれませんが、その心意気といいますか。 ちょっと現代では考えられない格好良さといいますか…「早くとどめを刺さねぇか!」 ま、こんな所でカッコ付けなくてイイ思うけど~。 湯殿での立ち廻りってとか、なんか好きなんです(浮世風呂とか)。 板目の色と手前の浴衣の白×紺の色の対比がハッキリとしていて綺麗だからかな? 吉右衛門さん@幡随長兵衛vs仁左衛門さん@水野十郎左衛門というなんとも豪華で大満足な息詰る一幕でした。

六月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

素晴らしいお天気に恵まれた先月末の船乗り込みを経て、中村歌昇改め三代目中村又五郎+中村種太郎改め四代目中村歌昇襲名披露公演の【六月博多座大歌舞伎】です。 親子同時襲名は歌舞伎界で30年振りとの事で実にお目出度く、豪華俳優陣が舞台に花を添えています。 仁左衛門さん、お久し振り!という認識はありましたが、三津五郎さんの博多座御出演も10年振りとの事でビックリ! 又五郎さんの次男・種之助くんは博多座初お目見え☆

時今也桔梗旗揚

鶴屋南北の時代物という事で、私は初見の演目。
梅玉さん@小田春永の出は、花道の長さいっぱいっいっぱいにズラリ家臣を従えての登場で…花横のお席で観ていたので圧巻☆ 眉尻からつり上げて引いている代赭隈のみ…って、珍しい入れ方じゃナイですか?(結構ある?) 歌昇さん@森蘭丸種之助さん@森力丸の並びはパーンと張ってて(お顔のツヤが)五月人形のよう。 若いって…それだけで惹き付けるものがあるわね~♪ 松之助さん@住職日和上人、高僧役って初めて拝見したような(坊主はよくあるけど)。 やたらとガタイが良くって目を引かれました。 友右衛門さん@園生局って、友衛門さんの女形は初めて拝見したかも! 仁左衛門さん@武智光秀の裃は茄子紺というのでしょうか? とっても綺麗な深い青のような、紫のような…憂いを含みながらもキリリとしたお顔が一層映えます。 付き従う梅丸さん@妹桔梗カワイイ!可愛い!かわいい~☆ 登場の度に目で追ってしまう可愛さ。 顔にふっくらとした丸みがあって、若い娘さんの可愛らしさそのもので…若いって…(以下同文)。 通称【馬盥の光秀】と言われている本作。 光秀が春永から馬の盥で酒を飲まされる屈辱に耐え~フツフツと沸き上がる怒り~爆発!の心理描写が細かい表情の変化でひしひしと感じ、思わず手がグーになって観入ってました。 対照的に春永はあからさまにニヤニヤと意地悪くその様を見るのではなく、表情を変えずに見下ろす様により冷酷な嫌らしさを受けました。 梅玉さんのあの声で朗々と言われると…余計に、ね。 考えてみると…梅玉さんって色悪で拝見する事はあっても、こ~ゆ~あからさまに、陰性の隈を施した敵役で拝見するのは滅多にナイ貴重な印象。 光秀が貧窮の時、妻が売った切髪を突きつけられるのですが、この時代も髪って売ってお金に換えられたんですね。 鬘の技術があったか?他に何に利用出来たのか?
【愛宕山連歌の場】のダイナミックな龍の襖絵って武家屋敷には珍しくないですか? 龍のようにグワーッと怒りに燃えて凄みを出す光秀の様を表しているのでしょうか? 錦之助さん@安田作兵衛のウェーブ鬘が気になる。 魁春さん@妻皐月って、仁左衛門さんと夫婦役ってあまりナイですよね。 いつもはドライな印象しか受けない魁春さんの演技が情感たっぷりに感じました。 辞世の句「時は今 天が下知る 皐月かな」を詠み、吉右衛門さん@四天王但馬守のラスト、戦姿のちょっと出と仁左衛門さんとのツーショットに「豪華やなぁ~」と思わずため息。 春永の上使を斬り三宝を踏み砕いて豪快に笑う幕切れは圧倒されました。 で、これがあってからの~、本能寺の変なのね~と。

口 上

下手より…梅玉・三津五郎・種之助・歌六・歌昇・又五郎・吉右衛門 ・魁春・友右衛門・染五郎・松緑・芝雀・東蔵・仁左衛門
【又五郎】も【歌昇】も、どちらもまだ先代のイメージが強く残っている大きなお名前を襲名するお二人の重責と期待を、一観客なのになぜかしらヒシヒシと感じ「応援するけんね!」という気持ちにさせられました。 東蔵さんの「又五郎さんとお兄さんの歌六さんは“仲良し兄弟コンクール”があれば1位だろう」というお話にニッコリし、中央にズラリと居並ぶ播磨屋一門のご活躍を心から楽しみに思った口上でした。
襖絵の上部は“青空に浮かぶ白い雲と蝶の紋”でオシャレ~♪ 友右衛門さんの裃姿って初めて拝見したかも?デザインが目に新鮮で印象に残りました。

毛谷村

「ま~た、毛谷村かよ!」(ご当地ものだから特に上演が多い印象)と思いながら観劇しつつ、又五郎さん@毛谷村六助はピッタリで『六助とはこんな人物』のお手本のような?好演で魅せられました。
日下部大智くん@弥三松がキョトンとしてて可愛い♪ 花道の出は小走りか?!と思うほど高速で歩いて通り過ぎ、あっと言う間に舞台中央へ。 わがままを言って六助を困らせる様に嫌みがナイがゼンマイ仕掛けの人形のようで面白い☆ 「お獅子パクパク~♪お獅子パクパク~♪」六助さん、お疲れさまです! 東蔵さん@お幸は期待したほど、小判を投げ合う様にキレがない。 けど「やっぱ東蔵さん、好きだわ~」な存在感。 芝雀さん@お園は…あれ?芝雀さん、太りましたね。 誰よりも汗をかいていた印象で、今ひとつ女房ぶりを見せて豹変する可笑しみに欠けて印象。 母親を梅玉さん@微塵弾正に殺された吉右衛門さん@杣斧右衛門。 これぞ贅沢!な配役と眉毛が上下するコミカルな動きと大袈裟な泣きの演技に客席が湧く~! 騙されたと知って怒る六助が庭の岩を踏みつけて埋める仕掛けに「おぉ~っ!」と素直にどよめく客席に笑う。

寿靱猿

三津五郎さん(坂東流家元)×染五郎さん(松本流家元)×松緑さん(藤間流家元)…と踊りの家元三人が共演での所作事なんて超贅沢☆ さすが襲名披露公演の豪華さ! 目を皿のようにして見入りました!!!
松緑さん@女大名三芳野がカワイイ!デカイ! 松緑さんの女形って初めて拝見しましたが…目がパッチリでお顔がふくふく丸いので可愛らしくてビックリ!(デッケェけど) また表情がおしゃまな感じでなんとも愛嬌があって◎ 弓を構えると途端に勇ましいし、小猿ちゃんの可愛らしさに心が折れる様も乙女♪(デッケェけど) 染五郎さん@奴橘平は美しく安定、三津五郎さん@猿曳寿太夫は観ていて気持ちの良い小気味良さと、小猿ちゃんとの愛情溢れるやり取りにニッコリ。 で、この舌間綿花満ちゃん@小猿ちゃんが、めちゃめちゃ可愛い! 表情も動きも、なんとも可愛くて惹き付けられます!【寿靱猿】今月、これは通ってしまいそう~♪
で、残念だったのは…客席のおしゃべりの多い事怒る 歌の間はしゃべってイイと思っているのか?演者がセリフを言うまで、ずーっとおしゃべりしている人が目立ちました怒る 歌やお囃子を目的に観劇している人だっているのに!!
襲名披露公演ってのは、やっぱり豪華だな!と思ったのと…「歌舞伎って、やっぱり面白い!」と改めて思った夜の部でした。 後日の昼の部、すっごく楽しみです!!

ラ・マンチャの男【博多座】

幸四郎さんって、博多座に来る時は集中して御出演…来ない時はとんとご無沙汰、という印象。 でもって来福すると「ウチの妻は博多の生まれで、故に子供達は博多の血が半分入っています」というコメントが必ず~。 今公演開幕前に松たか子さんとお二人でローカル番組に公演PR御出演の際、私、初めて長女・紀保さんのお名前が【ドン・キホーテ】のキホから取って名付けられた…という事を知りました! その紀保さん、前回の博多座以来のアントニア復帰だそうで♪
私はこの演目、10年前の博多座上演の際に1度だけ…で、今回はそれ以来の観劇。 でも凄く鮮明に記憶に残っていて、独特で印象的な舞台美術と舞台袖に配されたオーケストラ、そして耳に残るナンバーの再会を楽しみに観劇。 博多座の玄関周りの装飾も“ラ・マンチャ仕様”で気分も「高まるぅ~!」以下、役者さんのみの感想。
一番の楽しみは初めて拝見する駒田一さん@サンチョ。 キャラクター自体、大好きな旦那様を敬って付き従う様は微笑ましく可愛らしくお気に入りなので「駒田さん、ピッタリ☆」と嬉しい配役。 記憶してたより歌う箇所は少ないものの、短い小節を口ずさむだけでも「やっぱり歌ウマ~」と感激。 旦那への無償の愛とその主従関係は、長く演じられた佐藤輝さんの方が深く感じられましたが、それはこれから重ねていくサンチョ歴でクリア間違いなしですものね。 暗い舞台の中で「♪旦那が~好きなのさ~」に代表されてるサンチョのナンバーは救いです。

松たか子さん@アルドンサ、前博多座公演が初役で…まだ独身で、テレビドラマにバンバン御出演の頃だったので、当時博多座の客席では遭遇したことのない“若い男性”が多くて驚いた事が強烈な思い出(で、10年経った今公演、その客層は全くなく…) 初役の時は「アルドンサには若過ぎるんじゃ~」という危惧が、その若さがギラギラとした輝きを放っていてすごく良かった印象で、+10年の大人の魅力が増した今公演は…あら? ん~、何だろう?ちょっと残念。 ワーワー怒鳴っている感が強く、姫扱いをされて戸惑い優しい自分を取り戻していく“乙女度”が低くなってる…といいますか。 あくまで私の感じた印象。
幸四郎さん@セルバンデス&ドン・キホーテ、畳み掛けるようなセリフの際は聴き取りにくいものの、今回はコミカルさが強かった印象。 曲がったサーベルをクルクルと腰に差す様や、床屋から洗面器を奪って騎士の称号を受けるまでのとんちんかんな周囲とのやり取り等にニッコリ。 歌舞伎ではこもって聴き取り辛い声も(コラッ!)歌になると「幸四郎さんってイイ声なんだなぁ~」と。 改めて古希(後の東京公演時の誕生日に1200回目)とは思えないスレンダーでダンディーな舞台姿に驚く。
松本紀保さん@アントニアvs荒井洸子さん@家政婦vs石鍋多加史さん@神父の三重唱『♪あの人の事が心配な~のでぇ~す』っていうナンバー、すごく耳に残ってたので「あ~♪コレコレ!」という嬉しさが。 でも紀保さん、ちょっと喉が不調のようで残念。 上条恒彦さん@牢名主、2008年公演時にはポリープの為、降板されていたので今博多座公演での御出演は嬉しい♪
終演後は音楽監督、指揮の塩田明弘さん+福井貴一さん@カラスコのトークショー。 お二人とも博多座の法被を着て登場。 舞台中央にセッティングされた椅子に座って、ダラダラとなんとな~く大阪のおっちゃんトークが続いていた所に、パーカッションの長谷川友紀さん(こちらも博多座法被着用)登場! 俄然“ミュージカル講義”っぽくなって前のめりで聴き入りました。 スネアドラムの華麗な演奏と技に驚愕! ラ・マンチャは奇数拍が多く不安定な緊迫感がある感じを出していて、対してサンチョのナンバーは偶数拍でゆったり安心感のあるような工夫がされているそうで、音楽的な知識が皆無の私、感嘆! この知識を踏まえて再度観劇してみたくなりました。