モーツァルト!(中川晃教)【帝国劇場】

2005年11月の博多座公演千穐楽以来の観劇。
考えると初演~再演~再々演と観続けてる作品って…私はこの作品が唯一かも?
今回の再々演は予想外に早かった!というのが正直な印象でしたが、前公演でアマデを演じた子役ちゃん達のすっかり大きくなった様を他の舞台で拝見し、それなりの年月が経った事を感じさせます…。
総体的な印象としては『香寿男爵夫人リサイタルと脇の手堅さに感動☆』という舞台でした。 しかし次回の再演時に…現キャスト続投であれば果たして喜び勇んでまた観るだろうか?と思ってしまった事も確かです。

青りんご 中川晃教さん@ヴォルフガング・ モーツァルト
良くも悪くも“あっきー”でした。 残念ながら前公演からの成長は感じる事が出来ず“記憶のままのあっきーヴォルフ”でした。 もちろん、いろいろ変化を付けてはいるものの「おっ♪」と感動を新たにするには値せず…。 あの、スウエットパンツのような衣装は…改悪でしょ?
青りんご 香寿たつきさん@ヴァルトシュテッテン男爵夫人
私が今まで拝見した男爵夫人は久世星佳さん、一路真輝さんでしたが…香寿さん、歌も演技も存在感も圧倒的に良かったです! MY BEST男爵夫人です♪ 【星から降る金】がこんなにも耳に心地良く聴こえる日が来ようとは~!という安定した歌の上手さに驚き、ヴィジュアルは凛とした美しさと暖かみのある包容力を兼ね備え…役所にバシッ!とハマり、素敵です☆ 表情に品がありますね♪ 山口祐一郎さん@コロレド大司教と対する存在感だったかと。 ちょっと“単独リサイタル”っぽい感じもしたのですが…歌、上手いなぁ~♪
青りんご hiroさん@コンスタンツェ
SPEED時代の歌声の印象から勝手に声が高い人、と思っていたのですが…セリフの声が意外にも低く、クリアじゃナイので聴き取り辛い。 演技は…想定外のヒドさに驚き、歌はコンスタンツェが話している言葉としてではなく、hiroが唄っている歌、という印象で(あっきーとのハーモニーなどは綺麗)…とにかく「ココまでとは~汗」という愕然とした気持ちが最後まで~。 ヴォルフの部屋に尋ねて来る際のニットドレスは今までで一番変な形でピンクだし、【ダンスは踊れない】でのドレスは濃いワインレッドで“幼妻・コンスタンツェ”には合っておらず…衣装は改悪に見受けられ、これはちょっと気の毒。 hiroさん、今後の…舞台俳優としての成長の可能性はどうでしょうか?
シカネーダー
他には高橋由美子さん@ナンネールの歌の上手さに改めて聴き入り、阿知波悟美さん@ウェーバー夫人の演技の上手さに唸り、吉野圭吾さん@シカネーダーの華やかさに酔いしれる…という、安定した脇の上手さを堪能した!という観劇でした。
田澤有里朱ちゃん@アマデは日本人形みたい! 歌舞伎に出て欲しいなぁ…と思ったり。 表情の変化がもう少しあればイイのになぁ。
この日の山口祐一郎さん@コロレド大司教のご不浄ネタは馬車を下りる際に『さっき行ったばっかりなのに…』 会場大爆笑!

青い旗キャスト
ヴォルフガング・ モーツァルト:中川晃教/ヴァルトシュテッテン男爵夫人:香寿たつき/アマデ:田澤有里朱

ウーマン・イン・ホワイト【青山劇場】

2004年にロンドンで世界初演後、翌2005年にブロードウェイ、そして本年についに日本!となった作品。
原作は1859年に雑誌連載として発表されたウィルキー・コリンズのミステリーで、これに名作曲家アンドリュー=ロイド・ウェバーと名演出家トレバー・ナンがタッグを組んでミュージカル作品化。 謎解きをベースとしながら、貧しい画家と彼に想いを寄せる二人の姉妹の恋愛、彼らに絡む様々な人間模様を…不協和音のようでいて、聴いていると耳について離れなくなる魅力的な音楽によって物語は展開しその世界に引き込まれていく…という不思議な魅力を持っています。
演出は松本祐子さん。 私は【ピーター・パン】でしか拝見した事がナイのですが、あれだけ場面展開が多い作品をよくココまで工夫してシーンを切り取っていったな…という、ちょっと何様な感想ですがそう思いました。 ひとつひとつの書割りだったり、セットの造りは…はっきり言ってショボイのですが、あれだけの転換をスムースにし、人物を際立たせるのには適策だったのでは?(他の上演地セットはスクリーンにデジタル映像投影らしい) オープニングの不気味さ、ロンドンの暗鬱とした街の様子、木漏れ日溢れる穏やかな森…など、充分感じる事が出来ました。 ただ…今回の演出がそうなのか? オリジナルがそうなのか? “突っ込み所満載”な作品だった事も確かです。 それもまた面白かったんですけどネ汗
以下、各キャストについて

青りんご 笹本玲奈さん@マリアン・ハルカム
歌、上手いっちゃ知っとったばってん、ココまで上手いとは!』という驚きで、終始圧倒されました。 演技もしかり! 玲奈ちゃんにとっては実年齢よりも上の役というのは初めてとの事ですが、主役として堂々たる風格で作品を引っ張って行く力強さもあり…ホント感心しました(親戚のおばちゃんの心境汗) ただ聴いていて“疲れる”という印象を受けたのも確か。 高まる感情表現=大声(張り上げ)ではナイと思うんですよ…。 しかし、若くして芸歴が長いがとはいえ、立派でした。 今後の更なるご活躍がますます楽しみ♪
青りんご 神田沙也加さん@ローラ・フェアリー
“ミュージカル初挑戦”の上、難曲ぞろいの作品…で大変なプレッシャーだったかと素人ながらに推測出来るのですが、頑張りました! 好演です。 歌は今後場数を踏めばもっと安定していくと思いますし、演技は上手い。 ラスト、パーシバル卿に挑む所の迫力は素晴らしかったです。 嫌味ない“愛されお姫様キャラ”という存在は貴重かと。 今後もミュージカル作品へのご出演が期待出来るかも。
青りんご 別所哲也さん@ウォルター・ハートライト
改めて、歌ウマイんだなぁ…と聴き惚れました。 暖かい包み込むような歌声は二人の美人姉妹から想いを寄せられるのも納得出来るような包容力を感じさせます。 ローラへ想いを寄せる様は唐突な印象だったのですが、マリアンに対する気持ちの変化がすごく丁寧に演じられているような印象で、二人のラストはせつなくてせつなくて…素敵でした。
青りんご 石川禅さん@パーシヴァル・グライド
想定内ではありましたが…“財産目当てのDV夫”に見事に変身! 前半の善人ヅラが本性を現した時の落差があってより怖さを際立たせていた感じ。 ベースに冷酷かつ身勝手さがありながら、小心な所と大胆な所が交錯する様が面白かったです。
青りんご 山本カナコさん@ アン・キャスリック
カナコさんを意識して拝見したのは…【朧の森に棲む鬼】のラジョウの飲み屋の色っぽいおかみ(?)くらいでしたので、今作品へのご出演は観劇の楽しみのひとつでありました。 “ローラと瓜二つ”という設定ですが…違和感なし。 舞台をつんざく絶叫は作品全体を通して不安感を煽り効果的。 この役は“もっと歌える人”が良かったのか?否か?は…難しいですねぇ。
青りんご 光枝明彦さん@フレデリック・フェアリー
拝見出来た事がただただ嬉しい…悲しい 私が光枝さんご出演の舞台を拝見したのは2005年秋【アスペクツ・オブ・ラブ】以来。 再会が何の因果か同じALW作品というのはなんとも不思議~。 公演中に70歳のお誕生日を迎えられたそうですが、あの口跡の良さと歌の上手さには改めて驚くばかり。 この年齢層でこれだけ歌えて芝居が出来る役者さんって貴重な存在でしょうから…今後もいろんな作品で拝見出来る事と更に楽しみに。 で、フェアリー氏は意外にもクスッと笑える方向にキャラを振っていらっしゃった様子。
青りんご 上條恒彦さん@フォスコ伯爵
多分、ご覧になった方皆さんが上條さんを絶讃されるのではナイでしょうか?
フォスコ&パーシバル歌の素晴らしさは言うに及ばず、と~ってもチャーミングな愛すべき悪役☆ 特に「おヒゲがサボテンみたい」と言われていそいそと剃ってくる様が印象的。 玲奈さん@マリアンとのキスシーンは…役得ですネ、上條さん♪ それにしてもフォスコ伯爵の処方する薬は“激的速攻”で効きますな!
青りんご アンサンブルさん
“少数精鋭”という感じで、すごく迫力があって良かったです。 ロンドンでの追い剥ぎシーンでの威圧感には鳥肌が立ちました(これはジキハイのアンサンブルさん以来の体験!)
私の観劇は前楽のマチソワでしたが、初日からすると…その進化の過程も楽しめたんじゃないかしら?と思える魅力を持った作品でした。 再演があれば是非また観てみたいです♪