コンタクト【四季劇場・秋】

2003年5月に福岡シティ劇場で上演された際には、どうしても都合がつかず末観で終わり…で、今公演が初観劇。 2000年トニー賞を4部門で受賞した…三部構成のオムニバス形式のダンス・プレイ作品であり、歌は一切なし! 「好きな人はすごく好きな作品」「辛い人は…かなり辛い作品」というキッパリと好みが分かれる評価と、作品の象徴的な黄色いドレスの女、という事しか知らず~。
総体的な感想としては『劇団の俳優さんを知っているから楽しめる』という部分は多分に感じられ、全く馴染みのナイ俳優さんばかり演じていたら…果たして楽しめたのか?という感じ。 もちろんダンスの魅力はふんだんに盛り込まれ、それぞれに見所はあるものの1つの作品としての魅力は、私は今ひとつ…。 “トニー賞を4部門”という評価は、その当時だったからこそ煌めいた作品だったのかしら?とも思ったり。
観客の想像にゆだねる部分が多いのでしょうから、観劇したその時の自分自身の状況で、受け止める印象がすごく違ってくる作品であるような気がしました。

星 swinging
この作品【コンタクト】への客席の反応や戸惑いはこの幕が顕著でした。
絵的な美しさや手法は面白いものの…ブランコの揺れをずーっと観ていると気分が~、気分が~冷や汗
星 did you move?
DVに耐えながら、それでいて夫に気を使い…なんでよ?!とイライラさせられて、ストーリー的に救いもなく威圧的な感じで…設定が嫌い。 坂田加奈子さん@妻の白昼夢ダンスはさすがに上手いものの「上手いっ!…けど、それだけ」という印象で(私は)感じるものが薄い。 妻の後ろで小芝居をする夫婦らの演技が細かくて楽しい♪ 妊婦もガンガン踊り出すのにはビックリ☆
星 contact
この日は…今回客演しているバレリーナ・酒井はなさん@黄色いドレスの女のデビュー公演で、観点もはなさんに集中!イエロードレス
出の立ち姿だけで「嗚呼、バレリーナ☆」な、スッとした美しさ、そしてさすがのオーラ。 手先まで情感が溢れながらも余韻が残り、そして色気も振り撒く感じ(特に表情が素敵)。 ビートに乗ってダンサブルに踊る様はいささか優雅すぎる感もあり、ラストのセリフ芝居は…でしたが、この作品の象徴としての存在感は充分すぎるほどの及第点をクリア!(何様な感想でゴメンなさい)ではナイでしょうか? 「綺麗~♪」と自然と目で追ってしまいます。
そして一番驚いたのは、ラスト芝居部分でのはなさんの足! 階下の住人が上階の人の部屋を訪ねてくるのにナゼ裸足?しかも外国なのに~?…と突っ込みながらも、とにかくその足です、足。 全ての指にテーピングをしているんじゃないか?!ってなくらいの痛々しさと、外反母趾っぷりに日頃のハードな練習の様が伺えて愕然。 表面的にはあんなに優雅で美しく舞っているのに、その裏は満身創痍!という厳しさを垣間みた感じでした。 美しく水面を滑る白鳥も水面下では…という感じで。 客演、ご自身の楽のその日まで応援しています!
そしてバックで踊るバーの面々のダンスはひたすら色っぽく「その姿勢で静止するってどうよ?!」ってなアクロバティックさもあって、各々のカップルのチェックが楽しい。 個人的には、つい先日まで福岡で、国を乗っ取ろうと画策していた宰相さまが、腕にタトゥーを入れてビシバシ踊る若者になっていた事がツボでした(=大塚俊さん

青い旗キャスト
ブランコに乗る女:クリスティン・ゼンダー/貴族:菊池 正/召し使い:満 寧/:坂田加奈子/夫・バーテン:明戸信吾/ウェイター長:吉元和彦/マイケル・ワイリー:加藤敬二/黄色いドレスの女:酒井はな

通し狂言・梅初春五十三驛【国立劇場】

国立劇場開場40周年記念として166年振りの復活通し狂言の上演!
江戸後期から明治にかけて、東海道を舞台に物語が展開する…いわゆる【五十三次もの】が多く作られ、この作品もそのひとつだそうです。
『京の都から、お江戸日本橋まで奇想天外の五十三次』というキャッチコピーの元、“梅初春”とお正月にふさわしい外題も付いて、華やかで大胆、笑いの要素も加えた菊五郎劇団テイスト溢れる舞台
名作狂言のパロディ随所に散りばめてあるので、知っているとより楽しめるけど、そうでなくてもそれなりに♪ しかし約5時間弱の上演時間は…5幕13場という構成もあってブツブツ切れる感じと詰め込みすぎな印象はいなめず、肝心の“通し狂言”としての筋が通ってナイ印象で「はて?あらすじは…?」と思ったところで、まとめるのは至難の技! 役者さんも一人何役もされているので混乱してきますし汗 ひとつひとつの場を独立の狂言として楽しめば、各々の場は大変凝ったもので随所に見応えが設けてあるので、それが13場もあるんだから…それはそれは賑やかな舞台であった事は確か! 場ごとに各々の土地の雰囲気を表現していた舞台美術も目に楽しく、理屈抜きで「あ~、面白かった、綺麗だった☆」って…コレでイイんだと思います♪
特筆したいのは…以下3場 鉛筆

二幕目【岡崎 八ツ橋村無量寺の場】

パラパラ子猫
五十三次ものには欠かせない“化け猫”。 菊五郎さん@猫石の精霊が老女姿ながら行灯の魚油をペロペロと舐める趣向は古典そのものですが、その魚油に喜ぶ4匹の子猫ちゃんたちが登場し【NIGHT OF FIRE】でパラパラをひと踊り。 その可愛らしさに客席が大いに湧きましたが、梅枝さん@茶屋娘おくらの「あ~れぇ~!」「じゃと言うてぇ。今、猫がぁ~、どうやら立ってパラパラを~」というセリフが一番効いていたかと♪ 梅枝さん、最近の努めて舞台に立たれている成果が出ている(と言うと何様な表現ですが)印象で、パラパラと言いつつきちんと歌舞伎味が残っているセリフ回しで感心しきり!

三幕目【白須賀 吉祥院本堂の場】

お寺での勧進芝居【車引】。 大道具に…と神社の鳥居を勝手に引き抜いて持ってくるわ、死人を入れた棺桶を引く大八車を輿に…と拝借してくるわの無茶苦茶ぶりが笑えます。 小道具や衣装は村人たち自らが用意したようで、小学生の工作のような鬘がナイス☆ 田之助さん@庄屋の左衛門は桜丸でして…本役では観れない嬉しさと(可愛いの!)、この場だけの人間国宝の登場に“豪華なお年玉”という感じで嬉しい♪ この場で客席への手拭い撒きもありましたし☆
三津五郎さん@所化弁長(軽やかスキップ健在!)の義太夫×三津右衛門さん@女房お豊の三味線が、可笑しいながらも本気で上手いっ!

大詰【御殿山の場】

満開の桜の下で大勢の捕手に囲まれて大立ち廻りの菊之助さん@白井権八。 菊五郎劇団のみせどころ!とばかりに、アクロバティックでスピーディーな、でもって絵のように美しい型が次々と決まって拍手☆ “ザ・歌舞伎”な一幕
附け打ちさんの後ろで(舞台袖奥で)もう一方、全く同じ動きを(手で膝を打つ)していた方がいらっしゃったのですが…この方は“附け打ち見習い”さんだったのかしら?と、気になりました。

アイーダ@MY千穐楽【福岡シティ劇場】

福岡シティ劇場にて昨年4月16日に開幕した【アイーダ】。 今年1月8日をもってそのロングラン公演千穐楽を迎えました。
私は千穐楽当日の観劇ではありませんでしたが、MY楽を見納めてきましたので当日と…公演期間全般を振り返っての感想を。
ホルス
星まず総括。
全部で8回観劇した(キャスト一覧後記)のですが、著しい成長…といったら何様な表現ですが、素晴らしく完成していったという印象なのは五東由衣さん@アムネリス! 先の京都公演でデビューされたばかりで、その際は登場回数も少なかった為、今公演で殆どのアムネリスとしての登板で出来上がった印象。
前半の奔放で無邪気に愛くるしく美しい姫は、回を重ねる度に「可愛くてたまらない!」 大好きなラダメスの動向に一喜一憂する少女の顔、父である国王の様子を心配する心優しく弱い娘の顔、アイーダにみせる優しい友達の顔。 この前半があるからこそ、ラダメスとアイーダに裏切られたと知ってからの絶望と悲しみ、そして未来の国王として下す苦悩の決断の様が際立つ印象
このお話はこの三人の人としての成長をみる物語でもある訳ですが、一番の成長はアムネリスかと。 悲しいながらも慈愛に満ちた刑をはからう様は“菩薩”のよう。 後の彼女の国王としての政治ぶりを明るいものと予感させ、悲しいながらも希望があるように思えます。 ♪何を見たの? 何を聞いた?♪…この歌では毎度涙させられました。

星そしてMY千穐楽。
ひと言『こんなに可愛い濱田アイーダ、観た事ナイ!』 アイーダは濱田さん以外の誰が演じても、かなわない!ってなくらいのハマり役ですが…それは常に“強いアイーダ”でした。 自分勝手な行動で奴隷となった身を恥じ入り、苦悩しながらもヌビア国民に為に立ち上がる…そしてラダメスとの愛に戸惑い、喜びそして苦しむ。 素晴らしい! 素晴らしいけれど、なんていうか一貫して“突きの一手”というかプッシュ!プッシュ!で強すぎる印象で、女王としての凛とした威厳を保つ事は必要でしょうけど、何故かしら観ていて疲れる事もありました。
が、です。 この日のアイーダは…適当な言葉が浮かびませんが“素敵な女性”と言う感じでしょうか?(う~ん違うなぁ~) 人から指図されるのが嫌な元気いっぱいな王女、奴隷になった事へ自責の念、アムネリスに寄せる共感、ヌビア国民からの期待に対する戸惑い、そしてラダメスを愛する苦悩。各々の心情に沿った演技で、表情は愛くるしい場もあって…驚きました! ここまで濱田アイーダがボロボロ泣いているのは…多分、初めての遭遇でしたし。
千穐楽を前にして、もう極めた感のあった濱田アイーダが、またもやこんな変化をみせるとは!! もう完成してしまっていた印象のある役に変化を加える余地があろうとは!! 「やはり舞台って生ものだなぁ」と改めて感じ、更に深くもっと奥へ奥へと役を追求して進化させていく“濱田めぐみ”という役者さんの実力を見せつけられた印象でした。
二人の王女…って【ガラスの仮面】ではありませんが、全公演を通して終始この二人の王女の成長ぶりが観点であり、私の中では“アムネリス優勢”だったところにきて、このMY千穐楽で…やっぱり二人の王女になりました。
他キャストについても印象的な事は多々ありましたが…ともあれ『二人王女に乾杯!』ってな事で。 カーテンコールはほぼオールスタンディングで、すごい盛り上がり! 濱田さんが必死に涙をこらえて微笑んでいらっしゃったのが印象的でした。福岡アイーダ、千穐楽おめでとうございました!

青い旗 キャスト
アイーダ:濱田めぐみ/アムネリス:五東由衣/ラダメス:阿久津陽一郎/メレブ:有賀光一/ゾーザー:飯野おさみ/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:今井美範
観劇した日のキャストを自分の記録の為に以下↓

青い旗 【1】5/26・ソワレ
アイーダ:井上智恵/アムネリス:佐渡寧子/ラダメス:福井晶一/メレブ:有賀光一/ゾーザー:大塚俊/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:今井美範

青い旗 【2】6/27・ソワレ
アイーダ:濱田めぐみ/アムネリス:五東由衣/ラダメス:福井晶一/メレブ:有賀光一/ゾーザー:大塚俊/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:松本昌子

青い旗 【3】8/15・ソワレ(プレステージトーク会)
アイーダ:濱田めぐみ/アムネリス:五東由衣/ラダメス:阿久津陽一郎/メレブ:中島徹/ゾーザー:大塚俊/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:今井美範

青い旗 【4】9/21・マチネ
アイーダ:樋口麻美/アムネリス:五東由衣/ラダメス:阿久津陽一郎/メレブ:吉賀陶馬ワイス/ゾーザー:大塚俊/アモナスロ:石原義文/ファラオ:岡本隆生/ネヘブカ:今井美範

青い旗 【5】11/10・ソワレ(リハーサル見学会)
アイーダ:濱田めぐみ/アムネリス:五東由衣/ラダメス:阿久津陽一郎/メレブ:吉賀陶馬ワイス/ゾーザー:大塚俊/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:松本昌子

青い旗 【6】11/25・ソワレ
アイーダ:マルシア/アムネリス:五東由衣/ラダメス:阿久津陽一郎/メレブ:吉賀陶馬ワイス/ゾーザー:大塚俊/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:松本昌子

青い旗 【7】12/21・マチネ(X’mas特別カーテンコール)
アイーダ:濱田めぐみ/アムネリス:五東由衣/ラダメス:阿久津陽一郎/メレブ:有賀光一/ゾーザー:飯野おさみ/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:今井美範

青い旗 【8】1/6・ソワレ
アイーダ:濱田めぐみ/アムネリス:五東由衣/ラダメス:阿久津陽一郎/メレブ:有賀光一/ゾーザー:飯野おさみ/アモナスロ:石原義文/ファラオ:勅使瓦武志/ネヘブカ:今井美範

マリー・アントワネット@初日 【博多座】

帝劇から世界が始まる。』と、昨年11月から2ヶ月間、鳴り物入りで帝劇で幕をあけたミュージカル【マリー・アントワネット】。
その帝劇公演を経て、博多座へ…というその初日を観劇してきましたので、初見の感想をツラツラと~。
帝劇の舞台の様子や感想はいろいろと耳には入ってきてはいましたが…正直に言いますと「正月公演にはちょっとキツイな」と~汗
ま、博多座も上演を決めた時点では、どんな作品になるか判らなかったんでしょうけど、やはりお正月公演は華やかでハッピーエンドで、楽しく明るい気持ちで笑顔で劇場を出る事が出来る演目を切望します、博多座さ~ん!
何故かしらここ数年の博多座1月公演は、しんみりとした気持ちで劇場を後にする事が続いてるんですよね~悲しいオルレアン公
作品自体は、私、面白かったです! 初見でしたので、物語を追うのが精一杯で解釈の間違いや、気がつかなかった部分も多々あるかと思いますが…。 ただ疑問がいっぱいだった事も確か。 最後までどの登場人物にも心を寄せて観る事が出来なかったのは致命的な印象。 そして、最大の疑問は…山路和弘さん@ボーマルシェと山口祐一郎さん@カリオストロ。 根本的には二人は同じような役回り・狂言回し。 これは…一人でイイのでは? カリオストロという役の存在意味がよく解らん!
面白かったのは、舞台美術と照明! 「なるほど~」「そういう使い方があったか!」とか驚きや発見が多くあって興味深く…廻り舞台が運命の羅針盤が回るような感じを受けたり、二幕最後の民衆が見物している円形バルコニー?の感じとか、シルエットの利用も効果的で面白かったです。 そしてラストは…“革命的な作品”とインタビューで涼風さんがおっしゃっていた事が象徴的に表現されていた印象。 でもこれは衝撃的ではあるけれど『歴史上、国民に一番愛され、一番憎まれた女性』をこの作品ではどう裁きたったのか?という事に疑問が残りました。 強い憎悪、暴徒と化した国民の狂気性の象徴…でしょうか?
期待していた衣装は…ちょっと~汗 『マリー・アントワネット=ベルばら(アニメ)』から入った私としては、装飾華美なキラキラゴージャスを期待していたもので「あら~?」と。 セットがシンプルに徹しているので人物が浮き立っている事は成功していると思うのですが、だからこそ衣装は豪華な方がイイのに~、と舞台の進行を見てもなおそういう印象でした。
鬘はステキ! 船や鳥カゴ…とか滑稽なほど華美なものはなかったけれど、アントワネットの心情やその時置かれている立場などが素晴らしく表現されていたかと。 いかにも化粧鬘、って感じで装着している貴族メンバーも◎ 中でも高嶋政広さん@オルレアン公のがどれも好き! あの黒長髪ウェーブ、色気と怪しげな感じをうまく醸し出していて印象的。
曲は期待通りの特徴ある、でも耳に残るメロディーで「やっぱりリーヴァイさんの曲は好き♪」です(歌う方は大変でしょうけど~) 今後、ミュージカル作品のスタンダード・ナンバーになる事は間違いない?!
各々の役者さんは…という感想は、恐ろしく長文になりますのでまた後日の観劇後に改めます。

青い旗 キャスト
マルグリット・アルノー:笹本玲奈/ルイ・ジョセフ&貧民の子供:川綱治加来/ルイ・シャルル&ジャネットの息子:水谷一弥/マリー・テレーズ&貧民の子供:黒沢ともよ