六月大歌舞伎・昼の部【博多座】


200306博多座四代目・尾上松緑襲名披露公演
♪ 昨年の平成14年5月歌舞伎座での襲名披露公演から始まった【四代目・尾上松緑襲名披露公演】も今回の博多座が大劇場では最後の公演。 5月末に行なわれた恒例の“船乗り込み”も快晴のもと行なわれ、公演期間中の週末はC席は完売、幕見も…大歌舞伎としてはかつてない?競争率で盛況。 「地元の歌舞伎のぼせが確実に増えてきた♪」と実感する嬉しい今公演でした。 また、菊之助さんと…それから“あっきー”こと石川聡彦くんが博多座初お目見え! 舞台に通う楽しみが増したのでした(^o^)v そして、菊五郎さんが重要無形文化財保持者に認定される…というニュースもあってお目出度い公演に華を添えました♪

南総里見八犬伝

200306博多座私、この演目はスーパー歌舞伎でしか観た事がなかったので、古典では初観劇! 上演時間はわずか25分ということで、話しの筋が解ってナイと「?」な一幕ではありましたが、歌舞伎の要素がふんだんに盛り込まれていて目にも耳にも楽しい、楽しい! 幕見席からだと、大屋根の下で頑張っている黒子さんたちの活躍や舞台の仕掛けが、よ~く見えてオモシロイっ!!(^o^)v 個人的には芝雀さん@犬塚信乃の立廻り、その“生足”に…♪(/。\)キヤッ(/。ヽ)♪松也くん@犬江親兵衛、その赤っ面が新鮮!萬次郎さん@犬塚毛野、私、多分このテのお役の萬次郎さん自体を拝見するのが初めてなので、新鮮、ビックリなんです! 最後の花道残っての1人立ち廻りと引込み、カッコイ~♪
彦三郎(犬山道節)/萬次郎(犬坂毛野)/家橘(犬川荘助)/亀寿(犬村大角)/松也(犬江親兵衛)/秀調(犬田小文吾)/團蔵(犬飼現八)/芝雀(犬塚信乃)

仮名手本忠臣蔵・七段目

「由良之助は吉右衛門さんでお願いします!」の私。 博多座の舞台では久々にお姿を拝見する吉右衛門さんのそのお役が由良之助でジーーーン。
書状を持ってきた亀寿さん@力弥に 酔いを覚ますフリをして近づいて行って…ガラッと変わるアノ変わり際、客席から思わず「お~っ」と声が。 カッコイイ~。
お楽しみの“見立て”では…“博多山笠”“明太子”など博多ネタ、ありました♪
今回、博多座初お目見えの菊之助さん。 登場で客席まず溜め息・:*:・( ̄∀ ̄ )。・:*:・ 動くたびに「キレかぁ…」「カワイかぁ…」と溜め息。 おかるの動きに合わせて客が一斉に首を振るので、ソレを見てるのも面白かったデス♪ 菊之助さん、首のおしろいがかなり取れてしまうほどのスゴイ汗で大熱演。 勘平が死んだと聞かされての驚き、「兄さん、わたしゃ…どうしょ?どうしょ?どうしょ?」という所、博多座1400席の客がシーーーーーーーーーン。 私、涙腺ウルウル~。 ヨカッタ~:*:・( ̄∀ ̄ )。・:*:・  松緑さん@平右衛門との微笑しい兄弟愛がとてもよく出ていてニッコリでした。
吉右衛門(大星由良之助)/菊之助(遊女おかる)/松助(赤垣源蔵)/秀調(富森助右衛門)/右之助(矢間重太郎)/亀寿(大星力弥)/亀蔵(鷲坂伴内)/芦燕(斧九太夫)/松緑(寺岡平右衛門)

紅葉狩

何故この時期に、この演目?! 幕が開くと…「うわっ暑っ!」 季節に沿った演目がかかる事の方が珍しいかもしれないけど、もうちょっと…考えてくれても~、と思わずらはいられない(^_^;) 常盤津、長唄、義太夫…一度に聞き比べられてその音や小物の違いを楽しめました♪ 菊五郎さん@更科姫は見事な扇子さばき! 私自身は菊五郎さんの赤姫姿って、多分生で拝見するのは初めてなので、実はかなり新鮮。 鬼女になってからの迫力にものすごく押されました! 富十郎さん@山神は、今回は“老人バージョン”という事でしたが、シャキッ!ピシッ!と小気味のよい動きで「さすがにお若いっ!」とミョ~に感心してしまいました。 個人的に亀蔵さん@腰元岩橋芝雀さん@侍女野菊の2ショット が、たまらんかったです!(≧∇≦)
菊五郎(更科姫実は戸隠山の鬼女)/富十郎(山神)/芝雀(侍女野菊)/松助(局田毎)/右之助(局望月)/亀蔵(腰元岩橋)/團蔵(従者右源太)/家橘(従者左源太)/團十郎(余吾将軍平維茂)

新・三国志III ~完結篇~【博多座】

新橋演舞場の次が博多座とは~!! シリーズ完結篇という事で3、4月に新橋演舞場で上演。 例年だと博多座公演は一番最後の翌年くらいの上演が常だったのに、今回はな、なんと! 演舞場の次! 猿之助さんは『博多座は“スーパー歌舞伎座”』という気に入りよう故か? 出世(?)したもんだ、我らが博多座! 公演はちょうど“博多どんたく”で賑わうGWから始まり、祭りの時には出演者が博多座バルコニーへ出て、どんたくパレード隊に花びらを散らすパフォーマンスがありました♪(仲達は段四郎さん&金田龍之助さんの交互出演)また今回は、地元ローカルTV番組に公演PRの為に21世紀歌舞伎組の面々が大露出! これが…観劇促進となったか否かはナゾではありましたが、ファンとっては各々のキャラが如実に出て大変楽しめた番組でした♪

一幕

観劇の事前に“唄や踊りがある”という事を耳にしていたので「まさかミュージカル仕立て?!」と思わないまでも、劇中にいきなり歌い出す不自然さを警戒して構えてしまいました。 前回では『夢みる力』があまりにも連呼された為に正直言って興醒めしてしまった自分がいましたから、その二の舞いかと…(^_^;) Part1から続けてみている人にとっては耳に馴染んだ曲で、何かしらの愛着を感じているであろから違和感が少ないのでは?と思ったりもしましたが~。 セットやその仕掛けは今までのスーパー歌舞伎の要素を踏襲したものになっていて懐かしく楽しめました。 この幕最後の船出は…いつも船が出る演目では不思議なのですが、古典でもスムーズな動きですよね? 花道をもあんな動きが出るのはどういう仕掛けなのでしょう? 橋の上で王凌を見送る沢山の兵士達の…一人ひとりの悲しみの表現が面白かったです。

二幕

今回、一番好きだったのはこの幕の冒頭、魏と蜀の国境近くの竹林でのヒッピー登場シーン。 回舞台に鏡の柱がたち、その周りをポーズをとって囲み…ちょっとエキゾチックなBGM♪ とってもお気に入り☆ 馬謖の子、馬潤が成長しこのような末路になっていたとは、ちょっとショック! 父亡き後は周りの愛情を一身に受けて…素直に育ったものだとばかり勝手に思っていたから…。 そして「初めて観たわ!こんなダンジロさん!」と、ちょっと衝撃的だった“カワイイ書生・宋康”を演じる段治郎さん。 “カワイイ”という一面を見せるお役で拝見したコトがなかったので、これは嬉しかった♪ 今回は右近さん@姜維が本水での立廻り。 しかし…もう目が慣れてしまった為か、奮闘していると猿之助さん@王凌が馬に載ってアッという間に舞台手前に登場してしまう為か…何故だか陰が薄かった(^_^;)

三幕

段四郎さんor金田龍之介さん@仲達猿四郎さん@子尚延夫さん@子元の“紫親子”は今回も良かった! 今回“が”一番良かった! カッコ良かった! ヒーローとして民の心を掴んで愛される主君ではないけれど、“天下統一”という自らの執念と化した野望の為に我が子までをも巻き込んでなしとげた仲達。 最後スッポンでの「私は偉大な闇だ!」という不敵な高笑いでの引込みはゾクゾクする迫力があって大好きでした♪ 作品としての感想は…「感情移入できるキャラが一人もいなくて正直辛かった」。 Part3まで作る必要があったのかなぁ…と思いました。 しかし、8万枚の桃の花びらが客席全体に降り注ぐ宙乗りをはじめ、数々の“スーパー歌舞伎”ならではの演出、堪能しました。

猿之助(王凌・関羽)/歌六(鍾会・孫権)/右近(姜維)/笑也(春琴)/猿弥(陳寿・陸抗)/笑三郎(静華)/春猿(伊代)/段治郎(関平・宋康)/亀治郎(馬潤)/門之助(彩霞)/段四郎or金田龍之介(仲達)

坂東玉三郎特別公演【博多座】

玉三郎さん博多座初お目見え! 「待ちに待った」という方、とっても多くいらっしゃったようで…発売と同時に公演期間の全てのチケットが完売!幕見、立見券ともに連日スゴイ競争率…という超人気公演となりました。
【阿古屋】と【鷺娘】が一緒の公演で観れるという贅沢な演目構成の為、“1日1回公演”。 博多座の客席から…まるでマグマが噴き出すような熱い興奮と感動の波が舞台に押し寄せ、その熱に応えて役者&スタッフともに“熱演”を観せていただけた…という感じでした。“舞台と客席が一体となる”というのは、こういう事なんだろうな…。 玉三郎さんの舞台は何度も拝見していましたが、今回ほど感動したのは初めて!です。

阿古屋

花道からの登場をみんな振り返って固唾を飲んで待っている様を3階のバルコニー席から見ていましたが…揚げ幕が開いて玉三郎さん@阿古屋が花道に進み出た時の、お客さんの表情の変化が面白かったです(残念ながら私の席からの出は見えなかったので客席の方を観察♪) 以前、舞踏公演で拝見した事があったのですが…今公演では“胡弓”の演奏に大感動! 失礼ながら以前より数段上手くなっていらっしゃるようで…。 公演パンフに勘九郎さんのコメントでありましたが「もう稽古しなくていいだろうのに、まだ稽古してる」 その努力の賜物なんでしょうね…。 竹田奴たちは、お一人お一人の顔をオペラグスでじっくり拝見したかったのに、アッという間に舞台からハケていっちゃって残念! 仮面ライダーのショッカーの「イー!(キー!)」はココから来てるんじゃナイかしら?と秘かに思う私。 弥十郎さん@岩永左衛門致蓮弥七さん&慶一さん@人形遣いとの息もピッタリで、とてもチャーミング♪
玉三郎 (遊君阿古屋)/弥十郎 (岩永左衛門致蓮)/勘太郎 (棒沢六郎成清)/染五郎 (秩父庄司重忠)

棒しばり

染五郎さん&勘太郎さん、このコンビでの舞踏は…私、初めて拝見しました。 お二人とも躍動感あふれていて、拝見しててウキウキしてくる感じでした♪ 踊りの息もピッタリなのですが…なんといっても“表情”がイイ! 主人の目を盗んで企む「ひひひ~」といった所からなんとかして酒を飲もうと頑張る様、そしてグデンクデンに酔っていく様…どれも本当に上手(失礼!)お互いが酒を飲む時に盃…というか蓋を足でヒョイと傾けてあげる、あ~ゆ~細かい演出は何度みても感心します。 今後もこのコンビでの舞踏は度々拝見してみたいな~♪
染五郎(次郎冠者)/勘太郎(太郎冠者)/弥十郎 (岩永左衛門致蓮)

鷺 娘

 …なんと言っていいのやら…。もう何度もご覧になってる方、多いでしょうから、改めて私の感想も…という感じです。
今回は、3階の下手バルコニー席だった事もあって、後見の守若さんと玉雪さんの仕事がよ~く拝見できたので集中して見てました。 小道具の出し入れのソツなさ、引き抜きの鮮やさ…素晴らしい☆ お二人と玉三郎さんの連係プレーあってこその“変身”に拍手、拍手!
そして…“雪”。 アレは…大道具さんの仕事でしょうか?“玉三郎の鷺娘用・特製仕様「雪」”なんでしょうかね~。その細かさとその降る量たるや~!
玉三郎さんお一人が踊られる舞台ですが、沢山の方の手が加わっての“素晴らしい舞台”なんだなぁ…と大感動でした♪
玉三郎(鷺の精)

初春大歌舞伎・昼の部【松竹座】

春調娘七種

孝太郎さん@静御前翫雀さん@曽我五郎扇雀さん@曽我十郎。『正月の風俗を七種を題材にした長唄舞踏』とい事で目にも艶やかで、新年の幕開け華やかな舞台。 …なのはもちろんですが、スイマセン! もう“翫雀さん+孝太郎さん”という事だけで私はハッピーな気持ちをた~くさんもらってしまいました♪

将軍江戸を去る

実は、初観劇の演目。 今回は梅玉さん@徳川慶喜だったのですが“真山青果の史劇”は、これまた梅玉さん@頼家での【頼朝の死】を拝見した記憶が新しかったので、そのセリフ回しが再び耳に心地よかったです。
梅玉さんはやはり“ロンリー貴公子”が似合うなぁ…。 「江戸の地よ、江戸の人よ、さらば」ただ…襲名披露公演にはちょっと「?」の雰囲気の演目だったなぁ~(男ばっかりで華やかさに欠けるし) しかし、秀太郎さん@高橋伊勢守は衝撃的! 私、多分、舞台においての立役のお姿は初めて拝見したと思うので! やっぱり役者さんってスゴイなぁ…。

口上

幹部俳優のみ。 という事で至って真面目な口上で…残念?! 秀太郎さんのお話で「歌右衛門の叔父様に“デ”ズニーランドに連れていってもらった…」というくだりにニッコリでした。

二人夕霧

おかしい~っ! 面白~い! しかしコレでいいのか?! って感じのお話でした。(好評につき3月の歌舞伎座でも上演)仁左衛門さん@藤屋伊左衛門の、懲りないおぼっちゃまぶりが、またなんとも言えずはんなりとした色気もあって笑えます。 そして“指南所”の弟子、弥十郎さん@いや風、玉太郎さん@てんれつ、上村吉弥さん@小れんのトボケぶり。 特に吉弥さんの三味線小唄「べべべべんべんべん!」と間の手を入れるのが笑いのツボにハマりました! 花道をタコを手に登場する魁春さん@後の夕霧、ツボでした! 艶やかに着飾った遊女の手にタコ。 ツボでした(タコツボ…だからじゃないよ!)

初春大歌舞伎・夜の部【松竹座】

二代目中村魁春襲名披露! 2003年の“歌舞伎はじめ”は大阪松竹座への遠征でした♪
翫雀さん、孝太郎さん…とご贔屓役者が揃ってのご出演という事で即決だったのですが…とっても良かった! 【歌舞伎四百年】という今年、更なる素敵な舞台に遭遇できそうな、そんな熱のこもった舞台でした。(上村吉弥さんの女形のお姿が拝見できなかったのは意外~)

義賢最期

公演期間半ばで仁左衛門さんが足に怪我をされたとの事で、残念ながら私が拝見した時は“戸板倒し”がありませんでした。  しかし、そんな事は見終わるまで全く忘れてしまう気迫のこもった舞台でした。 仁左衛門さんがこの当り役を大阪で演じるのは初演以来だそうです。 気迫はもちろんなのですが“絵的になんて美しいのだろう…”と思いました。 浅葱色の裃を振り回しながらあばれ、白い顔や着物に流れる赤い血、そして逆毛の黒髪を振り乱し…色彩の対比がそれはそれは鮮やかで見入ってしまいました! 舞台から「気迫に押される!」と思ったのは今回が初めてかもしれません。

京鹿子娘道成寺

魁春さん@白拍子花子。 しかし…どうしても“豪華所化陣”に目がいってしまう~! “まいづくし”に大袈裟なリアクションをする翫雀さんに笑い、思いっきりご本人が楽しんでいらっしゃる様子の孝太郎さんに笑い…楽しかったです♪

曽根崎心中

今年は鴈治郎さんが“お初上演50年目”という記念の年。 翌月は新橋演舞場で、6月にはロシアで上演予定。 『半世紀・19才のお初』というのはスゴイ! 翫雀さん@徳兵衛を見つめる目はハートで、手を叩いてはしゃく様は間違いなく“恋する19才の乙女”。 スゴイ…。
実は…翫雀さんのファンになってから、今回が初観劇。 以前は何の思い入れもなく観ていた事もあったのでしょうか? 今回は感情がググッと入ってウルウルッときてしまいました。 あらぬ疑いをかけられ、額から血を流しながら無実を訴える様と、それを見下す坂東吉弥さん@油屋九平次の意地悪さの対比が鮮やかで、胸が痛くなりました。 お初が徳兵衛の手を引いての花道の引込み。 今回、筋書きにまさにこの意図せずにこの演出が生まれた瞬間を偶然に撮影したお写真が掲載されていて、いつにも増して感慨深いシーンとなりました 。(寿治郎@下女お玉は息詰まる舞台をホッとされる芸達者さがキラリです)