博多座【2001年公演】観劇記録

博多座での歌舞伎公演に関しては開場当初から、観劇記録を自分のサーバ内に残していたものの、その他の公演記録は、外部の無料WEB日記帳にUPしていたものだから…ある日突然予告も無しにドロン! 突然サービスが利用不可となり、データを救済する手立てもなく消えてしまい呆然自失!(ここでバックアッブの重要性を学ぶ。 分かっちゃいたけどさぁ…)
…という事で、記憶を辿った【博多座2001年公演】観劇記録。
2、6月の歌舞伎と11月【小笠原騒動】は観劇レポート個別記事にUP済み。

4月・滝の白糸

これまた「タイトルだけはよく耳にしていたけど、お話しは全く知らないなぁ」という事で観劇。主人公があまりにもあんまりにも救いがなく可哀想で…「お芝居はみ終わった後にスッキリ!心が明るくなるものがイイ」と強く思った次第。 セットが素晴らしかった! そして…ロビーの物販“八重子Tシャツ”にはシビレた!
水谷八重子@滝の白糸/辰巳琢郎@村越欣弥

5月・小林幸子特別公演

サブちゃん公演に味をしめて、サッちゃんの歌謡ショーにも初参戦! 一部は【次郎長外伝・恋女房お蝶】で立ち廻りの勇ましい姿と花嫁姿を見れ、二部は【華麗なる幸子の世界】は紅白のあの衣装に客席どよめく。 私的には柏原芳恵のブリブリな演技と『紅茶の美味しい、喫茶店〜』が聴けたのが衝撃的だった!
小林幸子/横内正/小松政夫/柏原芳恵/松山正路

7月・ロミオとジュリエット2001

“博多座・初ブロデュース作品”と銘打っての上演で、地元劇団からの出演もあり(徳永玲子さん@モンタギュー夫人)、福岡出身の役者さんを揃えました…って感じ。 成功すれば、他の劇場へパッケージ販売予定だったのでしょうが…大コケ。 当時、職場にビックリするほど招待券が出回っていた。 所々“ミュージカル風味”になる謎な演出。 戸川京子さん@乳母アンジェリカで強烈に印象に残っていたら、翌年亡くなったので、更に記憶に残ることに…。 牧瀬里穂さん@ジュリエットの翌年は「ヒューヒューだよ!」の名言を残すドラマへ主演。 高杢禎彦さん…記憶にナイ。
牧瀬里穂@ジュリエット/山本耕史@ロミオ/夏木マリ@キャピュレット夫人/高杢禎彦@キャピュレット

8月・宝塚歌劇雪組公演:凱旋門/パッサージュ

子供頃、母親が【玉屋・観劇の会】に入っていたので『毎年どんたくは宝塚歌劇団を観劇』が我が家の恒例行事化していたのですが、大人になってからは久し振りの観劇。 それは…『仁左衛門さんの娘さん、汐風幸さんがご出演だから』という理由で臨む。 「轟さん、カッケェェェェェ!」「ヅカ、面白いっ!」という感想で、翌年から8月のヅカ公演はしばらく毎年観劇することに。
轟悠・月影瞳・絵麻緒ゆう・汐風幸

9月・北島三郎特別公演

前年のサブちゃん公演に行った先輩から「めっちゃ面白い!是非観に行くべし!」と強烈プッシュを受けての観劇。 お芝居は「……。」なものの、歌謡ショーは 「サブちゃん、歌うまいっっっっっ!」(←失礼すぎ)、「北島丸、スゴすぎっ!」「まつり、高まるぅぅぅぅ!」で、翌年からしばらく毎年観劇することに。 博多座の客層がガラッと変わるのは宝塚の比じゃありません!
北島三郎/山本譲二/野川由美子/原田悠里/小金沢昇司

10月・エリザベート

【博多ざ・んまい】のアクセス数が跳ね上がり、問い合わせメールも多く、アタフタ対応したのは懐かしい思い出♪  「そんな発売前からチケット確保の心配をしなくても…」と東京初演時の人気も知らずに悠長に構えていた当時の私。 結果、私も博多座に通う事となり“エリザベート蟻地獄”へ…(現在に至る)。
一路真輝@エリザベート/山口祐一郎+内野聖陽@トート

十二月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

華果西遊記

昨年12月の再演でしたが、私は初観劇。 これでもか!これでもか!と繰り出す“蜘蛛の糸”の雨と、京劇チックな棒を使ったアクロバットや手品、子供達による孫悟空の分身に客席は湧きました。 猿弥さん@猪八戒は“ニンに合った”…と言ってイイのでしょうか? コミカルな演技で大いに笑わせてもらいました♪ 個人的な感想としては「この演目はもういい…かな?」(^∇^;)

弁慶上使

團十郎さん@弁慶の花道の出は圧巻でした! こしらえの大きさと豪華さもさる事ながら、團十郎さんの圧倒的な存在感の大きさに、客席が「おぉ~」とどよめきました。 この演目では“荒事”というような大きな立廻り等はありませんが「さすが荒事の成田屋」って感じでした!
館に腰元として仕える七之助さん@しのぶを尋ねてくる芝翫さん@母おさわ。 その母の明るいおしゃべりぶりが実に楽しいく、後半の悲劇への展開が際立ちました。 主君の為とはいえ、初対面で実の娘を殺さなければならなかった弁慶。 18年振りに夫に会えた嬉しさと同時に娘を失った悲しみにくれるおさわ。 父親の顔を知らずに息を引取ったしのぶ。 「生涯に一度しか泣かなかった」弁慶の豪快な大泣きぶりに涙を誘われました…(T-T)

末摘花

玉三郎さん@光の君の美しさと勘九郎さん@末摘花の恵まれない容姿の対比は笑いを誘うものでしたが、末摘花「心の美しさ、いじらしさ、健気さ、一途さ」が素晴らしく、光の君だけでなく観客は皆、彼女をかわいらしく思った事でしょう。 福助さん@侍従の姫様への忠誠心、芝のぶさん@侍女・狭霧の超現実的な立ち振るまい、勘太郎さん@惟光のナイスな受け答え、それぞれが役にぴったりハマって素敵でした。 3年振りの逢瀬の後、塀の陰からの玉三郎さん@光の君を見送り、團十郎さん@受領・雅国に嫁ぐ決心をするラストは…私、しばらく立ち直れないくらい号泣してしまいました!

浮世風呂

とっても観たかったんです、猿之助さんの【浮世風呂】♪ ニワトリの鳴き声と共に朝日が湯気がたった風呂場に差し込む演出が素敵! 湯気がもうもうとたつ闇から一転、明るい風呂場で猿之助さん@三助正吉が働き始める。 そこへ、三助を見染めた亀治郎さん@なめくじが現れて、口説きにかかる…という楽しい舞踏。 写真で観たり、話しに聞いたりしてはいましたけど…なめくじがあんなにセクシーとは! くねくねとした独特な動きと色っぽい視線で三助に絡む様は「きゃ~っ♪」って感じ(*^_^*) 塩をかけられてのスッポンでの引っ込みも楽しかったです(^o^)v

胸いっぱい!お腹いっぱい!って感じの“大満足の歌舞伎納め”となりました!

十二月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

冷静に今年を振り返ると…“歌舞伎のぼせ”の名にふさわしい?のぼせ具合で、自分でもちょっと…苦笑しております(^∇^;) そして、その一年間を締めくくるべく、お江戸に遠征して参りました~♪ 残念ながら段四郎さんが休演となり弥十郎さん、歌六さんが代役で奮闘されていました。

傾城反魂香

前回この演目は翫雀さん+孝太郎さん…という私にとっては“ベストカップル”での舞台だったので、とても興味深く期待していました! 舞台ご出演は久し振りだそうですが、又五郎さん@土佐将監は、さすがの貫禄。 猿之助さん@又平+勘九郎さん@女房おとくは、名字を許されて歓喜する様が際立っていて、観ているこっちも「よかったねぇ…」と思ってしまうほど。 客席からは笑いもおこり、こんな楽しい【傾城反魂香】って初めて観ました。 勘九郎さん@女房おとくが、夫・又平をなだめる為、一所懸命手を取ってさすっている様が素敵でした。

妹背山婦女庭訓“道行恋苧環”

私も初めて“人形振り”を生の舞台で観ました! 福助さん@橘姫玉三郎さん@お三輪の絶世の美女?に挟まれてオタオタする勘九郎さん@求女…という3ショットは真っ暗な闇の背景に映え、とても美しかったです。 嫉妬の感情をあらわにして、橘姫にくってかかるお三輪の激しさには圧倒されました。 各々には2人ずつ人形を操る黒子?後見?がついていて、その独特の扮装が最後まで気になって仕方がなかったです(^∇^;) だって…黒魔術っていうか、KKKっていうか、あのトンガリ布をすっぽり被って、1人はピンクのリボンが腰のトコに付いてて…不思議でした。

妹背山婦女庭訓“三笠山御殿”

勘九郎さん@求女・実は藤原淡海を追って、玉三郎さん@お三輪が辿り着いた御殿で、2人を会わせまいとする官女達からひどいイジメを受けてしまいます。 しかし、橘姫との祝言の話しを聞き、激しい嫉妬と憎悪の体に豹変します。 この時の玉三郎さん@お三輪の花道での表情の変化が素晴らしかった! ひと目も会えぬまま「求女のお役に立つのなら…」と息絶えていく最後は“恋する女”の優しい表情へと変わっていく…という“表情の移り変わり”でお三輪の心情を表現しているんだなぁ…と私なりに解釈しました。 猿之助さん@豆腐買いおむらは、ほんのちょっと出てきてピリッと笑わせて去って行くという、さすがの存在感でした!

小笠原騒動【博多座】

“通し狂言”博多座初登場! 博多座で四劇場目となる演目。 上演を重ねるごとに、更に充実した舞台となって晩秋の博多座を熱く盛り上げてくれました! 役者さんご自身も役に愛着を感じていらっしゃるとの事で、観ている側もその熱気が感じられ、解りやすいとても楽しい舞台でした♪ 『年に一度は“通し狂言”』が博多座で定着するといいなぁ~。きっと“歌舞伎のぼせ”増殖すると思いますよ、博多座さん!
『小笠原藩のお家騒動』という事で、博多座公演ではいわば“ご当地もの”。 北九州市の小倉城で主演4人が記者会見を開いたり、ローカル番組にも意欲的に出演されてPRされたり…、舞台では所々に“博多弁”のセリフが盛り込まれていたり…♪ 地元歌舞伎ファンとしてはとっても楽しい公演期間でした。

序幕・二幕

ズルイ女! まず…扇雀さん@お大の方の登場シーンで一気に惹き付けられました ! 義父の首を絞めて殺し「なんでもないわさぁ~」と笑い、桂三さん@小笠原豊前守の寵愛を受けながら、愛人の染五郎さん@犬神兵部と目配せをする“ズルい女”ぶりに圧倒! 特に、打ちのめされた翫雀さん@小笠原隼人を鼻でせせら笑いながら彼の前を通 り過ぎる仕種が最高でした! 翫雀さん@小笠原隼人が乗る狐の籠行列は、仕掛けの面白さや、こしらえもさることながら、黒沢明の映画【夢】の中に出てくる“狐の嫁入り”を連想させ、とっても好きでした♪ 橋之助さん@岡田良助と扇雀さん@お早の話題の【客席通 路歩き】。「私、昔から雷が大キライった~い!」と扇雀さんは博多弁のセリフも♪ 場内爆笑の後だけに、その後の良助とお早の殺しの場面 は陰惨さと、お早の幽霊の恐ろしさが際立つ感じに思えました~。 染五郎さんの『犬神兵部→飛脚小平次』の早替りはお見事! 化粧まで変わっているというのに「速すぎ!」 私、ここまで速い“早変替り”って初めて!

三幕

二幕目のうっとりするような美しい隼人妹・小萩から一転、貧乏暮らしの疲れた病気患いの岡田良助の女房おかのを演じる吉弥さんの変貌ぶりもお見事!
そして…観劇前に筋書きで“永田晃子ちゃん”の名前を発見した時に「あ~、また泣かされるんだろうなぁ…」と思っていたら、やっぱり!でした。 も~う「晃子ちゃん、あんたはエライ!」…じゃなかった「天才!」。 場内、鼻をすする音で大合唱~。 子供が『自分から刃物を突き立てて自害する』という設定も初めて観たので衝撃的でした! 犬神兵部からの褒美で安穏に暮らしていると思った家族に対して、大見得をきって放蕩の様子で帰宅する橋之助さん@岡田良助。 しかし家族は毎夜お早の幽霊に苦しめられたうえ、兵部からは何の援助もなく極貧生活の様子。 兵部に騙されたと気付いたくだりからは橋之助さんの独壇場! 手にかけた我が子と陰腹を切った女房、母親を抱きしめて心情を語る様は圧巻でした!

四幕・大詰

改心した良助が兵部の悪事をあばく為に、連判状と訴状を小笠原遠江守にと届けに行く途中で、お早の夫、染五郎さん@飛脚小平次が妻の敵討を伐つ! その場面 が有名な『本水を使った水車小屋での立廻り』! 客席も「待ってました!」とばかり、拍手喝采~♪ 1階前から3列目までの観客には…主演4人のサインと『平成13年11月花形歌舞伎 小笠原騒動 博多座』が印刷されたビニールシートが配られました(お持ち帰りOK)。 11月ともなれば、全身ズブ濡れになるのはさぞ冷たいだろうなぁ…とちょっとお気の毒でしたが、お二人の子供のような?はしゃぎぶりに“敵討ちの場面 ”ながら、思わず笑みがこぼれてしまいました。 小笠原遠江守の安否を探りにきた扇雀さん@お大の方に対しての、上村吉弥さん@林和馬の“意地悪”…というか“嫌味たっぷり”具合が観る度に増していて、とっても面 白くって大好きな場面でした♪
大詰! “十五萬石のお家乗っ取りを企んだ大悪党”らしく染五郎さん@犬神兵部の大立ち廻りは魅せてくれました。 中でも、松本高弥さん@捕手Aの身軽さ、トンボの切れには目を奪われました~。 「やっ!はっ!」という声も小気味よくリズミカルで素敵でした♪ そして…私的に一番ドキドキするシーンがここに! それは…翫雀さん@奴菊平→白狐への【垣根回転早替り】! 垣根がクルリと回転すると替っている…という仕掛けなんですが、私が観る時は翫雀さん、バーン!と垣根にいつも挟まっていらっしゃいまして…観る度に心配でドキドキしてしまいました。

私、今回初めて『切り口上』を観ました!

通し狂言《木下蔭真砂白浪》【南座】

翌月は同じメンバーでの演目が博多座で上演というのに…新作とあれば、我慢できずに遠征しちゃいました☆ だって、もし博多座であるとしても来年は絶対ナイ訳だし…待てません!

演目のコピーが…五右衛門もの通し狂言の決定版! 「魅せます。 宙乗り、大立回り、ほんのり涙」「美貌の女盗賊“お峰”」と くれば、期待はおのずと高まるでしょう?  翫雀さん、扇雀さん、橋之助さん、染五郎さんというメンバーによる三度目の通し狂言ですが、私は今回が初観劇。 いつもの歌舞伎よりはお客さんもリラックス…というか“楽しもう!”という感じで客席で構えていらっしゃるようで、笑いを取る場面、見せ場では、やんややんやの大喝采! こんなにニコニコしながら笑顔で歌舞伎を観たのって…初めてかもしれません!

さて…今回は“翫雀さん遠征”だった訳ですが…。 いや~、遠征してよかった…。 だって翫雀さん【サルティンバンコ】なんですもの!!!

翫雀さん@蓮葉屋与六(実は足利将軍に仕える武将)は、主君の名刀と一緒に崖から落ちてしまうのですが、 辛うじての途中の木の枝に刀と共にひっかかります。  枝の先の刀を取ろうと手を伸した瞬間、枝が「バキッ!」「ああっ!」 翫雀さん、谷底にまっさかさま~!  …と、そこでブランコ状態で体がフワッと宙に浮き、クルクル~と前転するんです!!!  動きに合わせて後ろの書き割りも回転していたような気がしましたが…あやふやです。  途中回転が止まると翫雀さんはピヨピヨ~って感じで手を羽ばたかせると体がちょっと浮いて…また落ちて回転~。  下手に引っ込む時はバイバ~イって手を振ったりして♪ ビックリするやら、笑えるやらでもう大変!
で、また下手より宙乗りの状態で足をバタバタしながら次の場に登場されまして、 羽ばたきながら、馬の背中にチョコンと着陸。 もう涙を流して大爆笑! 馬の背中から降りても、しばらく足元がフラフラしててセリフがおぼつかなく、 「いつもより多めに回っちゃったよ~」ってアドリブが! それを相手する染五郎さんは 必死に笑いをこらえて対応されてました~。  スーパーラブリーな翫雀さんにまたもやノックアウト!

豪快なお役の橋之助さんって初めて観たので、その迫力と“歌舞伎絵”のような見得での表情にはビックリでした! 五右衛門の葛籠抜けはもちろんですが、3階から花道に降り立つ逆宙乗りは圧巻! 雪玉(くす玉状態)を蹴破って五右衛門が登場すると同時に雪がバサーッと降ってきて、花道そばの人は真っ白! 客席大盛り上がりで、橋之助さん気持ち良さそうでした~♪

ホントはもっと演目全体の感想文をUPするべきなんでしょうが…何せ“翫雀さん遠征”。 お許しくださいませ…。