宝塚歌劇雪組公演・フットルース【博多座】

【フラッシュダンス】や【フットルース】等の青春グラフティ的なダンス映画の公開が相次いだ当時を懐かしんで、私、3年振りのヅカ観劇。
博多座開場当時は各組規則正しいローテーションでの公演でしたが、その後何故かしら上演する組が激しく偏り出して…雪組は気が付けば轟悠さんがトップ時から11年振りの博多座登板! 11年前の轟さん主演【凱旋門】を観て「ヅカ、面白いじゃん!」と食わず嫌いの自分を反省し、それからしばらく博多座公演は毎年観劇となったキッカケの組でしたので楽しみに観劇。
お話は…「ん?こんなストーリーだったっけ?!」と呆れるほど内容覚えてなかった自分に驚き!(主演がケヴィン・ベーコンである事とあの主題歌しか記憶がぁ~)  舞台美術ではすごくパースのついたロッカールームや高架下の列車が通る様子などの表現が面白かったです。 せっかくの生オケなのに、オケピは上手舞台袖にあって演奏者は全く見えませんでした~

常々思っていたのは、ストリート系やカジュアル系の衣装時の…ヅカメイクの激しい違和感。 せめて生徒だけでも“役に見合う(その年齢に見える)メイク”に出来ないものでしょうか? いくら向こうの高校生が大人っぽいから…と言っても、ヘン過ぎる~。 顔と制服が合ってナイので“大人が頑張って高校生演じてます”的な痛さが~。 芝居後にレビューショーもあるから、あの化粧なんでしょうか?(ってこの演目は関係ナイですよね) 娘役さんの“白粉+マゼンタ5%”くらいの薄ピンクな肌色今回もやたら怖い…。
音月桂さん@レン・マコーマックは一度観てみたかった主演男役さん。 数少ない私が観たヅカ舞台の…歴代の主演男役さんには感じた事のない、元気溌剌とした陽の部分が強いパッとした明るさを放つ印象を強く受けました(役による所も大きいとは思いますが) 健全な明るい男の子然としていてピッタリだったので、逆に大歴史ロマン系ではどんな感じなんだろう?と興味が沸きました。 退団後のご活躍が楽しみ♪ 未涼亜希さん@ショウ・ムーア牧師は正統派ヅカ男役って感じの印象で、所作が綺麗。 ただ…このお二人と牧師夫人以外は歌うと歌詞が殆ど聴き取れない! 歌う本人達はノリノリなので余計にストレスが~。
今公演のフィナーレは、クールな【アイム・フリー】Ver.ホットな【ヒーロー】Ver.の2つを日替わりで、との事で私が観たソワレは前者。 大羽背負って階段から…というお約束の演出は残念ながらありませんでしたが(たまにしか観ない者にはやはりアレで『宝塚を観た』という気分になるので)、劇中練習した(といってもリピーターが多いらしくすでに振りはバッチリ☆)ペンライトを振って、1階客席は総立ちで盛り上がってました。
…でしたが~「やっぱ私はヅカに向いてナイわ」と再認識して帰途に就いた観劇となりました…

劇場 キャスト
レン・マコーマック:音月桂/アリエル・ムーア:舞羽美海/ショウ・ムーア牧師:未涼亜希/ウィラード・ヒューイット:沙央くらま/チャック・クランストン:蓮城まこと

スカーレット・ピンパーネル【宝塚大劇場】

ず~っと観てみたかった1997年ブロードウェー初演のミュージカル作品。 日本での上演が宝塚歌劇団にて…と決まった時は正直ひどく落胆しました。 だって…歌がぁ~冷や汗 肝心の歌がぁ~汗
劇団四季【Song&Dance2】で♪マダム・ギロチン♪が歌われていた際に、その歌詞の内容と歌の迫力と重厚さに非常に印象に残っていたので、どうしてもそのレベルを求めてしまうんだもの~。
しかし!それは、歌の上手さに定評のある安蘭けいさんが率いる星組の上演という事で救われたうえ、その星組に在籍する従姉妹の高校時代の友人で今や男役さんの彼女が“本舞台で初めてセリフがある役で出演と聞けば…これはやっぱり観てみたい!
以前より『一度、あの独特の世界観でいつの世も乙女を夢中にさせている“乙女の本拠地”に足を踏み入れてみたい』と思っていたので、これはイイ機会かもと遠征を決行。 …って松竹座で【七月大歌舞伎】があっていたから抱き合わせ観劇で決定した訳で、ヅカ単独での遠征はあり得ませんでしたが~汗 あの【マダム・ギロチン】って曲がどういう場面で使われている曲なのか?っていうのもすごく気になっていたので。
今上演にあたって潤色・演出を手がけるは小池修一郎さん。 フランク・ワイルドホーンさんの曲+小池さん…といえば【NEVER SAY GOODBYE】で2006年読売演劇大賞優秀作品賞受賞しているので、これまた期待大! 私は今作品はこのヅカ版が初見なので、オリジナルにどの部分が潤色されているのか?は判りませんが【愛憎劇】【冒険活劇】【コメディー】という三つの要素が上手く調和した痛快娯楽作☆という印象でした。 ヅカ版のために書き下ろされた【ひとかけらの勇気】はテーマ曲として使われ、疑惑~希望~和解~愛情という感情の流れの根底に常に1本の筋を通している印象で効果的。 ただヅカ故に主人公二人の愛憎劇に重きを置いたせいか?いとも簡単にルイ16世の王太子シャルルを救出してしまったのは拍子抜け汗

抜群の歌唱力で堂々と演じる主演男役の安蘭けいさん@パーシー・ブレイクニーの存在感は圧巻。 きらびやかヴィジュアルや確かな芝居、美しいダンスだけでは到底カバー出来ない“歌唱力”に負う所が大きいこの作品。 私はヅカに詳しい訳ではナイので他の組がどうだ?というのは判りませんが“今の星組の上演で正解☆”という気がしたのですが…この素人考えはいかがでしょうか?
安蘭さんは昨年2007年8月の博多座公演で一度拝見した事がありますが、この時は喉が不調だったとの事で、彼女の本来の歌唱力を堪能出来ませんでした。 故に、今公演で「うわぁ~、この人ホント上手い!」と感嘆しながら心地良く聴き入ってしまいました。 前回気になっていた“べらんめぇ口調”はすっかり陰をひそめ、キザでウィットに富んだ正義感溢れるイギリス紳士、はたまた怪しげなヒゲおやじ~、と次々とキャラクターと衣装を替え、またコメディセンスは言わずもがな抜群で客席の笑いをドッカン☆ドッカン取っていらっしゃいました♪
ただ~アドリブに対する客席の反応って…過剰ですね汗 通っているヅカファンが多いからこその毎度のお楽しみポイントなんでしょうけど“笑う事を思いっきり構えて観ている”、“ココで笑わなきゃ!”というような…なんか、中村屋さんの芝居における客席にも似た心地悪さを感じて、引いてしまいました~冷や汗
ちなみに本日のアドリブと思える肖像画スケッチのシーンでは「こんなポーズだったかな?」とピンクレディのUFO♪のポーズを取り~「あ、違った!こっちか!」と、角度を変えてもう一度UFO♪ 顔芸も最高に笑えます! 『清く正しく美しく』のジェンヌがイイのか?!あの顔は?!汗 あと…仮装舞踏会の衣装をショーヴランに助言するシーン(だったっけ?)で「衣装はピンクのネグリジェみたいなビタァ~ッとした、シュッっとして~、ヒュ~ッっとした…」とか擬音連発で衣装を提案してました。
遠野あすかさん@マルグリット・サン・ジュストはもったぶったセリフ回しが気になるうえ、得意・不得意の曲の歌唱の差があってバラつきはあるものの、歌唱力がある事は確か。 やはり姿勢とドレス姿が美しい方ですね。 キリリと凛とした強い意志を持つ主演娘役さんだなぁ…という印象を更に強くしました。
柚希礼音さん@ショーヴランは…歌唱が不安定なものの、役所を的確に演じており身にまとう雰囲気と“熱”に拍手
“ヅカならでは”のきらびやかで豪華な仮面舞踏会や、迫力ある群衆シーンなどは星組一丸となった大所帯の熱演で迫ってくるものがあり、大いに満足させられた舞台でした。
そして『これがヅカ以外での上演だったらどうなっていたか?』と考えさせられました。 仮に東宝であれば、時代設定など被る作品も多く、またいつもの固定メンバーでの上演だったら…逆に厳しそうですね~?汗

劇場 キャスト
パーシー・ブレイクニー:安蘭けい/マルグリット・サン・ジュスト:遠野あすか/ショーヴラン:柚希礼音