坂東玉三郎舞踏公演【八千代座】

久々に行って来ました、八千代座に! 多分…仁左衛門さんご出演の“平成の柿落とし公演”以来の遠征かと思うので、現在のリニューアル八千代座になってからは、私、初めての玉三郎さんの舞踏公演観劇となりました(多分)。
劇場までの足は、玉三郎さんの公演時には恒例となっている博多駅(天神)発の往復臨時バス 一度、自力で高速バスを使って行った事があるのですが…大変でした汗 とっぷりと日が暮れた終演後にあわや福岡に帰れないかも?というアクシデントにも遭遇しましたし(←その事件については割愛) ですので、この臨時バスは福岡から行く者にとっては「ありがたや~」なのです。
到着すると、事前に予約していた“八千代座弁当”でまずは腹ごしらえ♪ これが熊本の味覚がぎっしり詰まっていてアタリ!のボリュームと美味しさでした。 開演時間まで八千代座周辺を散策しながらお土産を買い求めましたが、コレは毎度の“山鹿羊羹”。 「コレで羊羹とは…」という見かけですが、美味しくてお気に入りの逸品♪

船辨慶

当初の予定ではこちらが打ち出しでしたが、狂言入れ替えがありました
今年6月、南座公演にて玉三郎さん初役で挑むと話題になった演目の再演。 小屋の規模や舞台機構によって多少の変更はあっているかと思われますが、どうだったんでしょうか?
「玉三郎さんが知盛の霊を?!」という驚きは大きな期待となり、【茨木】の茨木童子をされた時(歌舞伎座・2004年2月)の…あんな感じになるのかな?とイメージ。
今回は花横の桟敷席だったので、花道を歩く役者さんを思いっきり見上げる体勢で観劇(口ポカ~ンって開いてなかったかな?) 間近で…という事もありますが、柔らかな照明により衣装の造り、デザイン、色の美しさを堪能出来た事は本当に嬉しかったです☆ 衣装も芸術作品、美術品ですね、あれは 玉三郎さんは『本式の能の装束を新調した』という事で、新しい絹糸が織りなして放つ光沢が美しく、衣装の隅々までこだわりが感じられました♪
全体的に「今まで見た船弁慶の中で一番“能”っほい」という印象を受けました。 何処が…というのは説明は難しいのですが、静かにピーンと張りつめた緊張感が終始あったからでしょうか? 玉三郎さん@平知盛の亡霊は“知盛の亡霊=豪快”という図式が私の中で出来上がっていたので、おどろおどろしく恐い、強い恨みの念が漂っている…と、この世のものではナイ雰囲気に「そうだ、亡霊だもんな…」と改めて気付かされた次第。 通例の薙刀を振り回しての引っ込みはなく、亡霊が立ち去った後も空気には怨念が漂っている雰囲気にのまれました。
笑三郎さん@源義経 綺麗です☆ 凛としていながら憂いを秘めた貴公子ぶりです。 最近は立役で拝見する事が多くなりましたが、更なるの可能性とその器用さに感服!
猿四郎さん@武蔵坊弁慶 演出のせいなのか? セリフ回しのトーンが一人だけ、キャラクター的に違うからなのか?…何故だかちょっと浮いて見えました でも猿四郎さんが弁慶だなんて、貴重な舞台を拝見できたわ♪
玉雪さん@船頭 私…多分、玉雪さんのこ~ゆ~タイプのお役を拝見した事がなかったので、すっごく新鮮でした 重~い静かな演目にあってホッと一息つけました。

阿国歌舞伎夢華

初演時(2004年12月・歌舞伎座)の感想は…こちらでしたが、今回は“八千代座仕様”になっており、演目の長さも登場人数も変更がなされ…初演時に私が感じた「う~ん…」な部分が全て解消されていたので、と~っても良かったです。
まず、揚幕が上がって花道に先頭の笑三郎さん@女歌舞伎お松の顔が見えた途端「きれ~い…」と客席から歓声。 次に玉三郎さん@出雲の阿国が登場で「うわぁ~っ」。 吉弥さん@女歌舞伎お菊で「ほぉ~っ」。 とにかく動く度に「綺麗、キレイ」という声が、ちょっと笑っちゃうくらい客席からため息まじりに漏れ聞こえていたので、演じている方はさぞ気持ちヨカッタ事でしょうね~☆
スッポンから登場の段治郎さん@名古屋山三は手動のためにガックンガックンとセリ上がってくるのですが…笛を構えて目を閉じたお顔がコレまたすごく綺麗で、私の後ろにいたおばちゃんが「こりゃまたヨカ男ばい」。 初演時に心配で手に汗握りドキドキした踊りは、格段になめらかになっていて、難易度Aの?扇子回転キャッチの振りもなくなって終始安心して美男美女の踊りを堪能し、阿国と一緒に山三の夢を見れました
でも、一番印象的だったのは…にこやかに楽しそうに踊っていらっしゃるおだやかな表情の玉三郎さん。 この演目の初演時も、つい先日の九月博多座大歌舞伎でも、終始ものすご~く厳しい張りつめた表情でしか拝見していなかったので、なんだかホッと嬉しかったです♪

八千代座こけら落とし公演【八千代座】

熊本県山鹿(やまが)市にあり江戸時代の面影を残す、国指定重要文化財の芝居小屋【八千代座】。
平成8年から保存修理を始め、この春ようやく修理が完了。 平成こけら落としとなりました♪

傾城反魂香

主人公の翫雀さん@又平は、言葉のハンデがあるが故に、師匠から名字を受ける事が出来ません。  又平が絵師としての将来を悲観し、自害を決意するまでのくだりは、申し渡される理不尽な道理と、夫に替わって師匠に直談判する、孝太郎さん@女房おとくの夫に対する愛情とで涙を誘います。 「手も二本、指も十本ありながらなぜ吃りには生まれしゃんしたぞいなぁ」という、おとくのセリフに涙腺全開! そして自害を決意した後、入魂の遺作として描いた手水鉢の 絵により、事態が一転。 その喜びを体全体で表現する“愛らしい夫婦”がとっても 可愛くて素敵でした♪ 世話女房の“おとく”は、夫にひたすら尽くすしっかりもの。 それがラストにはハッピーエンドとなるのでとっても嬉しい。 孝太郎さんの鼓も聴けました♪

身替座禅

大名の仁左衛門さん@右京は、恋仲の花子との逢瀬を楽しみたい けど…右京の奥方はものすご~く嫉妬深くて 恐いコワイ翫雀さん@玉の井。 そこで「最近夢見が悪いので 仏堂にこもって座禅をする」という口実を思い付き、 玉の井をだまし、 家来の太郎冠者に自分の替わりに座禅をさせ、花子の元へと 出掛けていきます。 しかし…仏堂に玉の井が尋ねてきたから、さぁ大変!というコメディー♪
ものすごく嫉妬深い奥方と、その嫉妬深さにおびえながらも 浮気を画策する右京&家来の太郎冠者とのやりとりが大爆笑(^o^)  私の大好きな翫雀さんの玉の井は、 恐いながらも「夫の事が好きで好きでたまらない可愛さ」が あって、その表情や仕種が、スーパー・ラブリ~v(^o^)v  玉の井は立役さんがされるのが通例だそうですが、 恐い奥方を演じられても“+ラブリー”な役者さんはなかなか いないのでは?!
仁左衛門さん@右京。 愛之助さん@太郎冠者。 歌舞伎界の二枚目がそろいもそろって翫雀さん@玉の井を 恐れる様子は…そりゃ~もう~大爆笑でした~!!