スーパー歌舞伎II〈ワンピース〉頂上戦争編【新橋演舞場】

まず【アラジン】遠征だったので…「歌舞伎があってたら空いた時間に観てみよう」くらいで居たら、猿之助さんが【ワンピース歌舞伎】の上演発表! これは好都合!とチケットを探した時は手遅れで、平日夜の部ながら、激しく見切れる下手左側。 かなりの部分が不鮮明なモニターでの観劇でした(きっと博多座に来る!と信じて試し観劇)
いつもと違う客層は限定グッズに群がったり、劇場内の各場所で激写したり…とそれを見るのも新鮮な感じ。定式幕のデザインは可愛かった♪歌舞伎仕様・ルフィ
私は大人気の原作は気になるものの既本がすごい巻数なので、それにひるんで今まで手を出したことがなかったのですが、事前に20巻まで予習(今舞台の【頂上戦争編】は未読)。 一応、原作を知らない人でも解るように…と作られたようですが、登場人物が多過ぎて、目には楽しくとも少々混乱気味。

一言で感想を述べると「スーパー歌舞伎というよりは“いのうえ歌舞伎”に近かった印象」。(三幕目は「粟根さん?!」なキャラも登場するし) なぜだろう?お遊びやお笑いの部分が多かったから? 音(音楽・効果音)なのか?

古典歌舞伎の早変わり、宙乗り、狐忠信的な階段登場のケレン味や、先代猿之助が創り上げたスーパー歌舞伎の手法…雑技団の皆さんの旗振り火、容赦ない紙吹雪、本水での立ち廻りなどをなぞりながらも、プロジェクションマッピングや音楽、映像の投影、どこかのミュージカル作品で観たことあるあるな手法もてんこ盛り。 ず〜っと猿之助さんがやりたかったであろう手法をふんだんに取り入れられ、ラスト、朝日が地平線から登る手法は「あ!ライオンキング」と声を出してしまった私。 キャラクターがズラリ板付きで上がってくる様やツラネは“ザ・歌舞伎”で大興奮!ワンピース歌舞伎
対して、この作品の為に書き下ろされたというゆずの 北川悠仁さんの曲が、作品を通しての毛色とは異質でそれまでの話の流れを断ち切るようで…う〜ん。 あの曲で宙乗り出来る猿之助さん、凄いわ。 くじらは驚いた!良かった! あれは1階席で見上げてみたかったなぁ〜。

三役でフル回転の猿之助さん@ルフィーはハンコックへの早変わりのせいでしょうけど、手足が真っ白いのがどうしても違和感。 絶世の美女も“眉鉢巻”が浮きに浮いて「え…っと」。 ハンコックの色香にバッタバッタと倒れる様は、セクスィー部長の光線並だった! そして、シャンクス…小さっ。
他はキャラクター達は“気合いの入った本気のコスプレ”で、そこそこ違和感なく上手く歌舞伎風味にアレンジされて◎
一番歌舞伎味が強かったのは猿弥さん@ジンベエ/黒ひげと右近さん@白ひげ。 この二人がグッと歌舞伎に引き寄せてくれた印象です。 白ひげ、知盛でしたっ! 凄く「でっけぇ」感じで、場に重みが増した感じで好演。
春猿さん@ナミが登場時に片肌脱いだ時にブラと胸の谷間線が見えて「おおっ!」と客席がどよめいた〜。 

上演回数を重ねてこれからどのように進化していくのか楽しみ♪
ぜひ原作ファンの方の感想を伺いたいものです。

ヤマトタケル(千穐楽) 【博多座】

【満員御礼】とはいかなかったようですが…立見はビッシリ、客席の熱気も最高潮!な感じに応えてくれた熱い舞台でした。 役者さんの中には気持ちが先走り過ぎてか?!セリフが聴きとり辛くなってしまった方も見受けられましたが、気持ちは充分に伝わってきたので無問題! カーテンコールの二回目は、一列に居並んだ主要キャストが一歩づつ前に出て一礼し…最後には陵墓上から段治郎さん@ヤマトタケルがセリ上がって登場☆ 新橋演舞場の楽では逆バージョンだったそうですが、博多座の大舞台に大トリで登場した段治郎さんに「立派になって~」とウルウル悲しい ダンジロさん、綺麗でした…。
結局、終わってみれば…私、段治郎さん@タケル=2回、右近さん@タケル=2回、の計4回の観劇となりました~汗 二人のヤマトタケルに感じた事は別記事【考察:タケルとタケヒコ】に書きましたので、それ以外の事をつらつらと~。

よつばのクローバー 舞台美術
やはりオープニングに毎回鳥肌が立ち「カッコイイ~っ☆」と呟いてしまいます。 スーパー歌舞伎で好きな演出なひとつとして、絵面でズラリ決まっての大ゼリの出と引込みがたまらなくカッコ良くて好きなんですが、このオープニングは+廻り舞台+シルエット照明…って、好きな要素が凝縮されているので、個人的にはたまりません! この演目では“大セリ絵面”は多用されているので、その度に「う~ん、イカす~☆」と唸ってしまった。
熊襲の砦の大崩壊は…あんなに迫力あったっけ?と改めて驚きました。 樽も本気で投げ合って、しかもヒットしてたし、客席にもポロポロ落ちてきてたし~。 ヤマトタケルの名をもらった背後に登る大きくて真っ赤な大陽の色彩のコントラストがなんと美しいことよ~♪ 今回、道具幕…と言っていいのか?、幕絵に当たる照明がなんとも素敵で、各々にすご~く立体感があったのには驚きました!
海に弟橘姫が身を投じる際、一瞬で広がる畳の浪幕や、海の中に飲み込まれてゆく見せ方は…前公演時に最も印象に残った見せ方でしたが、今回改めて拍手喝采☆
よつばのクローバー 音楽
今公演で驚いたのは客席に男性が多かった事! しかも若者。 何か彼らの心を捕らえるものがあったんでしょうね☆ で、幕間に若い男性が♪タララララ~、ラ・ラララ~♪とテーマ曲を口ずさんでいたのを耳にしてニッコリだったのですが、それほど耳に残るんですね(私は三国志シリーズと混同しちゃってますが汗) 琵琶や和太鼓の音が耳に新しく印象的で、特に富士山を見ながらタケル&タケヒコが背を向けて登場するシーンの曲が大のお気に入り♪ タケルとみやず姫の婚礼の舞も一緒に踊りたくなっちゃう! ♪ハッハ いよぉ~っ ホッホ とった 尊めでたい みやず万歳~♪ 寿猿さん、軽快に踊っていらっしゃいました~びっくり
よつばのクローバー 衣装
あ~!もっと近くで細部をまじまじと観たいっ!」と改めて地団駄を踏みました。 髪飾りもそれぞれにホントに見事で…美術品ですね。 素材も古典にはナイ、現代の素材なども多用しているとの事ですから、ますます気になります! 【スーパー歌舞伎の衣装展】って、やってくれないかなぁ。 熊襲タケル兄弟の蟹蛸マントを持つ民の人。 そのマントの端からチラチラと覗き見る表情の演技がナイスで、笑えましたっ♪
以下、キャストについて↓↓↓

青りんご  熊襲の皆さん
フルーツ娘(民衆の女)は…なんであんなに見た目怖いんだヨ?! 蝦夷の兵士たちが差し出した宝石を見て「キレイかぁ~」「美しかぁ~」ってさりげなく博多弁だったのには笑えた!
琉球の踊り子たちは、笑野さんがさすがに一際優雅に舞っていて惹き付けられました。 立ち廻りが始まると「ア~レ~」と言いながら逃げ惑うのが、なんとも笑えました。 ホントに言うんだ「ア~レ~」って汗
民衆の男たちは宴席に美女が登場する度に、表情がどんどんデレデレと崩れていくのが面白く、タケル@踊り女にはもうメロメロ~で笑える! 踊りながら衣装を一枚一枚脱いでいく様に「うっひょ~!たまんねぇ~!」な感じの小芝居が上手いっ☆ 兵士たちもまたしかり。
吉備の国の使者たちはあくまでもクールで対照的なのも効いてマス。

青りんご  蝦夷の火の皆さん
もはやスーパー歌舞伎には欠かせない存在となっている京劇チームの皆さん。 今回の見せ場はこの火事場! 彼らの躍動感あふれるダイナミックで華麗な動きに、火の粉が飛び散っている様が表現され、舞台から本物の火の熱気が迫ってくる感じ。 あれだけ回転した後に、すぐに走り出せるって…スゴイ。

青りんご  伊吹山の鬼たち
後ろに控える赤鬼たちのゼスチャーが、ボディランゲージ具合が…アメリカ~ン!な感じで笑えます。 両手を広げて肩をすくめたりとか…ネ。 青鬼どん&黄鬼どん、ヴィジュアルはちょっとヘヴィメタちっくでカッコイイのに、やたら可愛らしいんですけど☆ 猿弥さん@伊吹山の山神が、猿琉さん@犬神の使者を殴ろうとして空振りする所が大好き。 みんなあまりにも愛嬌があるので、倒しにやってくるヤマトタケル一行が悪者に思えてきたりして~汗
来月は大阪、6月は名古屋…とまだまだ続く公演ですが、大楽にはまたどのように進化していくんでしょうね~。

劇場 キャスト
ヤマトタケル:右近/タケヒコ:段治郎/ヘタルベ:弘太郎/:金田龍之介

ヤマトタケル(考察:タケルとタケヒコ) 【博多座】

博多座初日、三階席からの観劇で舞台がすごく遠く感じられ(スーパー歌舞伎は=舞台セットはシンプル+衣装は豪華絢爛なので)疎外感があったうえ「あの豪華衣装を間近で見てデザインの細部チェックをしたいっ!」という衝動にかられて、1階A席突発した本日は二回目の観劇であります。
2005年公演時には遠征観劇スケジュール上、段治郎さん@ヤマトタケルしか拝見出来ず「え~っ?!段治郎さん@タケヒコ、すっごくイイのに観なかったんですかぁ~???冷や汗」と当サイトにお越しいただいた段治郎ファンの方に言われて、どよ~んと落ち込んだものでした。 …ので、今博多座公演でリベンジ!です。
段治郎ファンとしては主役で拝見出来る事は…そりゃ~、もう「謳凌に続いて、再びこんな日が来ようとは~」と嬉しくはありますが、率直な感想として『右近さん@タケル×段治郎さん@タケヒコの方が好き!』でした。
段治郎さんはタケヒコの方がニンであり、彼の魅力が充分に活きているかと。 やたら爽やかで耳に心地が悪かった(聞き慣れないので)小碓命のセリフ回しが汗大碓命やタケヒコでは安心してその口跡の良さを堪能出来る事からも明らか、かな? 宙乗り前のラスト花道七三での「さようなら~」というのは、なんとも軽くて座りが悪く…あの~、その~、間抜けな感じは最後まで変わらず汗 「天翔る心、それが私だ」は、それまでの演技と繋がって説得力のあるものとしては心に響くことがなく、唐突な印象が否めなかったのは残念。 ただ…笑三郎さん@倭姫が言う「そなたはこの地上に間違って生まれた一羽の鳥なのだよ」という清廉潔白な純な真っすぐさはダンジロさん@タケルの方に説得力があったかと。
以下、二人のヤマトタケルの比較考察↓↓↓

青りんご ヴィジュアル
二人の違いが一番顕著に出ている部分ですね。
「ダンジロさん、綺麗~☆」と見惚れる事度々ですが、それもタケヒコの方が魅力的に映りました。 タケルをサポートする包容力も見た目に説得力がありますし。 思うに、ダンジロさんって…目が万人に愛されるキャラクターの目ではナイなぁ~と(個人的に) 怖い、っていうか…色悪とか敵役とかに合っている目といいますか。 目が細いから、目の表情が判りにくいので、感情が入ってくると三白眼ぎみで怖く見えるんですよね~汗 故に、尾張の国造に対してのチクリと刺す嫌味も効いていて笑えます。 私、段治郎ファンではありますが“主役で輝く人というよりは脇でキラリと光る人”なんだろうなぁ…と再認識してしまった感もありますです、ハイ汗
対して右近さんはパッチリ☆キラキラの大きなお目目で、表情が解りやすく愛されキャラに適しているかな、と。 五月人形の金太郎さんみたい…と言ったら解り易いでしょうか? 蝦夷へ赴くタケルの元に押し掛けてきた弟橘姫を「では共に参ろう♪」とアッサリ態度を翻し“ヒシッ”と二人抱き合う可愛らしさに客席から笑いが起こるのは右近さん@タケルならではの魅力。 しかし右近さん@タケヒコの時は、今ひとつタケルとの違いが明確に見えず「タケルの為なら命を投げ出すこともいとわない」という主君を敬い慕う従者には見えず、“二人タケル”な印象だったり~汗
小碓命~大碓命の早替わり立ち廻りでは、御簾の中に姿を消しつつヅラをはずしにかかっている様がバレバレなダンジロさん汗に引きかえ、右近さんは流石の余裕でした。
熊襲での踊り女での舞は、「どうみても男だろ!」と2mはゆうにあるダンジロさんの無理ある女形…ってか女装(貴重だ!)に対して、右近さんは笑顔も可愛くて無理なく安心して観れる感じ。 でもダンジロさん、随分踊りが柔らかくなりましたね♪ ホッ悲しい
青りんご 演技
段治郎さん@タケルは、ひたすら父親の愛を求め、望郷への念を切々と訴えるので、その事自体はすごく心に響くのですが、あまりにも強調されているので、自分を慕うものを犠牲にし、独自の文化や暮らしを築いて生きていた人々への侵略の色が濃く見え、自己中心的な感じにも思えてきた時もありました。 タケヒコの言う「あなたにはどこか寂しい影がある」という部分はピッタリ。 だからこそなのか?段治郎さん@タケルの時の方が、倒される側の最後の言葉がズシ~ンと胸に響いて聞こえてきた印象でもありました。
対して、右近さん@タケルは、熊襲や蝦夷、伊吹山の山神を次々と征伐してヤマトの国の統一、という大きな目的に向かって歩みを進める、部下を付き従えるリーダー然とした部分がきちんと根底に見えてくる印象。 「天翔る心、それが私だ」に違和感はなく。
青りんご 立ち廻り
中学の頃はアクション俳優やスタントマンになりたくてJACを受験合格した過去があるダンジロさんは、“本領発揮!”とばかりに長身の体躯を活かしたダイナミックさとスピィーディーなもので迫力があり、いやゆる“チャンバラ”な感じ
対して、右近さんは“舞っている”ような優美な印象を受ける殺陣
蝦夷での火攻めでの草を刈る所作や、炎の旗を旋回させる立ち廻りにも顕著に現れていて面白い♪
青りんご 宙乗り
今回、実は…ちょっと引いてしまったのが宙乗り冷や汗
歌舞伎でナイ舞台で、いわゆるフライングものをよく目にするようになったから…なんですが、改めて“歌舞伎の宙乗り”というのは「いいですか?今から宙乗り始まりますよ!いいですか?行きますよ!」という感じの大袈裟なお膳立てがあって「ほら!スゴイでしょ!これが宙乗りですよ!感動的でしょ?スゴイでしょ?」というような、すっごく押し付けがましい印象を持ってしまいました。
…な事は置いておいて~汗
二人の飛び方も顕著に違っていて面白かったです! 段治郎さん@タケルは、大きな鷲のような鳥が羽根を広げて大きく旋回するような、悠々とした感じなのに対し、右近さん@タケルはパタパタと羽ばたく感じで…「飛び方も体サイズに合った演じ方なんだなぁ」と思いました。
今博多座公演では、段治郎さん@タケル×猿紫さん@ヘタルベ右近さん@タケル×弘太郎さん@ヘタルベは…昼の部=金田龍之介さん、夜の部=猿弥さん、というキャスティングでした。
ヘタルベはお二人とも好演で特にどちらが…という事もなく。 帝は猿弥さんのどっしりとした存在感に驚きましたが、カーテンコールでタケルを許す芝居では金田さんがさすが!の細かさで「タケル、良かったね~」と嬉しくなりました。
歌舞伎でのWキャスト、古典ではなかなか観る機会がナイのですごく新鮮で面白かったです♪

劇場 キャスト
ヤマトタケル:右近/タケヒコ:段治郎/ヘタルベ:弘太郎/:金田龍之介

ヤマトタケル(初日) 【博多座】

今公演のように主演が右近さん×段治郎さんのWキャストとなったのは2005年公演時からであり、今回はその再演。 博多座で【新・三国志シリーズ】以外のスーパー歌舞伎作品がかかるのも、猿之助さんのご出演がナイのも今回が初めて。 そもそも博多座でスーパー歌舞伎が上演されるのは実に5年振り!…って、もうそんなに経っていたとは驚きです。 私は2005年4月以来の観劇となりました♪
え~っと…「ここまで覚えていなかったとは~冷や汗」と自分の記憶力のなさにほとほと悲しくなった初日観劇となった訳ではありますが、前公演時とは変更になった箇所や追加や削除になったシーン…なんてのもあるんでしょうか?(2005年は初観劇にして1回のみの観劇) ま、初観劇のごとく楽しめてラッキ~♪と思う事にしよう汗 オープニングの廻り舞台~大セリの出のシルエットはどエライ格好良くて鳥肌が立ちました!
全体の印象としては前回と大差はナイものの、段治郎さん@ヤマトタケルは、より繊細で純な感じになっていた印象。 ひたすら父親の愛と故郷を求め、笑三郎さん@倭姫にすがって泣きじゃくる様は子供のようで「なんて真っすぐな心を持った素直な人なんだ…」と嫌味なく納得させられ、自分を慕う女性を次々と受け入れる可笑し味(これは今回顕著☆)も併せ持つ、という魅力的なヤマトタケルとなっていました。 ただ…やっぱり“やたら若者ぶった爽やか口跡”に耳が慣れるまで時間がかかります! 白鳥姿で宙乗りとなる前の「さようなら~」って、なんだか…なんか…あの~、ちょっと間抜けな感じなんですけど~汗 墳墓上に登場時は「ダンジロさん、顔ちっちゃ!」「一体、何頭身なんだよっ?」ってな驚きもありました。
よつばのクローバー右近さん@タケヒコのご活躍を拝見し「タケヒコってイイ役じゃ~ん!」と気付かされ、まだ観ぬ段治郎さん@タケヒコを一日も早く拝見したくなりまして、予定外のチケット追加してしもうたぁ~汗(千穐楽しか手持ちがなかったので)
よつばのクローバー猿紫さん@ヘタルベは、可愛いですね♪ 動きも表情も愛くるしいですね♪ ひたすらヤマトタケルを慕い付き添う様は健気で、その死を悼む様は好演。
よつばのクローバー門之助さん@皇后/伊吹山の姥神は、どちらも女性なのに…やたら勇ましくてドスが効いているのは何故?
よつばのクローバー笑也さん@兄橘姫/みやず姫を拝見し「笑也さんってスーパー歌舞伎の人だな」と改めて思いました。 スーパーだと古典でどうしても…となる所は気にならず、ただあの容姿の美しさと女性にしか聞こえない美しい声を楽しめるな…と。
よつばのクローバーカニ&タコ兄弟・猿四郎さん@熊襲兄タケル喜猿さん@熊襲弟タケル。 客席多いに湧きましたね~♪ 喜猿さんは初めて拝見でしたが、タケルという名前を託して絶命する様は好演でした!
よつばのクローバーみやず姫の父母・猿三郎さん@尾張の国造寿猿さん@妻って…あんなにコミカルでしたっけ? 同じく、門之助さん@伊吹山の姥神猿弥さん@ 伊吹山の山神(+鬼’s)も! 大いに笑いました~☆
改めて附け打ちさん、大変です! 特にヤイレポ&ヤイラム兄弟vsタケル&タケヒコの一戦まみえるフラッシュライトでの立ち廻りは…腕に相当な負担となりそうな~汗
そしてカーテンコール。 「もしかしたら…」という淡い期待をしていたのですが、叶いました! 二度目のカーテンコールで舞台中央に猿之助さんが! 私、ブワッと目から涙が溢れ出てしまって…ボロボロ泣いてしまいました悲しい 猿之助さんが舞台から遠ざかったのは、ここ博多座での【西太后】(2003年11月)でお倒れになってから…だったので、博多座には何かしらのトラウマがあるんじゃないかしら?もう博多座には来ていただけないのではないかしら?と勝手に思い心配していたし、“生・猿之助さん”を拝見したのは、ホントにその公演以来でしたから…涙腺決壊!でした。 いつまでもいつまでも猿之助さんの舞台復帰、楽しみにお待ちしております!
しかし…気が付けば手元にはまだ3枚のチケットが汗 ちょっとヤバイかも~冷や汗
だってやっぱり衣装が豪華で目に楽しくて、あれは舞台近くのお席で観たいと思うもの~。 スーパー歌舞伎って、舞台セットは黒一色とかシンプルだから3階席だとちょっと寂しくて疎外感があるのよね…(←激しい言い訳)

劇場 キャスト
ヤマトタケル:段治郎/タケヒコ:右近/ヘタルベ:猿紫/:金田龍之介

ヤマトタケル【新橋演舞場】

スーパー歌舞伎の原点【ヤマトタケル】ですが…実は私、過去に映像でも観た事がなく、今回が全くの初見でした。 久々の再演となった今公演でしたが、猿之助さんのご出演はなく、脚本&演出を手がけられ、ヤマトタケルとタケヒコの二役を右近さんと段治郎さんのWキャストで演じるという趣向でした。
私は段治郎さん@ヤマトタケル、右近さん@タケヒコで観劇
まず全体を通して強く感じた事は“和風”な印象 【新・三国志】がシリーズで続いた為、“スーパー歌舞伎-中国もの”というイメージがいつしか自分の中で固定されていたようで、「ほぉ…あら~」という、なんとも表現しようのない新鮮な驚きがありました。
段治郎さん@ヤマトタケルは、純粋な心を持つ心優しい若者と、ただひたすらに父親の愛を激しく求めて彷徨う息子の悲哀を併せ持つ主人公を好演☆
しかし、個人的に安心して観れて、段治郎さんの持ち味が発揮されたいたような気がしたのは色悪系の…ヤマトタケルの兄・大碓命。 自分の妻の妹に迫る悪ぶりは、そのセリフではないけれど「良いではないか、良いではないか~」という感じ。 純な部分を演出する為か…ヤマトタケルの高い声のトーンになかなか馴染めなかった私は、大碓命でホッと一息つけた感じでした。
この舞台で特に好きだったシーンは2つ☆
ひとつは第一幕・大五場【熊襲の国】
猿四郎さん@兄タケル猿弥さん@弟タケルが統治するこの国の人々の衣装は“海モチーフ”がふんだんに取り入れてあって、海好きの私にはことごとくツボにハマりでそのデザインセンスに大興奮☆ 珊瑚の模様に海色のスカート…のような侍女の衣装には「あれ、着てみたい!」。
極めつけはタケル兄弟の大袈裟なまでに豪華な衣装 猿弥さんのマントには蟹、猿四郎さんのマントにはタコが巨大に背中にあしらってあって、虚勢を張るところでは魚のモチーフがちりばめられてマントの裾を黒子さんがバーッと持ち上げてぶっかえり“海、海~”って感じ。 荒事の極みのようなデッケェ兄弟はカーテンコールでの、のっしのっし歩きもツボした♪ この演目の中で一番好きなキャラでした。
段治郎さん@踊り女は「デカッ!」とビビるものの、恥じらう表情とか可愛らしくってビックリ! あの色香に惑わされる熊襲兄弟の単純さに笑えました♪
もうひとつは第二幕・第四場【走水の海上】
旅の途中、海路でのヤマトタケルのピンチを救ったのは、春猿さん@弟橘姫。 海の神へ人身御供としてその身を投げるのですが、この時の舞台演出・美術に大感動! 舟を囲んだ波布が荒く動いたかと思えば、畳を海に投げ入れると、その布を繰り出すようにして海面にその畳が広がる(←解ります?)。 これにはスゴイ、スゴイ! そして海に身を投げた姫の上半身がぶっかえって海の模様のお着物になって手を振りながら海底へ消えてゆく。
船上での段治郎さん@ヤマトタケルの取り乱しぶりや、深い悲しみなどの熱演も良く、ここは本当に素晴らしかった!
ただひたすらに父の愛を求め続けた果てには最後までお互いの心が通い合うこともなく、それでいて実は周りの女性を結構不幸にしてしまっているヤマトタケル。 最後は自身の“慢心”から命を落とす事で、観る者に教訓が得られるけれど…全体通して「では、何がこの作品で伝えたかったメッセージなのか? 主題はなんぞや?」という物語の軸の部分が、観劇日を経ても弱い印象私は残りました。
ただ“和的”な衣装やセットなどのビジュアル面や、踊り、音楽など…いわゆる“歌舞伎味”が多く、私は“中国シリーズ”より断然好きでした。
今回Wキャストで頑張る段治郎さんは、踊り女で「デカイっ!」、宙乗りで「デカイっ!」と若干引きながらも、カーテンコールで、メキシコのピラミッドのような所からピンで登場する時は“主役オーラ”を放っていて、その成長ぶりに(←エラそうに~)ジーンとウルウルきてしまいました。
タケヒコでの横ポニーテール姿も観てみたかったな♪(こっちが好きという人も多い)