六月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露【六月博多座大歌舞伎】です。
雀右衛門さんは今年3月末、舞台の成功祈願のため【櫛田神社】を参拝。 5月29日は【船乗り込み】…の予定でしたが、あいにくの雨で式典のみの開催。 意外にも「博多座への出演は久し振り」という役者さんが多い中、竹三郎さんと尾上右近さんは「2ヶ月振り」と言って笑いを誘ってました。

引窓

「そうよ!竹三郎さんはこういうお役で拝見したいのよっ!」という竹三郎さん@母お幸。 仁左衛門さん@南与兵衛後に南方十次兵衛孝太郎さん@女房お早ってこの親子夫婦(変な言い方?)久し振りに観た印象。 観劇する自分が慣れたのか?演じる側がこなれたのか?…しっくりと馴染んでいる夫婦だった。 左團次さん@濡髪長五郎って初めて拝見したかも?(関取役が)
ごめんなさい! この演目、何故か私、気絶演目なんです…。 いつも演題の“引窓”の部分の記憶がnothing!!(ひどい感想、すんまっせん!)

五代目中村雀右衛門襲名披露 口上

下手から…仁左衛門、時蔵、錦之助、松緑、友右衛門、芝雀改め雀右衛門、藤十郎、左團次、孝太郎、菊之助、歌六、菊五郎。
おのずと左團次さんに期待する訳ですが…無難な“犬友達”ネタで♪ 友右衛門さんの口上って初めて拝見したかも? 弟よりも数倍ガチガチに緊張されている印象。 藤十郎さんは、今公演は口上のみ…って贅沢!

十種香

3月の歌舞伎座に続き、初役となる三姫の一つ、八重垣姫! 雀右衛門さん@八重垣姫ですよ! おとなしくいじらしいお姫様かと思いきや、思い込みが激しく我わ通す様が、わりと好きなキャラクターです。 歌舞伎の姫って、世間知らずがそうさせるのか? 恋愛に関してかなり積極的にグイグイいきますよね! かねてから“”静かに耐える美しさ”雀右衛門さんの特筆すべきところですが、今回はその積極性がイイ塩梅に可笑しみも加味されていて◎ その姫を呆れながらもサクサクとコントロールする時蔵さん@腰元濡衣のクールさがイイ! 菊五郎さん@花作り蓑作実は武田勝頼は…役の重さ的には、親父様で妥当なんだけど「菊ちゃんにチェンジ!」と思ってしまったことは内緒。 その菊之助さん@白須賀六郎、すごくイイ! 口跡も動きもキビキビしていて美しい。 対して松緑さん@原小文治、なんであんなに不思議な節回しでセリフを言うんだろう? “三之助”として一時代を築いたお二人に歴然と差が出たように思えました

女伊達

【雀右衛門襲名披露】というのに、ごめんなさい! 昼夜通して、この演目が一番良かった! 菊之助さん@女伊達木崎のお菊に、男伊達の亀三郎さん@淀川の千蔵+亀寿さん@中之島鳴平という亀兄弟が絡んで、目に楽しく華やか☆ 素人ながら、菊之助さんっていろいろな事がすごく上達されてますよね?(何様な感想すみません!) 今まで持っていた華を、もうひとつ背負った、といいますか…“中心に立つ役者”というオーラがキラキラです。 また声がイイ! 観劇後「菊ちゃんイイ!」をしばらく連呼していてました。

maku201606

壽初春大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

 💡 廓三番叟
三番叟で廓?…とは“廓の情趣に仕立てた三番叟”との事。 朝イチに華やかな舞踏。 孝太郎さん@傾城千歳太夫種之助さん@新造松ヶ枝染五郎太さん@鼓持藤中

 💡 鳥居前
児太郎さん@静御前! 記憶よりも、また更に背が高くなった印象で、かなり膝を折っての奮闘ですね。 やはり女形で進まれるんでしょうか? 表現はおかしいかもしれませんが“とっても真面目な静御前”でした。 そして私的に“小忌衣が似合う男No.1”の門之さん@助源義経。 「良きに計らえ」感がすっごく似合うと思うんですよね〜。 児太郎さんとの共演は初めて拝見したので、目に新しい!  そして松江さん@逸見藤太って!こちらも初めて拝見したかも? キビッキビッと小気味良いです。 橋之助さん@佐藤忠信実は源九郎狐彌十郎さん@武蔵坊弁慶

 💡 梶原平三誉石切
私的「まぁ〜た、これかよ!演目」のひとつ。 石切梶原って、どこがそんなに人気でこんなにまでかかるのか不思議で仕方がナイのですが…座を組んだ時に、役者の配役バランスが良いでしょうか? 吉右衛門さん@梶原平三景時に何の不満もナイし、拝見すればそのひとつひとつの型に見入るのですが。 芝雀さん@梢は可憐でいながら、結構お父さんを雑に扱うのがツボ(なんとなく)。 雀右衛門を襲名されたら、もう演じないかもしれないですね? 歌六さん@六郎太夫は、歌六さんってすっかり爺役者になってしまって…もっとスッキリと男前の、あのイイ声が響くお役で久しく拝見してない。

 💡 茨木
玉三郎さん@伯母真柴実は茨木童子!! でもって鴈治郎さん@士卒運藤もご出演だったというのに…帰りの飛行機の時間の都合で、観劇叶わず。 かえすがえすも残念無念〜!

壽初春大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

毎年“歌舞伎はじめは松竹座”ですが、初めて歌舞伎座で…です。 どの劇場もそれぞれに迎春の飾りは華やかでウキウキしますね♪

 💡 猩々
梅玉さん・橋之助さん@猩々松緑さん@酒売り。 こ〜ゆ〜お酒が好きで好きで好き過ぎて!という様や、酒にのまれてやってしまう失態の可笑しみを描いた作品をみる度に「さぞ美味しいんだろうなぁ…」アルコール許容量ゼロ体質の私は少し羨ましく思ってしまう。 私、猩々=梅玉さん率、高いです。

 💡 二条城の清正
“秀山十種のひとつである名作”という事ですが、私、初めて観ました。 幸四郎さん@加藤清正金太郎くん@豊臣秀頼という実の爺孫共演。 家康からの呼び出しに、二条城へ出向く秀頼に付き添う清正が実生活と重なります。 こんなに小さな秀頼って初めて観た!可愛い〜!そして立派な役者ぶりにビックリ! 船上で、淀城を見つめる背中が語ってました! 高麗蔵さん@藤堂和泉守錦吾さん@池田輝政もガッチリ固め『高麗屋は安泰だ』と頼もしい感じでした。 この配役だからこそ感じるモノも多かったので、別の配役でまた観てみたい!

 💡 吉田屋
鴈治郎さん@藤屋伊左衛門+玉三郎さん@扇屋夕霧ですよ! この配役が発表されてから、どれだけこの観劇日を楽しみにしてきたか〜!! そもそも鴈治郎さんと玉三郎さんの恋人役を初めて観ますもの! 鴈治郎襲名披露公演で初役で演じてから、何度目かの伊左衛門は“はんなりボンボン”度が増して「どうしようもナイけど憎めない坊ちゃんだな!」と思わされる風情がより濃くなっている印象(贔屓目入ってます)。 夕霧の出、懐紙で顔を隠して襖の奥からスススと歩み出で、スイッと顔を出した時の“ハッ”とする美しさに、玉さんの健在ぶりを見た! でも、そんなに伊左衛門の事が好きには見えないんだよなぁ…って、藤十郎さんが濃厚すぎるのか? とにかく二人の並びを観ているだけで、私、胸いっぱい。 年明けからイイもんみさせてもらいました♪ じゃらじゃらしている二人を前に吉弥さん@おきさがサバサバと事をさばく様がなんか面白かった。

 💡 直侍
この演目、久々に観た! 劇場の中はもちろん暖かいけど、舞台上の芝居に一緒に手をこすり合わせたくなるような冬の風情。 でもって、やっぱりお蕎麦が食べたくなります(単純!) 染五郎さん@片岡直次郎は改めてニンですね〜。 ポンポン投げ捨てるように言うセリフが小気味イイ♪ 芝雀さん@三千歳は…多分、私が“芝雀さん”として拝見するのは最後。 いじらしくてひたむきな“直はん一筋”な表情が良い。 なかなか思うように逢瀬を重ねられず耐える様はやっぱり芝雀さんピカイチ☆(私、比較) 東蔵さん@丈賀、達者!

スーパー歌舞伎II〈ワンピース〉頂上戦争編【新橋演舞場】

まず【アラジン】遠征だったので…「歌舞伎があってたら空いた時間に観てみよう」くらいで居たら、猿之助さんが【ワンピース歌舞伎】の上演発表! これは好都合!とチケットを探した時は手遅れで、平日夜の部ながら、激しく見切れる下手左側。 かなりの部分が不鮮明なモニターでの観劇でした(きっと博多座に来る!と信じて試し観劇)
いつもと違う客層は限定グッズに群がったり、劇場内の各場所で激写したり…とそれを見るのも新鮮な感じ。定式幕のデザインは可愛かった♪歌舞伎仕様・ルフィ
私は大人気の原作は気になるものの既本がすごい巻数なので、それにひるんで今まで手を出したことがなかったのですが、事前に20巻まで予習(今舞台の【頂上戦争編】は未読)。 一応、原作を知らない人でも解るように…と作られたようですが、登場人物が多過ぎて、目には楽しくとも少々混乱気味。

一言で感想を述べると「スーパー歌舞伎というよりは“いのうえ歌舞伎”に近かった印象」。(三幕目は「粟根さん?!」なキャラも登場するし) なぜだろう?お遊びやお笑いの部分が多かったから? 音(音楽・効果音)なのか?

古典歌舞伎の早変わり、宙乗り、狐忠信的な階段登場のケレン味や、先代猿之助が創り上げたスーパー歌舞伎の手法…雑技団の皆さんの旗振り火、容赦ない紙吹雪、本水での立ち廻りなどをなぞりながらも、プロジェクションマッピングや音楽、映像の投影、どこかのミュージカル作品で観たことあるあるな手法もてんこ盛り。 ず〜っと猿之助さんがやりたかったであろう手法をふんだんに取り入れられ、ラスト、朝日が地平線から登る手法は「あ!ライオンキング」と声を出してしまった私。 キャラクターがズラリ板付きで上がってくる様やツラネは“ザ・歌舞伎”で大興奮!ワンピース歌舞伎
対して、この作品の為に書き下ろされたというゆずの 北川悠仁さんの曲が、作品を通しての毛色とは異質でそれまでの話の流れを断ち切るようで…う〜ん。 あの曲で宙乗り出来る猿之助さん、凄いわ。 くじらは驚いた!良かった! あれは1階席で見上げてみたかったなぁ〜。

三役でフル回転の猿之助さん@ルフィーはハンコックへの早変わりのせいでしょうけど、手足が真っ白いのがどうしても違和感。 絶世の美女も“眉鉢巻”が浮きに浮いて「え…っと」。 ハンコックの色香にバッタバッタと倒れる様は、セクスィー部長の光線並だった! そして、シャンクス…小さっ。
他はキャラクター達は“気合いの入った本気のコスプレ”で、そこそこ違和感なく上手く歌舞伎風味にアレンジされて◎
一番歌舞伎味が強かったのは猿弥さん@ジンベエ/黒ひげと右近さん@白ひげ。 この二人がグッと歌舞伎に引き寄せてくれた印象です。 白ひげ、知盛でしたっ! 凄く「でっけぇ」感じで、場に重みが増した感じで好演。
春猿さん@ナミが登場時に片肌脱いだ時にブラと胸の谷間線が見えて「おおっ!」と客席がどよめいた〜。 

上演回数を重ねてこれからどのように進化していくのか楽しみ♪
ぜひ原作ファンの方の感想を伺いたいものです。

松竹大歌舞伎・巡業西コース【北九州ソレイユホール】

巡業西コースは『中村翫雀改め 四代目 中村鴈治郎襲名披露』という事で、高速バスに揺られて行ってきました北九州の昼公演! 台風21号の名残の強風が残るものの、秋分の日の秋晴れの本日は千穐楽まであと1公演。 役者の皆様、ちょっとお疲れ気味…?

引窓

玩辞楼十二曲のひとつ。 鴈治郎さん@南与兵衛後に南方十次兵衛って…、今公演ではこのお役でのご出演しかナイのに「あれ?こんなに出番少なかったっけ?」と、襲名披露なのに〜とちょっとションボリ。 キリッとした郷代官の姿とニコニコした夫・息子としての姿の緩急が絶妙☆ でもって左團次さん@濡髪長五郎にビックリ!(東コースは松緑さん) 多分、関取役で拝見したのは初めてだし…何故か左團次さんが鴈治郎さん襲名披露公演にお付き合いされる印象がなかったので。 壱太郎くん@女房お早寿治郎さん@母お幸は“じいまご”のよう。 鴈治郎さんと壱くんの夫婦役は初めてだったとは気が付きませんでした! 甲斐甲斐しく夫や義母の世話を焼くさまが初々しく微笑ましい。 亀鶴さん@三原伝造男女蔵さん@平岡丹平

口上

下手より扇雀、虎之介、壱太郎、鴈治郎、藤十郎、亀鶴、 男女蔵、左團次(だったと思う)。 藤十郎さんは口上のみのご出演ですが、長い巡業のお疲れが出ているようで声に力がなくてちょっと心配(80歳過ぎて巡業に出る事自体がスゴイ!) 左團次さんのお笑いを期待するも、至って普通でちと残念! 虎ちゃんの口上は初めて聞きましたが声がしっかり通りますね。

連獅子

3ヶ月前の博多座では鴈治郎さん×壱太郎くんでしたが、本公演は扇雀さん@狂言師右近後に親獅子の精×虎之介くん@狂言師左近後に仔獅子の精。 一環して『手に汗握って虎ちゃんを見守る親戚のおばちゃん』になってしまいました〜。 虎ちゃん、顔、小さいっ! ひとつひとつの所作を丁寧にキビキビと脇目もふらず演じてる様に拍手。 これからが本当に楽しみ♪ 相狂言は亀鶴さん@僧蓮念×男女蔵さん@僧遍念

劇場
北九州ソレイユホール
日時
2015.9.23(水曜日)/13:00〜