5度目の【博多座エリザ】過去公演記録

今年、博多座での【エリザベート】の上演は4年振り5度目。 
2015年に一新された演出を、自身の観劇の記録として過去の公演と比較して“おぼえ書き”。

☆博多座初演(2001年10月)一路真輝/山口祐一郎・内野聖陽
ずっと周り続ける回り舞台の演出と、もはや伝説になった、トートダンサーズが黒衣を脱ぎ捨て真っ白半裸状態で柱に駆け登り一体化し、羽ばたくラスト。 千穐楽は終演後、博多座正面玄関から全キャストが私服に着替えて出てきて、博多座に横付けされたマイクロバスに乗り込んで打ち上げ会場へ出発(二日市温泉へ…だったはず?) 前年、帝国劇場での東宝版初演を経て翌年の初の全国ツアー最終地の大千穐楽だった為、全国から駆けつけたエリザファンがモッシュ状態で博多座正面でバスお見送り。 何かの優勝パレードのようだったなぁ(後に二度とこんな事は行われてナイ!) この公演では、ちびルドで小野賢章さんがご出演。 今度【ロミオ&ジュリエット】にご出演ですね♪ ミュージカル作品で博多座に戻って来て欲しい!! 「僕はママの鏡だ!(by黒子テツヤ)」

☆2度目(2004年10月)一路真輝/山口祐一郎・内野聖陽
当時、演出の小池さん的にブームだったのか?LED電飾看板で背景が描かれ、非常にチープな印象で不評。 既存曲の歌詞の所々が変更になったり、【夢とうつつの狭間に】【皇后の血筋】がカット、【子供の養育は】【私が踊る時】【ゾフィーの死】が追加。 シシィの傲慢さと、ゾフィーなりの愛情が際立ち、キャラクターへの理解がより深まった印象。  『シシィ、棺桶から棺桶へ』

☆3度目(2008年9月)涼風真世・朝海ひかる/山口祐一郎・武田真治
背景スクリーンにその情景(イラスト)を映し出すものに変更され、今まで観客がイメージで補っていたシーンが舞台美術として表現。 演出うんぬんよりも、武田トートのキャラクター作りが独自色が出ていて印象深かった。

☆4度目(2012年7月)春野寿美礼・瀬名じゅん/山口祐一郎・石丸幹二・マテ・カマラス
ほぼ前回と変更なし…だったかと、多分(←ご指摘お願いします!)

☆5度目(2016年8月)花總まり・蘭乃はな/城田優・井上芳雄
演出、舞台美術、衣装等が昨年の帝劇公演から一新され、今年、博多〜大阪〜名古屋と全国ツアーへ。 全体的に一番暗くて(色味が)、客席からの目線が高く圧迫感があり、舞台が狭い印象。 闇はあんまり広がってナイ。 大好きな【夜のボート】も二人の距離がすごく近くて“スレ違って離れていく”余韻がナイ。 【私だけに】の滑り台は謎な演出。 「私を返して!」「死にたいのか?」は今演出から? カーテンコールの際のトートの曲はいつから【最後のダンス】になってるんだろう?

博多座で上演がナイ年には、日生劇場や帝国劇場に遠征したり、2007年にはウィーン版の来日公演を観劇…と、この作品の何がこんなに私を観劇に駆り立てるのか? 何度観てもやっぱり好きな作品だけど、何処がどう好きなのか未だに解明せず。 作品としての観劇回数は…怖くて数えたことがナイ。ちなみに「いつか宝塚版を観てみたい」という願望は未だ叶わず。

しかし演出がガラッと変わる度に『一度完成して好評に受け入れられたものを、またゼロから創り直して進化させる』って、凄い事だな、と毎度感嘆させられます。 “作品をつくる”というパッションが凄い! でも…何度演出が変わっても、体操室は『吊り輪に捕まろうとしてフラつく』ばかりなので、今度はその横の器具を使って、無茶してみないか?

今公演の観劇レポートは別記事にて。

六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

君が代 松竹梅

友右衛門さん@松の君錦之助さん@竹の君廣松さん@梅の姫。 お目出度い舞踊なんだけど…なんだけど…この演目、ココまで華のナイのって初めて観た(ホントにごめんなさい!正直な感想です)

毛抜

松緑さん@粂寺弾正は初めて拝見(確か)。 う〜ん、夜の部の【十種香】でも感じましたが、松緑さん、セリフになんか変な節回しが付いてて、お芝居もたっぷり…というよりネットリしている感じで、なんか気持ち悪くて背中がゾワゾワする。 私、松緑さん自体を今公演で久々に拝見しているのですが…いつからこんな感じになっちゃってるのかな? う〜ん…。 米吉さん@小野春風は可愛い! 「危ない!全力で超逃げて!」と観る側が焦ってしまう、可愛さ。 米吉さん、あのポヨンとした柔らかが雰囲気と相まって、すごく可愛いですよね。

熊谷陣屋

仁左衛門さん@熊谷次郎直実は、制札の見得をはじめとする型がパシッパシッと“これぞ”というお手本のように決まって気持ちがイイ。 「十六年も一昔、夢であったなぁ〜」は、つぶやくよりも慟哭に近い感じで花道を引っ込んでいったのが、強い悲しみの余韻として残りました。 雀右衛門さん@熊谷妻相模、首実検が我が子と分かってからの悲嘆ぶりが痛いほど伝わってきて、熊谷次郎直実が憎らしく思えるほど。 歌六さん@白毫弥陀六実は弥平兵衛宗清…って、今公演の歌六さん、この一役だけって贅沢〜! 安定の好演。 菊之助さん@経盛室藤の方、これはもっと年輩の役者さんが演じるイメージだったけど、これもまたイイ!(ホント、今公演のMVPは菊ちゃんだわ>私的)

身替座禅

「またぁ?」とガッカリ感が半端ない身替座禅。 もっとさぁ〜、他に演目いっぱいあるでしょう? 配役にしても“毎度お馴染み”でウキウキ感もなく…。
菊五郎さん@山蔭右京左團さん@奥方玉の井、でもって松緑さん@太郎冠者。 尾上右近さん@千枝+米吉さん@小枝の侍女コンビに注力で目を楽しませてもらいました。 うん、米吉さん可愛い。

六月博多座大歌舞伎・夜の部【博多座】

中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露【六月博多座大歌舞伎】です。
雀右衛門さんは今年3月末、舞台の成功祈願のため【櫛田神社】を参拝。 5月29日は【船乗り込み】…の予定でしたが、あいにくの雨で式典のみの開催。 意外にも「博多座への出演は久し振り」という役者さんが多い中、竹三郎さんと尾上右近さんは「2ヶ月振り」と言って笑いを誘ってました。

引窓

「そうよ!竹三郎さんはこういうお役で拝見したいのよっ!」という竹三郎さん@母お幸。 仁左衛門さん@南与兵衛後に南方十次兵衛孝太郎さん@女房お早ってこの親子夫婦(変な言い方?)久し振りに観た印象。 観劇する自分が慣れたのか?演じる側がこなれたのか?…しっくりと馴染んでいる夫婦だった。 左團次さん@濡髪長五郎って初めて拝見したかも?(関取役が)
ごめんなさい! この演目、何故か私、気絶演目なんです…。 いつも演題の“引窓”の部分の記憶がnothing!!(ひどい感想、すんまっせん!)

五代目中村雀右衛門襲名披露 口上

下手から…仁左衛門、時蔵、錦之助、松緑、友右衛門、芝雀改め雀右衛門、藤十郎、左團次、孝太郎、菊之助、歌六、菊五郎。
おのずと左團次さんに期待する訳ですが…無難な“犬友達”ネタで♪ 友右衛門さんの口上って初めて拝見したかも? 弟よりも数倍ガチガチに緊張されている印象。 藤十郎さんは、今公演は口上のみ…って贅沢!

十種香

3月の歌舞伎座に続き、初役となる三姫の一つ、八重垣姫! 雀右衛門さん@八重垣姫ですよ! おとなしくいじらしいお姫様かと思いきや、思い込みが激しく我わ通す様が、わりと好きなキャラクターです。 歌舞伎の姫って、世間知らずがそうさせるのか? 恋愛に関してかなり積極的にグイグイいきますよね! かねてから“”静かに耐える美しさ”雀右衛門さんの特筆すべきところですが、今回はその積極性がイイ塩梅に可笑しみも加味されていて◎ その姫を呆れながらもサクサクとコントロールする時蔵さん@腰元濡衣のクールさがイイ! 菊五郎さん@花作り蓑作実は武田勝頼は…役の重さ的には、親父様で妥当なんだけど「菊ちゃんにチェンジ!」と思ってしまったことは内緒。 その菊之助さん@白須賀六郎、すごくイイ! 口跡も動きもキビキビしていて美しい。 対して松緑さん@原小文治、なんであんなに不思議な節回しでセリフを言うんだろう? “三之助”として一時代を築いたお二人に歴然と差が出たように思えました

女伊達

【雀右衛門襲名披露】というのに、ごめんなさい! 昼夜通して、この演目が一番良かった! 菊之助さん@女伊達木崎のお菊に、男伊達の亀三郎さん@淀川の千蔵+亀寿さん@中之島鳴平という亀兄弟が絡んで、目に楽しく華やか☆ 素人ながら、菊之助さんっていろいろな事がすごく上達されてますよね?(何様な感想すみません!) 今まで持っていた華を、もうひとつ背負った、といいますか…“中心に立つ役者”というオーラがキラキラです。 また声がイイ! 観劇後「菊ちゃんイイ!」をしばらく連呼していてました。

maku201606

スーパー歌舞伎II 『ワンピース』【博多座】

今年3月、約1カ月をかけて舞台装置、照明、音響をリニューアルした博多座での第一弾公演です。 かねてより前・猿之助(現・猿翁)さんが『博多座はスーパー歌舞伎に最高に適した劇場』とおっしゃっていましたが、博多座、更にパワーUPですよ! 初日4月2日(土)は猿之助さんが800回目の宙乗り達成
また、中旬には【熊本地震】が発生し、開演前には猿之助さんの『被災地へのお見舞いと復興支援の口上』、幕間には出演者が客席を回っての募金活動も行われ、なんと!11日間(17公演)で義援金22,870,539円が集まったそうです!! 千穐楽、登壇した福岡市長に託しました。

さて、私、昨年10月の新橋演舞場公演を観た…とはいえ、激しく見切れ席だったうえ、配役変更や新キャラ登場!という博多座公演を楽しみに、6日夜と千穐楽、2回観劇しました。
そして…「博多座公演前までには原作本で今度こそ予習する!」という誓いも果たさず、またしても『ワンピース知識ゼロ』で臨んだ観劇。 スッキリと解りやすくなった部分、新キャラ登場により新に追加された部分、更に膨らませてクドくなった部分…いろいろとテンコ盛りでしたが『原作ファン』には総じて好評で、博多座公演は大入り…ということで、大成功おめでとうございます♪ 10月にはシネマ歌舞伎上映決定☆

地方公演は福士誠治さんから配役変わって平岳太さん@エース。 グッと大人な感じで“心に抱えている闇が深い”印象。 スタイリッシュなニヒル兄貴です。  故に死に向かって行く突き進むかのようなラストへの意気込みと悲壮感が背後から立ち上っているような気迫に圧倒されました(福士エース=陽、平エース=陰って感じ)

尾上右近さん@マルコ/サディちゃん 博多座では初の“逆宙乗り”(3階鳥屋口〜1階花道へ)は初めての事(猿之助さんの“斜め宙乗り”も)。 演舞場ではなかった演出だったので、気が付いたら隣で浮遊してたんでビビったわ!  そして新登場のサディちゃん、右近さんの受け口にテラテラの口紅が艶かしく、ご本人ノリノリ。 意外にもムッチリとした体型に、ショッキングピンクの総スパンコール衣装は猥雑な色気もあり。 演舞場で存在しないお役だった…って事は、原作では重要キャラではナイのかな? 強烈な印象に残るポイントキャラになってました。

他に気になった役者さんは…冒頭の人魚ケイミー、ずっと猿紫さんと思ってたら猿珠さんだった!(演舞場、見切れてたからな!) どっちでも可愛い、うん。 寿猿さん@アバロ・ピサロ竹三郎さん@ベラドンナ、お二人とも“お二人じゃなきゃ”なお役じゃナイのに『若者の本気のお遊びに付き合わさせている爺二人』って感じで…お疲れさまでした。 なんか、見ててとっても申し訳ない気持ちになってしまった…。

他に演出で変わっていた点は『ハンコックが小林幸子仕様』に! うん、盛り上がるものはなんでも取り入れようという、サービス精神に溢れた心意気、イイと思う!  あと『この曲でよく宙乗りできるなぁ…』となんとも間の悪さを感じていた、ゆず曲をBGMとした宙乗りは“ライブ会場仕様”に仕立てる事で、客席のノリを煽ってクリア。 結構、一緒に歌を口ずさんでいる人もいて驚きました。
とにかく芝居がはねた後「あ〜、面白かった」と口々に言っているお客さんが多かったのは素敵☆ 「6月の古典歌舞伎も是非観てね」とこっそり思ったのでありました。

劇場
博多座
日時
■2016.4.6(水曜日)/16:30〜
■2016.4.26(火曜日)/11:00〜

放浪記【博多座】

森光子さん主演の放浪記を博多座で過去2回観劇しましたが、ストーリーがあまりにも暗く、観劇後にど~んよりした気持ちを引きずる作品なので、もう二度と観ることはナイ!…と思っていましたが、主役の芙美子をバトンタッチで演じるのが仲間由紀恵さん、とあらば「ここはマルッと観なくては!」
博多座初お目見え、私も“初・生・仲間由紀恵さん”、作品の印象も変わるのでは…と期待して観劇。

仲間さん主演という事で、周りのキャストもガラッと若返えって、以前感じた…もっとジメッとした湿気のような、救いのない僻み根性のような、人間の荒んだ気持ちを広げてみせられるような色は薄れていた印象。 それでも、舞台転換の合間にスクリーンに写し出される写真と朗読される詩に、何度も暗い気持ちに引き戻されるのだけれど…。 羽場裕一さん@白坂五郎が口にする「芙美子の詩はゴミ箱をかきまわして、ぶちまけたような作品」というのは、ウマイこと言うなぁ…と。 この詩に触れると、救いのナイ深みにどんどん沈んで浮上出来ないような暗い気持ちにされられます。

仲間由紀恵さん@林芙美子は、カラッとした陽の部分は弾ける感じで公演。 作品名物“でんぐり返し”→“側転”のシーンでは、喜び爆発の様子を体いっぱいに表現している様が自然でイイ感じ☆ だけど芙美子がブサイクな女性として揶揄される様には、どう見たって美人なだけに説得力がナイなぁ〜!
若村麻由美さん@日夏京子は好演! 私、大好きな女優さんでもあるので多少贔屓目ですが、この役柄にすごくハマってる! 次々と変わるファッションも目に楽しく、全体的にどんより〜としたカラーの作品の中にあって、鮮やかに華を添える感じ。
村田雄浩さん@安岡信雄が好演で、彼の提供する笑いに随分救われました。 窪塚俊介さん@福地貢は、体も精神も病んでいる様が見事に表現されている暴君ぶりで印象深かったです。 他の主なキャストは永井大さん@藤山武士福田沙紀さん@悠起

作品の全体的な感想は「どうしてこんなに暗い作品が何度も再演を重ねる人気作なんだろう?」と私の理解の範疇を越えるものには変わりはありませんでした。

劇場
博多座
日時
2016.1.23(土曜日)/16:30〜