ブロードウェイと銃弾【博多座】

福田雄一監督が演出で浦井健治さん×城田優さんのW主演…すっごく楽しみに2回拝見。 アカデミー賞7部門にノミネートされたウディ・アレンの同名映画が原作だそうですが、映画は観たことがなく、今舞台で初めて今作品に触れました。

宝塚でいうところの“銀鏡”が、宝塚公演以外で博多座にかかるのは珍しいかと。 3階席からだと、かなり隠れてしまって、ちと厳しかった! BWで、いわゆるショービジネスが舞台…とくれば、ある程度予想はしていたものの、幕が開いた途端『あ!クレイジー・フォー・ユーだ!(以後CFY)』。 演出も所々にCFYを彷彿とさせる部分を感じたので、何かなぞっている部分もあったのかな?(パンフレットを購入していないので謎) タイトルからして“銃弾”と物騒なだけに、闇な部分やセクシーな表現もあるので、家族で観れて“誰もがハッピーエンド”な訳ではなく、大部分がコメディ要素なだけに、観劇後の爽快感が半減するのがちと残念(あくまでも自分比)。 そして、正直に一番感じたのは『CFY観たいっ!』だった…(曲も圧倒的に馴染みがあるし)。

浦井健治さん@デビットは、夜神月やメンフィスなど“俺様キャラ”で拝見するのが続いていたので、新鮮☆だし、こっちの方がシックリくる感じ。 他のキャラクターが強烈すぎるので、振り回される“普通の人”は難しいだろうなぁ…と。
城田優さん@チーチ(「43回菊田一夫演劇賞」演劇賞)は、改めて、歌ウマー〜と聴き入りました。 そして観劇前から散々耳にしていた“すごく大変なタップダンス”は、手に汗握って観劇〜拍手☆ オリーブの物真似をしながらキレる様に爆笑。 マフィアの迫力を出すためか?低く発する声で、ちょっとセリフが聞き取り辛い箇所あり。 またすぐにでも他のミュージカル作品を観てみたい!
平野綾さん@オリーブは、彼女がミュージカル界に来てなかったら、他に誰がこの役を演じていたんだろう?と思える適役。 ワゴンに乗って、チーチの周りをくるくる周りながら劇中のセリフを言うシーンは爆笑! “アニメ声”って表現は…どうなんだろう? ちょっとひっかかるんだけど、気にし過ぎ?
一番印象に残ったのは前田美波里さん@ヘレンもうホントに素敵! “ザ・舞台女優”って感じ。 ここまで“女”をグイグイと出した弾けたお役で拝見したのは初めてで、と〜っても若々しくてスタイル抜群で艶めいていてビックリ。 浦井健治さん@デビッドがあの迫力ある魅力にグイグイ押される気持ちも解る! 観劇しながら「いや〜、美波里さんステキ」と何度つぶやいた事か!(心の中で) 何をとってもパッと目を引く華やかさがあるんですよね〜♪
対して、博多座初お目見えで凄く期待していた保坂知寿さん@イーデンは役所のせいか?かなり消化不良。 唯一のソロナンバーは、前からちょっと苦手に感じていた演歌調な歌い方が復活していて残念。 鈴木壮麻さん@ワーナーは印象に残る歌がなく…せっかく劇団四季の看板俳優だったお二人が出ているのにもったいない!と思った次第。 愛加あゆさん@エレンは『綺麗な愛加さん、観れて良かったな』(←黒焦げミタムン王女が強烈すぎて〜)

今後も博多座で、このくらいの作品がこのくらいの日程で上演されるとイイなぁ。

キャスト
デビット:浦井健治/チーチ:城田優/オリーブ:平野綾/イーデン:保坂知寿/エレン:愛加あゆ/ニック:ブラザートム/ワーナー:鈴木壮麻/ヘレン:前田美波里
劇場
博多座
日時
2018.3.28(水曜日)/12:00〜
2018.4.1(日曜日)/12:00〜(千穐楽)

幽玄【博多座】

坂東玉三郎×鼓童『アマテラス(2006年)』に続く待望の共演第二弾! 前作が面白かったので今回も足を運びました。 玉三郎さんの博多座お目見えは2013年以来の事(しかし…大歌舞伎で来てくれる事はナイのだろうか?)

世阿弥が見た世界を【羽衣】【道成寺】【石橋】など能の代表演目を題材にして表現することに挑戦!との事で、今回も“圧倒的玉さんワールド”。

一幕目は【羽衣】。 これが…あまりにも、あまりにも“静”と“闇”の世界で、鼓童は20人以上が太鼓を奏でているというのに“静寂”という感じで【お能】っぽい(イメージ、イメージ!) 鼓童の演奏ってダイナミックに動くイメージだったので、座ったままひたすら『コトコトコトコト…』と奏でる音色と、まさかの“謡(うたい)”もあり、不思議な空間に誘われる印象。 舞台もほぼ闇に覆われていたので、え〜っと睡魔が…。玉三郎さん@天女花柳壽輔さん@白龍に、ワキツレが登場して「船、波、風などを表現」、との事。 ちょっと私には難解な世界だった。

二幕目は【道成寺】+【石橋】。こちらは歌舞伎で馴染みがあったので、様式の違いを楽しめた。 “蛇舞”は長崎くんちの“蛇踊り”を彷彿とさせる迫力で引き込まれ、玉三郎さん@清姫の霊を鎮めようと畳み掛け、押さえ込むような太鼓の音に「頑張れ!頑張れ!」と応援してしまう感じ。 霊が収まると、玉三郎さん@獅子の精が出て皆で祝う…という筋立てで「玉さんの毛振りが観れるとは!」という思わぬ特典付き、に歓喜♪ ご自身、舞台で披露される機会は少ないと思うのですが「体幹がしっかりしてるんだろうなぁ…」と感嘆させられるブレのなさ。

今作を観て総評。 私にはかなり難しく、観劇に忍耐を要した…以上。

レ・ミゼラブル【博多座】

一番多く観た事がないキャストが出ている】+【吉原・和音夫妻が出ている】という2つの条件でチョイスした観劇日。 今公演はこの1回限りの観劇。
博多座では5度目の上演で、今回は舞台を観ない人には馴染みのないキャストばかりだったのに、満員御礼でビックリ! 残りの公演日の残席状況をみても殆ど残ってなくてビックリ! レミゼ人気、恐るべし! お盆中の博多座公演って何度か行ったことがあるけど「やっぱり皆、お盆は実家でゆっくりなんだなぁ」と思わせる客席の入りだった事が殆どだったので…とにかくビックリ! そして今公演はお子さんを多く見かけた印象。この子たちの中から明日のミュージカルスターが輩出されるか?!

上演時間が短縮されているからだろうけど、以前の演出を見慣れ過ぎている身としては「何もかも急ぎ過ぎていて余韻がない!」というのが改めての全体の感想。 「そこ、ちょっと間を置こうよ!」と何度思ったことか〜。 やっぱりどうしたって砦が落ちた時のアンジョルラスとガブローシュの演出と、カフェソングの演出は前の方が良かった!(カフェじゃないじゃん!で、曲名に違和感があるじゃん!)

キャストの印象を…
ヤン・ジュンモさん@バルジャン【彼を帰して】と【エピローグ】にはポロポロ泣いてしまった! バルジャンの心情が素晴らしく伝わってきて心に染み入る歌唱だった。 元々、好きなシーンだけど、落涙したのは初めてかも? そして和音美桜さん@ファンテーヌの女神?天使?振りが神々し過ぎて、ラストシーンをより荘厳な世界へ昇華させているような気持ちにさせられました。和音ファンテーヌの死の間際の薄幸ぶりはピカイチ☆ そして改めて歌が賛美歌のようで美しく感動的!
吉原光夫さん@ジャベール、貫禄出てきましたね〜吉原さん! とてもオムツはいて、天気予報やってた人とは思えないよ!(←ゴンゾ@【ユタと不思議な仲間たち】) 貫禄ありすぎて、ちょっと尾崎紀世彦に見えたことは内緒。どうしてもバルジャンに捕われてしまう自身に苦悩する様が解りやすいジャベール。
やっと観れた鈴木ほのかさん@マダム・テナルディエは他の方が強烈すぎるのか?普通の意地悪おばさん、って感じ。 だから、コゼットへの仕打ちが余計陰湿に見えたのかな? 笑いは少ない。カジモド@【ノートルダムの鐘】が観れなくて悔しい思いをしていた海宝直人さん@マリウス、真面目な優等生が熱に浮かされている様が危なっかしく表現されていて面白いけど、後半の絶望感は今ひとつ。 唯月ふうかさん@エポニーヌ、演出の都合だろうけど、何もかも早い! でも歌ウマ〜♪ 【舞妓はレディ】楽しみにお待ちしております。相葉裕樹さん@アンジョルラス小南満佑子さん@コゼット、過去キャストをしっかりと踏襲した感じ。

何度も繰り返されて盛り上がるカーテンコールに改めてのレミゼ人気に圧倒されました〜。

キャスト
バルジャン:ヤン・ジュンモ/ジャベール:吉原光夫/エポニーヌ:唯月ふうか/ファンテーヌ:和音美桜/コゼット:小南満佑子/マリウス:海宝直人/テナルディエ:KENTARO/マダム・テナルディエ:鈴木ほのか/アンジョルラス:相葉裕樹/ガブローシュ:大西統眞
劇場
博多座
日時
2017.8.12(土)/17:30~

グレート・ギャツビー【博多座】

『全く好みではなかった』という、その一言に尽きる作品だった…。
小池修一郎さんが宝塚歌劇で世界初の“ミュージカル化”に成功したものを脚本・演出を新たに再び!という触れ込みだったが、宝塚だから成立したように思う(観た事ナイけど)。 
カッコいい男と可愛く美しい女が出会い、お互いの環境が変わっても一途にお互いを想い続け…という“ラブロマンス”という表現が相応しいような、各々が自分のことしか見ていない人物像にイラつく為か、とにかくモヤモヤする観賞後の心持ちがよろしくナイ! 登場人物で唯一心を寄せて観れたのは、畠中洋さん@ジョージ・ウィルソンのみ。 みんな自分勝手! 特に夢咲ねねさん@デイジー・ブキャナンに魅力がなく、キャラクター設定だとしても…なぁ〜。蒼乃夕妃さん@マートル・ウィルソンは佐藤仁美さんが演じそうな役だった!
曲はリチャード・オベラッカーによる全曲書き下ろし!だそうだが、個人的には印象に残るフレーズやメロディがひとつもなく…(ヅカ版はどうなの?)

…なので、楽しめた衣裳についての感想を。
映画1974年版では、ラフル・ローレンが、映画2013年版ではプラダやミュウミュウがコラボしてて、アカデミー賞の衣装デザイン賞も受賞しているだけに、舞台版もアール・デコ様式?の衣裳がとっても素敵☆ AKANE LIVさん@ジョーダン・ベイカーがその象徴的なアイコンとして登場していてお洒落♪

今公演って『去年好評だった舞台の再演!地方都市公演も!』ですよね? どの辺りが好評で、再演ではどの部分がブラッシュアップされていたのか教えて欲しい。 まずは宝塚版の映像を探して観てみなくては(観劇前に予習しておくべきだった!)

キャスト
ジェイ・ギャツビー:井上芳雄/デイジー・ブキャナン:夢咲ねね/トム・ブキャナン:広瀬友祐/ジョージ・ウィルソン:畠中洋/マートル・ウィルソン:蒼乃夕妃/ジョーダン・ベイカー:AKANE LIV/ニック・キャラウェイ:田代万里生
劇場
博多座
日時
2017.7.22(土曜日)/17:00〜

新版 喜劇 売らいでか!〜亭主売ります〜【博多座】

博多座では、2005年の3月以来の再演。 その公演期間の20日“福岡県西方沖地震”が発生して…はて?その時の博多座の対応はどうだったのかは…記録になし。 ちなみに私はその公演時にも観劇を予定していたのですが、これまた思わぬ交通事故に遭い、長時間同じ体勢での観劇がどうしても困難だったので観劇叶わず…、で“初・売らいでか!”です。 ちなみに浜木綿子さんは今公演中に『公演回数通算550回』を迎えたとのことで、博多座では特別カーテーンコールが♪

『泣いて 笑って 3分に一度は大爆笑!!』というコピーは嘘じゃなかった! いや〜、面白かった〜!!! 博多座の客席の反応も、元気なおばちゃんたちの笑い声が大きく響いて、つられてまた笑ってしまう。 浜木綿子さん×左とん平さんのコンビを楽しみにチケットを確保していたけれど、残念ながらとん平さんは病気療養で降板。 代役は井上順さんだったけど、役柄的には二人の女性の間をフラフラと行ったり来たりする色男振りは、結果的に順さんの方が説得力があったかと♪

一幕目、浜木綿子さん@なつ枝は、井上順さん@杉雄に連れ添う貞淑でおとなしい妻ぶりで、正司花江さん@姑にいびられ(でも痛烈な口応えはする)で、表情も暗くて冴えないファッション。 故に夫を売った金を元手に、株式会社伊賀組紐商会を設立し社長となった二幕目の変わり様が激しく、痛快で面白い! ティアラを頭に乗っけてのキンキラキンの振袖は“オーロラ輝子”かと思ったよ(古っ!)正司花江さんの変化も爆笑。『売って売って売りまくれ。売れるものなら亭主でも』の社訓は、女性のたくましさ全開で笑える! …けど、ご夫婦で観劇されたご主人はいろいろと居心地が悪い演目かも?

他キャストは…
空眞弓さん@神代産業当主・里子は、役だからなのか?終始厳しい表情が固まったままで変化がなく、激しく違和感。 しかも私の印象にあった大空さんより遥かに太ってて別人のようだったのも驚き。 杉雄を寝屋に誘う様はちょっとホラー入ってた! 加藤茶さん@支配人・石上はクシャミだけで笑いが取れる事が改めてスゴイぜ、カトちゃん! 大和悠河さん@きく子は、一人だけ姿形が異形で、お辞儀姿が素晴らしくキレイ! ドライに世の中を渡っていく女を痛快に演じて好演。

キャスト
なつ枝:浜木綿子/杉雄:井上 順/姑ぎん:正司花江/神代産業の当主・里子:大空眞弓/支配人・石上:加藤 茶/敬子:山田まりや/きく子:大和悠河
劇場
博多座
日時
2017.7.5(水)/16:00~