魔界転生【博多座】

私は映画も含めて【舞台・真田十勇士】を観ていないので、今作品が【マキノノゾミ脚本×堤幸彦演出】という舞台は初観劇☆ 故に、単純に【真田…】を観劇した事がある人が今作を観た感想を聞いてみたい!と思った。 …というのは、事前のプロモーションで『見た事がない舞台』という触れ込みだった舞台演出、美術はどうバージョンUPしていたのかを知りたいと思ったから。

お話の場面が目まぐるしく変わるので、その補足としてプロジェクションマッピングがこれでもか!というくらい情景を投影しながら場所を説明し、魔術炸裂の場面では演者の前にスクリーンを降ろして、電光石火や呪文の波動を映し出し…と、ちょっと過剰に感じる。 四郎の呪文「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり!」の時“エロ”という文字が回転しながら巨大化するのが、毎度どうしても笑える(何故そこで改行する?!…というのは堤さんの狙いなんだろうな) 天草四郎のワイヤーアクションはピーターパン(ミュージカル)のように、1本吊りでもっとスームスな動きに出来るのでは?と素人ながらに思った次第でちょっとモッタリしていてちょっと残念な“魔界感”。

金の雲がたなびく絵巻物の中で、人物が動く状況説明動画や「ん?この声は梅雀さん?」と思ったらビンゴだった語りは中村梅雀さんの丁寧なナレーションで、重々補足はあるのだが、いかんせん慌ただしさは否めない。 10日のカーテンコールで上川さん曰く「今日で7公演目ですが、初日から8分短くなりました!」だそう。「この調子でいけば、大阪楽には90分、一幕なくなる計算なので、観劇はお早めに~」だそう。 うん、歌舞伎並みの上演時間は観るのに覚悟は居るな!(私は2回観劇)

キリシタン一揆における殺戮の残忍さが克明に表現され、それに打ち震えこの世に遺恨を残す溝端淳平さん@天草四郎が“魔界転生”する流れは凄く説得力がある。 溝端さんは憂いの表情が良く、魔界モノになってからは色気も充分! 大きな悲しみをかかえて奮起する様が強く伝わってくる好演。 私、“テレビ俳優さんは舞台でのセリフが聴き取り辛い”という先入観をずっと持っていましたが、失礼しました! 今公演にご出演の方は全てが明瞭で、さすがプロ!でした~。

その他、役者さんの感想は…
上川隆也さん@柳生十兵衛松平健さん@柳生宗矩の立ち廻りはゾクゾクした! 山口馬木也さん@由比正雪はボルトポーズといい、魔界への呪文を操る軍学者なのに何故かお笑い担当的な! 野添義弘さん@宝蔵院胤舜は映画の印象そのままだし、真砂京之介さん@岩浅重成の悪代官的な笑い方は素晴らしい安定感! 浅野ゆう子さん@淀殿は…やっぱり細川ガラシャ夫人が観たかったよっ! 他に高岡早紀さんお品皆本麻帆さん@すず

“魔界衆vs人間”の対戦の構図で戦い合う若手の俳優さんは“2.5次元ミュージカル俳優か?!”なイケメン揃いで(実際カーテンコールを含めちょいちょいミュージカル要素もあり)、ロビーには衣裳を身につけたブロマイドが販売されていたし! 蒼木陣さん@小十郎町井祥真さん@宗一郎のBLっぽい設定は何なんだ?!
この後、東京〜大阪と公演されるけど、大千穐楽にはかなり違ったものになっていそう〜。

劇場
博多座
日時
2018.10.10(水曜日)/11:30〜、2018.10.28(日曜日)/11:30〜

マリー・アントワネット【博多座】

2006年の初演時『東宝製作の新作ミュージカルをミヒャエル・クンツェ×シルヴェスター・リーヴァイで!』と大々的にPRされ、その期待も大きかっただけに「なんだかなぁ〜」「でも曲は好きだなぁ」」という印象が強かった作品。 …と同等の感想を持った人が多かったのか?否かは判らないけど、その初演以来、久々の再演。 他の数名のメインキャラも変更があり、それによって曲の増減もあったかと(パンフレット未購入の為、不明)  栗山民也さんの初演演出からガラリと変わった再演演出はロバート・ヨハンソンさん。 物語の狂言回し的な役で回り舞台でクルクル回って、そのポージングも印象的だった山口祐一郎さん@カリオストロの存在がきれいサッパリなくなった事が一番大きな変更点。
私、今公演2回の観劇で、最大公約数で観れるキャストを熟慮して…残念ながら原田優一さん@ルイ16世のみ観れず!

12年振りの観劇というものは、こうも覚えていないものか?!と自分にガッカリしながら、いやいや演出変わり過ぎで、もはや別作品なのでは?と思ったり…の繰り返し。 曲も【100万のキャンドル】【もしも鍛冶屋なら】と仮面舞踏会の曲くらいしか耳が覚えていない悲しさ。 舞台美術は観客のイメージに委ねず、きちんと視覚化されている印象。 特に印象的だったのは、民衆の女たちが川で洗濯をするシーンと、瓦版の記事が組み立てられていく様子を映像で表現しているシーンが面白かった。 そして直近で観たミュージカル作品が【1789】で演者も被るものがあって、「あれ?コレこの前観たような〜?」な表現も見受けられた。

2回の観劇を経た観劇を総括すると『新演出になろうと、やはり苦手演目だった』。 要因は二人のMAどちらにも共感できない事かと思う。 どのキャラクターに気持ちを寄せて観ればイイのか解らない。 …故に各キャストの感想を。

Wキャストでは…
マリー・アントワネット= 久々拝見の笹本玲奈さんは、悪くはナイけど良くもなく、綺麗だけど王妃には見えず特に印象に残らない不思議。 花總まりさんの歌は不安がなくなった印象で、王妃の立ち振る舞いはさすが。
マルグリット・アルノー=ソニンさんは【1789】の時も思ったけど、自身が役に入り込み過ぎていて『私、熱演してます!』感が激しく、酔って入る印象で、観客の気持ちの置いてけぼり感がすごく強い。 セリフが聞き取りにくい。 今後は他の作品では彼女は避けるかな。 昆夏美さんはちょっとまだ上品かな。歌は安定。
フェルセン伯爵= 田代万里生さんの歌は超安定。 古川雄大さんは歌、上手くなったなぁ〜。 でもクール過ぎて王妃への気持ちの熱さはあまり感じられない。
ルイ16世= 佐藤隆紀さん(原田優一さんは未観劇)、博多座エリザにはご出演がなかったので、博多座初お目見え☆ 歌は素晴らしく聴き入る! 表情があまり変わらないから、演技が淡白にみえたかも。

ticket_folder吉原光夫さん@オルレアン公は、初演のキャラクターは“胡散臭い+とぼけキャラ”な印象だったけど、今演出は“真面目に悪役”。 「おぉ♪カッコいい!」 黒髪のウエーブ長髪がとってもお似合いだし、何か企んでいそうな胡散臭い表情が良い。 劇団四季退団後に拝見したお役の中で一番好きかも。
駒田一さん@レオナール彩吹真央さん@ローズ・ベルタンはレミゼのテナルディエ夫妻のような役回りで、歌えるお二人がちょっともったいない印象。 坂元健児さん@ジャック・エベールも彩乃かなみさん@ランバル公爵夫人も歌がもっと聴きたかったなぁ。

今公演、久光製薬がスポンサーで、劇場ではサロンパスやチケットフォルダ等の太っ腹配布が♪ 【東京2020】で張り切ってる☆

キャスト
▼2018.9.16(ソワレ)
マリー・アントワネット:笹本玲奈/マルグリット・アルノー:ソニン/フェルセン伯爵:田代万里生/ルイ16世:佐藤隆紀/マリー・テレーズ:高畠美野/ルイ・シャルル:陣慶昭
▼2018.9.25(マチネ)
マリー・アントワネット:花總まり/マルグリット・アルノー:昆夏美/フェルセン伯爵:古川雄大/ルイ16世:佐藤隆紀/マリー・テレーズ:叶英奈/ルイ・シャルル:長堀海琉
劇場
博多座
日時
2018.9.16(日曜日)/17:00〜、2018.9.25(火曜日)/12:00〜

 
MA_cast

VOICARIONⅢ 博多座声歌舞伎 〜信長の犬〜【博多座】

【歌】バックバンド皆さん、【舞】能楽師の皆さん、【伎】7人の声優さんの演技、各々の専門分野のブロの技が織りなす“声歌舞伎”VOICARION。 『2018年戌年に贈る日本最初の軍用犬の実話を元にした藤沢文翁版異色の戦国絵巻』で、博多座初上演。 カーテンコールのトークで諏訪部さんが「公演が決まった後、なかなか上演出来る小屋が見つからなかったところに博多座に声をかけてもらった」と。 こんなに客入りがイイなら、今後も博多座上演あるのでは?
私、博多座で上演が発表されるまで、私は“VOICARION”というモノを知らず「名前を知ってる声優さんが博多座に来るなら観てみよっかな〜」という軽い気持ちで参戦したら、2日間3公演のチケットは速完で、チケット入手出来ずに「地元なのにLVで観ることに…」という方も多くいらっしゃったとの事で、いずれの回も“満員御礼”。 博多座公演千穐楽のLVは、5月のヅカ公演以来の2回目、でしょうか? 今後も増えていきそうですね。
場内アナウンスもご出演の声優さんが♪ ただのアナウンスなんだけど“いよいよ始まる!”感が高い!

私にとっては全く初めて接するタイプの舞台で新鮮だった! 故に、最初の方はその世界観に入り込むまでちょっと時間がかかったけど、頭の中で映像が浮かぶようになってからは、グイグイとストーリーに引き込まれた!
声優さん、映像でアニメや吹き替えでのアフレコ風景を時々目にするけれど『声だけでお芝居をする』という、プロのスゴ技に改めて感激。 声優は各々キャラクターに沿った衣裳を身につけているものの、基本、芝居をする時はスタンドマイクの前に立って台本を読む…という、キャラクターの感情の表現が声だけで豊かに紡ぎ出すのが、今更ながらに凄いな!と。 ただ台本片手に台詞を読んでいるだけ(…というと語弊があるけど)なのに、そのキャラクターが自分の中にイメージとして出来上がって動き出す…という体験が新鮮。 私、今までにリーディング公演のようなモノは全く観劇したことがなかったので、なおさら! しかも泣いてしまったし!  一幕目と二幕目、声優さんの立ち位置が変わったのは観客に嬉しい演出♪ ファイヤ〜!も迫力満点。

先日、来年の【レミゼ】キャストに抜擢された、今公演紅一点の朴璐美さん@織田信長。 まるでヅカ男役か?!の出で立ちでカッコいい!(レミゼ、めっちゃ楽しみ!) 私の中ではハンジさん(at 進撃の巨人)な朴さんだけど、威厳があって懐深く、圧倒的なカリスマ性をもった信長を何故女性の声優さんが?…という疑問はストーリーが進むにつれて全く気にならないハマりぶり♪
諏訪部順一さん@信長の犬ルキフェルはボルゾイのヴィジュアルをイメージしながら聞いていると、ストーリーの中で鮮やかに躍動。 主人を想う忠誠心に涙。
井上和彦さん@瑠璃丸は、時折“にゃんこ先生”を彷彿ささせる!  コミカル〜シリアスの切り替えが匠の技!

キャスト
信長の犬ルキフェル:諏訪部順一/織田信長:朴 璐美/明智光秀:保志総一朗/豊臣秀吉:鈴村健一/太田資正:浪川大輔/瑠璃丸:井上和彦/野口多門:石田 彰
劇場
博多座
日時
2018.9.2(日曜日)/15:30〜

三谷文楽in博多座 其礼成心中【博多座】

2015年12月を最後に博多座で文楽公演が上演されなくなった後、多分…それ以降、他の劇場でも観劇スケジュールがなかなか合わず、文楽を観劇していなかった私。 久しぶりの文楽観劇! しかも“三谷文楽in博多座”とあれば期待値更にUP↑ 博多座公演は3日間、4回公演で本日は千穐楽☆ 満員御礼の客席2階で観劇。 博多座での文楽公演を初めて2階席で観劇したけど、三谷文楽ならではの舞台演出に助けられてストレスなく観れた♪ 多分、古典だといろいろ見切れていたかと〜。

歌舞伎では何度となく観ている【曽根崎心中】と【心中天網島】。 お話はそのヒットの裏で繰り広げられる曽根崎の普通の人々の人情物語で、2012年東京・パルコ劇場での初演との事で以後再演を繰り返している人気作。 これ、以後歌舞伎で両演目を観たら、セットで思い出して笑ってしまいそう…。 人形の表情が、古典よりも豊かに見える不思議。

ストーリーの組み立てが秀逸☆  饅頭屋の娘と天ぷら屋の息子の恋、二度目の再起を願って心中を試みる夫婦の可笑しみ。 淀川への投身の演出はビニールを使って水を表現し、6人の人形遣いさんが全身で表現するもがく夫婦を演じ、その必死な動きから“生への強い執着”がかえって強く感じられ面白く印象的。

カーテンコールがあるのは驚き! 日頃は古典芸能を粛々と演じている演者の皆さんが、笑顔を浮かべてフレンドリーに客席に手を振る様にニッコリ☆
三谷文楽、他作品があるなら是非観てみたい!

劇場
博多座
日時
2018.8.19(日曜日)/11:00〜

大人のけんがが終わるまで【博多座】

久し振りにストレートプレイを観た。 「うん、そうストレートプレイってこんなんだったよね」って感想(何ソレ?)突然始まって、突然終わり「あれ?これでお終い?」ってなる、アレですよ。 うん。
本当はもっと小さな小屋で上演されるであろう作品で、各々が激しく自己主張し、バタバタと畳み掛けるセリフの応酬は聞き逃すとストーリーの背景が?となる危険性あり。 舞台美術もこじんまりながらも、最低限で観客にそのイメージを伝えるのには十分。 洗面所の使い方は面白かった! しかし、博多座で上演されなければ観なかったであろう作品だな。

以下、キャストの感想。

鈴木京香さん@アンドレアは、声が低くてこもっている印象だったけど、舞台でもハッキリ聞き取れるセリフまわし。 さすがデビュー当時はモデルさんだったというプロポーションで立ち姿も、生足美脚も美しい。
北村有起哉さん@ボリスは“男の色気”どうだ!ってな感じで、大人のどうしようないグダグダ感と“でも放っておけなくて惹かれちゃう”、不倫は間違いなくしてるだろう…な、男性を好演。
麻実れいさん@イヴォンヌは、いつもキリリと“舞台女優”然としたお姿の印象が強いだけに軽い認知症の白髪老女で衝撃的な怪演! 全員を振り回しちゃう困ったさんながらもチャーミングで素敵。
藤井隆さん@エリックは、マザコン設定だけど…どうやっても“藤井隆”だった。
板谷由夏さん@フランソワーズはスパスパ煙草をふかす様が印象的でストレスの塊って感じ。それがいつ爆発するのかハラハラさせられるのはさすがの空気。 髪型のせいか?フランソーワーズ感がなく“純日本人”たった(見た目ね)

キャスト
アンドレア:鈴木京香/ボリス:北村有起哉/イヴォンヌ:麻実れい/エリック:藤井隆/フランソワーズ:板谷由夏
劇場
博多座
日時
2018.8.5(日曜日)/16:00〜