四月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

仁左衛門さんが“一世一代”と銘打って演じ納め、自ら監修を務める…通し狂言【絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)】とあれば、観劇せねば! 私、初見の演目。 仁左さんが演じるのは今回が5度目だそう。 故に久し振りにイヤホンガイドを借りてみた!(久し振り過ぎてカードの期限が切れていた!泣く〜。) 昨年10月の国立劇場【霊験亀山鉾】は『再演があれば絶対遠征する!』と思って構えていたのに行けなかったから、『仁左さんの色悪演目なら今月こそ!』 しかし私、自分でもビックリな事に昨年は一度も歌舞伎座で観劇をしていなかった!

仁左衛門さん@左枝大学之助は江国多賀家の御家騒動を背景に、本家横領を狙う武家人。 目障りな家臣を斬ったり、人妻を強奪や子戸を殺害…など、これ以上のナイくらいの非道ぶりに驚き、心底悪党の町人・仁左衛門さん@立場の太平次も“姑息”を絵に描いたような呆れた悪党で、二役ともに徹底した極悪非道ぶり! それを痛快に楽しそうに演じる仁左さんの表情に惹きつけられた。 “悪の華”という感じ。各幕ごとに立廻りや殺しの場面があるんだけど、今回のフル回転大奮闘の仁左さんには残念ながら、立ち廻りで“おじいちゃん”な感じが否めなかった(今まで感じた事がなかったからなおさら感じた)。実年齢からいえば相応だけど…だけど…。

時蔵さん@うんざりお松は蛇使いの女で、盗みや殺しを働く“悪婆”の原型になったキャラクターとの事。日本で“蛇使い”という職業がこの当時(現代もだけど!)あった事にビックリ。 相当なワルのくせして惚れた男には甘々な様は滑稽で井戸に放り込まれる最期でさえ、滑稽で笑える。個人的にはキリリとした姉さん風情が最もハマる(芸者さん姿がピカイチ☆)と思う時蔵さんだけど、こ〜ゆ〜“がらっぱち”な、お役はコミカルな部分が凄く際立つ印象。

鶴屋南北作、全4幕通しの上演。南北の人気作には“色悪”がよく出てきますが、いろんなものに抑圧された時代、欲望のまま自分の思うがままに世の中を立ち廻る悪党にちょっとした憧れを持った人が多かったんでしょうか?…にしても極悪非道過ぎるだろ!

劇場
歌舞伎座
日時
2018.4.12(木曜日)/16:30〜