仮名手本忠臣蔵・夜の部【歌舞伎座】
五・六段目
“山崎街道二つ玉の場”の、信二郎さん@定九郎の色悪ぶり、闇に生える白塗りと口からしたたり足に落ちる流れる赤い血の…色の対比がなんと美しい事!! しかし…短いながらも強烈なお役なのに、印象が薄いのは残念~。 登場した時も「信二郎ここにあり!」的な存在感がナイのは寂しかった。 勘九郎さん@勘平の、人を打ったという驚きと、思わず財布を握りしめて逃げ出す時の、心の葛藤が表情からありありと見てとれて良かった。
家橘さん急病休演の為、代役・上村吉弥さん@母おかや。 「美人なお役で拝見したかったな~」と思いつつも、汗が落ちて膝上の着物の色がすっかり変ってしまうほどの熱演に引込まれた。 「舅殺し!」と勘平をなじり、その後疑いが晴れるが不幸な結果となってしまった悲劇を嘆き悲しむ様は、勘九郎さんの熱演と絡んで印象に残った。
七段目
一力茶屋の仲居や手代の人数にまずは圧倒された! “一発芸”では『天皇賞?で落馬の武豊騎手』『あざらしのタマちゃん&ウタちゃん』ネタも♪ 演技に演技を重ねる吉右衛門さん@由良之助の変りぶりが楽しめる。 特に扇雀さん@力弥が書状をもって尋ねた時のするどい眼光が素敵!
しかし、なんといっても好きだったのは、團十郎さん@平右衛門、玉三郎さん@お軽の“兄妹愛”! いきなり斬りかかった兄から逃げてやりとりする花道での会話はなんとも楽しい。 この二人の組み合わせで“かわいい”という印象を受けるとは意外で新鮮♪
十一段目
浅葱幕が切って落されると、舞台に居並ぶ浪士たち。 もうその姿だけで鳥肌ゾゾ~の興奮もの! 季節は巡りめぐって雪が降る銀世界の冬。 着物の黒がキリリと舞台に映えて、討入りの気迫をも表現しているような…♪ 池にかかった橋の上での立ち廻り、池に落ちてしまう演出の工夫…そして池から這い上がってきた時の細かな演技。 勢いのある場面 だけにこういった細かな部分が印象に残った。
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