九月大歌舞伎・昼の部【博多座】

勘九郎さん&福助さん博多座座初お目見え! 昼は見取り狂言、夜は通し狂言とバラエティー豊かな演目が勢揃い♪ 事前の博多座の広報活動も相当な力の入れようで、多くの人の興味をそそったようです。 その甲斐あってか?連日大盛況で平日の幕見の競争率も高く、盛り上がった公演となりました。  特に昼の部の人気は高く、前売りでB、C席完売! 夜の部も初日開けてから早い段階 でC席は埋まったようです。 公演を観て思ったのは…「中村屋さんは演目の選び方が上手い」って事でしょうか? やはり博多座にはまだまだ歌舞伎ビギナーの観客の方が多い訳で、今公演でデビュー した、という方も沢山いらっしゃったと思います。 そんな劇場の性格を把握して“初心者にも解りやすく楽しめる”…といった演目を 揃えてきた事は今公演成功の大きな要因のひとつだったと思います。 次回、勘九郎さんが博多座に…となる時は、きっと“中村勘三郎”でのお目見えと なるでしょうから“勘九郎、初お目見えにして最後の舞台”だったのでしょう。

鳴 神

私が初めて観た“生歌舞伎”は、この配役によるこの演目でした! 聞けば11年前の橋之助さんが鳴神上人初役での巡業公演の時だったようです(お目見え口上で「今度結婚します」と言っていた♪)  ですので、今回観れる事をことのほか楽しみにしていたんです! 何故かそれ以来一度もこの演目を観る機会がなかったものですし…。 11年の時を経て観た感想は…「こんなに面 白い演目だったんだ!」という驚きでした。 橘太郎さん@黒雲坊勘之丞さん@白雲坊のバランスが取れたユーモラスさにニッコリ。 福助さん@ 雲の絶間姫の匂いたつような美しさの出で観客はまず息をのみ、その後の鳴神上人を誘惑するしたたかさで笑わせる巧さで惹き付けられました。 私自身は後半の「勅命によって騙さなければならなかった」という心苦しい様が印象に残りました。 橋之助さん@ 鳴神上人は、とても清潔なか感じがして、色欲に落ちて行く好色さが薄く思えましたが、謀られた無念に怒り狂う様は“これぞ荒事”のさすがの迫力! 毎度の事ながら、黒御簾の内で奏でられる効果音には驚かされます。 ホント、雷なんだもんな~。
橋之助(鳴神上人)/福助(雲の絶間姫)

三人連獅子

大劇場で演じるのは博多座が初めて!という事でかなり気合いの入った舞台を拝見する事が出来ました。 連獅子自体、博多座でかかるのは初めてだったので“ザ・歌舞伎”というこの演目は幕見でも大変な人気でした。 博多座の舞台って広いと思っていましたが、三人ならんで毛を振ると…窮屈で、体をやや斜にふっての豪快な毛振り!! その迫力と「もうヤメてイイよ~」と思わず心配でつぶやいてしまうほどの回転数に客席からは何度も大きな拍手。 三人で板を踏み鳴らす音の迫力と振動は圧巻~! 谷底につきおとされた子獅子が親の姿を見つけ、喜々としてはいあがってくる躍動的な動きが一番印象的でした!
勘九郎(狂言師後に親獅子の精)/勘太郎・七之助(狂言師後に仔獅子の精)/弥十郎(僧遍念)/亀蔵(僧蓮念)

江戸みやげ・狐狸狐狸ばなし

初めて観ました! 元々は新派のお芝居で歌舞伎としては今回で3回目の上演との事。 お話も全然知らなかったので、全くの素の状態で楽しめました♪ 博多ご当地ネタはもちろん、毎回なにかしらのアドリブが受け、平日でも幕見は連日完売だったようです。
なんといっても、主人公・手拭い屋伊之助が元・女形、という設定が◎ ちょっとした仕種に出るナヨナヨっとした仕種がたまらなくおかしい♪ こういうお役の勘九郎さんってほんとチャーミング! 福助さん@おきわは、個人的には苦手な部分もあったのですが、やはり“抜群のコメディーセンス”はみとめざるおえない好演で客席をわかせました。 むさくるしい橋之助さんや亀蔵さんの女形、初めて観ました! そしてそして…弥十郎さん@又市!! イイ! すっごくイイ! 「あ~、私やっぱり弥十郎さん好きだなぁ♪」と再認識しました(どんな感想じゃ!) ラスト、ピシッとした姿で登場した時、客席がどよめきまして「どんなもんだい!」と何故か私、得意気な気持ちになってました♪
「あれは歌舞伎じゃないよ」という声も聞こえたりしましたが、終演後皆口々に「あ~、面 白かった~」と言って劇場を後にしていましたので、博多座公演としては大成功だったと思います。
勘九郎(手拭い屋伊之助)/福助(おきわ)/橋之助(法印重善)/弥十郎(又市)/亀蔵(おそめ)