【ユタと不思議な仲間たち】原作・TVドラマ・ミュージカルの比較
これは自分の“おぼえ書き”として…【原作】・【TVドラマ】・【ミュージカル】の比較を書き留めてみます
【原作】三浦哲郎さん原作・1971年発表(ユタとふしぎな仲間たち)
【TVドラマ】1974年に少年ドラマシリーズにてドラマ化(全3回)
【ミュージカル】劇団四季により1977年にミュージカル化→上演
この作品にハマったのは劇団四季の2004年夏の福岡シティ劇場公演(6月29日(火)~7月22日(木)・全25公演)のミュージカル観劇にて。
それまで私は【ミュージカル=洋物】という概念しかなかったし、そういう作品しか観たことがなかったので、和の要素たっぷりの作品は衝撃的で新鮮でしたし、歌舞伎の要素が随所に取り入れられていた事が大きな要因でした。 セリフは東北・南部弁で耳に優しく心地良く、大切で素敵なメッセージがいっぱいつまった作品として胸に残りました。
その後、原作を読み、昭和49年に放映されたTVドラマも観て…更に作品に含まれた奥深いメッセージを感じ、感動し、ミュージカルに限らず大好きな作品となりました。
座敷わらしたちは…ペドロ、ヒノデロ、モンゼはどの作品にも出できますが、生まれた年(=死んだ年)は微妙に違ってます。 ビジュアル化されていないジュノメェ、トガサ、ジュモンジはどんな風貌だったんだろう?とイメージしてみるのも楽しいです♪
以下は【座敷わらし名簿】? 年号は生まれた年(=死んだ年)で、「?」は具体的な記述やセリフはなく不明です。
【原作】ユタとふしぎな仲間たち
ユタの父親はタンカー事故で亡くなった、座敷わらし達の背丈はユタのおヘソくらいで、中には骨と皮のように痩せこけている者も…等の記述があり、より物語の背景が理解できる。
座敷わらし達が“乗り合いバス”と呼んでいる“鐘の音の輪”とは安楽寺の境内にある鐘が奏でる音の波の事。 和尚さんが時間の数だけ付く鐘の音がウォンウォンと音の輪を描くようにして…まるで水面の波紋のように広がっていく、その輪につかまる…のが“鐘の音の輪に乗る”という事。 輪はコバルト色の平べったい虹のような形状らしい。
『ワダワダ、アゲロジャ、ガガイ!』の呪文の意味はペドロによってユタに語られる。「母親に心配ばかりさせているやんちゃな人間の子供のように、俺たちには何遍も言ってみたい言葉」だと。
ペドロ一家が住処としていた銀林荘は山火事による延焼により消失し、村を去る事となる。
【TVドラマ】少年ドラマシリーズ
【少年ドラマシリーズ】とは、NHKで1972~83年までの11年間、制作・放送されていた少年向けの連続ドラマシリーズ。 第一作は筒井康隆原作の【タイム・トラベラー】(=時をかける少女)であり、このTV版はそのシリーズの一作品として制作された。
ユタとふしぎな仲間たち(1974年5月6日~8日全3回放映・1974年度文化庁芸術祭優秀賞受賞)は、岩手県で1年間にわたり撮影されたという季節が移ろいゆく日本の四季の美しさがふんだんに盛り込まれており、特に“おむつの洗濯”をする壮大な滝のシーン、おむつを乾かす長者山での凧揚げのシーンと“フライング目線の空撮における緑美しい山々のシーンは圧巻。 それ故にこの美しい自然を破壊する、近代化の波が押し寄せる開発工事のシーンがことさら残酷に悲しく胸を打つ。
“鐘の音の輪に乗って飛ぶ”という事が「こういう事だったのか~!」と、視覚・聴覚的に容易に理解させてくれるのは映像処理がなせる技。
お話の舞台は温泉地“湯の花村”。 温泉宿・銀林荘という事で、座敷わらし達が旅立ち前にユタと一緒に銀林荘内の温泉風呂に入るシーンは微笑ましい。
ペドロは佐藤蛾次郎さん(ピッタリ!)で、子供用のドラマという事を意識してか?南部弁は使用されず(全キャスト共に)限りなく標準語に近い。
ちなみにユタの父親は勤務先の工場での事故により死亡、と転校時クラスメイトに紹介あり。
特筆すべきはこのTVシリーズのみ登場する座敷わらし・センロ。 昭和4年生、19世紀生まれと一番若く、線路脇に捨てられて(当時はひどい不景気で、美しい母親はヒドイ男に騙されて生活に困って捨てた…らしい)座敷わらしとなる。 そのセンロが母親の面影を求めて駅のホームにポツンと座る孤独な姿と「かぁ~ちゃ~ん!かぁ~ちゃ~ん!」と絶叫する様は涙を誘う。 開発で大きな道路が出来る為、撤去されてしまう線路。 今後、センロは何を心の寄りどころとすればイイのか…せつない。
【ミュージカル】劇団四季オリジナル作品
初演時は『こどものためのミュージカル・プレイ』シリーズの1本だった(当時は【ユタとふしぎな仲間たち】)。 1984年に【YUTA】という欧文タイトルになり、劇団四季の本格的オリジナルミュージカルとして生まれ変わる。 1989年から【ユタと不思議な仲間たち】と改め、現在上演されている形態の本格的なスタートとなり現在に至る。 命や自分を取り巻く人々の大切さや感謝の気持ち、自然の恩恵などを訴える作品として、繰り返し上演を続けている。
劇中ナンバー【友だちはいいもんだ】は小学校の音楽の教科書にも取り上げられ、また【夢をつづけて】は森進一によりカバーされている。
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