團菊祭五月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

女暫

十七世市村羽左衛門七回忌追善狂言】です。
羽左衛門さんは…博多座開業の翌年の仁左衛門さん襲名披露公演で博多座ご出演予定が体調不良により休演となり、ついに一度も博多座の舞台に立たれる事なく…という経緯が(確か宗十郎さんも)。 その時に目にした“休演のお知らせ”の貼り紙を残念に見た事を思い出されます。 あれから早くも七回忌、なんですね…。
文字通りあの【暫】の女性版で、鎌倉権五郎景政の役回りを演じるのは萬次郎さん@巴御前(義仲の愛妾)。
舞台の何処に居並んでいらっしゃってもセリフを一言発するだけで「あ、萬次郎さんだ♪」と判る特徴ある声と大きな目がトレードマークな女形さん。 そしてインターネットが世に普及し始めてから間なしに、歌舞伎普及の為のご自身のサイトを開設(【KABUKI for EVERYONE】)されていた萬次郎さんを「ナウな(死語!)歌舞伎役者さんだ~」と、私の中では歌舞伎にハマった初期の段階ですぐお名前を覚えた方でもあります。 近年で一番印象に残っているお役は2006年3月のPARCO歌舞伎【決闘!高田馬場】のおウメで…正直、他には特に汗
“橘屋の総力を結集”で臨んだ今回の追善公演には、萬次郎さん@巴御前、お兄様の彦三郎さん@蒲冠者範頼、弟君の権十郎さん@清水冠者義高の三兄弟でご出演。
暫って…ストーリーを語ると超単純なものだけど、それをあんなに時間をかけて大仰に、艶やかにたっぷりとお芝居するんだから、ん~、歌舞伎だ!
恥じらう引込みが独特の女暫は、三津五郎さん@舞台番前今までの勇ましい勢いは何処へやら?で愉快で楽しい掛け合いでした♪

雨の五郎

先月の浪花花形歌舞伎で拝見した進之介さん@曽我五郎のお着物が「白で珍しい~☆」と思っていたら、今月の松緑さん@曽我五郎も!で驚きました。
柔らかみのある部分とキリリとした部分のメリハリがとてもよく効いていて気持ちが良かったです。

赤ちゃん 三ツ面子守
三津五郎さんの女形自体、私はあまり拝見した事がなく、目にも新鮮でしたが…三津五郎さん@子守、確かに少女でした! やはり上手い踊りというのは観ていて気持ちがイイですね。 おかめ~恵比寿~ヒョットコのお面をとっ替えひっ替えで次々に踊り分けるのって…「今、何のお面付けてるんだっけ?」ってならないのかしら?と無粋な考えが過っちゃいました。 観ている側はひたすら楽しかったのですが、後見さんとの呼吸もすっごく神経使いそうです~。

め組の喧嘩

粋な江戸っ子・又ちゃん今公演では菊五郎さん@め組辰五郎時蔵さん@お仲夫婦の一人息子・又八を虎之介くんが! 今月、お父さんの扇雀さんはご出演ではナイのに一人で出演とは立派!と、もはや親戚のおばちゃん状態で心配に注目していたら、伯父ちゃんである翫雀さん@おもちゃの文次との絡みは、すっごく笑顔で元気が良くてニッコリ。 すると…舞台下手の調光室で心配そうに見守る扇雀パパを発見! 一緒に「虎ちゃん頑張れ~♪」と手に汗握りました。 そういえば7月の松竹座へは、今度は壱太郎くんが一人で出演予定。 成駒屋、各々頑張ってます!!
菊五郎さん@辰五郎のピシャッ!と引戸を閉めてピタッと決まる姿は“これぞ粋な江戸っ子”風情にホレボレ。 『火事と喧嘩は江戸の華』って言ったって、命がけとは…恐れ入り谷の鬼子母神。 男のプライドって命よりも重いんですねぇ汗 水杯の数って(叩き割る数)少ないような気がしたのですが、いつも通りでしたか?
菊五郎劇団の勢いある、迫力満点の立ち廻りひとつひとつに大きな拍手! あの小屋の上にいて、飛び乗る仲間を引き上げる人。 ず~っと同じ側の手を使っているので脱臼しないのかしら?と心配しちゃいます(毎日違う人がしてるのかな?)。
でもってラスト。 鳶と力士の間に梯子をかけて仲裁に入る梅玉さん@出し喜三郎。 私、歌舞伎でどの演目のどのシーンを演じてみたいか?と言われれば、この梯子ブラ~ン登場なんです!(もしくは【恋湊博多諷】の毛剃、船首で「よかよか~」) そのくらい好きなシーンなんですが、割って入った第一声がかき消されてしまったのはちと残念。
久々に拝見し、演じられる方は本当に大変でしょうけど…「あ~、やっぱり楽しいなぁ~♪」と。 ニッコリでスカッ!とした気持ちで劇場を出れる好きな演目のひとつです。

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