芸術祭十月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

葛の葉

魁春さん@葛の葉は初役との事。 いつもの事ながら、姫と女房をクルクルと早替わる様に「舞台裏はF1のピット並みの慌ただしさだろなぁ~」と、その連携プレーの見事さに感嘆! 舞台裏には何人くらいの方が総がかりでされているんでしょう?(機織りの♪トントン カラカラ~♪って音、耳に心地良くって好き)
後に陰陽師・安倍清明と言われている、門之助さん@安倍保名との間に出来た息子に対し「お乳を飲んでねんねしや」あやしますが…昔は何歳くらいまでお乳を飲んでいたのかな?と疑問を感じるしっかりとした幼児さんの安倍童子(でも可愛かった~♪)
安倍保名を尋ねて来た、信田庄治夫妻+葛の葉姫。 在宅の返事がナイとなるや、勝手に人の家に上がり込んで、部屋を覗き見る…って、それって姫家のやる事として、あんまりな~汗と笑える(姫家でなくても人としてどうよ?ですけど)。
錦吾さん@信田庄司が帰宅した保名に「保名殿、ちょっとトイレタイム」と一言。
「は?今、なんて言ったと?びっくり」と、一瞬混乱しましたが「保名殿、ちょっと問い入れたい(といいれたい)」と数秒後に理解。 人間の耳って恐ろしい~聞き耳を立てる(私だけ?)
葛の葉の…保名がなにげに言った「畜生め!」という一言にハッと敏感に反応する様はとても細かくで感心し、次第に狐の本性を現していくくだりでは、狐色の着付けで暖簾をツイと跳ね上げて出て来る一連の表情がイイ。 女房として、母として、過ごしてきた幸せな日々に自ら決別しなくてはならない苦悩と深い悲しみと情が感じられる
ラスト、毛ぬいの狐姿となってスッポンからの出では、ろうそくでの“面灯り(つらあかり)”に照らされ、闇に浮かび上がる表情は静かな深い悲しみが伝わってくるようで印象的
しかし総じて、葛の葉の辛い気持ちに沿って子別れで涙する…という事はなかったです。 サラッと流した印象で(前回観たのが藤十郎さんのこってり特濃だったから余計にそう感じたかも汗
いつも思う事ですが『恋しくばたずね来てみよいづみなる信田の森のうらみ葛の葉』と書置を記す障子。 美術さん、毎日張り替えご苦労さまです~。 左文字(裏から見た文字)をちょっと書いてみたくなっちゃいません?
葛の葉親子

寿曽我対面

歌舞伎座における成田屋親子共演は2年5ヶ月振りだそうで、ファンでもナイ私もジ~ンとくるものがありました。 本当にヨカッタ! 病気平癒、改めておめでとうございます。
團十郎さん@工藤祐経が舞台正面で礼をするのは“劇場正面の櫓にも一礼”の意味があるとはこの度初めて知った次第。
私にとっては團十郎さんの声、というか、セリフまわし、というか…あの大らかな感じに何故だかヒーリング効果があるんですよね~。変わりなく聞く事が出来て本当に嬉しい。
いつもながら「あ~ら~」「でっけぇ~」の化粧声は一緒にかけたくなってしまう立派さで♪
小林朝比奈(権十郎さん)って、あのキャラが私、好きなんですよね~。 猿隈、猛者言葉、力髪は大仰でいかにも歌舞伎!って感じだし、あのジャングルチックなデザイン上着が他の演目ではあまりお目にかかるものではなく珍しくてお洒落でお気に入り♪
松之助さんのなまず姿(しかも白髪!)って初めて拝見で衝撃的)
菊之助さん@曽我十郎海老蔵さん@曽我五郎の兄弟は言う迄もなく美しく、花道登場七三のキメでは一斉にオペラグラスが上がって笑える。
「でも~」「やだやだ~」「堪忍袋の緒が切れた~」という元気な駄々っ子ぶりが、コミカルな愛嬌になるところは海老蔵さんならでは? ニンですが…“海老蔵さん”でした。
“富士山”と“舞鶴”で絵面でキメのラストは“THE歌舞伎”で本当に好き! 「嗚呼、私、やっぱり歌舞伎好きだわ~」と思うシーンのひとつであります♪

熊谷陣谷

この演目。 私、何故だか縁がなくて今年の六月博多座大歌舞伎(橋之助さん@直実)で初めて観た…という次第でして、しかもこの時は珍しい芝翫型
「定番演出が観てみたい!」と思っていた所に意外にもチャンスはこんなに早く♪
幸四郎さん@熊谷直実は…そんな訳で他のデフォルトと比較しようがナイのですが、ラスト、定式幕が引かれた後の花道での引込み。 戦太鼓が聞こえてきて僧形ながらハッ!と一瞬武士の顔に戻るのがすごく印象的でした。
芝翫さん@相模は、首桶には自刃の子供・小次郎である事を判ってからの慟哭ぶりは胸を打つものがあり、あまりにも取り乱す様は義経など眼中になく、何か粗相があるのでは?心配になるほど。
團十郎さん@源義経が小次郎の首を小脇に抱えて、出家する直実にその顔を見せながら見送る様は絵的には残酷ながらも、深い情けを感じるものがありました。

お祭り

私、千之助くん初舞台以来の【お祭り】でした。 あの時は千之助仕様だったうえ、彼に意識が集中していたので…鳶頭には全く眼中に入っておらず…で、そう考えると仁左衛門さんの鳶頭できちんと拝見したのは2002年六月博多座大歌舞伎以来か?! 「待ってました!
“粋でいなせでイイ男”のほろ酔い加減の江戸っ子風情は、ヴィジュアルだけで納得させられるものはありますが、改めて軽快な踊りぶりに観ていてウキウキとさせられました。

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