七月大歌舞伎・夜の部【松竹座】

一條大蔵譚

個人的には…この演目はお腹いっぱい、という感じ。 何故か立て続けに観ている印象でして…お話的にあまり好きではナイのですが、そこは今回、仁左衛門さん@一條大蔵卿。 私、初見なうえ、今回は松嶋屋さん勢揃い!な感じで楽しみに拝見。
出はニコニコと、観ている方は思わずカワイイ!と言ってしまうような笑顔なのですが、全体的な印象としては、過剰な阿呆作りをしていない、という事。
本性をキリリと現してからは「カッコイイ!」 ラストも「はよ去ねよ♪」と言いつつも、打ち落とした勘解由の首を抱えて格好良くキマリ☆ 阿呆には戻らず…これは松嶋屋の型なんだそうです。
愛之助さん@吉岡鬼次郎は、昨年3月歌舞伎座で仁左衛門さんを拝見しているのが何故かすごく目に焼き付いているので「うわぁ、ソックリ!」と改めて驚いたり。忠義に厚い、一途な感じがとてもよく出ていて好演でした。

京鹿子娘道成寺

「うわぁ、可愛い~っ」…とは、道行のお着物。 藤色地に大ぶりな白、ビンク、ブルー!の桜と細かい桜のライン。 帯は山城屋の紋・星梅鉢が散らしてあって鮮やか、艶やか! そして髪飾りは…まるでティアラか?!てなくらいのキラキラかんざしのセンターには、これまた星梅鉢がドーン。 「いったい総額いくらかかっているお衣装なのやら」と下世話な考えもよぎってしまうほどのゴージャスさ。
「綺麗な女人が尋ねてきた~」と浮き立つ、チーム所化はラブリーさ炸裂。 ま、中でもピカイチなのは翫雀さんなのは言う間でもありませんが。
千穐楽の“マイづくし”は壱くんだったそうで、観たかった!
今年二月博多座では【大津絵道成寺】でしたが、やはり王道?をこうして観てみると、改めて“長唄舞踊の大曲”と思い、この演目の人気振りと演じ手側の大変さを堪能。
藤十郎さんの花子は…情念が未練に強く勝っている印象でした。 『次第に妖しさを帯びて怨霊の正体が』というよりは、最初からメラメラ~っと来るものが花道でキッと鐘を見据えた時にありました。 ですから、乱拍子、急の舞、手踊、花笠踊り、クドキ、鞨鼓、鈴太鼓…全てにおいて踊りは“パワフル”な印象
ラスト、鐘の上では「どうだぁ~」って、かな。チーム所化が祈るポーズで幕…は絵的にとても美しかったです。
3代成駒屋

魚屋宗五郎

実は私、何故だかこの演目にはあまり縁がなくて…映像も含めて、数えるほどしか観た事がナイ。 この度はと~っても久し振りの観劇。
んな、訳で今更ながらの気付きなのですが…この演目、登場人物が全て海にちなんだ名前だったとは初めて知りました。まるでサザエさんじゃん! 魚屋の話だから…でしょうが、もしかしたら歌舞伎好きの長谷川町子先生はこの演目からもヒントを得たのかも?!
孝太郎さん@おなぎのオロオロぶりが良かったですね。 「こんな事と知っていたら持っては来なかったのに~。私が持ってきたばっかに~。」ってすまなさそうな加減が、なんだか段々体が本当に小さくなってしまっているように見えてきて笑えます。
時蔵さん@女房おはま。 最近、時蔵さんの“肌色女房(←私造語:肌は地色で長屋の疲れた女房)”を観る機会が増えたような? 美人は美しいお役で個人的には観たいのですが、そこは演技で魅せてくれます! 酒で正気を失った酒乱の菊五郎さん@魚屋宗五郎を体当たりで静止する必死ぶりには同情しちゃいますし、お屋敷で正気を取り戻した夫をたしなめる女房ぶりはかいがいしく素敵です。
この演目を筆頭に、酒で失態を犯してしまう…という歌舞伎演目って多いですけど、どれもホントに美味しそうにお酒を飲むんですよね~。 下戸の私も「美味しそうだなぁ」と毎度思ってしまうのは、役者さんの力量なんでしょうね♪
翫雀さん@磯部主計之助ってラストもラスト、最後にチラリと出てくるお殿様ですが…友達が観劇した日はドカン☆と笑いを取ったとの事。 あの場面のどこでそんなキッカケが?! 残念ながら?私の時は普通でした~。

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