五月大歌舞伎・昼の部【新橋演舞場】

ひと夜
歌舞伎座で上演されたのは42年前で、その時は雀右衛門さん(@おとよ)襲名披露公演。  今回はそのご子息・芝雀さんが初役でおとよを務める。
時代は大正の浅草の夏の夜。 セットの書き割りには凌雲閣も描かれていたそうで? 私は三階席だったので残念ながら見えず~悲しい
芝雀さん@おとよは…2002年3月国立劇場で上演された【秋の河童】以来の“蓮っ葉な浮気女”ってな感じの役柄。
“ほうろく灸”の盆を頭に「あ~ん、怖いわ。あ~っ、熱くなってきたわ。あ~っ、あ~っ」と、もだえる声が色っぽくて笑える。 ほうろく灸とは、頭の上に焙烙(ほうろく)の皿を載せ、百会のツボ に灸をすえ、無病息災、身体健全を祈願するもの。
信二郎さん@松太郎はおとよの夫で活動写真家。ちょっとおねえ系でナヨナヨしてて「あ~っ、爪が割れたわ」ってのは爆笑!! ドブ板に足を突っ込んでヒステリックに怒るところとか、猛烈に嫉妬して怒り狂い…いざ本人の前ではダダをこねてジレてみたり。 「信二郎さん、もしかしてソレ、地ですか?」ってなくらいな好演☆
夫婦喧嘩に翻弄される歌昇さん@田口義道の翻弄されっぷりも楽しく、おとよを抱きしめようと葛藤する場面は、さながら【ルパン三世・カリオストロの城】ルパンを連想させる?!(解る人には激しく同意してもらえるかと)。

寿式三番叟

千歳=女性…と思っていた(しか観た事がなかった)ので、種太郎くん@千歳の前髪立ちの少年バージョンにまずビックリ。 歌六さん
染五郎さん@三番叟×亀治郎さん@三番叟のダンスバトルが始まると、背景は松葉目ものの定番の松から、松竹梅のものにチェンジ! さすがに舞踊に定評のある花形二人、一気にみせられる
五穀豊穣の神に祈りを捧げる舞で、盛んに足をフラメンコのように踏みならすのは…『大地を強く踏みしめて大地から災いを追い払う』…という意味があるそう。
ここまでアクティブな三番叟は初めて観たかも!

夏祭浪花鑑

この演目で、一番好きなのは…実はお辰のあのセリフ。
こちの人が好くのはココじゃござんせん。…ココでごさんす。
これを聞くと「く~っ、カッコイイ~っ」と胸がスカッとするのが楽しみのひとつ。
しかし…福助さん@お辰は、なんであんなにネチャ~ッという感じの粘着質な感じの物言いと表情なんでしょう? さすがに「ココでござんす」は、スパッと気前イイ感じでしたが。 お辰って女性は、今回イヤホンガイドでも改めて解説していましたが『付けるモノを付け忘れて生まれ出て来たような女』、というキャラ設定。スパッと竹を割ったような威勢のような姉さん、のはず。 今回、全体的に受けた福助さんのネットリとした印象は“顔に色気があり過ぎる”部分をより強調したのだろうか?
もうひとつ残念だったのは、『あの旦那にしてこの女房あり!』みたいな徳兵衛とお辰の夫婦ぶりが(この二人が夫婦というイメージが出来なかった)全く感じられなかった事。 いつもは「こんな気っ風のイイ夫婦、イイねぇ~」と思うのだが。
お辰の“襟の折り返し”、これって私は初めて観た…と思う。 遊女以外の女性で、あの襟にはどんな意味があるのだろうか?
あ!お辰が頬に押し当てる鉄球はホントに煙が出ている…って事は私、初めての気付き。
【長町裏の場】では…歌六さん@義平次の垢まみれで臭ってきそうな様と、欲が着物をきているかのような金に対する執着心は見事に表現されていて、まさに“欲望の権化”。
吉右衛門さん@団七。 実はこの演目で一番観たかった、楽しみにしていたのはやっばり吉右衛門さん@団七。
でも…意外にも何故かしら『一本足で立っての見得の美しさ』と『義平次を跨いで前後にジャンプ』が印象的だった事以外、実はあまり記憶に残っていない汗 何故? 「悪人でも舅は親。親どの許してくだんせや」は絞り出すようで心に響いて残ったが。
今回、祭囃子はお江戸で上演という事で『わっしょい、わっしょい』というかけ声の神輿。 な~んか、な~んか拍子抜けでパンチがなくて~悲しい
コレ、もし博多座で上演だったら『オイッサ、オイッサ』になるのかな? でも、博多山笠だったら全速力で駆け抜ける山(神輿)だから、団七が殺人の後始末する暇はなく、アッという間に通りすぎちゃうな汗

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