高野聖/将門【博多座】

高野聖

事前に原作を読んで観劇に臨んだ初観劇の演目。
個人的には劇中にスクリーン投影で情景を説明する手法は『せっかくの生モノの鮮度が落ちる』…と言いますか、ググッと物語に入り込んで観ていた気持ちがカクンと萎えると言いますか…苦手なんです。 ですが、今回は大拍手でした! すっごく上手い使い方で唸りました~!! 生の舞台と完璧に同化していて…シーンとシーンを上手く繋ぎながら、なおかつ観客をより深く物語の世界に誘う役割を果たしていたかと。 モノクロだったのも良かったのかな~。 唯一、皮膚に吸い付いた山ヒルをはがしても血が付いていないのが違和感、でしたが~(ちょっと映画【スタンド・バイ・ミー】を思い出した)
映像もですが、舞台美術や小道具も見所が多いですね! 蛇、馬、コウモリ、ムササビ、蛙、猿…って一つの歌舞伎演目でこんなに沢山の種類の動物が出て来た作品って初めて観ました! 差し金で操る方は新たにこれら動物の動きを研究されたのでしょうか? 険しい岩山の様子や山の渕の様子は回り舞台で仕切り方に変化をもたせながらスケール感を表現し、闇夜の中で青い照明が怪しく幻想的な世界を醸し出していてグイグイと引き込まれ…まるで映画を観ているような感じを受けました。

玉三郎さん@女は、今公演の演目中で一番色っぽく、艶っぽいかと。 ついと襖を開けて出たその姿だけで妖し気な色気を纏っていて、話し方が丁寧だけどあだっぽくて…獅童さん@宗朝と共についつい惹き付けられてしまう感じ。 當吉郎さん@次郎の存在も何やら不気味で、二人で暮らすこの館になにやら淫靡な雰囲気も漂っている不思議が。 次郎が食事の時に欲しがったものは…あれは何ですか?(後方席で確認出来ず~)
山の渕へ女と宗朝が二人連れ立って向かう時は客席下りがあり、二人を照らして付き添う青い照明係さんが大変そうでしたけど、闇夜に照らし出された二人の顔は大層不気味で…綺麗。 山の渕に二人して入り背中を流す場では、客席シーーーーーーン。 「玉さんが脱ぐなんて!」と、スミマセン!下世話な驚きが~(3階席から観てみたかったゾ!) なんとも官能的でした~。
“人間を獣に変える力を持つ妖女”であった…という事を翌朝旅経つ宗朝に語り聞かせる歌六さん@親仁。 ものすごい量のセリフなのに明瞭でホント聴きやすい。 今公演で改めて思った事「歌六さん、口跡鮮やか~!!」 最近は何故だか老け役が多い歌六さんですが、快活な壮年役も久々に拝見したいものです♪
いや~、ビックリ! 【高野聖】予想外に(失礼!)面白かった~☆

将 門

今公演で、初めてお囃子連中さんが舞台上に(下手に常磐津連中)
和蝋燭の灯りに照らされてすっぽんから玉三郎さん@滝夜叉姫。 客席が「ほぉ~っ」とため息をついて大拍手なのがよく判る。 「やっぱ玉三郎さん、綺麗だわ~」 クモの巣文様の打ち掛け素敵☆ 「覚悟しぃやぁ~!」との大立ち廻りでは「背筋+腹筋、すご~い!」とこれまた客席から感嘆の声が漏れ聞こえました。 玉三郎さんの紋のし菱紋を形作る所作も取り入れられ見応え充分。 ガマの造りがちょ~っとチープで(高野聖が秀逸だったので余計気になる)屋根上に姿を表した時は「よいっしょ、よいしょ」って感じで横から出て来たのに笑えた。 ラストは雷鳴が轟き大屋体崩しで大迫力☆

古典演目が1本あって良かった♪ しかし…笑三郎さん【海神別荘】だけの御出演ってもったいないなぁ~。

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