御名残三月大歌舞伎・三部【歌舞伎座】
菅原伝授手習鑑・道明寺
【十三代目・片岡仁左衛門十七回忌】+【十四代目・守田勘弥三十七回忌】の追善狂言という事での上演。 故に玉三郎さん@覚寿という配役にテンション↑ そして仁左衛門さん@菅丞相、秀太郎さん@立田の前、我當さん@判官代輝国と兄弟そろい踏み+孝太郎さん@苅屋姫=松嶋屋ぷちオールスターズ☆
丞相と苅屋姫の親子対面をさせたいと様々に立ち回る秀太郎さん@立田の前の必死の様や、申し訳なさから流罪の原因となった娘・苅屋姫を折檻する玉三郎さん@覚寿。 どちらの気持ちもすごく良く解るだけに悲しくなってくる…と同時に、結果的には「軽卒だった」と批判される苅屋姫の恋にも同情してしまう。
苅屋姫、そして彼女を庇う立田の前と二人の娘を涙ながらに杖で打ち付ける覚寿。 悔しさと申し訳なさと…まるで自身を打ち付けているかのような苦悶の表情と絞り出す声には惹き付けられました。 玉三郎さんの老け役って最近よく拝見するようになりましたが、覚寿の気品と風格はさすがだなぁ~と。
丞相の木像って、丞相自らが彫ったものだったんですね!…という事は、何度も観ているくせに初めて知りました。 書も彫りも…って芸術的才能も豊な方なんだ。 後にこの木像を形見とし、後世まで残すもの…という芸術作品まで昇華させているんですもの。
時平から菅丞相殺害の命を受けた彌十郎さん@立田の前の夫・宿禰太郎と市蔵さん@贋の迎い弥藤次。 元女房の立田の前をアッサリと殺す非道ぶりに驚く~! “鶏が水中の死骸の上で鳴く習性”って…ホントですか?! 残忍な場ですが、ここの美術の工夫が面白かった♪
序幕からひたひたと迫る幾つもの“別れ”が毎回ズシーンと胸に迫る一幕ですが、豪華配役で殊更心に響いた今観劇でした。
石 橋
鷹之資くんは、この演目で平成13年4月の歌舞伎座で初舞台(当時・中村大)を踏んだ思い出の演目でしょうし、あれから9年後、現歌舞伎座さよなら公演で上演とはこれまた大きな思い出となる事でしょうね。 一観客の私がこんな気持ちになるんですから、お父様の富十郎さんはいかばかりかと~。
能の【石橋】をベースとした舞踏劇。 しっかりと丁寧にピシッ、ピシッと踊る鷹之資くん@童子実は文珠菩薩の姿に「お稽古、相当頑張ったんだろうなぁ」と感心させられましたが、ピタッと静止する事が出来ずにグラグラ~と度々なるのはちと残念でした。 影のようにピッタリと寄り添って踊る富十郎さん@樵人実は獅子の精との“連れ舞”っていうのかな?見応えがありました。
他は松緑さん@男某、錦之助さん@修験者、幸四郎さん@寂昭法師。
しかし…鷹之資くん、ちょっと太り過ぎじゃ~(後日、国立劇場で奮闘する橋之助さんのご子息にも同じ感想)
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