七月大歌舞伎・昼の部【松竹座】

例年だと“夏に遠征”というのはあり得ない私ですが、今年は以前からすご~く観てみたかったミュージカル作品が宝塚大劇場でかかる!という事で心が揺らぎ~「あ、松竹座で歌舞伎やってるじゃん!」と気付きまして…決行!
数日前の7月8日に閉店した【大阪名物くいだおれ】の店先には、もはや“くいだおれ太郎”の姿もなく…いつも賑わう道頓堀がちょっと寂しく感じました悲しい
で、気がつけば私、図らずも…菊之助さん&亀三郎さんは5月より三ヶ月連続、橘太郎さんに至っては4月より四ヶ月連続の観劇となったのでビックリ! まるで追っかけみたい~汗(橘太郎さんはファンですけどネ)

植物 春調娘七種
先月の博多座も菊之助さん@曽我十郎祐成松緑さん@曽我五郎時致で拝見しているので、なんだか続きを観ているような不思議な感じ汗(拵えも全く同じだし)
歌舞伎を観ていると「何故この季節にソレなんだ?!」と季節感を全く無視した演目がかかるのが常日頃なんとも不思議に感じている私(夏に【紅葉狩】は拷問です!)。 日本の伝統芸能=四季の移ろいを楽しむ…みたいな、四季がある国だからこ今の季節を楽しむ=風流(=贅沢・娯楽)、かと思ったり…。 しかしそうなると演目がなおさら固定されちゃいますから…面白くナイんだろうなぁ~汗
で、この舞踏は正月の七草粥の準備を…という設定。 孝太郎さん@静御前は、赤姫が頭に手ぬぐいを…って他では観れないですよね。 ひとりお澄まし姉さん、という感じでしたが…艶やかな一幕で、目が覚めました!

 第十四回【日本俳優協会賞】表彰式
幕間にいきなり式典が始まったのでビックリしました! 「今月は毎日あってるのか?!」と思いきや、本日たまたま…だったようですね。 式典の様子はコチラ
司会進行は鈴木治彦さん、プレゼンターは藤十郎さんと田之助さん。 受賞者の鴈乃助さん當十郎さんそれぞれに受賞の喜びをコメントされていた中、當十郎さんの十三代目さんとの思い出話にジ~ンときちゃいました。

便箋 血判取
自分のあやふやな記憶を辿ってみても…多分、この演目は初見かと。
左團次さん@徳川家康は「老衰すると何事も忘却~」「年を取っているので指の血が出ないから(んなバカな!)舌先を噛んで血判を…(怖すぎる~!)」と、なんともトボケた、しかしその裏にはキラリと眼光鋭い百戦錬磨の軍略家“狸爺”その人!という感じですね。 左團次さんの将軍は目に珍しく、楽しく拝見♪ いつも気になるのは戦場の大将の履物。 毛皮のモカシンみたいな…あれって何って名前ですか?
我當さん@木村長門守は、着物に香をたきしめる粋さを持ち合わせた華やかな若武者には…厳しかったなぁ汗進之介さん@郡主馬之助との組み合わせも一因あり?!) しかし緊迫している場のはずなのに、なんともゆる~い雰囲気のやり取りが面白い演目なんですね。
亀三郎さん@井伊兵部亀寿さん@成瀬隼人正。 最近別々でのご出演が多くなっている亀ご兄弟を久々に並びで拝見。 松也くん@榊原越中守は…やはり最近は立役の方がキリリとして姿が良いように思います。 後ろにズラリと居並ぶ20名もの家臣は迫力☆

きのこグリーン 伽羅先代萩
関西では【花水橋】【対決】【刃傷】の場は久々の上演との事。 私、実はこれらは初見!(のはず…) いつも観ている演目の前後を観る事によって、より理解が深まり…いや~、すっごく面白かった!「まぁ~た先代萩?!」って思って、ゴメンなさい汗でした。
★花水橋
“佃の合方”って好きなんですよね~♪ コレ、三味線でテケテケ弾けたらカッコイイ!と思うのだけど。
菊之助さん@足利頼兼は伽羅の下駄が似合うまさに“伊達男”って感じですね。 お話の設定は足利家なんだけど、竹&雀の柄の着物=伊達家の人間(実際はネ)、というこういう隠し味?が歌舞伎は楽しいですね。 めちゃくちゃ強いお殿様で、別に愛之助さん@絹川谷蔵の助っ人も要らないのでは?と思うのですが~汗 愛之助さんの相撲取りってのも珍しい。
この殿様が陰謀で隠居させられ、幼い息子・鶴千代が足利家の当主になるのであった…という部分だけの繋がりですが、悪党が怖さに押されてマッサージしてみたり、地図にされて道の説明に使われたり(←コレよくありますね)…となかなか楽しい一幕。
★御 殿
藤十郎さん@乳人政岡は何度も拝見していますが、今回が一番胸に迫るものがあり泣けました。 化粧が汗で落ちる様が両目から“赤い血の涙”を流しているようであり、腹のそこから絞り出すような慟哭に息をのみました。 「よく死んでたもった、でかしゃった~!」「有り難い、かたじけない、有り難い、かたじけない…」は、あまりの力強さに完全に“おっさんの声”になってましたけど汗 今回は【飯炊き】がナイ分、この場での注力が凄かったのかも? 先月に引き続き人間国宝に対して大変失礼ながら「当代・坂田藤十郎って凄いよ!」と改めて。
仁左衛門さん@弾正妹八汐は…怖い。 見るからに悪女!という悪意に溢れた冷酷な表情に惹き付けられます。 「何をざわざわ~。可哀想に、痛いかのぉ~?」は残酷さに凄みがあり、引っ込みの“ニヤリ”で背筋ゾゾォ~ッ冷や汗
政岡と八汐の体型も対照的だったのは、すごく効果的だったように思えました。
小川真生ちゃん@ 鶴千代は…ん~、ちょっとこの主君の為には命は差し出したくナイなぁ~汗という感じの冷血な印象。 対して長亮太朗くん@千松は演技が細かくてビックリ。 毒菓子を口にした上、八汐に刺されたその腕の中では足がピクピクと痙攣するんですもの!! あんな苦しみを見せられると政岡ママでなくても、たまりません悲しい
★床 下
松緑さん@荒獅子男之助に、仁左衛門さん@仁木弾正。 ただただ奇麗です…。 これほどまでに場の空気を支配して悠々と妖しく去って行く弾正なのに、次の場ではお白州に座っているって…カッコ悪~汗 【床下】の後場が続けてあまり上演されない訳が解ったような気がします。
ねずみが足からすっぽんに飛び込んだのには驚きました。
★対決・刃傷
菊五郎さん@細川勝元はスッキリとした裁き役。 傷を負いながらも左團次さん@渡辺外記左衛門愛之助さん@渡辺民部親子(珍しい組み合わせの親子だ!)に弾正へとどめを刺させ、また薬を飲ませたり、宮中内移動にも輿を用意させたり…と懐の深いお殿様の計らいにビックリ
渡辺外記左衛門が上状をいただく時、裃の差し込みを外して書状を挟んで受け取る…というのは作法なんですか? 血で手が汚れていたからたまたまこの場では…なんですか?
遺体となった仁左衛門さん@仁木弾正は“大の字”のまま頭上高く担ぎ上げられて退場。 これが絵になってカッコ良く“仁木弾正=カッコイイ役”という面目は保たれた…ような?

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