六月博多座大歌舞伎・昼の部【博多座】

博多座の歌舞伎公演は…ここ数年二月は花形、六月は大歌舞伎に定着していたのですが、昨年の六月は【NINAGAWA十二夜】だった為、幹部クラスが出演する大歌舞伎は、実に二年ぶりの博多座! も~う、ホント待ち長かったですよ~。 でもって来年は博多座初・三ヶ月ロングラン公演【ミスサイゴン】の為、二月の歌舞伎公演は消滅(本年末の文楽公演もな!)怒り 今月の公演が終わると…丸一年間も博多座で歌舞伎が観れないだなんて~悲しい 伝芸ファンをないがしろにするとは…あんまりだ博多座!悲しい 開業以来10年間ず~っと応援してきた仕打ちがコレかよ~怒り
開業間もなくから続いていた太っ腹な“イヤホンガイド無料貸出しサービス”も『10年を経て、九州への歌舞伎振興の目的を達成した』として、本公演をもって終了。 来年六月の公演から有料化に戻るそうです。 これは納得。
今年になって博多座のお隣アートリエ『博多座A席を半額!』という割引チケットが大々的に発売されて、波紋が冷や汗 日時指定、2階席、座席抽選…という条件ではあるけれども、これってどうよ? 半額となる席はかつて特B席の設定で、今現在はA席になっている所。 そんなに売れなきゃ、価格を下げるか、また特B席に戻しちゃいなよ!と思うのですが。 福岡の…九州の所得水準から言って¥18000のチケットって、やっぱり無理が~。 しかもそのチケットを正規料金で購入した人が泣きを見る…ってどういうシステムなんだ怒りと、腹立たしい事が多い、昨今の博多座歌舞伎チケット事情(タダ券バラ撒きもよく耳にするしな!)。
出演者+スタッフもろもろの滞在費などが加味されているのは重々承知しているし、遠征する事を考えれば~、ですが客が入らなきゃ、元も子もナイかと。 毎度ミョ~にカラー広告ページが多くて高い料金設定の筋書きも不満! 博多座歌舞伎公演、10年やってみて…悲しいけど、厳しい決断を下す時が来ているのかもしれないなぁ~悲しい
しかし嬉しい兆候も♪ 今公演、男性客がすごく多い印象です。 しかも若者! 何か彼らの琴線に触れる演目があるのでしょうか? 今月の客席を見ても新たなファンを開拓しているのは確実のようなので…これで丸一年も歌舞伎公演がナイだなんて、ホントにもったいナイなぁ~と思うのだけど…。
愚痴グチ、ぶちブチ~な長~い書き出しになりましたが、大満足な今公演の感想をばよ~やく…汗

日の出 寿曽我対面
いつも曽我兄弟に思う事。 普通、兄が一郎なら弟は二郎…って、下になるほど名前の数字は増えるのが一般的かと思うのですが、この兄弟は兄が十郎、弟が五郎なんで「あれっ?!どっちだっけ?」と毎度学習する事なくうろたえる私汗 故に最初に配役を知った時「へぇ~っ、意外~」と驚き「んな、訳なかろ~うもん!」と 自分ツッコミ汗
兄弟が父の敵の屋敷に乗り込む…ってなだけの事をここまで大仰に、様式美に満ちた華麗な一幕の芝居にしてしまうんだから、歌舞伎ってやっぱりスゴイ演劇だな、と思った今公演。 梅玉さん@工藤左衛門祐経が広間から下りて上手の台座に移動…ってだけでも、舞台中央で正座~客席に一礼(=劇場正面の櫓(幕府認可の印)に対して)って、いちいちもったいなくもたいそうな感じなんだから~汗
翫雀さん@小林朝比奈がイイ! 猿隈でコロンとまん丸体型でラブリーなヴィジュアル(←激しく贔屓目である事を自覚してます、ハイ)がお似合いで、関東なまりの猛者言葉は愛嬌た~っぷり! 朝比奈をこんなに愉快に感じた事がなかったので、これは“+翫雀さんの愛嬌”という事でしょうか? 松緑さん@曽我五郎時致とのセリフの掛け合いと間合いが快活で聴いていて気持ちがイイ! 「お!W英竹♪(by NINAGAWA十二夜)」とこれまたツボに入りましたが…このツーショットにそう思った方は多かったようで☆(夜の部・賀の祝では英竹対決☆になっとります!)
五郎はあの長袴の中にあっても足の親指は立てているそうですが、血の気の多い若者の荒々しさが松緑さんにピッタリでした♪
はべる傾城は松也くん@大磯の虎梅枝くん@化粧坂少将。 今まで松也くんの傾城ってホントに奇麗だなぁ…と見とれること度々だったのですが、今回「あらっ?」 ん~と…太りました?(傾城の下げ髪ヅラはお似合い) 梅枝くんが細面過ぎるのから対比でそう思うのか? 梅枝くんがめちゃめちゃキレイでビックリ。 まな板帯って、本来は花魁道中の時だけの着用とは今回初めて知りました。
幕開きセンターに控える左十次郎さん@大名の情けな~い顔がツボ(素顔はエエ男さんなのになぁ~)だった事は書き添えておきます♪

赤りんご 京鹿子娘道成寺
藤十郎さんになって…もうかなりの回数観ている印象。 でも、その度ごとに引き込まれるのはやっぱりスゴイです、この人!(人間国宝を捕まえて失礼な汗) “坂田藤十郎喜寿記念”と銘打つのは今年3月の歌舞伎座でも拝見(團十郎さんの押し戻し付きの豪華版)していますので、ちょっと物足りなさを感じてしまった贅沢ものの私でした汗 やっぱり花道出の「観て観て~♪可愛いでしょ?キレイでしょ?」という愛らしさが大好きデス☆
気になるのはイヤホンガイドの解説! 「とても77才には見えない」「77才とは思えない若々しさの山城屋」とやたら年を強調するので、かえってその年齢を意識して観てしまう逆効果汗 これは以前、雀右衛門さんが何かにご出演の際にも感じた事。 藤十郎さんの座右の銘は『一生青春』ですから! 言われなくとも若いんです!
藤十郎さんは烏帽子を中啓に乗せて鐘をグッと睨む型ですが、こちらの方が今の女形さんは少ないのでしょうか?(福助さんや魁春さんは鐘の綱に烏帽子をかけて新月にみたてる型) 今回のラストは鬼に変わる事なく娘の顔のまま鐘上でキマリ!
チーム所化のリーダーはまたまた翫雀さんで超ラブリ~(贔屓目は分かってます) まん丸で愛らしかぁ~♪ 舞尽くしで頑張る所化メンバーをニコニコと、はたまた大袈裟すぎる相槌で盛り上げてくれます。
傘 髪結新三
博多座では初めてかかるうえ、季節的にもグッドタイミングの演目を楽しみに拝見。 そういえば今博多座公演、昼・夜の部ともに打ち出しは…江戸っ子の悪を描かせたら天下一品・河竹黙阿弥!作品ってのもなんだかスゴイな汗
時蔵さん@白子屋手代忠七。 時蔵さんって…博多座では何故かしら立役が多いような印象があるのですが、いかがでしょうか?(ま、どっちも好きなんですが汗) 雨の中、鼻緒が切れている所に冷たい態度の菊五郎さん@新三を責める口調がなんとも◎ 「こいつなんてヒドイ奴なんだ!」と新三に対して本気で怒りを覚えますもの!
菊十郎さん@鰹売りへの客席のリアクションが新鮮! 知っていても楽しみな一場面ですが、初見の方が多いのでその客席の反応が大きい、大きい。 「あら~っ」「すごかぁ~」「本物のごたぁ~ばい!」と、どよめく、どよめく~♪
東蔵さん@白子屋後家お常、イイですね、イイですねぇ~♪ この素敵さを表現するのに自分の語彙の少なさに悲しくなりますが、東蔵さんのこ~ゆ~お役、とにかく大好きなんです。
菊五郎さん@髪結新三の髪結いの手さばきにはいつも見入ってしまいますが、あの元結いの紙、当時は余りが出たらその紙は芝居の紙吹雪にリサイクル利用されていたとは!(byイヤホンガイド) 当時、日本人の全人口がほぼ元結は使っていたでしょうから、相当量あったでしょうね。 おもしろい! せっかく拉致した菊之助さん@白子屋娘お熊をしぶしぶと帰す際、その駕篭をじ~っと見据えるいやらしい目に背筋がゾゾ~ッ。 「ホントに小悪党だよ、この人!」と思わされる非道さと同時に、これほどの悪党が大家さんには丸め込まれるあたりの可笑し味の落差がやっぱり菊五郎さんの新三がピカイチ☆
松緑さん@下剃勝奴、客にお茶を入れる一連の動作が細かい、細かい! 面白い~。 「ほんに好かねぇ、おじさんさぁネェ~」と嫌みたっぷりにからかう口調に、源七と一緒にイラッとさせられちゃう上手いセリフ回し♪
團蔵さん@弥太五郎源七、悔しがり方がホント上手いなぁ~、と。
左團次さん@家主長兵衛は、改めて言うまでもなく絶妙☆ あのおとぼけっぷりがご本人そのものを彷彿とさせて可笑し味倍増!のような気がするんですが~。
右之助さん@家主女房おかくは、もっと強欲な感じが出れば良かったな…。 ちょっと弱い印象。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください