五月大歌舞伎・夜の部 【新橋演舞場】

おばけ 通し狂言 東海道四谷怪談
演目が発表された時「絶対観た~いっっっ!!」「楽しみ~っ☆」と大興奮したものの…チケット発売日に取りそびれてしまい汗…「そのうち戻りのチケットが出るさ~」と遠征間際までWEB松竹をチェックしてましたが、希望の座席は戻らず~悲しいで、予算オーバーのお席で観劇。 とにかく人気公演でしたね~♪
意外にも…吉右衛門さん@民谷伊右衛門、福助さん@お岩様、両者初役との事! 実は私、生の舞台で今作品を観たのは橋之助さん×勘三郎さんが唯一なので、比較がそれだけ…となるのであしからず。
今公演では【仮名手本忠臣蔵】の世界を用いた外伝という位置付けと、“鼠”というモチーフがそこかしこにあしらってあるという事がよく解った舞台でした。 なんたって今年は子年であり、福助さんは年男、季節もピッタリ~で絶妙のタイミングでの上演です。
お話の舞台は四谷であるから【甲州街道四谷怪談】と本来ならばなる所を、【東海道四谷怪談】としたのは『このお話はフィクションです』っていうメッセージを鶴屋南北がこめて付けたタイトルだそうですね(今回イヤホンガイドの解説で初めて知った次第汗

よつばのクローバー 吉右衛門さん@民谷伊右衛門
スッキリとした冷酷な二枚目で、15、6才の乙女(伊藤家娘・お梅)が一目でポ~ッと熱を上げてしまうほどの色男…という感じには遠く“色悪というよりは実悪”な印象の、どっしりとした大きさを感じる悪者ぶり。 このお話の伊右衛門とお岩様って…年齢設定はどのくらいなんでしょうか? 民谷伊右衛門には“キレる若者”ってイメージが私はあるので、吉右衛門さんには“もっさり感”が気になりました汗(あくまでも個人的な感想) 冷酷無比でカミソリの刃のような…触ればシュッと切れてしまうような鋭利な鋭さと狡猾さはなく…“大親分”というような太い印象を私は受けました。

よつばのクローバー 福助さん@お岩様
怖い…恐ろしいお岩様でした。 まさに“怪談”でした冷や汗
好みの問題ですが…お岩様って、観客が彼女に対して「なんて不運で可哀想な女なんだろう…」と感じて心を寄せ「伊右衛門ヒドイ!」「伊藤家許せん!」って…そういう対比が際立った方が面白いと思っているので、福助さんのお岩様にはそれが全く感じられなかったのは戸惑いました汗 コレは…もしかしたら今公演とは違った伊右衛門や伊藤家の人々(伊東家ぢゃナイよ!)との組み合わせだったら、また違った印象のお岩様になっていたのかもしれません。
私の涙腺決壊ポイント、持ち去られる蚊帳にすがって爪がはがれるところは…その後の痛がる演技がすご~く細かくて良かったです。
お岩様に武家の娘だった…という品が感じられず、伊右衛門に甲斐甲斐しく尽くしている様は、媚びているように見えてしまい(私は)、少しもお岩様に対して同情的な感情を抱くことがなかった故に、薬を服用~絶命までの一連がひたすら“怖い”に終始した印象。 薬って…一旦全て手のひらに出して口に入れるのが定番ですか? 「そのまま口に注ぎ入れた方がこぼすことなくキレイに飲めるのに~」と思う私汗 薬の効き始めがちょっと判りにくく、唐突に顔を痛がり始めるのには戸惑いました。 鉄漿を付ける様はホラーな上、髪梳きで「あぁ~っ」と悶えるのも不気味すぎ。 突然「宅悦さぁ~ん」と大声を上げて客席に笑いが起こるのは定番の演出なんでしょうか?
【四谷怪談=お岩様=オバケ=怖い】という世間一般のイメージにはピッタリな福助さん@お岩様ではなかったかと汗
私、お岩様が首からかけている紐は…何の意味だったかすぐ忘れてしまう汗ので今回は記述しておきます(麻で織った紐=安産の魔除け・長くて生みやすい、麻のように長くて丈夫に育ちますように、というお守り)

よつばのクローバー  段四郎さん@直助権兵衛
意外にもカラッした小悪党の軽やかな小気味良さに驚きました! つい最近も“韋駄天走りの段四郎さん”に驚かされましたが…なんだか最近若返っていらっしゃいません?

よつばのクローバー 伊藤家の人々
この公演ならでは!の大抜擢も楽しみのひとつ…ですが、この伊藤家の人々が今ひとつ弱く、常軌を逸した狂った残酷な人々の体が薄いので、お岩様への同情の念もあまり感じられなかったような~。 京妙さん@お梅は…可愛くないのは致命的(ゴメン!本当にゴメン!) 伊右衛門の見た目の格好良さだけにボ~ッとなっている15、6才の青い小娘風情の無垢な残酷さが欲しいと思うのですよ汗

よつばのクローバー 歌六さん@按摩宅悦
ボンの周りに飛ぶ蚊を団扇で追い払う演技が細かい! 蚊が…見えます! 今公演では毎回達者な演技に感嘆させられます。

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