第五回・浪花花形歌舞伎(第二部)【松竹座】

月 業平吾妻鑑
萩の花が一面に…というのは珍しいですよね。 日本の美男の代表・在原業平の東下りを題材に東六合での行く末を思う道行きの様子を語る舞踏で私、初めて拝見。
進之介さん@在原業平薪車さん@舎人太郎吾…と、男前が二人並んでの舞踏は通常だと「眼福☆眼福♪」となるんでしょうけど…あの~、その~、進之介さん冷や汗 以下自粛。
今公演で【双蝶々曲輪日記】が一番面白かったです! あまり上演されない【難波裏】によって、濡髪長五郎が何故あそこまでに至ったのか?という事がよく理解出来て【引窓】がより一層感動的なものになっていたかと。 翫雀さんも三役で大奮闘で大満足♪

 角力場
私、翫雀さんのファンになったのはこの山崎屋与五郎であふれる愛嬌を拝見し…なんで、とにかく楽しみにしていたのですが、今公演ではつっころばしな部分はそのままなれど、バカっぷりが押さえられていて(難波裏に続くからか?)大関の羽織を二人で羽織ってウキウキと歩く…という大好きなシーンがカットになっていたのは個人的には残念でした悲しい シリアスおぼっちゃん設定になってました。
でっけぇ~大関
で…特筆すべきはなんといっても亀鶴さん@濡髪長五郎でしょう! 細面でスレンダーな亀鶴さんが関取最高位の大関(この当時は)?!って配役を聞いた時は驚きましたが…拵えの工夫もあって実に“でっけぇ”感じが出ていて、すっごく良かったです。 元来、声がイイ方ですが、声もズッシリと重く響いて安定してましたね~。 角力小屋からの出の風格は立派。
対する翫雀さん@放駒長五郎は…現役小兵力士、と言っても通用するくらいなんの違和感もなく~汗(元・智の花くらい?) もうちょっと濡髪に対して対比的な若々しさがあれば良かったな~。

強風 難波裏
私、いつも【角力場】の濡髪と【引窓】の濡髪って、同一人物よね? なんであんなに境遇が変わってるんだろ~?と物語の大筋をきちんと把握してナイもんで疑問だったのですが…今公演にて「なるほど~、ガッテン!」 ま、大筋を頭に入れて最初から観とけよ!って事なんですが~汗 武士というだけでそんなにエラいんかい!という不条理を感じて憤ってしまいます~。 大関という厳ついガタイながら、キビキビと立ち廻る様は亀鶴さん@濡髪ならでは…でしょうか?
壱太郎くん@藤屋吾妻翫雀さん@山崎屋与五郎。 親子で初の恋人役になるそうです。 そういえば壱くんのお母様であり翫雀さんの奥様は…吾妻徳弥さんである訳で、お二人にとっては“吾妻”ってなんだかな~って感じだったのでは?と思ったりして。 壱くんでここまでセリフと演技が要求されるお役で拝見したのは初めてですが…硬っ! 表情が全然変わらないまま、とにかくセリフをこなしている感が否めず、この恋人二人の危機感が今イチ薄い感じだったのは残念。 今後に激しく期待してます!

月 引窓
福岡では“博多三大祭り”のひとつとして【放生会】がありますが“ほうじょうや”と読みます。 一般的にはこの演目のように“ほうじょうえ”が普通かと思うのですが…福岡以外に“会=や”と読む所はあるのでしょうか?
孝太郎さん@女房お早がイイですね。 単に私が翫雀さんと孝太郎さん夫婦…というコンビが大好きだからなおさらそう思ったのかもしれませんが。 ホントに仲の良い夫婦で、郭上がりながらお姑さんともすごく上手くいっているほのぼの家族っていう空気感がとても良く出ていて…ここにお尋ね者となった濡髪が突然転がり込んでくるからして、この悲劇性が際立つ感じが強くなった印象を受けました。
しかしお早さん、神棚へのお供えはお幸さんの補助ではく、あなたがしてあげてくださいっ! ご高齢ですからちょっとした転倒が大変な事になりますからね…。
竹三郎さん@母お幸は意外にも今回で二度目との事ですが、この手のお役はさすが~とひたすら感動。 感情の移り変わりが激しく忙しいのですが、それが自然な流れだけに泣かされます。 息子・濡髪のどっしりとした歩き方を真似てみせるおちゃめぶりもあり♪
扇雀さん@平岡丹平愛之助さん@三原伝造を母親の小屋で休息させた後、いそいそと喜びいさんで小走りに家に入り…あわてて武士らしく振る舞う翫雀さん@南与兵衛後に南方十次兵衛の愛嬌にニッコリ。 今三役された中で一番好きでした。 “玩辞桜十二曲の内”という事でお家芸のひとつ。 本公演では初めてとの事ですが、今後は持ち役のひとつとなるのではナイでしょうか?と嬉しく思えた好演♪
通して…なにより亀鶴さん@濡髪長五郎今後のお役の可能性をすごく楽しみに出来る好演でした!
血止めや傷止めに墨を塗る…っていうのはこの時代一般的だったんでしょうね?(火傷=アロエ、みたいな?) ホントに止まるのかな?って試したくはありませんが~汗

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