堀部彌兵衛・清水一角・松浦の太鼓【国立劇場】

こちらも計らずも初日観劇となりました。 昨年【元禄忠臣蔵】も初日明けて間もない観劇だった為、プロンプ入りまくりで気持ちが萎えた為「今年も珍しくかかる演目だし、きっと…」とテンション低めで観劇に臨んだのですが…。 危惧したよりは大丈夫でホッ!(昨年はセリフ量が半端じゃなかったものね) 「やっぱり12月は忠臣蔵♪」と楽しみました。
それぞれの忠臣蔵】とサブタイトルが付けられた今公演は『討つ者・討たれる者・見守る者、吉良邸討入の陰には、さまざまな人間ドラマがあった!』というリードコピーにあるように、普段よく目にする忠臣蔵とは違った視点で楽しめる面白さがありました。 大石内蔵助も、吉良上野介も出て来ない忠臣蔵の外伝物。 このような演目を揃えて客席が賑わうのは、忠臣蔵が日本人に愛されもはや“一般常識”のように知られてるからこそ!なんでしょうね~。
昭和、明治、江戸。 偶然違う時代にできた作品が揃った。 それぞれの時代にタイムスリップしていただけるようなお芝居になれば』とは吉右衛門さん。

堀部彌兵衛

宇野信夫さんが初代吉右衛門さんにあて書きした作品だそうで、今回が昭和49年以来の…4回目の久々の上演との事。
まず吉右衛門さん@彌兵衛吉之丞さん@妻たね夫婦ぶりがなんとも素敵☆ 幕開きでは各々、61歳と48歳、そして娘さちは3歳という設定らしいのですが汗 …歌舞伎で思う事は昔でその年だと、かなりのご老体になるんだろうなぁ…と(同じ宇野さん作品“ぢいさんばあさん”しかり) 彌兵衛が歌昇さん@中山安兵衛を見染め、ぜひ自分の養子に!とイライラと、ハラハラと、しかし頑固に想いを告げ、遂げる様が無邪気な感じで一途で可愛らしく、その二人を取り持つ由次郎さん@住持丈念が面白い! 『山伏が夕立に遭う』とは「(ホラ)貝かぶる」=かいかぶる、『坊主の頭に光るものあり』とか「全く結う所がナイ」=全く言う所がナイ、というような洒落たやり取りはニッコリと楽しい。
討入りの日が決まった当日、仇討本懐の前祝いと歌昇さん@安兵衛と15歳となった隼人くん@娘さちの祝言がとり行われる。 赤紫の艶やかな着物で登場した隼人くんに周囲のオペラグラスが一斉に上がる! 「誰?キレイ!可愛い…」とじわが。 兄と慕っていた安兵衛を夫とする喜びと、この婚礼が死を覚悟した仇討への見送りとなる寂しさが、儚げなヴィジュアルと憂いを含んだ表情から伺えて好演でした。 勝ち戦を祈っての膳?は…かち栗、昆布、なとり、鶏の吸い物…あと何でしたっけ?(勝負事の前膳に今でも使えますネ)
彌兵衛の隣人、桂三さん@半田判右衛門玉太郎くん@倅判平の厳しい暮らしぶりも、そのせつなさに胸を打ち、ラストの余韻が印象的に残りました。

清水一角

吉良方の人物が主人公という大変珍しい演目で、今回は46年振りの上演との事! 私、もちろん初めて観るうえ、河竹黙阿弥作品とあれば自ずと期待も高まる訳で~♪ 結果、今ひとつ面白みに欠ける感じ汗 これは作品によるものなのか?(46年振りとあらば)役者陣によるものなのか?…それは謎。
歌舞伎の演目で酒に酩酊して大騒動を巻き起こす…というのは多々ありますが、この主人公・染五郎さん@清水一角も深酒が過ぎる人物。 日々こんな状態で吉良家の警護役が勤まるんかいな?と思わせておいて、夜討ちを告げる太鼓の音には鮮やかに覚醒し屋敷に駆けつける…という、ダラダラ~フニャフニャ~状態→シュタッ!キビキビ!猛ダッシュ!…の豹変ぶりが面白い。 立ち廻りをしながらの着替えは見せ場のひとつで面白いのですが…この日は袴の後ろを蹴り上げて紐キャッチ☆が逆になってしまって、裏返し状態で“着付け完了”だったので客席大爆笑でした。 討入りで女物の小袖を羽織っていたのは、姉の愛情故だったのね!と合点☆(これぞ外伝?!)
種太郎さん@弟与一郎はイイですね! 最近努めて舞台に立っていらっしゃる成果が着々と見受けられ頼もしい感じ♪(役所もダメ兄ちゃんをフォローだし)

松浦の太鼓

松浦の殿様秀山十種のひとつですが…今公演の吉右衛門さん@松浦鎮信愛らしい殿様ぶりを拝見し、見事にその芸が引き継がれているんだなぁ、と思いました。 どっしりと構えた威厳ある存在感と上品な殿様然とした様と、我がままだったり、無邪気だったり…と子供のような様が見事にミックスさせていて、観客一同ニッコリと笑みがこぼれてしまいます♪
私の中では【大石内蔵助=吉右衛門さん】なんですが、【松浦の殿様=吉右衛門さん】でもあるので…なんか不思議な感じ。
歌六さん@宝井共角がイイ! 殿の機嫌を伺いながらの心理作戦で芝雀さん@お縫の擁護を努める辺りが、表情の変化ひとつをとっても大袈裟で楽しめました☆ 人生経験も豊富で、人の世をひょいひょいと渡り歩いて来たような、どんな人物でも相応のあしらいで対処出来るような…そんな人物に見受けられました。
染五郎さん@大高源吾は…いつも思うのですが、あの討入りのくだりを語る超長セリフは…リズムで覚えるのでしょうか? 感心します~。 …が、槍に辞世の句を結びつけ討入りに臨んだほどの風流な武人には見えず、松浦の殿様の「風流はココじゃぞぉ~」と、嬉々とした様子に観客の気持ちが全部もって行かれてしまう弱さを感じてしまいました。
今回これらの外伝を拝見して、また更に【忠臣蔵】を楽しめる嬉しさを感じて嬉しくなりました♪

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