ウーマン・イン・ホワイト【青山劇場】

2004年にロンドンで世界初演後、翌2005年にブロードウェイ、そして本年についに日本!となった作品。
原作は1859年に雑誌連載として発表されたウィルキー・コリンズのミステリーで、これに名作曲家アンドリュー=ロイド・ウェバーと名演出家トレバー・ナンがタッグを組んでミュージカル作品化。 謎解きをベースとしながら、貧しい画家と彼に想いを寄せる二人の姉妹の恋愛、彼らに絡む様々な人間模様を…不協和音のようでいて、聴いていると耳について離れなくなる魅力的な音楽によって物語は展開しその世界に引き込まれていく…という不思議な魅力を持っています。
演出は松本祐子さん。 私は【ピーター・パン】でしか拝見した事がナイのですが、あれだけ場面展開が多い作品をよくココまで工夫してシーンを切り取っていったな…という、ちょっと何様な感想ですがそう思いました。 ひとつひとつの書割りだったり、セットの造りは…はっきり言ってショボイのですが、あれだけの転換をスムースにし、人物を際立たせるのには適策だったのでは?(他の上演地セットはスクリーンにデジタル映像投影らしい) オープニングの不気味さ、ロンドンの暗鬱とした街の様子、木漏れ日溢れる穏やかな森…など、充分感じる事が出来ました。 ただ…今回の演出がそうなのか? オリジナルがそうなのか? “突っ込み所満載”な作品だった事も確かです。 それもまた面白かったんですけどネ汗
以下、各キャストについて

青りんご 笹本玲奈さん@マリアン・ハルカム
歌、上手いっちゃ知っとったばってん、ココまで上手いとは!』という驚きで、終始圧倒されました。 演技もしかり! 玲奈ちゃんにとっては実年齢よりも上の役というのは初めてとの事ですが、主役として堂々たる風格で作品を引っ張って行く力強さもあり…ホント感心しました(親戚のおばちゃんの心境汗) ただ聴いていて“疲れる”という印象を受けたのも確か。 高まる感情表現=大声(張り上げ)ではナイと思うんですよ…。 しかし、若くして芸歴が長いがとはいえ、立派でした。 今後の更なるご活躍がますます楽しみ♪
青りんご 神田沙也加さん@ローラ・フェアリー
“ミュージカル初挑戦”の上、難曲ぞろいの作品…で大変なプレッシャーだったかと素人ながらに推測出来るのですが、頑張りました! 好演です。 歌は今後場数を踏めばもっと安定していくと思いますし、演技は上手い。 ラスト、パーシバル卿に挑む所の迫力は素晴らしかったです。 嫌味ない“愛されお姫様キャラ”という存在は貴重かと。 今後もミュージカル作品へのご出演が期待出来るかも。
青りんご 別所哲也さん@ウォルター・ハートライト
改めて、歌ウマイんだなぁ…と聴き惚れました。 暖かい包み込むような歌声は二人の美人姉妹から想いを寄せられるのも納得出来るような包容力を感じさせます。 ローラへ想いを寄せる様は唐突な印象だったのですが、マリアンに対する気持ちの変化がすごく丁寧に演じられているような印象で、二人のラストはせつなくてせつなくて…素敵でした。
青りんご 石川禅さん@パーシヴァル・グライド
想定内ではありましたが…“財産目当てのDV夫”に見事に変身! 前半の善人ヅラが本性を現した時の落差があってより怖さを際立たせていた感じ。 ベースに冷酷かつ身勝手さがありながら、小心な所と大胆な所が交錯する様が面白かったです。
青りんご 山本カナコさん@ アン・キャスリック
カナコさんを意識して拝見したのは…【朧の森に棲む鬼】のラジョウの飲み屋の色っぽいおかみ(?)くらいでしたので、今作品へのご出演は観劇の楽しみのひとつでありました。 “ローラと瓜二つ”という設定ですが…違和感なし。 舞台をつんざく絶叫は作品全体を通して不安感を煽り効果的。 この役は“もっと歌える人”が良かったのか?否か?は…難しいですねぇ。
青りんご 光枝明彦さん@フレデリック・フェアリー
拝見出来た事がただただ嬉しい…悲しい 私が光枝さんご出演の舞台を拝見したのは2005年秋【アスペクツ・オブ・ラブ】以来。 再会が何の因果か同じALW作品というのはなんとも不思議~。 公演中に70歳のお誕生日を迎えられたそうですが、あの口跡の良さと歌の上手さには改めて驚くばかり。 この年齢層でこれだけ歌えて芝居が出来る役者さんって貴重な存在でしょうから…今後もいろんな作品で拝見出来る事と更に楽しみに。 で、フェアリー氏は意外にもクスッと笑える方向にキャラを振っていらっしゃった様子。
青りんご 上條恒彦さん@フォスコ伯爵
多分、ご覧になった方皆さんが上條さんを絶讃されるのではナイでしょうか?
フォスコ&パーシバル歌の素晴らしさは言うに及ばず、と~ってもチャーミングな愛すべき悪役☆ 特に「おヒゲがサボテンみたい」と言われていそいそと剃ってくる様が印象的。 玲奈さん@マリアンとのキスシーンは…役得ですネ、上條さん♪ それにしてもフォスコ伯爵の処方する薬は“激的速攻”で効きますな!
青りんご アンサンブルさん
“少数精鋭”という感じで、すごく迫力があって良かったです。 ロンドンでの追い剥ぎシーンでの威圧感には鳥肌が立ちました(これはジキハイのアンサンブルさん以来の体験!)
私の観劇は前楽のマチソワでしたが、初日からすると…その進化の過程も楽しめたんじゃないかしら?と思える魅力を持った作品でした。 再演があれば是非また観てみたいです♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください