ミュージカル 李香蘭【四季劇場・秋】

福岡公演時には…これまた何故か見逃していて、私、今回が初見でした(舞台中継の録画映像は観た事あり)
今年は戦後60年という節目の年…という事で、劇団四季の“昭和歴史三部作”が連続上演、という企画の第一弾(→異国の丘→南十字星)。
満州国、溥儀、川島芳子…というと、私の中では大好きな映画【ラスト・エンペラー】(半端じゃない回数観てます)の比重が大きく、舞台が進むにつれて、そのキャラクターの描かれ方にひどく拒否反応がありましたが、当時の日本人の傲慢さは、愚かさ、罪深さは良く表現されていたと思いました。
タイトルから推察するに『李香蘭=山口淑子、というその時代に翻弄された一人の女性の人生の生き様を描く物語』かと思っていたのですが(【異国の丘】の九重秀隆のように)、彼女を軸として「その時代に何が起こったのか、どんな事がなされたのかを伝える」という作品なのですね。 …なので『作品として伝えたいメッセージは充分理解できた』のですが…、で、だから『李香蘭=山口淑子という女性の生き様への解答』は?という疑問が残りました
【ミュージカル・李香蘭】ですよね? 彼女自身の体験を通して、彼女自身の口から訴えたかったメッセージというのが、その時代を生きた“歴史の証人”として、観客に投げかける言葉が欲しかったかな、と。「私は日本も中国も愛しています」という事ではなく。
一人の女性としての描かれ方としては、私の中ではむしろ、中国人・李愛蓮の強い意思を持った揺るぎない愛国心と、仲間や恋人に対する愛情の強さが印象深く残った作品でした。
役者さんとして印象に残ったのは…
五東由衣さん@李愛蓮 スーッと楽に歌っているようで、なんであんなに心に染入るような心のある歌声なんでしょう? 演技も素晴らしく、セリフのひとつひとつが“李愛蓮”という女性が話している言葉でした。 死に際の同胞に故郷の歌を唄って聴かせるシーンでは涙を流されていて、それでいて歌は力強く美しい。 きっと、どんなお役にもなりきってしまうタイプの方なのでは?と感じ、今後、五東さんが何かの作品にご出演の際には、絶対その舞台を拝見してみたい!と思いました。
末次美沙緒さん! 李夫人や声楽教師…はたまたアンサンブルでは、神出鬼没で大活躍 【マンチュリアン・ドリーム】でのミニスカート姿での熱唱は…「す、末次さんをこんな枠で使ってなんと贅沢な」と思って驚いたのは私だけではナイはず! でも、くるくる変わるお役のそれぞれを完全になりきって演じてらっしゃるのは、さすが!な感動がありました

青い旗キャスト
李香蘭:野村玲子 /川島芳子:濱田めぐみ/李愛蓮:五東由衣/杉本:芝 清道/王玉林:芹沢秀明

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