オンディーヌ【メルパルクFUKUOKA】
昨年より『観たことがナイ四季作品は一度観てみよう』キャンペーン中の私は、とりあえず観た事がナイ作品がかかると可能な限り足を運んでいる現状。
ストレートプレイは【思い出を売る男】に続き2作品目の観劇。
ストーリーは、永遠に生きる水の精オンディーヌの無限の愛と、人間の…憂愁の美しい騎士ハンスのはかない悲恋の神話的な物語。 【有限と無限】、【人間と人間を超えるもの】の対立がテーマとして描かれ、移ろいやすく、愚かな人間の存在を“有限”とし、純愛を貫く永久無垢な水の姓の存在を“無限”とて表現。
水の精・オンディーヌは15歳で純粋無垢の為、その口から出る言葉は無邪気にしてもあまりにも唐突で自分中心で…のっけからドン引き 「うわぁ…こりゃ私の苦手なタイプな演目だ」と冒頭から暗雲たちこめる観劇となる予感でしたが、舞台の進行に従ってグイグイその世界に引き込まれるような不思議な魅力があり、ラストまで一気に魅せられました。
実は【思い出…】は度々気絶したし、元来ストレートプレイは苦手であります故、気絶覚悟の観劇体勢で臨んだのですが…ゴメンナサイ!でした。
オンディーヌの口から出る言葉の数々を嫌味なく、観客に納得させるよう演じるのは並大抵の事じゃないだろうなぁ…と、好演の坂本里咲さん@オンディーヌを観ながら感嘆しきり。 水の精のもつ透明感、純粋さ…これを表現できないと、そういうキャスティングでないとこの作品の全ては失敗となってしまうくらいの重要な重要なヒロイン。 素敵でした。 可憐でした。 素直に「ああ、この人は人間じゃないんだ、水の精なんだ」と説得させられるオンディーヌでした。
またこれに対等して、石丸幹二さん@騎士ハンス。 オンディーヌが初めて彼を見て言う「なんて綺麗なひと」というセリフに、観客が素直に納得する美男騎士で、人間でない水の精の心をも虜にする美しい男を嫌味なく演じるのは…石丸さんしか居ないだろうなぁ、と思わされるキャスティングでした。 オンディーヌの無邪気さに翻弄され、人間のしがらみ、愛への迷いに苦悩する騎士ハンス。 後半の苦悩し、いい知れぬ恐怖におののく様が強く印象に残りました。
三幕構成の演出にはそれぞれの幕に緩急があり、特に息が詰まりそうになったところに広瀬明雄さん@侍従とオンディーヌとの笑えるやりとりや、日下武史さん@水界の王のマジックの部分が入って一息つけ、後半の悲劇がより際立った印象。
常に湿気を感じさせる色を押さえた美術、 時代を感じる美しい衣装、とても好みで、自分自身いろいろと収穫の多い観劇となりました。
しかし作品として観客に問いかけたかったたテーマ、訴えたかった事とは…『人間とは移ろいやすく、愚かな生き物である』→『だから…?』、だからなんなのさ!と、ちょっと私的には疑問が残る作品でもありました。
キャスト
オンディーヌ:坂本里咲/騎士ハンス:石丸幹二/水界の王 :日下武史/ベルタ:大平敦子/ユージェニー:木村不時子/オーギュスト:松宮五郎/王妃イゾルデ・皿洗いの娘:大橋伸予/王:山口嘉三(劇団昴)/ベルトラム:青山祐士/ 侍従 :広瀬明雄/裁判官1:川口啓史(劇団俳優座)/裁判官2:立岡 晃/ 詩人:中村啓士/ マトー:田島雅彦/サランボー:戸田愛子
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