壽初春大歌舞伎・昼の部【松竹座】
いやっほ~い♪ “2005年初歌舞伎”です! 今年末はいよいよ三代目鴈治郎さんが坂田藤十郎襲名という事で、その日の為に懐を暖めておかなくてはならない…のに、いきなり散財です。 いいんです。 『1月は松竹座遠征』は恒例なんですから!
相生獅子
扇雀さんと孝太郎さんの二人の姫。 紅白の艶やかな姫の舞は新年のおめでたい雰囲気にふさわしく「あ~、コレよ、コレ! 私が観たかったのはこ~ゆ~空気の舞台なのよ~」と、久々の歌舞伎の舞台の雰囲気にうっとり。 実は、今回気がついたのですが、孝太郎さんの赤姫姿って私、どうやら初見のような…。 前半が可憐な姫だっただけに、後半の獅子の精となってからの鋭い表情や動きとの落差が際立ち、見入ってしまいました。 嗅覚や聴覚が研ぎすまされている動物のような鋭い動き…というのでしょうか? 姫のこしらえで毛振りする…って、そんなに足をパカッと広げて踏ん張れないでしょうし、大変だろうなぁ。 孝太郎さんという役者さんに初めて「カッコイイ~」という感想を持ちました♪
時平の七笑
翫雀さん@菅原道真という配役を知った時から楽しみでならなかったんです。 今まであまり品のある高貴なお役で拝見した事がなかったし、菅原道真公といえば福岡の人間であればやはり誰しも親しみを持っている人物なので、翫雀さんがどのように演じられるのか楽しみでした。 慕ってくれる子供たちに向ける慈愛に満ちた穏やかな表情には、今後いろいろいなお役への可能性を感じることが私自身出来て、嬉しい収穫でした。
竹三郎さん@左中弁希世は、自己中心的な卑怯さと滑稽さを兼ね備えた道化役がさすがで、政治的な陰謀がうずめく息のつまる駆け引きの中、笑いでひと息つかせてもらえました~。
我當さん@左大臣藤原時平は、まずこのような白塗りでヤンキー眉という悪人公家風情でのお役で拝見した事がなかったので、そのビジュアルに驚きました~! 筋書きで、我當さんが「この演目をいつか博多で演じてみたい」と話されていたのはとっても嬉しかったです。 楽しみにお待ちしていま~す。
ラスト、セットの御殿全体が前にセリ出ての手法は“時平の七笑”の迫力を増長させるような演出で素晴らしい工夫ですね。
イヤホンガイドの話。 天神さまへのお賽銭はお札はダメだそうです! 紙幣(しへい)だけに道真公が嫌う…と。 落語の小噺のネタだそうですが、ウマい!ですね。
男の花道
実はなんだかタイトルだけで敬遠していたのですが…号泣でした! 泣き過ぎて観劇後ひどい頭痛にしばし悩まされる有様。 前回の上演は平成6年・中座にて…との事ですから、実に11年ぶりの上演で私はもちろん初見。
鴈治郎さん@加賀屋歌右衛門は一座のスターの女形で、失明の危機にあったが、大阪から江戸に上がる道中、我當さん@土生玄碩という眼科医と出会い、視力と江戸での名声を手に入れる。 四年の歳月が流れ、江戸で開業していた玄碩は、とある諍いから切腹を迫られる危機に陥るが、今度はその危機を歌右衛門が救う…という、ちょっと【走れメロス】のようなストーリー。
玄碩はオランダ医学を学んでいるとあって、ハイカラなバックを持っていたり、ブーツを履いていたりする(これがカワイイ)のだけど、その融通の利かない頑固ぶりは昔の侍そのものだった。
玄碩の危機を知らせる手紙は一座の後見人、竹三郎さん@加賀屋東蔵が、鴈治郎さん@歌右衛門が【櫓のお七】を演じている最中に差出し…恩人の危機を知った歌右衛門は舞台を中断し、客席の皆に事情の説明と断りを入れて劇場を飛び出す! この劇中劇の趣向は観客の自分も舞台に参加しているようで、「はやく先生の所に行ってあげて!」と言いたくなってしまった! ちょうどお席が舞台から走り降りる場所だったので、降る雪を巻き上げなから、ものすごいスピードで駆け抜けて行く歌右衛門の熱い想いが伝わってきました。
「先生!しばらく!」と悲痛な叫びをあげながら、花道を転びながら玄碩の座敷へと駆けつける歌右衛門に号泣。 お話だから間に合うと解かっちゃいるけど…号泣。 「なるほど男の友情のお話だったのね」と思ったものの、歌右衛門が女形ゆえ、なんか二人の間には恋愛感情があるような感じにも見えましたね。
あと役名が今現在もご活躍の役者さんの名前だったりして、聞いていると混乱してきたことと…元々は新劇の芝居だったこともあり、大袈裟な効果音が入り、それがかえってツヤ消しだったりして…不思議な印象でもありました。 またまた言いますけど、失礼ながら…鴈治郎さん、ウマイです!
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