新・近松心中物語【博多座】
冠スポンサーが付いて、大々的に広告展開した博多座公演って…今回が初めてでしょうか? 過去記憶にはナイのですが、波や紙媒体による広告展開スゴかったですけど、博多座内でのサンプリングや商品の販売など、驚く事がとても多かったです。
『博多座の1月はミュージカルでバァ~ッと明るく!』という図式が出来ていたので、この演目が発表された時は「お正月から心中もの?! 暗~い…」と、かなり不満だった私。 しかしながら、主演4名の役者さんは、いづれも博多座初お目見えだし、テレビでもよくお見かけする面々。 博多座初の“蜷川作品”だし…で注目度は高そう。 私は初日開けてすぐのお正月休み中での観劇だったので、客席はお着物の方も多く賑わっていました(公演期間トータルの動員は…さて?)
幕が開いて、真っ暗な舞台の中層を真赤な彼岸花が半円を描いて浮かんでいて…なんとも不思議。 それから照明が舞台の板へと落とされると、廓の様子が濃厚に妖艶に描かれて「ええっ?!」とド肝を抜かれました! シーンと静まり返った客席の間を花魁道中が舞台へと進み…物語が始まります。 これも“暗闇に紅”という色の対比の鮮やかで美しく、一気に舞台に気持ちが入っていました。
遊郭→古道具商→飛脚屋…と舞台の移り変わり(ひとつのセットの応用ぶりというか)はお見事! 今回、舞台美術と照明はと~っても好きでした。
二人の想いを添い遂げる為に、痛いくらい真剣に心中という道まで突き進んでしまう阿部寛さん@忠兵衛と寺島しのぶさん@梅川。 対照的に夫婦でありながら、計らずも心中を…という田辺誠一さん@与兵衛と須藤理彩さん@お亀。 対照的な二組のカップルと、それを取り巻く人間模様が描かれる訳ですが…コミカルな部分、客席が沸く部分が与兵衛&お亀カップルなうえ、時間を割いて丁寧に描かれている分、一番立つべき“忠兵衛&梅川”の印象が薄い…。 二人が出遭ってから、心中に至るまでの気持ちの経過をみてとる事が出来ず「いつの間にお互いそんな真剣になったの?」「あれ?それで心中までいく?」という印象で残念! 歌舞伎では、この二人のお話はいくつかの演目に分かれて、じっくり観せているからかもしれないけど「えらくあっさり心中に至ったなぁ…」と。
本水を使った川にダイブする与兵衛と、忠兵衛&梅川の渦巻く吹雪の中での心中はさすがに見応えがあり、また要所要所で流れる森山良子さんが刹那的に唄う、宇崎竜童さん作曲の『それは恋』は効果抜群でした!
全体の感想。 期待していた寺島しのぶさんが、なんだかもったいないなぁ…という印象と、田辺誠一さんに敢闘賞という感じでした。 で、やっぱり『博多座の1月はミュージカルでバァ~ッと明るく』でお願いしたい!と強く思った次第でございます☆
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