壽初春大歌舞伎・夜の部【松竹座】

昼の部に続いての観劇です…が、朝イチの新幹線の移動のツケがここにきて~ショック

八陣守護城

初めて観る演目で楽しみにしていたのに…気絶。 一面海原で豪華で美しい大きな船に雛人形のように居並んで…の幕開きに目を惹かれたのですが、動きが少ないお芝居故か?…気絶。 故に感想は書けず汗 秀太郎さん@雛衣が可愛かった♪

吉田屋

お正月らしい…っちゃそうですが、もうなんか…成駒屋(山城屋)さんの吉田屋はお腹いっぱい、という感じがする演目の一つ。 と、言いつつも藤十郎さん@藤屋伊左衛門何度観ても、その可愛らしさに惹き付けられ、さすがだなぁ~と思わされます。
歌舞伎役者さんで親子で恋人or夫婦って演じる事は珍しくありませし、なんの違和感も感じないのですが…多分、この親子の組合せが自分的には苦手みたいです(藤十郎さん×翫雀さんには違和感なし、むしろ好き♪)

江戸宵闇妖鉤爪

初演の時に、すごく観たくて遠征日程を真剣に検討して…ダメだったので、このタイミングで観れるとはラッキー♪ 幸四郎さんが大阪松竹座の大歌舞伎に出演するのは11年振りだそうで、その気合いの現れの1本☆でしょうか。
江戸川乱歩の原作【人間豹】も全く知らなかったので、舞台が進むに連れて『人間豹とはなんぞや?!』とお話にグイグイ引き込まれました。 舞台美術や衣装も怪し気で陰鬱な乱歩の世界を表現していて目にも面白く、特に高麗蔵さん@娘お玉が際立って不気味で哀しく強く、吉弥さん@老婆百御前の身勝手キャラに怒りを覚え印象に残りました。
『虐げられた人間の怨念、恨み、そうした人間の思いの塊=人間豹』の染五郎さん@恩田乱学、正道を歩いてきた幸四郎さん@明智小五郎との対比と対決は、解りそうで…ワイヤーアクションやラストの大凧の宙乗りの派手な演出に目を奪われるばかりで、ちょっと難しかったかなぁ。
染五郎さん@神谷芳之助に改めて「色男が似合うなぁ~、綺麗だなぁ~」と思い、恩田乱学のダイナミックな動きに「劇団☆新感線に出てくる鬼みたいだなぁ~、また客演で観たいなぁ~」と思ったり。
今後【乱歩歌舞伎】というジャンルで何本か創られるのでは?と期待を持てた作品でした。

壽初春大歌舞伎・昼の部【松竹座】

今年も恒例の『歌舞伎はじめは松竹座』って事で初遠征。
梅田芸術劇場【M!】と国立文楽劇場【初春文楽公演】の観劇も絡めて…の予定でチケットも確保していましたが、自分の大ボケのせいで“松竹座のみ”の観劇となりました~悲しい

土屋主税

翫雀さん@土屋主税が、とにかく観たかったんです~!!! この演目って玩辞楼十二曲の内なのに、あんまり…しないですよね? 『年の瀬や 水の流れも 人の身も 明日待たるる その宝船』の唄の真意をあれこれ考えて~ハッ!気付いてテンション↑~目の前でくどくど愚痴をこぼす晋其角に辟易して~寝たふり。 …とこの一連の芝居がと~ってもラブリーでニッコリ☆ 正義を一点の曇りもなく信じる“愛らしいお殿様”って感じで、扇雀さん@侍女お園に対する情け深さも納得(扇雀さんは…熟女すぎて~あの…)
染五郎さん@大高源吾客席に背中を向けて、土屋主税に討ち入りの報告をするのは新歌舞伎ならではの珍しい演出だとか。 その報告を「それで?それで?」とワクワク表情で聴き入る土屋主税の表情と、見えないけれど誇らしく晴れ晴れとした表情であろう源吾の対比を想像しながら観れて面白かったです。
橘三郎さん@晋其角は源吾と10年来も付き合っていながら、その真意を見抜けなかったのかよ~!という突っ込みと、手の平をかえしたような厳しい態度…そしてラスト松の木登り+滑り~という、感情の起伏が激しいキャラクターを「なんだか憎めないよな~この人」って思わせてくれる好演。 薪車さん@落合其月は劇画ちっくな堅物ぶりに笑えました。

男の花道

講談の【名医と名優】が元になっているとの事で…こっちの方がしっくりくるのでは?と思った次第(男の花道ってタイトル、なんだか敬遠してしまう私)
久々に観るな~、と思ったら私がこの演目を初めて観た2005年1月公演以来との事(藤十郎さん@加賀屋歌右衛門がね…ってその時は鴈治郎さん)。 あれから6年も経っているのか…とちょっと驚愕びっくり
私、今公演で高麗屋さんが御出演って全く知らなかったので(前の演目で染五郎さんが出てたじゃん!)、幸四郎さん@土生玄碩(初役)の登場にビックリ! 前回観た時は土生玄碩=蘭学の医者って事で、皮のバックやブーツを履いていたのが印象的だったんだけど、今回はなくって残念。 頑固一徹な医者風情を全面に押し出している印象。 前回感じた“歌右衛門と玄碩との恋愛感情”のようなモノは今公演では全く感じなかったのは、玄碩を演じる役者さんによって違うのかな~?
歌右衛門が【櫓のお七】を公演中に、玄碩からの便りを差し出す竹三郎さん@加賀屋東蔵の緊迫感と、幕前で騒ぐお客様をなだめる様はすごく胸に迫るものが! 今回は3階席からの観劇だったので、役者さんが2階席まで来て舞台にヤジを飛ばす演出も充分楽しめました♪
でもやっぱり随所に差し込まれるBGMは…な~んか拍子抜けしちゃう印象なんだよなぁ~。

壽初春大歌舞伎・夜の部【大阪松竹座】

七段目【祇園一力茶屋の場】

秀太郎さん@遊女おかる。 上方式はお着物が胴抜きなんでそうで、ん~♪カワイイ☆ 翫雀さん@寺岡平右衛門との兄妹って…珍しい、ヒジョ~に珍しい。 「お供が叶った♪」と喜ぶ様は「反応早過ぎっ!」と突っ込みながらも愛らしい(贔屓目です、ハイ) 壱太郎くん@大星力弥は、はんなり~とした色気があってイイ。 眼福、眼福♪  実はこの段、一番インパクトあったのは…太夫さん(お名前失念!)がスキンヘッドになってた事! 一体いつ頃から…。

八段目【道行旅路の嫁入】

藤十郎さん@戸無瀬×扇雀さん@小浪×翫雀さん@奴可内…という関西成駒屋・親子三人の舞踏って近年では珍しいですよね! 常磐津舞踊にて。 母娘がセリ上がって来ると「あら?綺麗…」って、ホント今公演の扇雀さん、綺麗です。 拵えの市松模様の道中合羽は目にも華やか☆ 東海道を西に向かう様は背景の絵にも様々な工夫があって、松林がスライドINしたり、琵琶湖が…富士山が現れたり、花嫁行列が後方に通ったり(←NHK人形劇みたいだった)、最後に城が見えたり…と一緒に旅している気分になれて楽しい♪ ほろ酔いの戸無瀬が“娘踊り”をするのがなんともラブリーで、親子三人並べてまじまじと見てみても「藤十郎さん、一番若いかも?」ってな錯覚が~。 翫雀さん@奴可内、似合うなぁ。 昼の部でも気付いてましたが…やっぱり、またちょっとふくよかに…ですよね?

十段目【天川屋義平内の場】

天野屋利兵衛は男でござる」のセリフで有名なこの場、関西では戦後初の上演という事で、我當さん@天川屋義平は初役との事。 ココから討ち入りの合言葉が【天】【川】となったんですね。 私はもちろん初めて観る段です。 松之助さん@おその父了竹がマンガみたいな強欲爺で笑える反面、その娘・吉弥さん@女房おそのの哀れっぷりが際立ち印象に残りました。

十一段目

【柴部屋本懐焼香の場】が面白かった! 師直の首を位牌の前に据える…とは、なんとも生々しい演出ですが、まずは最初に師直に斬りつけた翫成さん@矢間重太郎、次に早野勘平…という事で彼の財布と共に勘平の妻の兄である翫雀さん@寺岡平右衛門が焼香をすると皆が泣き出し、どこまでも“義”を通している四十七士に改めて感動させられました。 3階席までお香の香りが立ち上ってきました。
今公演で初めて観た“上方式の忠臣蔵”。 いや~、面白かった♪ ホント面白かった☆ 他の演目でも“上方演出”で観てみたくなりました。 2010年、イイ“歌舞伎はじめ”が出来ました。

壽初春大歌舞伎・昼の部【大阪松竹座】

毎年恒例“歌舞伎はじめは松竹座”って事で2010年もやって参りました~♪
演目が発表された時は「年のはじめに忠臣蔵って…汗」 しかし“上方ゆかりの俳優陣による上方演出”と聞けば、テンション急上昇↑↑↑ 上方式の通しは何年振りの上演なんでしょう? 私、初めての観劇です。 今回観て改めて『47という数字にこだわった』その数字が随所に散りばめられた演目なんだな、と思いました。
口上人形って…夜の部までぜ~んぶ紹介するんでしたっけ? 考えてみれば通しの【仮名手本忠臣蔵】自体、久々の観劇だったので「あ、そうだった~」と思い出す箇所も多々。 指、綺麗なのネお人形さん♪

大 序

左右に引き開ける上方式の幕は黒地で、上手に【大手】下手に【笹せ】という二つの文字が大きく配してあり、これは当時のご贔屓筋から送られた幕を模しているそうで。 そういえば幕のセンター開けも独特なちょっとづつ開ける方法でしたね。
藤十郎さん@高師直孝太郎さん@顔世御前を見て股間を押さえる…なんて露骨な演出はデフォルトでしたっけ? その助平親父っぷりが、その後のふてぶてしい憎らしさに輪をかける感じで面白い。 今公演、四役で奮闘の藤十郎さん…タフぶりにミョ~に説得力があります(もう少し他の若手に役を回してあげればイイのに…と正直思いましたが~) 進之介さん@足利直義って…口跡悪すぎで、何を言っているのか聴き取れナイ。 進之介さん、今公演ご出演はこの幕のみ、ってどうよ?!汗 翫雀さん@桃井若狭之助って珍しいなぁと思っていたら18年ぶりとの事。

三段目

扇雀さん@塩冶判官。 スッキリとしてて綺麗です。 個人的にはここ数年、中村屋一門色とヤリ過ぎ感が濃くなった扇雀さんに『苦手~』と感じる事が多く敬遠しがちでしたが、今公演はイイ! 思えばお父さんとお兄さんと、ガッチリ組んだ公演を拝見するのも久々かも…

四段目

【通さん場】は、やはり息詰めて観ちゃいますね。 切腹って日本だけなんだそうで? “腹の中に魂がある”という観念から、という事はこの度イヤホンガイドにて知りました。 裃姿のまま腹這いでビタン!と腹這いで突っ伏す扇雀さん@塩冶判官の様に驚きました。 壱太郎くん@大星力弥は、まさに今この時、この役がピッタリ☆な配役で若さ=美しい♪ 藤十郎さん@大星由良之助“が主君の血を舐めて復習を誓う“”という鬼気迫る演出にビックリ!
【城明渡しの場】は、上方色が色濃く出ていてその違いに興奮。 花道引っ込みの幕外に三味線さんがお一人登場で、余韻の残る印象的な場に

五段目

翫雀さんが定九郎?!びっくり」 今回一番のサプライズキャスティング・翫雀さん@斧定九郎☆ かくいう私は翫雀ファンですが…そのニンではナイだろう事はよく分っているので、この初役を“不安八分、期待二分”な感じで拝見したのですが…なるほど!納得! まるで清水の次郎長のような股旅姿で、夜道を急ぐ翫哉さん@与市兵衛を花道から「お~い、ちょっと、ちょっと~」と追っかけてきて、気さくに話しかけるイイ人風情の出。 イヤホンガイドに解説に『もっさりとした定九郎』と言われ「それってどうよ?」と突っ込みを入れながらも妙に納得。 「五十両~」どころかしゃべる、しゃべる! 金を奪い取ろうとすると、与市兵衛が“この金がいかに必要か?どうやってつくったか?”と切々と訴えるの様を、うっとおしそうに聴き流しながら、ヤブ蚊に刺されてパチン☆パチン☆と叩く様はご愛嬌☆ しかしアッサリと殺して唱えた念仏が「何妙法蓮華経…陀仏~♪」という超テキトーさで笑う~。 で、アッサリと鉄砲玉に当たって命を落とすとはなんともマヌケでまたしても笑える。 「んな、アホな~」か「なんじゃ、こりゃ~」って倒れて欲しかった(爆) こんな笑える【二つ玉の場】初めて☆

六段目

孝太郎さん@一文字屋お才なんですね~(てっきり秀太郎さんかと) ちゃきちゃき店を切り盛りする…というよりは“おっとり”した感じがあって、私は好きでした。 しかし孝太郎さん、昼の部のみのご出演とはなんとも勿体ナイ!! 橘三郎さん@原郷右衛門薪車さん@千崎弥五郎が、来訪の途中に子守り娘に道を尋ねたり、藤十郎さん@勘平が幕切れに竹三郎さん@母おかやに紋服を着せかけてもらうのは上方のみの演出なんですってね。

寿初春大歌舞伎・昼の部【松竹座】

鳥居前

なんだか…何故だかここ最近、頻繁に観ている印象の鳥居前。
伏見稲荷の鳥居の赤が凄く鮮やかで、正月公演の華やぎにピッタリ☆
孝太郎さん@静御前は…というか、孝太郎さんの赤姫って久々に拝見した印象が。 なんか以前より色気が増しているようで、赤姫にしてはムンムンしているような気がしたのは私だけでしょうか?汗
狐翫雀
薪車さん@武蔵坊弁慶、ヒゲ濃過ぎます~!青々です~! 泣きに愛嬌が今ひとつ足りず、客席に笑いが起こらず残念。
翫雀さん@佐藤忠信実は源九郎狐は、意外や意外に初役との事。 やっぱりこの演目では個人的には翫雀さんは“king of 藤太”と思ってますから…そう言われれば、初めて観るわ、こりゃ♪
登場時から「わ♪コロコロ、丸々~」「狐には見えな~い」と、失礼な楽しみっぷりで拝見。
幕外、飛び六法の引っ込み…に、ファンとしてはちょっとウルッと来るものがありました

良弁杉由来

「坊主、少なっ汗」…な二月堂でした。
我當さん@良弁大僧正×秀太郎さん@渚の方の兄弟共演。 今公演は…せっかく松嶋屋三兄弟が揃ってのご出演なのに、同じ場に居並ぶ演目がナイのはちと残念
秀太郎さんの渚の方は、細~いヴィジュアルがそれまでの苦労がにじんでいるようで、ラスト輿に乗せられての笑みは「ホントに良かったね~」と心を寄せて拝見。

吉田屋

扇雀さん@伊左衛門×藤十郎さん@夕霧…という、こってり~な親子吉田屋でした。
座敷に通された後「若旦那様には勘当を受け…」と言われとぼけた顔で伊左衛門火鉢にあたる表情がナイスです。
夕霧を探しまわって次々と開け放つ襖絵が南天に雪~鶴~紅白梅…とおめでたい絵柄で、室内に飾られている餅花もお正月公演らしさ満点。
竹三郎さん@吉田屋女房おきさ、イイですね、佇まいが素敵です♪
居所替わりでスライドで引っ込む門松に多いに客席が湧いて笑えました~。

お祭り

いわゆるオーソドックスな【お祭り】は久々に観たかも?
仁左衛門さん@鳶頭×孝太郎さん@芸者の親子共演。
福笹、獅子舞、ひょっとこ×おかめ…など小道具にもお正月気分で華やかなれど~、立廻りが…みなさんちょっとお疲れの印象でした。