二月大歌舞伎・昼の部【松竹座】

嫗山姥

実はあまり回数観た事がナイ演目で(なのに私の気絶演目認定作品)久々の観劇。 八重桐や【毛谷村】のお園のような紫帽子で眉尻を隠した“触覚眉”のような女性って、強い女性のキャラ専用化粧なんでしょうか?(あの眉、苦手) 今回は藤十郎さんが近松座公演で初演した演出で『父の目指している道を私も踏襲していこうという意識の現れ』というのはお兄さんの襲名興行で選んだ理由であり、扇雀さん@荻野屋八重桐は初役との事。 “しゃべり”の台詞のリズムとお囃子の音がすごく耳に心地イイ演目ですね。 親の仇討ちに行ったはずの夫が、女達に囲まれている様を目にすれば…そりゃ喧嘩にもなりますわ。 今回の立師は扇一朗さんとの事で目に新しい派手な印象☆ こんな母ちゃんから生まれた金太郎、強いハズだ! 門之助さん@煙草屋源七実は坂田蔵人時行人新悟くん@沢瀉姫亀鶴さん@太田太郎歌女之丞さん@局藤浪

京人形

壱太郎くん@京人形の精、可愛い!かわいい!カワイイ! びっくりするほど瞬きしません! 観ているこっちが眼球が乾いてやたら瞬きの回数が多くなる始末。 いや〜、しかし可愛い! お人形さんみたい(って人形役ですが) 人形振りが素晴らしく、可愛い容姿と動作の落差が大きくて客席が多いに湧きました♪ 松緑さん@左甚五郎門之助さん@甚五郎女房おとくって、この夫婦は珍しいですよね! 立廻りのキビキビ加減が軽快でこれまた楽しい。 新悟さん@娘おみつ実は義照妹井筒姫亀寿さん@奴照平

四代目中村鴈治郎襲名披露 口上

下手から…
猿之助、亀鶴、壱太郎、扇雀、藤十郎、鴈治郎、梅玉、彌十郎、門之助、松緑。
門之助さんって女形の拵えなんですね?! 口上の席に居並ぶ門之助さんを何度か拝見していると思うのですが、目に新鮮なのは…何故? 松緑さん『兄さんとは誕生日は1日違い、お墓はお隣同士“ゆりかごから墓場まで”ご一緒させていただきます』 亀鶴さん『先月はご自身の襲名披露興行で大変お忙しい中、焼き肉や綺麗なお姉さんの居るお店に連れて行っていただき、大変お優しい先輩でございます』

傾城反魂香

贔屓目も大いにありますが、吃又は鴈治郎さんのが一番好き! でもって女房おとくは孝太郎さんと並ぶ相性の良さ、と自分の中では思っている猿之助さん!とあって、配役が発表になった時からすっごく観劇を楽しみにしていました♪
鴈治郎さん@浮世又平は出の歩きかや表情から「しっかりしろよ!」「なんとかしてあげたい」と庇護欲をかき立てられる朴訥ぶりと相対して、チャキチャキと細かに立ち回る猿之助さん@女房おとくの対比は微笑ましく楽しい♪ 故に死を決意してからの一連の夫婦の様子にホロリ。 「かか!ぬ、抜けたぁ!」の夫婦の腰抜けっぷりが、二人して漫画みたいな表情で笑えた!彌十郎さん@土佐将監光信は、今まで観たどの役者よりも又平を突き放す様が冷酷な印象。 残念ながら竹三郎さん休演で鴈成さん@将監北の方。 壱太郎さん@土佐修理之助松緑さん@狩野雅楽之助

二月大歌舞伎・夜の部【松竹座】

今年は襲名披露公演、追いかけますよ〜!と、いう事で先月に続いての松竹座遠征です♪ 残念ながら我當さん、竹三郎さん休演。

曽根崎心中

『アンコールにお応えして坂田藤十郎一世一代にてお初相勤め申し候』と銘打っての上演。 うん、私その一世一代の舞台、つい最近観はずよ…、うん。 この調子で何度もアンコール、ありそうですね。
藤十郎さん@天満屋お初×鴈治郎さん@平野屋徳兵衛は特筆すべき事もないほどの安定でしたが、目に新しいのは扇雀さん@油屋九平次!…と思っていたら初役との事。 ネチネチ…というよりはチクリチクリといびる感じがして新鮮ですし、何しろ“兄弟対決”って感じで目にも面白い図でした。 寿治郎さん@下女お玉は、殆ど作ってない顔とガサツさな所作が軽妙で笑えます♪ 彌十郎さん@天満屋惣兵衛梅玉さん@平野屋久右衛門
しかし…一発目から心中ものだと重いわ〜(かと言って最後だと劇場を出る足取りも重くなるなぁ)

連獅子

連獅子を観て、まさか泣くとは〜!と自分にビックリ。 「万感胸にせまる」とはこの事でしたっ!
翫雀さん×壱太郎くんが初めてこの演目を演じた“浪切ホール杮落し公演”の時(確か)は、遠征出来ず涙をのんで…やっと、やっとこの目で観れる嬉しさにテンション上がりっぱなし。 故にかなり贔屓目が作用していますが、鴈治郎さん@狂言師右近後に親獅子の精×壱太郎さん@狂言師左近後に仔獅子の精の出だけでウルッ。  猿之助さん@僧蓮念×松緑さん@僧遍念という贅沢な相狂言で気持ちを立て直していたら…獅子の精でボロ泣き。 そして鴈治郎さんの毛振りの安定感とスピードにビックリ! そうか、ずんぐりむっくりの方が重心が安定してるんだな(失礼!これでもファンです!)と妙に納得。 後半二人の毛振りがピタリと合って回転速度を増す様に客席が多いに湧き、私はボロ泣き。 こんなに感動した連獅子は初めて観ました。

義経千本桜

猿之助さん@佐藤忠信/佐藤忠信実は源九郎狐で【川連法眼館の場】。 これを松竹座の襲名披露公演で、かけるんだ…なんか不思議。 猿之助さんは特筆すべき事もナイくらい安定でしたが、鼓を返してもらってからの喜ぶ様の“子狐の可愛らしさ”が増していた印象。 そして壱太郎さん@静御前ですよ、奥さん! も〜う、猛烈に可憐な姫っぷりで、今最高に愛らしい女形なんじゃないでしょうか? いや〜、何しても可愛い。 門之助さん@源義経、私、門之助さんの小忌衣姿って大好きなんです!  “特に体正面、顔は横”っていう様がすっごく絵になる…と勝手に思ってます(門之助さんって声とか顔とか“麻呂”って感じでしょ?) 亀寿さん@駿河次郎亀鶴さん@亀井六郎寿猿さん@川連法眼、竹三郎さんの代役で鴈成さん@飛鳥

二月花形歌舞伎・伊達の十役【博多座】

博多座では初上演です。 澤瀉屋専売特許的な演目かと思っていたので(…って海老蔵さんもされてましたね=市川家特許?)染五郎さんが?と驚きましたが、2014年5月の明治座公演で大好評を受けての今公演。 期待が高まります! 澤瀉屋からは右近さん@八汐、笑三郎さん@三浦屋女房松代が座組に。
2月3日は【お練りと節分豆まき】、14日は【KABUKI NIGHT】と…舞台以外でも大奮闘の染五郎さん。 今公演で、どのくらい体重が減ったんだろう?
慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ)】は、恥も外聞も構わず大汗をかき、紅葉のように顔を真っ赤に染めて奮闘する、という意味があるそうです。 【伊達の十役】は通称…とは恥ずかしながら初めて知りました!

 💡 口上
幕開きに、染五郎さんが物語のあらすじと登場キャラを幕に投影して紹介する…という親切スタート。 博多座公演の挨拶ではお馴染み「母は福岡出身で、半分博多の血が流れてる」から始まり「演目通り顔ば赤うして大汗かきながら4時間頑張りますけん応援ばよろしくお願いします〜」と、博多弁で。 染五郎さん、これ、どなたかに任せても良かったのでは? …ほら、あなた今から大忙しだからさ。

染五郎さん@仁木弾正/絹川与右衛門/赤松満祐/足利頼兼/土手の道哲/高尾太夫/腰元 累/乳人政岡/荒獅子男之助/細川勝元 うん、書き連ねると改めて凄いですね。 歌舞伎だと性別も行き来するから、体や声の使い方も違ってて、とにかく全力の全身運動でしょう! これを昼夜2回公演って超人的! 途中から『もう染ちゃん、飽きた…。 他の役者さんが観たい』って、ごめんなさい! ホントにそう思うくらい“どこを切っても染ちゃんな金太郎飴状態”なんだもの。 他にご出演のイイ役者さんがズラリなんだから、そちらに役を振っても…って、ごめんね、染ちゃん。
特筆すべきは、ご本人が一番演じたかったという乳母政岡。 vs右近さん@八汐ってビックリな配役に、いつも以上に息を詰めて見入りました。 政岡と八汐を演じるには若いなぁ…と思ったものの、政岡は千松のお母さん…と考えると、実年齢くらいなのかも? 王道に、基本に忠実に演じている印象。 右近さんの敵役ってイイ!  秀太郎さん@栄御前がしっかりと場を締めてくれます。 そして仁木弾正の宙乗り。 最近は派手なパフォーマンス宙乗りばかり目にしていたので、妖気をまとって静かに上がっていく様はとても綺麗でした。

4時間で10役。 演じるご本人はもちろん、裏方さんはそれこそF1レースのピットなみの慌ただしさなんでしょうね。 凄いチームワークだ! で、観劇後に強く思ったことは“猿翁さんの凄さ”!  染五郎さんは“頑張って演じてます”って感じが全面に押し出され熱として伝わってくるんだけど、猿翁さんはそんな素振りが全く感じられず、各々をサラサラと切り替えて、職人みたいにこなしていく感じ…って、言いたいこと伝わりますかね?
他にご出演の役者さんについても感想を…と思うのだけど、目が及ばずご容赦!