近江飛龍劇団・夜の部【博多新劇座】

大衆演劇って一度観てみたいと思ってるけど…」と気になりつつも触れる機会がなく…という友人4人を引き連れて、私、4度目の博多新劇座に行ってきました♪

近江飛龍劇団に関しては何の情報もなく、劇場のチラシに掲載されたド派手な拵え写真と『ハイテンションなパフォーマンス!』というキャッチコピーで「これなら“ザ・大衆演劇”を観られそう♪」と観劇を決定!
この劇団自体、博多新劇座での公演が数年振りだそうで、初日の幕が開いた時は「誰?この役者…」というシラ~ッとした反応と冷たい目だったらしく、それからの奮起で千穐楽間近のこの日は固定客も掴んで“ハイテンション”のコピーに偽りなし!の舞台でした。
とにかくトークやお笑いのセンスがさすが大阪の劇団!ってな感じ。 芝居やショーも“笑いを取ってなんぼ”ってなトークが冴えでしゃべる、しゃべる、しゃべる~。 少ない団員は若手が多く、座長が大車輪…な劇団である印象。

三部構成で、一部は団員紹介の【舞踏ショー:1】。 男性陣がそろってガッチリムッチリ系で二枚目不在汗、でもって女性陣がヅカ男役のようなクールビューティーが揃ってる…という不思議な団員構成の印象を私は受けました。
二部はお芝居【どぶろくの辰】。 驚いたことに現代劇でした(と、いっても500円が大金の時代だから…昭和初期?) 友人には“ザ・大衆演劇”なチョンマゲ時代劇を見せたかったのでかなり残念でした~。 ストーリーは山場で働く口は悪いが根はイイ奴の辰が、借金で苦しむ同僚の為に自ら悪者となって発奮させ幸せの手助けをする…という人情芝居。 …面白くナイ。 美佳さんは声が良く“舞台女優”って感じで◎
三部は【舞踏ショー:2】。 やっぱり…座長、副座長の女形が綺麗じゃナイ…ってのは痛いなぁ~、と。 ま、そこはド派手衣装と演出でカバーなのですが。 大輔さんの赤鬼?は劇団☆新感線っぼいバリバリロックな感じの演出で見応えがありました! 「ん~、全体的にちょっと微妙だなぁ」と思っていた所に、初日に大好評だったという事でリクエストのあった【飛龍ドラゴン太鼓】で〆。 舞台に居並ぶ団員は和太鼓で脇を固め、センターの座長はドラムセットで叩きまくる圧巻の迫力。 これは凄かった~♪

大衆演劇というのは劇団によってカラーやその力量が大きく違うものなんだなぁ、と感じた今観劇でした。

駒田一トークショー【大野城まどかぴあ】

来年2月にこの会場で上演されるミュージカル【サ・ビ・タ ~雨が運んだ愛~】に主演の駒田 一さんのトークショーが開催されましたので行って来ました♪
このイベント告知はものすご~くひっそりとしかされてませんでしたので、友人からお誘いを受けるまで全く知りませんでした。 それでも小さな会場は満席で、約1時間半、ほとんど笑いっぱなしの楽しい時間で大盛り上がりでした☆
“トークが達者な駒田さん”という事は存知あげていましたが、それ故に司会進行役に回る事が多く「そういえば駒田さんがご自身の事を多く語ってる…って場に遭遇した事ナイなぁ」とイベントが始まってから気が付いた次第。

今回、司会進行役の福岡のフリーMC・小柳有紀さんがほんわかニコニコのナイスキャラで、この方と駒田さんとの掛け合いがなんともイイ! 今までこういったタイプの地元司会者が進行するトークショーに何度も参加した事がありますが、今回が一番イイ! もうこれからのイベント司会は全部小柳さんにお願いすればイイやん!と思ったほど(決して回し者ではありません!)。 ちなみに“こやなぎゆき”ではなく“こやなぎゆうき”だそうです。 ぽっちゃりコロ~ンな容姿でニコニコまったり~なキャラで、駒田さんはトークのリズムを度々崩されてカックン!ってなってたのも笑いポイント☆ そして東京から同行されていた東宝プロデューサーも客席からそれとなくトークに参加していたのが、またいと可笑し♪
一昨日、帝劇レミゼの千穐楽を終えたばかりでお疲れもモードとお見受けした駒田さんでしたが「つい先々月は大好きな博多に1ヶ月も居たのに殆どしゃべれなかったから!(=クコール)」と、本日のトークは全開。 ご自身が今現在、ミュージカル俳優としてご活躍される迄に至った経緯に「へぇ~」。 今年のラ・マンチャでは念願のサンチョ役を得て、節制を心がけ、ひたすら体調管理に気を配られた事に「ほぉ~」。 “愉快な駒田さん”な一面しか知らなかったもので、すごく貴重な時間でした(実際、東京からの参加のファンの方も!)
東宝ミュージカル?の舞台において“三大司会者”なるものが居るそうで…森公美子、岡幸二郎、駒田一、との事。 そしてこの前の博多座公演において駒田さんが司会回数NO.1の座に輝いたそうです! その記録を知った残る二人は相当悔しがっていたらしい(爆!)
作品の魅力をネタバレしない程度に熱く語る駒田さんでしたが、「とにかく初演時と同じキャストで再演出来る事にすごく嬉しい!」という事とその共演の原田夏希さん、山崎育三郎さんをすごく評価されていたのが印象的でした。
そして私がず~っと疑問に思っていた【サ・ビ・タ】という言葉の意味は副題にある“雨が運んだ愛”の韓国語の略語なんだそうですね(レ・ミゼラブルをレミゼって言うみたいな)

いや~、とにかく笑って笑って笑ったトークショーでした。
来年2月の福岡公演、更に楽しみになりました♪

錦秋文楽公演・昼の部【国立文楽劇場】

国立文楽劇場開場25周年記念”の公演だそうで、私にとってはこの劇場デビューをした昨年1月末以来の観劇。
どこかの専門学校か?校外学習のようで団体観劇していて客席は賑わってました。 やっぱり大阪では庶民の娯楽としてドッカリと根付いてるんだなぁ…と今回も思わされました。

13日に第1部と第2部の入れ替えがあり、本日の昼の部は【芦屋道満大内鑑】。 人形が今現在のように“三人遣い”になったのは1734年に上演されたこの【芦屋道満大内鑑】から…だそうで“文楽発祥の地”で、偶然にもその記念碑的な作品を観劇出来るのはラッキー♪
この演目【保名】と【葛の葉】【蘭菊の乱れ】は歌舞伎でも度々観ていますので、その違いが楽しく、またこれらの段並びでは観た事がナイので「なぁ~るほど!こ~ゆ~話に繋がるのか!」という気付きがあり、めっちゃ楽しめました☆
舞踏でしか観たことがナイ【保名】でしたが、その前段というべき【加茂館の段】で、その恋人が榊の前という人で、その人がどういう身の上で、保名を庇って彼の目の前で自害してしまった…故の保名の物狂いとなる下りを初めて知って「そりゃそうなるわなぁ…」と彼の悲しみへの理解が深まりました。 が!榊の前にそっくりその妹・葛の葉姫の出現に、速攻で恋仲になる~という変わり身の早さに驚き、涙が引く~。 葛の葉姫も姫だよっ! 保名の髪型は落ち武者のように垂らしたものでなく、ちゃんと結ってあるタイプなんですね。
葛の葉子別れの段】では文雀さんの女房・葛の葉~白狐が素晴らしかった! 人形ならではの変身ぶりは歌舞伎との違いが更に楽しく、狐の動きが機敏ながらも悲しみをたたえている表情(に見える!)で、人間も動物も親子の情愛に違いはナイんだなぁ…と感動させられます。 筋書きの…文雀さんが語る“狐の扱い方”が興味深かったです~♪
歌舞伎では『恋しくばたずね来てみよいづみなる信田の森のうらみ葛の葉』は曲書きで見せ場のひとつなので、文楽ではどういう工夫なんだろう?と思っていたら…呆気なかったッス汗汗汗

通しで観れて「前後が判って全体がガッテン!」となった嬉しい観劇でした。

蛮幽鬼【梅田芸術劇場メインホール】

上演が発表された時は「猛烈に観たい!」けどあまりにも発表が前過ぎて、上演時の自分の状況が全く読めず、見送り…先に始まった東京公演の評判も悲しくなるので、目に触れないようにしていました。 が!幸運にも大阪公演のチケットをオペラグラスいらずの、花横(花道があったらね)という素晴らしいお席をGETする事が出来まして急遽遠征!

情報シャットアウトで辛抱強くゲキシネ公開まで待つつもりだった故に、公演パンフレットで開演直前に「あ~“岩窟王”がベースになってるんだぁ」と知った次第。 パンフレットに、いのうえさんが書かれているNHK【日本巌窟王】(1979年放映)って当時、ウチの家族は夢中で観てましたっ! ホントにものすご~く面白かった!! 主演の草刈正雄さんよりも、“激しいキザ男”を演じていた志垣太郎さんが我が家では大人気で、当時“キザマン”とあだ名して毎週放映を楽しみにしてました…懐かしかぁ~♪

舞台観劇が叶わなかった【五右衛門ロック】を先日ゲキシネで観た時「客演が多すぎると新感線の役者さんたちの出番が削られて消化不良になるなぁ~」と思いました。 客演役者に見所を個々に与える為か?なんかすご~く散漫な印象が強く、生で観たら違ったのかも?…ですが、そんな感じでひどく残念だったので、今作品もその事をちょっと危惧しての観劇だったのですが…そんな心配は不要の面白さでしたっ!! 大好きな、じゅんさんも右近さんもまことさんも適材適所、見所も相応にあって◎

開幕前にスクリーンに映し出される文字は…【蛮記】→【蛮記】→【蛮記】と幕が上がる前に次第に変わっていくんですね。 ロビーにあったブロンズ像?も開演前は顔にマスクが…で、幕間にはそのマスクが取れて…と細かな演出も面白い!って、あの像自体は舞台には出てこないんですね。 土門のイメージ像なのかしら??? 幕が上がる前からテンション↑↑↑な仕掛けもウマイなぁ~。

まずは客演陣の感想から…。
堺雅人さん、稲森いずみさんは私、生の舞台では私、初めて拝見。♪

堺雅人さん@サジはあの声の持つ印象からは想像出来ないほどクリアにスコーンと通る舞台声なんですね!(舞台出身ですものね)どんなに早口でもクリアに聴こえてビックリ! サジは当て書きなんでしょうけど、あの謎な微笑みをず~っと浮かべているのは顔の筋肉が硬直しないのかしら? 常時笑顔がスッ消えてクワッと目を見開いて言う迫力は血の気が引くような怖さがありました。 “見得を切る”ようなクローズアップ効果というか、惹き付けられるというか…。 一番ゾッとしたのは、親友を殺したのは実は…ってトコですね。 正常な人間の心を持っていない所が彼の悲しい所なんだろうけど。 衣装のシルエットがそうさせるんでしょうけど、殺陣はスピーディーなれどキレが今ひとつに見えるんです。 あのシルッエットがスリムな方が体の線が見えて“キレ者”って感じがしてイイような気がしたんですが…それがひどく残念。
対して、何度も舞台を拝見してる安心感のあった上川隆也さん@伊達土門/飛頭蛮が役作り故の低い声多用の為か?時々聴こえずらかったり、チラリと聴いた久々の歌声も劣化している印象で…個人的には消化不良でちょっと残念。
稲森いずみさん@京兼美古都は「顔ちっちゃ!」 スラリとした長身美女なのは判ってましたけど、舞台に居並ぶとその長身と小顔っぷりが一層でした。 ラストの凛とした大君風情は相応でしたが、声が低いだけで今ひとつあの国の民として彼女の声に説得力かなかったように思えたのはあくまでも私的感想。
早乙女太一くん@方白/刀衣は、殺陣も踊りもさすがですが…もうそろそろ違うタイプのお役で拝見したいですね。
山内圭哉さん@稀浮名のキャラがすご~く好きでした。 優柔不断なプレイボーイでズルイ男っぷりがなんとも上手く、スキンヘッドと後頭部からの蔦のようなタトゥーのヴィジュアルがナイス☆ このタトゥーはちょっとウィーン版エリザベートの衣装を思い出しました(蔦=腫瘍=悪いモノに浸食されている)

そしてお目当ての劇団メンバー陣は…。
橋本じゅんさん@稀道活は国崩し的なスケール感もあってイイ! コール&レスポンス、あれだけ声を張り上げて毎回とは…よくノドつぶさないなぁ~。 五右衛門…に続いて、じゅんさん大活躍ですね! 「南海のフェリー乗り場に居ただけだよぉ~」と時事ネタも。 右近健一さん@鳳来国の大王はその出だけでクスクス笑ってしまう~。 全てにおいてラブリー過ぎだろっ!  高田聖子さん@ペナンはさすがに達者だ! お腹をボリボリ掻きながらジョントラボルタよろしく“サダデーナイト・フィーバー”ポーズでニカリと決めちゃうポーズに爆笑。 あれで姫って☆ モロ肌脱いだ聖子さんに「おぉ~鍛えてるう~♪」 村木よし子さん@稀浮名の妻・鹿女完全に大阪のおばちゃんを誇張した出で立ち。 これは東京公演でもそうだったのでしょうか? 女を捨てた演技に「お前の芸風はソレでイイのか?」のツッコミには激しく笑ったけど「彼女の高槻の実家へ送り届けて」とかご当地ネタでのいじりは笑えるツボでした。 でもって稀浮名を追い回していた三人の女の子は【美女と野獣】でガストンを追い回すシリイガールズそのものでしたね♪

舞台美術は…冒頭、雨のように星が降ってくる様子は綺麗だったぁ~☆ あんなに降ってくるのを実際目にしたら、この世の終わり的な感じがして怖くなってしまうだろうけど…。
今回一番感心したのは、屋上で星を見て友人が叫び声を聴いて驚き、階下に下りて行く階段~下の階へ下る見せ方! そして同じく幽閉されていた牢屋から地下に掘った通路を下りて行く見せ方! すごい!感動!ホントに下へくだっているようで、潜っているようで…スゴイ工夫だなぁ~♪
第二部開幕前の幕前解説と注意事項アナウンスは元四季の女優さん。 劇団四季開口法バリバリのしゃべり方で客席が湧いたけど…「やっぱ、演ってた本人たちも不自然に思ってたのね」と苦笑いの一幕でした。 新感線を観る客層と四季観る客層ってカブらない印象だったから、笑いが取れていたのに驚いた~(ま、私みたいのも居るけどね)

総括としては大物客演が多かったのに、劇団員とのバランスが上手い具合に取れた娯楽作品☆という印象。 いや~、面白かった!!!