ペテン師と詐欺師 【北九州芸術劇場】

日本のミュージカル界を常に牽引し続けている2大スター・鹿賀丈史さんと市村正親さんがガップリよつに組んで話題となった2006年秋からの再演。 地方公演があるのはこの再演が初めてでしょうか?  映画【ペテン師とサギ師~だまされてリビエラ~】も観たコトがなく、この度初観劇♪
洗礼された手口で女性を虜にする凄腕詐欺師ローレンス鹿賀さん。 バイタリティと愛嬌に溢れるペテン師フレディ市村さん。 息ぴったりのお二人の軽妙なやり取りは観てなくても容易に想像出来ましたし、実際それを目の当たりにし充分堪能♪
鹿賀さんって…私、舞台ではジキル&ハイドとジャベールでしか拝見した事がナイので、このようにニコニコ笑顔溢れる明るいお役にまずは衝撃☆ Dr.と身分を偽った際、一旦舞台袖に引っ込んだかと思うと、めちゃめちゃ高い跳躍スキップで舞台中央に進み出て(すっごい笑顔)、足が不自由である事を偽った車椅子の青年(=市村さん@フレディ)の足をパッコーン☆と弾みを付けて殴打。 も~う、笑った笑った~♪
市村さんは、この所、父親役で拝見する事が多かったので、Gパンとスニーカー姿で軽やかに歌い動き回る若々しさに感嘆。 設定ではローレンスとは年齢の差がかなりある“若者”なんでしょうけど…市村さん、OKです。 客席に下りての客いじりや、ルプレヒトの弾けっぷりは“パワー120%”という印象で、その奮闘に拍手喝采☆
…で、私、実はこのお二人より3人の女性キャストに強く印象に残ったかも? というのも前段で述べたように、お二人は想像通りの範疇だったので、想像がつかなかったソニンさん、香寿さん、愛華さんの方にインパクトが。
ジャッカルasクリスティーン
ソニンさん@クリスティーンは【スウィーニ・トッド】での好演ですごく期待していたのですが…裏切らないですね~♪ 可愛いし、芝居も歌も上手いし☆ ラスト大変身~のパンチの効いた歌声は痺れました! スカッと壮快な幕切れに大きな役割を負っていると思います。 パラソルを支柱にしてクルリとターンを決めて真っ赤な唇でニカッと笑う演出。 コレ、すっごく効いてますね! 上手いっ☆
香寿たつきさん@ジョリーン・オークス。 私【M!】の男爵夫人でしか香寿さんって拝見した事がナイので「役者さんの化けっぷりって凄い…」と思わされました。 三の線もなんなくこなせる方なんですね~(そばかす可愛い!) ♪オクラホマ♪でセンターでバシバシ踊る様が妙に格好良く決まってしまうのは、さすが元ヅカ!の所以でしょう。
愛華みれさん@ミュリエル・ユーバンクス。 初めて愛華さんを拝見。 歌が…でしたが、キャラクターを的確に演じてらして、笑わせていただきました~。
あと~アンサンブルでひのあらたさんがご出演だったのですが「背高っ!顔小さっ!足長っ!」で、すぐ見つける事が出来ましたが、カーテンコールで「あれ?居ない?!」 消去法で考えると…サングラスをかけたアラブ装束男性がそうだったようで~。 タンゴを情熱的に踊るシーンが素敵でした♪
舞台美術がすごく好きでした。 特に、ローレンスの屋敷に押しかけたフレディが歌い踊るシーンで、赤ラメのナイアガラの滝のような糸幕(って言うのかな?)がヒラヒラしながら降ろされた時は「うわぁ~綺麗☆」と思わず声を上げちゃいました。 ゴージャス!
最後の最後に大どんでん返しが用意されていて、ローレンスとフレディと…観客も一緒になって「すっかり騙された~」と笑えてスカッ☆と出来る楽しい舞台でした♪
そういえば…ちょうど一年前もこの劇場に市村さんとソニンさんの舞台を観に来てたんだわ(スウィーニー・トッド

青い旗キャスト
ローレンス・ジェイムソン:鹿賀丈史/フレディ・ベンソン:市村正親/クリスティーン・コルゲート:ソニン/ミュリエル・ユーバンクス:愛華みれ/ジョリーン・オークス:香寿たつき/アンドレ・チボー:鶴見辰吾

二月花形歌舞伎・昼の部【博多座】

昼の部は6日と前楽の22日、2回観劇しまして…昼の部のご挨拶は【渡海屋・大物浦】に唯一出演のナイ勘太郎さんが公演期間全て勤められました。 ネタ切れにならないのかしら?と思っていたら“今日は○○の日”という記念日ネタを取り入れていた模様。 私、ご挨拶のスタイルって『緞帳が上がると定式幕の前に口上スタイルで』と勝手に思っていたので「やぁ~、こんにちは~♪」と鳥屋口からスタスタ花道を歩きながら登場のラフトークにはビックリしました! 私は残念ながら拝見出来なかったのですが、夜の部で担当されていた亀鶴さんは“舞台~客席へトンボを切ってダイブする”パフォーマンス付きだったそうです。
今公演は不思議な狂言立てとなっていて、朝イチからド~ンと重い2時間の時代もの+所作事2本。 ま、軽やかな気持ちで劇場を後には出来ましたが…昼夜どちらか1つ世話物を入れて欲しかったなぁ。 登場人物が多くなるから人数的に難しいとか?
船 渡海屋・大物浦
以前の浅草公演で大変好評だったと聞いていた獅童さん@渡海屋銀平実は新中納言知盛、とても楽しみに拝見。 『悪くはない』総体的には失礼ですが、ホントにそういう印象でした。 浅草公演時もご覧になった方は、今公演はどのような感想を持たれたか伺ってみたいです。 矢を受けた血染めの白装束の迫力と姿の美しさにざわ付く客席に「獅童さん、やっぱり歌舞伎役者なんだなぁ」「さすがに華がある」と感じました。
今演目で一番立派で驚いた…と言ったら、これまた何様で失礼ですが七之助さん@女房お柳実は典侍の局! 好演☆ 今まで七之助さんは苦手意識が先行して受け付けられなかった部分があったのですが、このお役では女房と局の切替も見事で、特に局の高貴さと無念さとが実に上手く表現されていて引き込まれてしまいました。 恐らく、こんなに若い役者さんがこの役を演じているのを拝見したのが初めてだったので驚いた事も大きく作用しているかと。
愛之助さん@相模五郎×亀鶴さん@入江丹蔵の前半の“魚づくし”に代表されるおかし味の部分は、博多座のお客さん大喜び♪ 「うまかねぇ~」「面白かねぇ」と隣席のおばあちゃんはしきりと拍手されてました。
手負いの傷ながら局に注進に駆けつけた亀鶴さん@入江丹蔵に斬り掛かる武士に翫政さん! 今公演の翫雀さんのお弟子さんのご出演を知らなかったのでビクッリ嬉しく、力いっぱい拍手しちゃいました。 翫政さんGJ☆
そしてこの度、珍しい四天王を拝見しました…松之助さん×勘之丞さん×山左衛門さん×松三郎さん)。
でもって私、よ~やく海原に浮かぶ船の松明が消える様子を見る事が出来た~(いつもこの美術さんのナイス仕掛けを見逃すの~)
桜 高坏
勘太郎さんは、前回の博多座勘三郎襲名披露公演【雨乞狐】(2006.6)では怪我をして、千穐楽間近で降板…というご本人にとっても博多座観客にとっても残念な事がありましたので、今公演はリベンジです!
今公演の演目が発表された時、一番嬉しかったのはこの高坏です。 と~っても楽しみにしてました♪ が、故に初日明けて間もない観劇日に拝見した時は…正直ガッカリ冷や汗
公演開幕前の【ザ・博多座】インタビュー映像で「下駄タップなんて練習すれば誰でも出来るんです。難しいのは桜の下フワフワと酔っぱらって心地良くなったほわ~んとしたピンク色の空間をお客様に感じていただけるように演じる事」と勘太郎さん。 そこでいざ拝見してみると…出来て当たり前と豪語していた肝心の下駄タップが「あれれ~?」。 こういうお役の時はなおさら勘三郎さんの声にソックリな勘太郎さん@次郎冠者なので“お手本を忠実になぞってる”感が増々見えてしまって「ん~…汗」となった1回目の観劇。
「期待し過ぎた自分も悪い」と思いながらも肩すかしを食ったやるせなさを抱えたまま前楽を観劇。 驚きました! 格段に良くなってた! ふわふわピンクのニコニコ空間になってた! 前観劇時に感じたもやもやが全てクリアされていたんです。
今公演全ての演目において回を重ねて良くなったのは【高坏】が一番だと思いました。 芝居はやっぱり“生もの”だと改めて思わされました。
ラスト大名×太郎冠者との三人の連れ舞いでは客席から手拍子が☆ それほど観ていてウキウキと楽しい舞台となっていたんです~♪
七之助さん@高足売も飄々としていてチャッカリ者の様子が増し、太郎冠者との駆け引きは本当に楽しく、最初から安定していた亀鶴さん@大名某×國矢さん@太郎冠者は終始好演☆
博多座で上手にも五色幕がかかった演目…って多分初めてでした。
団子 団子売
こちらも博多座では2回目の上演(【團子売】2006.2=扇雀×翫雀)。 この時の背景も今公演と同じ太宰府さんでしたネ。
愛之助さん@杵造×亀治郎さん@お臼。 私、このコンビの夫婦って…初めて観たような? なんだかとても新鮮に目に映りました。
ツンとお澄ましが過ぎて表情に愛嬌のナイお臼は、とても団子屋のおかみさんには見えませんでしたが…所作、特に指先の動きや形が美しい。
杵造は…と言うと、そんな女房にベタ惚れ、という感じで女房に対して甲斐甲斐しい様子にニッコリ☆
でも~、二人が作る団子ってあ~んまり美味しそうに見えなかったなぁ汗(翫雀さん@お臼が特別美味しそうだったもの♪)

わらしべ夫婦双六旅 【新橋演舞場】

ちょうど時間がポッカリ空いて、ふと見たWEB松竹に戻りが1枚出ていたので…うっかりポチッと押してしまいましての観劇と相成りました汗
2月の新橋演舞場=中村勘三郎さん×藤山直美さん』というのが定番化している…というのは、今公演を観るまで知りませんでした。 ちなみに昨年は【殿のちょんまげを切る女】で、中島淳彦さん作×ラサール石井さん演出も引き続き…との事。
お話の舞台はわずか15年間という時代ながらデモクラシー、第一次世界大戦勃発、関東大震災…と激動の大正時代。 バクチ好きな象牙職人・六助(勘三郎さん)と夫を心から愛する妻・おいち(直美さん)が戦前後の景気の波にもまれながらも♪つくつくどん♪とサイコロを振って、身の振り方を天に任せ、明るく逞しく生きていくお話。 ここに、これまたバクチ好きでお人好しの質屋の旦那(上島竜兵ちゃん)としっかり者の妻(余貴美子さん)夫婦、旅一座の御一行様(天才歌手=矢口真里さん)、借金取りの面々が絡んでドタバタと賑々しい日本縦断の旅模様を描くのだが…。
ん~と…総括として「面白くなかった」
公演期間中はほぼ連日満席で大盛況のようでしたが、お芝居として、作品としての魅力がなかった汗
時事ネタ(中国産餃子、賞味期限、どげんかせんといかん、船場吉兆の囁きおかみetc.)をふんだんに取り入れ、竜平ちゃんはお決まりギャグを披露し、直美さんは「この人の喜劇センスはホント凄いっ!」という笑いのツボを手堅く押さえており、満員の客席はドッカン☆ドッカン☆と湧き、そのひとつひとつのギャグは単発で笑えるものの、作品全体として通してみた時に…ん~冷や汗
巨大スクリーンに映し出す映像を交えながらの趣向もあり(友情出演:柄本明さん@舞妓)瞬時に新橋~横浜~名古屋~京都~広島~宮崎を旅してみたり、双六の模様を舞台全体にあしらった美術は目には楽しく、特に宿屋の個室それぞれの人間模様の見せ方には惹かれるものがありました。
今作品、一番の収穫は中村小山三さん@六助の父でした! ご出演を知らなかったので、まずは登場に驚き…臨終シーンが本気で心配になるほどの息の乱れっぷりに汗汗 ニンマリとサイコロの目を動かすお化け映像にホッと笑えました~♪
ん~、大変失礼ですが『役者の名前だけで集客した舞台』そんな感じを“私は”受けました。 この作品で言いたかったテーマは…「人生そんなに甘くナイ。ナイけれども明るく逞しく生きて行こう!」って事でOK? 心に響いて残るメッセージが感じられず残念。

ユタと不思議な仲間たち【四季劇場・秋】

「同じ作品でも、観る度毎にこんなに感動を新たに出来るもんなんだ…」と“舞台は生もの”という事を改めて思わされた今観劇でした。
先月の京都公演観劇時から一ヶ月後ほどの経って観劇で、この時も初観劇時に似た感動を覚えた舞台でしたが、この東京リターン公演、キャストが一部変わっているものの「更に良くなってる~」という進化に驚き「やっぱりこのユタは特別大好き!」と改めて強く思いました。 ラスト、こんなにもボロボロ泣いてしまうのはそれこそホント初観劇以来かも
(幾分、初観劇時の舞台が思い出によって美化されているかもしれないケド)
今観劇で特筆すべきは…菊池正さん@大作遊佐真一さん@一郎のアダルト(過ぎる)いじめっ子小学生コンビ! ペドロ親分を経て拝見する菊池大作は私、恐らく初めてでして、ひどく感慨深いものがあり「菊池さん、このままず~っと再演の度毎に大作を演じ続けて欲しい!」と強く思いましたっ(同意!の人はきっと多いはず)  『ユタ=菊池大作』はある意味お約束になっていて、「どう見ても無理が~」と思いながらも嬉しく観れちゃう楽しみが約束されていますもの!
そして遊佐一郎は「まだまだ若いもん(←この表現が年か?)には負けてないぜ!」とばかり、バク転&側転、高いジャンプを次々と繰り出し「す、凄いよ!遊佐さん!」と興奮。 見た目もまだまだ大丈夫ですし(小学生となると…それは~ですが)
このアダルトコンビの投入でいじめっ子達のシーンは緩急自在で楽しめました。 幕間でロビーに居た時、小学生の女の子とお母さんの会話。 「ユタは皆と仲良くなれるのかな?皆と友達になって欲しいな」と心配していたのにニッコリ。 いじめシーンに本気を感じられた故でしょうね♪
そしてわらし達~♪はお二人に絞っての感想を。
今公演で足袋のデザインって変わりました? ピンク無地→ピンク迷彩柄になっているような? 今公演で旅立ちの時、わらじを履いている事を今更ながら気が付きました(観劇何回目よ、私?) いつも笠の下の表情に集中してるもんなぁ~。
芝清道さん@ペドロ
昨年11月の宗像公演以来拝見。 ロン毛にワイルドな迫力があってカッコいい! 歌のウマさは言わずもがなですが、表情の演技がと~っても細かくて小夜ちゃんに対する恋心がこれまた切々と伝わってくるのは流石。 ♪見果てぬ夢♪はなんと切ないことよ~。 旅立ちのラスト、小夜ちゃんが「誰だかわかんねぇけど、神様みてぇな優しい人、こうやっていっつも見守ってけれてたんだねぇ」と自分の存在を何かしら感じていてくれた事を知った時の…涙に濡れた喜びの表情は絶品! 泣きました…。

三味線ヒノデロ

道口瑞之さん@ヒノデロ
も~う、好き過ぎて困りますときめき …なので客観的にレポート出来ないことはご承知おきいただいて~汗
京都公演時に感じた“男らしさ”は一気にトーンダウンしていて、色気が増していました。 特に♪白粉の匂いが大好きで あたいもこんなやさ男♪はゾクッと来ましたっ! なんですか?あの目と首の色っぽいラインは! “流し目わらし”認定です! 「美人さんなのは知っとったばってん、ここまで色っぽいとは~」と愕然です。 青空教室で大作の膝にそっと手を触れてニマニマするところはデフォルトですが、本日はその前に大作とドンとぶつかってしまい…「あ♪ 今、体が触れたわ~。きゃ~っ」ってドキマギしてましたっ! ヒノデロを演じている道口瑞之さん…ではなく、そこに居るのはヒノデロでしたっ! 自然すぎる~。 体力作りで他のわらしたちに付いて励むユタを「頑張って、頑張って」とドキドキしながら心配そうに見守っている様は…女子マネージャーです。 「きゃ~っ出来たわぁ~」とバンザイしながらキャピキャピっと笑顔で走り去る様は…友達の告白に付き添って来てその成功を喜ぶ女子高生です。 可愛らしかぁ~☆
はぁ~、何度観ても新しい発見があって楽しくて…飽きないです。 も~うホント好き過ぎて困ります汗
後席にいた親子の会話「この人、声聞いたら男の人だったからビックリした~!男よね?女なの?男?」とお子さんは混乱を来たしていた模様。
ダンジャの「パンジャァマ」「ピィッ~マンッ」、新太の「ぷれじぇんと」は大切な笑いポイントなので頑張って訛って欲しいです~。

青い旗キャスト
ペドロ:芝 清道/ダンジャ:丸山れい/ゴンゾ:深見正博/モンゼ:田村 圭/ヒノデロ:道口瑞之/ユタ:藤原大輔/小夜子:樋口 茜/寅吉:吉谷昭雄/ユタの母:菅本烈子/クルミ先生:丹 靖子/大作:菊池 正/一郎:遊佐真一/ 新太:厂原時也/たま子:後藤華子/ハラ子:上原のり/桃子:市村涼子

二月花形歌舞伎・夜の部【博多座】

浅草公会堂ではすでに人気公演として定着している“新春浅草歌舞伎”。 このメンバー7人が初の地方公演!という事で話題となった【博多座二月花形歌舞伎】
通例として“2月と8月は厳しい”と言われている興行ですが、博多座もご多分にモレず二月の歌舞伎公演は毎年厳しい入りが続いていました。 地元歌舞伎ファンは「このままの入りじゃ博多座で歌舞伎を観れんくなるかもしれ~ん悲しい」と正直なところ危機感さえ持っていました。 そこへきて本年は若手のみの公演。 「入りは大丈夫なのか?!」と心配したものの…これが開幕してみると~、とにかくビックリの連日大賑わい☆ 各種メディアへの露出に加え、豆まき&お練り&KABUKI NIGHTとイベントもあり…と開幕前と直後の宣伝手法が大当たり☆だったようで、期間後半はそれこそ“クチコミ”でますます人気が加熱していったようです。
もちろんチケットも花形料金だった事は大きな要因ですが…いや~、とにかくこの人気と盛り上がりには驚きました。 だって博多座の歌舞伎公演で“立見”が出るだなんて…いやはや驚きです。 私自身はご贔屓さんの出演が全くナイので(翫雀さんのお弟子さんが出演だった!)大入りに喜びながらも冷静に?不思議がってました。 で…何がこんなに人気だったの?
今公演で亀治郎さんが「近年の博多には元気がナイ」としきりに口にしてましたが…亀ちゃんにもの申す! あなたが一番最初に博多座に出演したのはスーパー歌舞伎だったでしょ。 大歌舞伎公演時とはお客の入りが全然違うんだから、それと比べられて言われてもねぇ。 博多はいつだって元気とよっ!(ただ“飽きやすの好きやす”だけど)
夜の部は【初日】と【16日(着物の日)】と2回観劇。 開演前の挨拶は2日目から…との事で初日は残念でしたが、歌舞伎で一演目目が始まる時間が押した…ってのは私、初体験でした! 柝がチョ~ンと鳴ってから、次に鳴るまでの時間がなんと長いことよ~。 それだけ幕内の準備はバタバタだったようで(実際幕が下りてるの舞台の中からバタンバタンと音が響く~)、ご挨拶はさすがに無理だったかと。 ちなみに16日夜の担当は愛之助さん。 “拍手の練習”って毎回どなたのご挨拶でもしていたようですね? このせいで、公演期間中はどの演目でも拍手、拍手、拍手~の嵐の博多座客席。 戸惑いながらもなんだか微笑ましくもあり苦笑い(でもちょっとウザ…)
今回、博多座歌舞伎公演では初の試みで夜の部の開演時間を15:15に! これは~ちょっと無理がありましたねぇ~汗 昼&夜の入替時の大混雑は殺気立っていて気が急くし、着物だってもみくちゃに~! 館内清掃が不十分な部分も見受けられたりしてひどく残念でした。 終演時間を早める事で遠方からも…の試みは解るのですが、もう少しゆとりが欲しかった冷や汗
そしてようやく本篇の感想をば…

車引

博多座では2度目の上演(前:2002.6=仁左衛門×左團次×梅玉+彦三郎)。 血気盛んな三つ子…という事がスッキリと理解させられる若武者勢揃いで、私、車引をここまで楽しく拝見したのは初めてでした。 特に勘太郎さん@梅王丸の「隈、描かなくってもイイかもよ~」というくらいの血管ブチ切れそうな熱血ぶりとやんちゃな様に拍手~。 故に亀治郎さん@桜丸のしなやかさもより引き立つのでしょうね。 いてうさん@杉王丸抜擢驚き「こういう配役が楽しめるのも今公演の楽しさなんだ♪」とテンションUP! 初役の男女蔵さん@時平公の声があまりにも左團次さんに似ていてビックリ! 今まで一度もこの親子を似ていると感じた事がなかったので。 獅童さん@松王丸、芯で決まるには特筆すべき印象もなく弱く感じたのが残念。 あんな簡易版牛車って初めて観た~。

鳴神

昨年の7月松竹座にて代役を務めた事があるものの、本役としては今公演が初めての愛之助さん@鳴神上人と、この度初初役・七之助さん@雲の絶間姫と聞けば、これまた博多座では2度目の上演(前:2002.9=橋之助×福助)なれど楽しみに拝見。
え~っと…雲の絶間姫、これはダメでしょう怒り もう一度『雲の絶間姫とは?』というキャラクター設定を再確認すべきだと思いました。 “勅命を受けた宮廷一頭のキレる美人女スパイ”ってな感じは花道の出は美しく見れるのですが、夫との思い出話を語り聞かせる所からはくだけ過ぎて下品な感じに。 「私の魅力で堕としちゃる!」っ気がマンマンで飲み屋のお姉ちゃんみたいで…泣ける。 使命を果たし、走り去る様に「してやったり♪」感が伺え…萎える汗
故に、だからこそ騙された愛之助さん@鳴神上人の純朴さと怒り爆発の対比の面白さが際立ったのかもしれませんが~。 うん、もしかしたらこの絶間姫だったからこそ立った鳴神上人だったのかも? 上人様は…期待していたほど単独で感想を語れる印象が全く残らなかったもので~汗 お二人共に次に期待しつつ…ある意味と~っても貴重な舞台に立ち合えたのかも?
松之助さん@白雲坊×勘之丞さん@黒雲坊に救いが♪ ラブリ~☆

蜘蛛絲梓弦

博多座公演では開幕直前に“花形全員揃い踏み”が発表され、“幕見一番人気”は容易に予想されましたが、終演後はほぼ連日スタンディング・オベーションとなったようです。
市川亀治郎六変化勤めし候”の奮闘は…
【1】童 = すっぽん → 下手壁へスライディング・ダイブ
【2】薬売り = 上手常磐津演奏台下 → すっぽんへ飛び降り
【3】番頭新造 = 鳥屋口 → 下手襖クルリ回転
【4】座頭 = セット中央階段 → 火鉢へダイブ
【5】傾城薄雲 = 御簾の中(勘太郎さん@源頼光と板付き)→ 御簾
【6】蜘蛛の精 = 舞台中央大セリ with スパイダーズ
すっぽんへ飛び降りるのは「足、痛めんとかいな?」と心配になるほどの跳躍で糸と共に姿を消す様に澤瀉屋DNAを観た! 衣装や道具幕には蜘蛛の文様がデザインされていて素敵☆ 個人的には番頭新造の八重里さんが一番見応えがありました。 花道からツツツ~っとお澄まし顔で登場したかと思えば「また参りましたっ」で、客席ドッカーンの大爆笑☆ ただ帯が貧弱すぎるのが気になりましたが…早替わり用の工夫で仕方がナイんだろうなぁ。 改めて、亀治郎さんの指先の表現の美しさにうなりました~
そして…この面白さを際立たせてくれたのは獅童さん@碓井貞光×亀鶴さん@坂田金時のおトボケコンビ。 度々睡魔に襲われた挙げ句の果てには二人して「面目次第もございません~」と客席へのご挨拶。 「こんな頼りない二人に警護をさせてちゃマズいでしょ!」とその病の身が更に案じられる勘太郎さん@源頼光が美しくてビックリ!
終演時間が近づいても未だ登場がナイ愛之助さん@平井保昌に「あれ?7人そろい踏みだったよな?」と疑問を感じていたら…ラスト5分での登場。 あの拵えは…不思議。 「集合かけられ来てみれば【風林火山】によく似た怪しい奴。ご当地九州の【篤姫】様に変わったからは…キリキリ退散いたせ~」というような大河ドラマネタをかまして、最後の最後イイトコ取りでさらっていきました~。
けど…やっぱり最後の最後まで“くたばる気配全くなし”の蜘蛛の精に笑えたかも。
最後には舞台背面にもナイアガラの滝よろしく糸幕が下りて来て、それを暖簾のようにかき分けた隙間から着付け後見さんが幕が閉まる間際まで上手下手へ糸へ投げる出血大サービス(=糸巻きブラザーズ改め糸撒きブラザーズ)。 その前に花形7人が絵面で決まってそれはそれは華やかで豪華な幕切れで、客席大喜びで大興奮☆
「歌舞伎って面白い!」きっと今公演でそう思った人は多いはず。
今後の博多座歌舞伎公演にも是非ぜひ引き続きお足をお運びくださいませ~、と思わずにはいられなかった私でした汗
そして博多座! 来年2月の歌舞伎公演、ツブしてしまったのは失敗だったな…と、激しく後悔&反省するように!怒り