橘菊太郎劇団公演【博多新劇座】

「一度、大衆演劇を生で観てみたいっ!」「博多にせっかく専用劇場があるんだから足を踏み入れたいっ!」と、ず~っと思いつつもなかなかその機会を得られなかったのですが、この度、よ~やく初観劇拍手
博多駅から徒歩10分程の立地ながら、大通りから入った道沿い・住宅地の一角にある博多新劇座。 存在は知っていたものの、その立地ゆえ小屋の前を通りかかった事さえもなく、今回ホントのホントに初めてご対面~の劇場。 全国でも数少ない常打ちの大衆演劇専用劇場で、“博多織の緞帳”は博多座が出来る前は唯一だったそうです。
毎月、月替わりでいろんな劇団が1ヶ月公演をはっている訳ですが…今月は【橘菊太郎劇団】。 実際のとこ、観劇可能日がたまたまこの日だった…という事で、この劇団がお目当てだったのではナイ(大衆演劇に関しては知識ゼロですから!)のですが、現在発売中の大衆演劇専門誌【演劇グラフ】9月号では巻頭特集ページを飾るほどの人気劇団のようで(失礼!) しかも偶然観劇したこの日の夜の部では、この劇団の人気芝居のひとつ?特別狂言【下北の弥太郎】が上演されるとあって、大入り! 大衆演劇って“芝居は日替わり”…という事もこの度初めて知って驚いた事のひとつ。 劇団のレパートリーとしては常時いくつくらいの芝居やショーを持っているんでしょう? 実際、本日かける芝居の稽古の為、昨夜は大変だったそうです(座長トークより) これってその日の客の入りや反応をみて座長が「よし、明日はアレを上演するぞ」と決めて…それから翌日の芝居を深夜まで稽古、とか…そ~ゆ~システムなんでしょうか? いやはやプロです!
この日は特別狂言だったので芝居とショーの二本立てでしたが…通常は三部立てが一般的なようです…ね?(誰に聞いてんだか)

特別狂言【下北の弥太郎】

あらすじ
幼い頃、兄妹のように育った弥太郎とおくみ。 二人は貧困の為に生き別れ、成人した弥太郎は旅鴉となっておくみを探し歩く。 そこでようやく再会したおくみは、雇い主からひどい扱いを受ける女郎となっておりしかも失明している可哀想な身の上。 おくみを助け出した弥太郎は彼女のこれからの幸せを一切引き受けると誓うのだが、束の間の再会に悲劇が訪れ、二人はあの世で結ばれるのであった…。
新劇座舞台サイズに合せたセットの造りや仕掛け、照明や音響にひとしきり「へぇ~っ!」「ほぉ~」と感嘆の声を上げ、超高速で開閉される定式幕に爆笑。 演出的には、夢や回想の幻想的なシーンや火事場の迫力あるシーン、そして『まるでコクーン三人吉三か?!』ってなくらいのラスト大雪の中の立ち廻りと絶命のラストには大拍手!
役者は女優陣にひどくバラつきがあったものの、男優陣は皆迫真の演技で一人何役もの大車輪でみせられました。 中でも声が「市川染五郎さんソックリ!」と同行者が気が付いてからは、ついつい「あ!染ちゃんまた出てきた」と端役ながらも大注目してしまった橘文若さんがツボでした(ちなみに容姿は全く似てません!) しかも坂東亀寿さんにソックリ(=橘浅太郎さん)さんも居て大ウケ!(歌舞伎好き仲間と観劇していたので共通の観点で楽しめる) 座長、若座長に次ぐ二枚目・立役の橘良二さんは俳優の森山未來さんに似てました(役者に馴染みがナイから、自分の知っている役者さんに関連づけて楽しむ傾向が汗
約2時間もの大芝居でしたが、ラストは「えっ?!まだ続きがあるの?」と思わされた所が何度もありました。 これは同行者と論議した結果?「歌舞伎を見慣れている者はあそこで幕…でもイイけど、普通の芝居だとちゃんと最後の最後までみせるのが常なんじゃない?」という事に。
大物演歌歌手の歌謡ショーの芝居よりも、よっぽど見応えがあり魅せられました! ホントに!

【唄と踊りのグランドショウ】

まず…なぜだか“いかがわしい雰囲気漂う”進行役のトークがツボ。 節をすご~く付けてアナウンスする車掌さん、ってな要素もあり…。 「ざちょっ!(=座長)」「わかぁざちょっ!」と大向うまでマイクを通してかけちゃいます! ショーじゃなくって“ショウ”っていうところも激しくツボ。
大衆芸能独特の拵えを存分に堪能! デコラティブなド派手着物チェックは特に楽しく…しかし、座長と若座長はさすがにイイ着物で正統派な舞踊をしっとりと。 選曲された歌詞とはまるで関係のナイ振りは不思議(特に今ドギの歌謡曲)でしたが、それもまた特徴なんでしょうね。
踊りの途中で座長の懐にお札をクリップ止めにする客、若座長にプレゼントを渡す客プレゼントされた着物をその場で舞台袖で披露する“人間衣紋掛け”と化した団員(最初、頭と足が出てる上に派手な消し幕だなぁ~と汗)…だけど踊りを止める事なくそのまま最後まで踊り続ける…という独特の趣向は、いや~面白かった!
芝居とショーで約3時間。 こんなに楽しんで大人¥1900って…おトクかとびっくり
また何かの機会があれば観てみたいと思える大衆演劇初観劇でした☆

宝塚歌劇星組公演【博多座】

男役トップスター:安蘭けいさん&娘役トップスター:遠野あすかさん新主演コンビとしては博多座初お目見えとなる“新生星組公演”だそうです。
遠野さんは昨年、博多座宙組公演【コパカバーナ】に続いて2年連続の博多座出演。 昨年は『まるで芸能人社交ダンス部の杉本彩か?!』ってなくらいのド派手な拵えと強烈なキャラクター(@コンチータ)を印象的に演じ「ヅカにもこんな弾けた娘役がいるんだぁ~」と驚きましたが、今舞台を拝見し「あ゛…めちゃめちゃ正統派の宝塚娘役さんなんだなぁ」と再認識。
対する安蘭さんは在日韓国人3世だそうで、この華麗な芸名も“アリラン伝説”から名付けたとの事。 鳳蘭さん(中国籍)以来の外国籍2人目のトップスターという事で「トップスターのカリスマ性を持ちながらも努力の人なんだろうなぁ」と思われ、初めて拝見する舞台ながら観劇前から期待が高まりました星

ミュージカル【シークレット・ハンター】-この世で、俺に盗めぬものはない-

ストーリーは“カリブ版・ローマの休日”といった所ですが、最後にひとひねりがあって意表をつかれる展開が楽しい
芝居の冒頭もしかり。 ヅカの舞台って幕が上がる前にトップスターの挨拶音声が流れるのが常ですが、今回はそれがなく気がつけば緞帳が上がっていつのまにやら芝居が始まってまして「ええっ?!」 …と戸惑っていると、ココでその挨拶音声が流れる訳ですが、遊びの要素が芝居に絡む趣向となっており、お芝居への楽しい導引となっています。
冒頭、安蘭さん@ダゴベール(泥棒&詐欺師)が赤外線セキュリティーをくぐり抜けて王冠を盗み出す場では、“宝塚男役トップスターここにあり!”のようなキザカッコイイ登場で場を湧かせるものの、柔軟体操をしてみたり、童謡を唄ってみたり(かごめかごめ…だったかな?カリブなのに!)、博多弁をポロッと言ってみたり…と、ユーモアあるキャラクターである事を見せていきます。 このシーンのライティングとその中で一人動き回る安蘭さんはすごく絵になり印象的。 しかしながら何故かしらセリフまわしが“べらんめぇ口調”で…江戸っ子かい?
対して遠野さん@ジェニファー(パラス・アテナ国の王女)は「少女だったらこんな格好したいと憧れちゃうんだろうなぁ~」というようなドレスや可愛い洋服、髪飾り…と次々と着替え目に楽しく、それぞれに抜群に着こなすスタイルと姿勢の良さに見惚れてしまいました。 実際、博多座でお子様率(親子連れ率)が一番高いのは宝塚公演ですからね(除くファミリー・ミュージカル)
見所は前半に集約されていたような印象でしたが、高速回転の盆+素早く上下する大セリに「嗚呼、タカラヅカ」と独特の舞台機構の使い方や演出も堪能。
しかしながら耳に残る印象的なナンバーや心に残るシーンが個人的には何ひとつなく、観劇後の芝居の余韻がなかったのは厳しいなぁ~、と汗

ロマンチック・レビュー『ネオ・ダンディズム!II』-男の美学-

宝塚の男役の美学を追及したロマンチック・レビュー!…だそうです。 冒頭のチャイナ・マフィアのような衣装での登場と群舞は今まで私が観た数少ないレビューショーの中では異色で惹き付けられました♪
し、しかし「ダンディズム…それは○○。ダイディズム、それは○○」とマントを翻しながらの語りには「もう、ごめん!勘弁して~冷や汗」と聞いているこちらが顔から火が出そうな恥ずかしさに悶絶。 昨年「あ、私、少~しヅカの魅力が解ったかも♪」「ヅカって面白いかも」と思った気持ちがガラガラと崩れ「やっぱ、私にはヅカは向いてナイばい!」と振り出しに戻ってしまいました~汗 全体通して何故だか“一昔前の歌謡曲”ってな感じの歌詞やメロディラインが多くて赤面。 これは…狙い、でしょうか?
印象的だったのは2シーン。
出演者総勢?で歌い上げるゴスペルちっくな【明日へのエナジー】。 ヅカで思う事はあの化粧だけにヒップホップとかストリート系とかの衣装や演出にひどく違和感を感じる事。 今回はコーラス隊の白いコートに助けられたうえ、出演者一丸となった渾身の熱唱は、歌はさて置き…パワーを感じた見せ場でした。
そして安蘭さんが韓国語&日本語で歌い上げる【ポゴシップタ】。 これは韓国ドラマ『天国への階段』の主題歌だそうですね。 歌の上手さに定評があるトップさん、との事ですがお芝居から全体を通してさすがの安定感…でしたが、所々「ん?○パ○?!」と思える、口の動きと声のズレが見受けられたりして、謎も残りました汗
そう言えば…終演後に館内に流れる「♪さよなら~ 皆様~」って曲、あれも安蘭さんの歌声だったような?(これってその公演のトップさんの歌声で流れるんでしたっけ?)
総括として…主演のお二人以外に気になる方が誰一人として見受けられなかったのは残念。 大抵、主演以外にも「おっ♪あの人光ってるな」「小芝居が上手いな」とか脇にも目が留まる人が、私のようなヅカ素人でもいる訳なんですが…それが皆無だったのは、これまた珍しいな、と。 特に突出した人が居ない…言い換えれば、イイ意味で粒ぞろいの、均整が取れた組なのでしょうか?