マンマ・ミーア!【福岡シティ劇場】

過去に大阪公演を1度観ただけなのですが…、開幕直後に今福岡公演にて二度目の観劇しても全く同じ感触で作品の印象は変わらず。 理由は大阪公演観劇時のレポート参照。 今のところ秋頃のチケットが1枚手元にありますが、多分増える事はナイだろうなぁ、と汗 これは好みの問題ですから、悪しからず。
…なので、作品そのものの感想は置いといて、各々のキャストを。

早水小夜子さん@ドナ 女手ひとつで一人娘を育てあげ、宿を切り盛りして…という生きる事に精一杯だった、日焼けやお洒落、美容に構ってられない!という“女一人で頑張って生きてきた”というリアルな様が伺える風貌で、唯一「昔と全然変わらないドナのまんま」というようなダディーズのセリフが引っかかる程度で、他は◎。 なにしろ、こ~ゆ~タイプのお役で早水さんを拝見した事がなかったので何より新鮮で見応えがありました
宮崎しょうこさん@ソフィ 体も声も細いです。 リゾート地の島の元気な娘が、生っ白いのは違和感ありあり。 母の宿を手伝い、精神的に自立しているであろう娘があまりにも頼りなく、控えめな印象で、表情は常に悩んでいるようで曇っていて魅力に欠ける印象(見た目すっごく可愛いですけど)。 冒頭の【Honey honey】の弾けぶりも大人しく、物語の発端としてのワクワク感が感じられず残念
栗原英雄さん@ビル アマゾンで…というサバイバルなアウトドア野郎な感じは全く感じられナイけど、独自のカラーがあって楽しい♪ 青山弥生さん@ロージーから逃げ惑う様は爆笑。 【ブラックコメディ】の時に感じたコメディセンスを再確認!という感じの好演。
飯野おさみさん@ハリー 【アイーダ】に続けて来福いただけるなんて!という嬉しい驚き。 それ以前は何年ぐらいご無沙汰だったのか判らないほど、福岡登板はありませんでしたから。 優しさで包み込む感じが素敵で、なおかつ「あぁ、そっちだったのか」と納得させられます。
渡辺正さん@サム もう、どのくらいこの役をされているのか存じあげませんが…それにしても、それにしなくても…あんまり。
青山弥生さん@ロージー八重沢真美さん@ターニャ ただただ…素晴らしい拍手
田邊真也さん@スカイ 何故かしら、スカイは卒業されたかと思っていたので、拝見出来て単純に嬉しい♪…けど「ユタさんに遇いたくって、先週東京さ行ったのに…何故さ、福岡にいるだ?!悲しい」と愚痴りたくもなりました。 “爽やか好青年”が嫌味なく似合う、というのは貴重な存在かと。
只今今年9月末までチケットが発売されていますが…さて、どこまでのロングラン公演となるのでしょうか?

青い旗キャスト
ドナ・シェリダン:早水小夜子/ソフィ・シェリダン:宮崎しょうこ/ターニャ:八重沢真美/ロージー:青山弥生/サム・カーマイケル:渡辺 正/ハリー・ブライト:飯野おさみ/ビル・オースティン:栗原英雄/ スカイ:田邊真也/アリ:山本貴永/ リサ :片瀬さくら/エディ:丹下博喜/ペッパー:鎌滝健太

青りんご 9/21・ソワレ+リハーサル見学会
福岡マンマ、2回目の観劇にしてMY千穐楽。 私は、苦手な演目だからこれ以上は行かないなぁ…と思っていたら、アッという間に千穐楽決定でビックリ! カーテンコールではサイリウム管を振って踊ってきました。

青い旗9/21ソワレ・キャスト
ドナ・シェリダン:早水小夜子/ソフィ・シェリダン:谷内愛/ターニャ:八重沢真美/ロージー:青山弥生/サム・カーマイケル:荒川務/ハリー・ブライト:明戸信吾/ビル・オースティン:松浦勇治/ スカイ:岡田亮輔/アリ:丸山れい/ リサ :片瀬さくら/エディ:川口雄二/ペッパー:鎌滝健太

ユタと不思議な仲間たち【四季劇場・秋】

2004年7月22日の福岡シティ劇場千穐楽以来の…座敷わらしたちとの感動の再会! も~う、どれほど再演を待ち望んでいた事か~悲しい
しかし、座敷わらしの親分・ペドロを当たり役としていた光枝明彦さんも、ち~ちゃこいモンゼ役の高城信江さんもこの間に退団されてしまい、あの千穐楽がお二人のわらしとのホントの別れとなってしまったなぁ…と切なくもあり。
今公演は、東京公演を終えると一年間近くもの全国巡業公演となる為か、ダブル、トリプルのキャスティングがされており、その練習か?!開幕から毎公演のようにキャストの変動が激しい。 初日開いてしばらく経つのに公演回数を重ねる度にカンバニーがまとまって…という感じの楽しみ方は出来ず、個々のキャストがそれぞれで奮闘している印象で一体感がナイのはひどく残念でありました。
…な訳で私、今観劇の一番の目的『道口さんのヒノデロを激しく観たい!』という事は、恐ろしく倍率が低い賭けのような遠征観劇となり、いつも以上に劇団四季のキャスティングシステムに不満タラタラ~(チケット購入時点ですでに賭けなんですが)。 観劇前に観た、歌舞伎座【女伊達】の着付後見の芝のぶさんに「お願い!12日のマチネ、出て~っ!」と祈りを捧げましたし(注:道口さんは中村芝のぶさんに劇似なのだ) その怨念にも似た祈りが通じたのか?幸運にも道口ヒノデロを拝見出来ました~♪
ヒノデロ年数を経て、感じた道口ヒノデロの成長…と言うと何様ですが(注:以下、激しく贔屓目入ってますので→)より演技が細かく丁寧で、細部にまで表情を含めた所作が計算されて演じられている印象。 出来る事なら座った時に、着物の袖を腰元みたいに膝の上に広げてくれたら嬉しいなぁ~と、思ったくらいで♪ 以前より“女っぷりがグンと上がった”とイイますか(いや、ヒノデロは男の子ですから!)艶っぽい色気が増していて…クラクラきました。 衣紋の抜きっぷりと襟合わせの空きっぷりが、片岡秀太郎さんとイイ勝負(←解る人にはイメージし易いですね?)で、これまた色香が立ち上って…近くで見ても美人さんで、たまらんかったとです!
福岡公演時に毎回ハラハラしたバトンキャッチは本日は全く危げなく拍手☆だったのですが…「足だってちゃ~んと付いてる方がイイんだわよ」とバトン時の足上げ回転は…どうも苦手でいらっしゃるようで~、今公演も相変わらず不調汗 床に手をついて体を支えて回転してみては?と思うのですが(いらん世話?)
道口さんの歌を存分に堪能出来たのはルミエール以来! 細かい演技も好きなんだけど、歌、歌、歌がガッツリ聴きたかったんです♪ う、嬉しい…。
私『○○さんの演じる○○が好き』というのは沢山ありますが“道口さんの演じるヒノデロ”!これが最強ビカイチ☆である事を今回再認識。
その他のキャストは…
岸本美香さん@モンゼ ホントにち~っちゃこくてニコニコしてて可愛くてたまらない! 故に座敷わらしになってしまった事実はとても辛く悲しく心に響いてきて胸が痛くなります。 【美女と野獣】のチップでしか拝見した事がなかったので、すごく楽しみでした♪ 今後のご活躍に期待大!
菊池正さん@ペドロ ビジュアルはダンディな親分です。 歌を拝聴した事がなかったので、失礼ながら上手いのにビックリ! 演技はクスッと笑えるポイント、ポイントで…客席の笑いが全く取れていなかったのは残念…。
丹靖子さん@クルミ先生 最強! ダイスキ♪
今公演から、カーテンコール時にキャスト客席降りで、歌詞パネルが舞台上部から下りて来て皆で大合唱→キャストそのままロビーに出て観客をお見送り、というファミリーミュージカル趣向になっていました。
ファンサービスとしては嬉しいし、なんてったって子供も大喜び…だけれども、作品の余韻が残らないのはいかがなものか?と。 座敷わらし達との切ない別れを乗り越えて、ユタは更に強く逞しく成長していくんだろうな…という、そういう作品の余韻が私は好きでしたので、今回の趣向は、今せつない別れをしたばかりの座敷わらし達がすぐに笑顔で再会!という…ひどく興冷めで残念な改訂と私は感じました。 おそらく今回の全国長期上演【児童招待公演】の為の仕様なんでしょうけど…作品ファンとしてはビミョ~。
大好きだったペドロの煙草のシーンがカットになっているのは世の禁煙ブーム?と『子供が煙草を吸う』という印象を与えるからでしょうか? あのシーンはペドロが座敷わらしになって300年もの永い間彷徨っている悲しみや、ヒノデロが明治35年生まれと判るくだりで、つい最近までこのような悲しい出来事が行われていたんだな…と解る大切なシーンだと思うのです(ヒノデロの乙女な部分がと~っても可愛い重要萌えポイントラブなのに!) 元禄って言われたって、天保って言われたってピンと来ませんもの! シーン復活、切望です!
鉛筆【ユタと不思議な仲間たち】原作・TVドラマ・ミュージカル比較レポート

青い旗キャスト
ペドロ:菊池 正/ダンジャ:増本 藍/ゴンゾ:西門宇翔/モンゼ:岸本美香/ヒノデロ:道口瑞之/ユタ:藤原大輔/小夜子:笠松はる/ 寅吉 :吉谷昭雄/ ユタの母 :菅本烈子/ クルミ先生 :丹 靖子/大作 :中村 匠/一郎 :遊佐真一/ 新太 :小川善太郎/ たま子 :上原のり/ ハラ子:木村仁美/ 桃子 :石栗絵理

【ユタと不思議な仲間たち】原作・TVドラマ・ミュージカルの比較

これは自分の“おぼえ書き”として…【原作】・【TVドラマ】・【ミュージカル】の比較を書き留めてみます鉛筆
きのこブルー【原作】三浦哲郎さん原作・1971年発表(ユタとふしぎな仲間たち)
きのこブルー【TVドラマ】1974年に少年ドラマシリーズにてドラマ化(全3回)
きのこブルー【ミュージカル】劇団四季により1977年にミュージカル化→上演

この作品にハマったのは劇団四季の2004年夏の福岡シティ劇場公演(6月29日(火)~7月22日(木)・全25公演)のミュージカル観劇にて。
それまで私は【ミュージカル=洋物】という概念しかなかったし、そういう作品しか観たことがなかったので、和の要素たっぷりの作品は衝撃的で新鮮でしたし、歌舞伎の要素が随所に取り入れられていた事が大きな要因でした。 セリフは東北・南部弁で耳に優しく心地良く、大切で素敵なメッセージがいっぱいつまった作品として胸に残りました。
その後、原作を読み、昭和49年に放映されたTVドラマも観て…更に作品に含まれた奥深いメッセージを感じ、感動し、ミュージカルに限らず大好きな作品となりました。
座敷わらしたちは…ペドロ、ヒノデロ、モンゼはどの作品にも出できますが、生まれた年(=死んだ年)は微妙に違ってます。 ビジュアル化されていないジュノメェ、トガサ、ジュモンジはどんな風貌だったんだろう?とイメージしてみるのも楽しいです♪
以下は【座敷わらし名簿】? 年号は生まれた年(=死んだ年)で、「?」は具体的な記述やセリフはなく不明です。
座敷わらし名簿

【原作】ユタとふしぎな仲間たち

ユタの父親はタンカー事故で亡くなった、座敷わらし達の背丈はユタのおヘソくらいで、中には骨と皮のように痩せこけている者も…等の記述があり、より物語の背景が理解できる。
座敷わらし達が“乗り合いバス”と呼んでいる“鐘の音の輪”とは安楽寺の境内にある鐘が奏でる音の波の事。 和尚さんが時間の数だけ付く鐘の音がウォンウォンと音の輪を描くようにして…まるで水面の波紋のように広がっていく、その輪につかまる…のが“鐘の音の輪に乗る”という事。 輪はコバルト色の平べったい虹のような形状らしい。
『ワダワダ、アゲロジャ、ガガイ!』の呪文の意味はペドロによってユタに語られる。「母親に心配ばかりさせているやんちゃな人間の子供のように、俺たちには何遍も言ってみたい言葉」だと
ペドロ一家が住処としていた銀林荘は山火事による延焼により消失し、村を去る事となる。

【TVドラマ】少年ドラマシリーズ

【少年ドラマシリーズ】とは、NHKで1972~83年までの11年間、制作・放送されていた少年向けの連続ドラマシリーズ。 第一作は筒井康隆原作の【タイム・トラベラー】(=時をかける少女)であり、このTV版はそのシリーズの一作品として制作された。
ユタとふしぎな仲間たち(1974年5月6日~8日全3回放映・1974年度文化庁芸術祭優秀賞受賞)は、岩手県で1年間にわたり撮影されたという季節が移ろいゆく日本の四季の美しさがふんだんに盛り込まれており、特に“おむつの洗濯”をする壮大な滝のシーン、おむつを乾かす長者山での凧揚げのシーンと“フライング目線の空撮における緑美しい山々のシーンは圧巻。 それ故にこの美しい自然を破壊する、近代化の波が押し寄せる開発工事のシーンがことさら残酷に悲しく胸を打つ
“鐘の音の輪に乗って飛ぶ”という事が「こういう事だったのか~!」と、視覚・聴覚的に容易に理解させてくれるのは映像処理がなせる技。
お話の舞台は温泉地“湯の花村”。 温泉宿・銀林荘という事で、座敷わらし達が旅立ち前にユタと一緒に銀林荘内の温泉風呂に入るシーンは微笑ましい。
ペドロは佐藤蛾次郎さん(ピッタリ!)で、子供用のドラマという事を意識してか?南部弁は使用されず(全キャスト共に)限りなく標準語に近い。
ちなみにユタの父親は勤務先の工場での事故により死亡、と転校時クラスメイトに紹介あり。
特筆すべきはこのTVシリーズのみ登場する座敷わらし・センロ。 昭和4年生、19世紀生まれと一番若く、線路脇に捨てられて(当時はひどい不景気で、美しい母親はヒドイ男に騙されて生活に困って捨てた…らしい)座敷わらしとなる。 そのセンロが母親の面影を求めて駅のホームにポツンと座る孤独な姿と「かぁ~ちゃ~ん!かぁ~ちゃ~ん!」と絶叫する様は涙を誘う。 開発で大きな道路が出来る為、撤去されてしまう線路。 今後、センロは何を心の寄りどころとすればイイのか…せつない。

【ミュージカル】劇団四季オリジナル作品

初演時は『こどものためのミュージカル・プレイ』シリーズの1本だった(当時は【ユタとふしぎな仲間たち】)。 1984年に【YUTA】という欧文タイトルになり、劇団四季の本格的オリジナルミュージカルとして生まれ変わる。 1989年から【ユタと不思議な仲間たち】と改め、現在上演されている形態の本格的なスタートとなり現在に至る。 命や自分を取り巻く人々の大切さや感謝の気持ち、自然の恩恵などを訴える作品として、繰り返し上演を続けている。
劇中ナンバー【友だちはいいもんだ】は小学校の音楽の教科書にも取り上げられ、また【夢をつづけて】は森進一によりカバーされている。

團菊祭五月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

女暫

十七世市村羽左衛門七回忌追善狂言】です。
羽左衛門さんは…博多座開業の翌年の仁左衛門さん襲名披露公演で博多座ご出演予定が体調不良により休演となり、ついに一度も博多座の舞台に立たれる事なく…という経緯が(確か宗十郎さんも)。 その時に目にした“休演のお知らせ”の貼り紙を残念に見た事を思い出されます。 あれから早くも七回忌、なんですね…。
文字通りあの【暫】の女性版で、鎌倉権五郎景政の役回りを演じるのは萬次郎さん@巴御前(義仲の愛妾)。
舞台の何処に居並んでいらっしゃってもセリフを一言発するだけで「あ、萬次郎さんだ♪」と判る特徴ある声と大きな目がトレードマークな女形さん。 そしてインターネットが世に普及し始めてから間なしに、歌舞伎普及の為のご自身のサイトを開設(【KABUKI for EVERYONE】)されていた萬次郎さんを「ナウな(死語!)歌舞伎役者さんだ~」と、私の中では歌舞伎にハマった初期の段階ですぐお名前を覚えた方でもあります。 近年で一番印象に残っているお役は2006年3月のPARCO歌舞伎【決闘!高田馬場】のおウメで…正直、他には特に汗
“橘屋の総力を結集”で臨んだ今回の追善公演には、萬次郎さん@巴御前、お兄様の彦三郎さん@蒲冠者範頼、弟君の権十郎さん@清水冠者義高の三兄弟でご出演。
暫って…ストーリーを語ると超単純なものだけど、それをあんなに時間をかけて大仰に、艶やかにたっぷりとお芝居するんだから、ん~、歌舞伎だ!
恥じらう引込みが独特の女暫は、三津五郎さん@舞台番前今までの勇ましい勢いは何処へやら?で愉快で楽しい掛け合いでした♪

雨の五郎

先月の浪花花形歌舞伎で拝見した進之介さん@曽我五郎のお着物が「白で珍しい~☆」と思っていたら、今月の松緑さん@曽我五郎も!で驚きました。
柔らかみのある部分とキリリとした部分のメリハリがとてもよく効いていて気持ちが良かったです。

赤ちゃん 三ツ面子守
三津五郎さんの女形自体、私はあまり拝見した事がなく、目にも新鮮でしたが…三津五郎さん@子守、確かに少女でした! やはり上手い踊りというのは観ていて気持ちがイイですね。 おかめ~恵比寿~ヒョットコのお面をとっ替えひっ替えで次々に踊り分けるのって…「今、何のお面付けてるんだっけ?」ってならないのかしら?と無粋な考えが過っちゃいました。 観ている側はひたすら楽しかったのですが、後見さんとの呼吸もすっごく神経使いそうです~。

め組の喧嘩

粋な江戸っ子・又ちゃん今公演では菊五郎さん@め組辰五郎時蔵さん@お仲夫婦の一人息子・又八を虎之介くんが! 今月、お父さんの扇雀さんはご出演ではナイのに一人で出演とは立派!と、もはや親戚のおばちゃん状態で心配に注目していたら、伯父ちゃんである翫雀さん@おもちゃの文次との絡みは、すっごく笑顔で元気が良くてニッコリ。 すると…舞台下手の調光室で心配そうに見守る扇雀パパを発見! 一緒に「虎ちゃん頑張れ~♪」と手に汗握りました。 そういえば7月の松竹座へは、今度は壱太郎くんが一人で出演予定。 成駒屋、各々頑張ってます!!
菊五郎さん@辰五郎のピシャッ!と引戸を閉めてピタッと決まる姿は“これぞ粋な江戸っ子”風情にホレボレ。 『火事と喧嘩は江戸の華』って言ったって、命がけとは…恐れ入り谷の鬼子母神。 男のプライドって命よりも重いんですねぇ汗 水杯の数って(叩き割る数)少ないような気がしたのですが、いつも通りでしたか?
菊五郎劇団の勢いある、迫力満点の立ち廻りひとつひとつに大きな拍手! あの小屋の上にいて、飛び乗る仲間を引き上げる人。 ず~っと同じ側の手を使っているので脱臼しないのかしら?と心配しちゃいます(毎日違う人がしてるのかな?)。
でもってラスト。 鳶と力士の間に梯子をかけて仲裁に入る梅玉さん@出し喜三郎。 私、歌舞伎でどの演目のどのシーンを演じてみたいか?と言われれば、この梯子ブラ~ン登場なんです!(もしくは【恋湊博多諷】の毛剃、船首で「よかよか~」) そのくらい好きなシーンなんですが、割って入った第一声がかき消されてしまったのはちと残念。
久々に拝見し、演じられる方は本当に大変でしょうけど…「あ~、やっぱり楽しいなぁ~♪」と。 ニッコリでスカッ!とした気持ちで劇場を出れる好きな演目のひとつです。

五月大歌舞伎・昼の部【新橋演舞場】

鳴神

染五郎さん@鳴神上人初役との事で、これは意外でした! 新鮮に感じた部分が何点があるのですが、そういえば染五郎さんの荒事を拝見した事も…少ないかも。 鳴神上人を演じるには充分(というと何様ですが)かと思うのですが、華奢で線が細いせいか迫力不足な感じ。 しかし勢いあるエネルギーのような、気のようなものがバシバシ飛んで来る感じでした。 破戒僧となり怒りに燃える形相となった時の“百日の毬栗”のヅラは一部が三つ編みになっていたり、ぶっかえりの炎のお着物は色のコントラスが通常より鮮やかなファイヤ~☆で、すっごく派手な印象で、染五郎さんオリジナルでしょうか?
酔いつぶれた時の消し幕があんなに真っ赤!って…他の演目で何かありましたっけ? 個人的なツボは、御簾が上がった際、鳴神上人は祭壇に祈りを捧げている為後ろ姿なんですが、同じ姿勢で裃後見さん(どなただったのか?)が祭壇に向かっているのに笑えました~。
芝雀さん@雲の絶間姫は何度か拝見してますが…ここまで拵えが違うのは初めて拝見した印象。 大振りな花かんざしが前に2本、後ろに2本。 紫の眉隠し頭巾(なんていう名称か知らないです~)は小振りで、眉は通常の触角眉でなく、頭巾には隠れることなく出ていて優しいげな横眉で可愛い。 で、後ろの髪はロングポニーテールが紫の布で覆われています。 拵えだけでも随分印象が変わるなぁ…という驚きがありました。 勅使を受けた“出来る女スバイ”という機敏さよりは、「騙してゴメンネ。でも勅命だからやらなくっちゃいけないの~」という、そんな感じの姫でした。
芝雀さんって…若手の立役さんと組んでも年齢の差が全く気にならない不思議さがあるなぁ、といつも思うのですが、今回その印象を更に強くしました。

鬼平犯科帳(大川の隠居)

「大好きなお頭に生で会える日が来ようとは…」という感動が。 しかもシリーズの中でもお気に入りの1本【大川の隠居】の舞台化なものだから…私、観劇前から異様にテンション上がってました! が、同時にあの鬼平をどのように歌舞伎仕立ての舞台化にもってくのか?という不安もありました。 しか~し、それは危惧に終わり「よくまとめて作ってあるなぁ~」と感心しきり。
まずは幕開きの大川のセットが素晴らしく素敵に作ってあって、水上を行き交う船の再現もお見事拍手
歌昇さんはTVシリーズでは平蔵の忠誠心厚い与力・小林金弥を好演されていますが、今公演ではなんと!平蔵の下働きの一員・小房の粂八でご出演という嬉しい御馳走
舞台化の話を耳にした時に、真っ先に気になったのは船頭友五郎はどなたが…?でしたが歌六さんとは~! 老齢ながらも船頭として現役で働いている様は軽やかな船上の身のこなしからも伺え、同時にかつてのお務めの腕もまだ衰えちゃいない…という事を様が見て取れ、なるほど納得なキャスティング。 まるで【チキチキマシーン猛レース】のケンケンか?!ってな独特な笑いはなんとも独特な魅力。 酔いが進んで、平蔵を目の前にして“鬼の平蔵”の悪口を言う様は真剣そのもの。 だからこそ友五郎の言葉にいちいち敏感に反応する吉右衛門さん@長谷川平蔵の様がたまらなく可笑しい。
「思わぬ人との巡り会わせ(出逢い)が人を変えていく」という言葉がズシンと心に突き刺さる。 舞台でも度量の深い、素敵なお頭でした。
福助さん@久栄は…仲睦まじい夫婦っぷりは良かったのですが、色気がありすぎる印象。 松江さん@同心・木村忠吾。 これは尾美としのりさんの印象が強烈なので難しそうだなぁ…と思っていたのですが、松江さん、お見事です! 三枚目、これからもバンバン演じていただきたい!と思った好演でした。 笑った~♪
もちろんラストの“大川の隠居”、一瞬のお出ましは見逃しませんでしたよ☆
今後も【一本眉】とか【兇賊】など、人気の高いお話の舞台化も期待できる…かも?と思われる良く出来た舞台でした。

釣女

お頭→醜女。 吉右衛門さんのこの変身ぶりがたまりません!! スゴイ、スゴイです、吉右衛門さん! 「長谷川平蔵改め醜女」ってか?この流れがスゴすぎます~。 前の幕の演目とココまで違うタイプのお役を演じる事って…役者さんも楽しそうです(大変でしょうけど…)
釣女
錦之助さん@大名某はスッキリと美しく楽しげに踊っていらっしゃる様に見とれていたら、どこからか「錦ちゃん、ステキ~っラブ」との声が。 ハッとすると…その声の出所は吉右衛門さん@醜女。 毎日の芝居でいろいろと言ってらっしゃるのでしょうが、あまりにも可笑しくて…錦之助さん、必死に笑いをこらえて踊っている様子に、観客も笑いが止まらない~。
その醜女はでっけぇ~!…なのに超チャーミングなんですけど~。 太郎冠者を見つめる熱い視線がたまらない♪
で、特筆すべきは歌昇さん@太郎冠者。 踊りもスッキリと気持ち良く、なんといっても演技、特に表情が抜群で、醜女の可笑し味を素晴らしく引き立てている印象。
冷静に考えると「人は見た目で判断しちゃいかん!けしからん演目だ!」となるんでしょうけど…単純にガハハと大笑いして幕、でイイのでしょう、きっと。