おもろい女【博多座】

過去に代表作【放浪記】で二回の博多座公演をされた森光子さんが、今回はそれと並ぶ代表作【おもろい女】で登場☆
戦前の笑いをリードした天才漫才師、ミス・ワカナの壮絶な人生を描いた作品』という事で、実は私、今公演までこの作品の存在も、ミス・ワカナという人の事も全く知りませんでした汗 ワカナ・一郎という漫才師が昭和10年頃まず福岡一円で名前が売れ始め、その後全国区へ…という事も。
相手役(ミス・ワカナの恋人→夫&漫才相方→相方)には、博多座初お目見えの段田安則さん。 段田さんはこの役(玉松一郎)で昨年【菊田一夫演劇賞】を受賞されたそうで、舞台が進むにつれてワカナの人生も、時代も暗い影を落とすけれど、一郎のホンワカとした人柄と優しさに観客も救われる感じのさすがな好演。
森光子さん@ミス・ワカナ。 お下げ髪姿で田舎から大阪へ出て来た15才。 青島(だったっけ?)へ駆け落ちしてチャイナドレス姿でジャズを唄い踊る20代。 “森光子が演じる”という事で成り立っている感があり、さすがな印象。 だって…86才で真っ赤なチャイナドレスって…ソレだけで凄くないですか?(私は今の年齢でも着れんばい←着なくてイイから) スリットは控えめでしたけど、おみ足もチラチラと。
ミス・ワカナは突っ込みで一郎がボケなので、森さんはポンポンと早口でまくしたてる訳です。 演じるは実在した人物で話芸の達人。 しかも方言も巧みに操る人だったそうで…きっと反射・運動神経が冴え渡っている若い役者さんでも大変かと思うのですが…そこは“森光子”。 森光子という事で、観客は説得させられます
実際、森光子さんはミス・ワカナさん最後の舞台の同じ日、同じステージに立たれたとの事。 そして出番が先だったミス・ワカナさんから“真っ白なハンカチに包んだもの”を預けられ、出番が終わるとそれをお返ししたとの事。 その中身が実はヒロポンで、それを打ったがために命を落としたのだそうです。 森光子さんは「私がお返ししなければ…」と暫くの間良心の呵責に苦しんだという過去があるそうです。 ですから、劇中のラスト、そのシーンでの再現は何か乗り移っているような…そんな感じを受けました。
正直な個人的な感想は、今年86才になる森さんが、15~35才の河本杉子(後のミス・ワカナ)という女性の人生を演じる…というのは熟練の演技をもってしても、やはり無理があり…観ていて胸が痛くなりました。 お話自体もヒロポンの打ち過ぎで人気絶頂のさなか、自ら命を落としてしまう…という悲劇ですし。
しかし、やはりあの若さは驚異的! だって…雀右衛門さんと同じ年ですよ(歌舞伎がものさしな私) それから考えると…やっぱり相当、かなりスゴイでしょ。 上演時間役2時間半で、ほぼ出ずっぱり。 1日2回公演の日もあるんですから…スゴイです!

決闘!高田馬場【PARCO劇場】

開幕前から『三谷幸喜が初めて歌舞伎をてがける!』という事で大変な話題となっていた今公演は、チケット販売開始と同時にSOLD OUT。 自ずと期待は高まる訳で、開演前に買い求めた公演パンフレットのお洒落で凝ったデザインぶりに嬉々☆
♪パパパ、パパパ…パルコ歌舞伎、見参~♪と冒頭で唄い演奏する長唄&鳴物さん方は、舞台幅いっぱいに広がる長屋のセットの屋根の上にズラリと一列居並ぶ趣向。 劇中、セットの飲み屋内で小道具を使って演奏してみたり、登場人物の解説では…大相撲で物言いがつき、それについて審判委員長が解説をするようであったり(北の湖理事長に似てる!=東太夫)…と“演技”のしどころも多い奮闘ぶり。 実際、黒御簾内での本番の演奏は目にする事が出来ないので、コレは嬉しい趣向でした。
私は阪東妻三郎の映画やその他舞台化されたものは全く観たことがなく、実は今回が初めて接する演目でして、歌舞伎のジャンルとしては世話物って感じでしょうか?(実は三谷作品も生で観るのは初めて)
上演時間休憩なしの約130分間、次々と変わる場面転換や時間の流れが驚くほどスムーズな上、狭さも気にならない。 通常では花道位置の通路での多用は思ったより少なく、あればもっと距離感や時間の差が出せたりしたのではないかしら?とも思いましたが、これはこれで◎

総括的な感想としては…
染五郎さん@中山安兵衛が主役なんだけど弱い。 狂言回し的キャラクターなので、バーンと立つのが難しいのかもしれないけれど、弱い。
【三国一夜譚】でも思ったのですが、染五郎さんって…綺麗でカッコよく、華があり『主役を演じる為のような役者さん』と思う事度々なのですが(「人は見た目ですから」by堀部ホリ)、中心に立つと弱い印象が私は感じるのですが、何故でしょう?
ですから、観る側としては主役に感情移入して観る事が出来ず戸惑い、長屋の一員として安兵衛を応援する心持ちで観ればいいのかと観れば、ラストは安兵衛の“助太刀”為に命を落とす…その仇討ちが命に値するのかと考えさせられるやりきれない想いが残りました
とは言え、一言でいえば「さすがに面白い!!」
随所に観客を楽しませようという趣向が盛り込まれ、キャスティングも“適材適所”という感じであり、新たな魅力も発見!の楽しさもあり、今後の更なるご活躍が楽しみになりました。
特筆すべきは萬次郎さん@おウメさん。 最初に配役を知った時はこの座組へのご出演を驚き、実際に舞台で目にし「萬次郎さん、スゴ~イ」!
愛すべきコメディジェンヌ、という感じ。 それでいてきちんと世話物のおかみさん風情で、流石な印象。
染五郎さん、亀治郎さん、勘太郎さん。 三人とも私より年下なのに「お芝居が好き、歌舞伎が好き」という熱い一途な想いを持って、これほどの舞台興行を打ち立ててしまう情熱に大変刺激され、自分にハッパをかけられた舞台観劇でありました。
最後に超個人的なつぶやきとして…
『新しい歌舞伎にチャレンジ』というのであれば、従来の歌舞伎体制にはとらわれず、出演者全員の名前を告知媒体には載せてほしかった!
特に橘太郎さん@洪庵先生は、キャラ的には同じ並びでしょう? 印刷媒体や動画で一緒に走っててイイでしょう? 多分、歌舞伎に馴染みのナイ方は「あら、あのラブリーな洪庵先生は?」と思うのでは。 松竹のいろいろなしがらみで難しいのでしょうかねぇ。

便箋 掲示板にて舞々子さんからお寄せいただきました情報
『橘太郎さんは役付きの予定ではなく、稽古中に話が膨らんでいって、最終的にああいう大きな役になった』との事。 なるほど合点じゃわいなぁ~。 私、橘太郎さんファンなもので、ちょっと熱く語ってしまいました! でもあのラブリー洪庵先生のお写真、欲しかったなぁ~。

クレイジー・フォー・ユー【四季劇場・秋】

昨年の10月・広島公演以来の観劇。
今回は、荒川務さん@ボビー×木村不時子さん@お母さんでしたので“甘々夢見るおぼっちゃん”感が強く感じられ、作品自体が“ニッコリ可愛い”印象
前回の観劇ですっごく好きだった八重沢真美さん@アイリーンの「主人と」片足ピョコンが観れて満足! そのご主人・牧野公昭さん@ランクはワイルドさがパワーアップしてて、ホテルの看板を叩き割るところはその破片を口にくわえてニヤリ…キレ具合が恐かった~!
栗原英雄さん@ベラは、想像していたよりもお役にハマってらして…失礼ながら栗原さんの引き出しの大きさに驚きました。 でも「クスッ」と笑える部分で今イチ客席からの笑いが取れていなかったのが残念。 愛するテスの為に私財を投げうち、テスが「あなたらしくないわ」と言い去った後に「ヨッシャ~」での笑いは重要ポイントかと。
総体的には「良く出来た楽しい素敵な作品だな」と再認識し楽しんだ観劇でしたが、一番楽しみにしていた…池末絵己子さん@パッツィーで観れなかったのが残念でなりませんでした。
私、今回、多分初めて四季劇場でのフル生オケで観劇。 やっぱり生オケはイイなぁ…と思うと同時に、他劇場ではテープ演奏なのに観劇料金が同じなのには納得がいかない思いをすごく強く持ちました。 なんか…やっぱり劇団の経営方針には不条理な部分を感じる事が多いなぁ怒り

青い旗キャスト
ボビー・チャイルド:荒川務/ポリー・ベーカー:樋口麻美/ランク・ホーキンス:牧野公昭/アイリーン・ロス:八重沢真美/ベラ・ザングラー:栗原英雄/エベレット・ベーカー:喜納兼徳/ボビーの母:木村不時子/テス:有永美奈子/ユージーン・フォーダー:池田英治/パトリシア・フォーダー:西内いず美/
ムース:荒木勝/サム:岩城雄太/ミンゴ:大塚俊 /ビリー:石野喜一/パーキンス/カスタス:脇坂真人 /ジュニア:田中廣臣/ピート:三宅克典/ジミー:和泉沢旭/ワイアット:関与志雄 /ハリー:村中弘和/
パッツィー:石塚智子/シーラ:恒川愛/ミッツィー:柴田桃子 /スージー:荒木美保/ ルイーズ:大石眞由/ベッツィー:市川友貴/マギー:東裕美 /ベラ:ソン インミ/エレイン:須田綾乃/

三月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

近頃河原の達引

私、初めて拝見する演目です。
ですから、猿が糸操り人形だという事も全く知らなかったもので、背負子からピョーンと飛び出た時は、心底驚きました「ええっ今、何が起こったと?」
歌舞伎の演目で、他にもこんな手法を使ってるものってあるんですか? 猿の動きは驚くほど巧みで、我當さん@猿廻し与次郎との信頼関係さえ感じられるよう(会話しているみたいだったもの)
我當さん@猿廻し与次郎は、親思い妹思いの正直物で朴訥とした雰囲気がニンな印象。
こういう「我當さんはきっとこんな感じのお人柄なんだろうな」と感じられるお役の方が、我當さんに関しては私は好きなのでなんだかホッとしました。
藤十郎さん@井筒屋伝兵衛。 やっぱりこういうお役は藤十郎さん、絶品ですね。
この所、婆役で拝見する事が多かった秀太郎さんが、可憐で色気充分な遊女お俊で拝見できたのは嬉しい、嬉しい♪ 可憐ながらも強い意志をもった女性。 「そりゃ聞こえませぬ伝兵衛さん」からのクドキにはホロリ
吉之丞さん@与次郎母は素晴らしい。 愛する娘を失いたくない、けどその意志も尊重してあげたい。 母親とは皆そうなんだろうなぁ…と。
お俊の愛する男との“門出(心中)”を祝う猿廻しを与次郎が見せるシーンはボロボロ泣いてしまいました。
こんな素敵な演目なのに、あまりかからないのは“与次郎=十三代目さん”の印象が強いからなのでしょうか? また、すぐにでも観てみたい演目となりました。

二人椀久

こんなパワフルかつスピーディーな二人椀久、観たことナイ」というひと言につきます。 …って以下ダラダラと書き綴りますが~。
富十郎さんの踊りはいつみてもキレがあって気持ちが良く、でもこの演目では相応の情緒もあり、またまた人間国宝に対して失礼ながら「富十郎さん、上手いなぁ…」。
富十郎さん@椀屋久兵衛がフラフラと彷徨っての花道の出では、“恋の病で朦朧となっている”様子は観てとれなかったのですが(意識はちゃんとある印象)、松山太夫が現れてから、嬉々として踊り狂う(といっても過言ではない高速で派手な踊り)落差が大きく、自分一人と最後に気付く様に悲しみを強く誘われました
菊之助さん@松山太夫。 綺麗です。 夢幻のように綺麗です☆
踊りは必死に富十郎さんに付いていっている印象でしたが、表情は松山太夫でした。
照明がパッと明るくなってからは本当に楽しげに恋人同士が踊っている風情がありウキウキしました。
菊之助さんは、先月の玉三郎さんとの【京鹿子娘二人道成寺】、今月の富十郎さんとの【二人椀久】…と大先輩とガチンコ勝負舞踏が続いているのですね。 きっと素晴らしい成長が!

水天宮利生深川【筆屋幸兵衛】

実は、この演目も映像を含めて初めて拝見。 今月は“初めて”が多いので追善公演もさることながら楽しみでならなかったのです。
ここ最近、幸四郎さんは世話物の初役に続けてチャレンジされているそうで、今回も!との事。(個人的には合わないような気が…)
妻に先立たれ、三人の子供とふくれあがった借金を抱えた悲惨のどん底で正気を失ってゆく幸兵衛の凄絶な発狂ぶりが見所…らしいのですが、え~っと…う~んと汗
幸四郎さん@幸兵衛には、かつては侍だった気位の高さや、貧苦の様はあまり見てとれず「あら~、借金そんなに膨れ上がっちゃったの?」ってな、何故かしら開き直りのような、あっけらかんな感じに思えていたので発狂する様がものすごく唐突に感じられ、戸惑いました~。
壱太郎くん@お雪と、米吉くん@お霜の二人娘はけなげで可愛らしく、各々のキャラクターの性格もよく出ていて好演。 特に米吉くんは、目の不自由な姉と乳飲み子の弟をかいがいしく世話し、涙が誘われました(ポッチャリ体型で愛らしい)
彦三郎さん@金貸因業金兵衛権十郎さん@代言人茂栗安蔵は明治時代らしく洋装な部分もありハイカラで時代を感じさせ、維新前は侍であった幸兵衛の現状をあざ笑っているかのような嫌味が感じられました。
秀太郎さん@萩原妻おむらが、幸兵衛息子に「乳をあげる」ってのがなぁ~んか、なぁ~んか…ニガ笑いしちゃいました。
ラストの“水天宮の御利益でハッピーエンド”ってのがちょっと唐突で難あり、な感じでしたがなかなか面白い演目でした(でも…あの親子、貧苦からはまだ抜け出せた訳じゃナイんだけどなぁ)
気になったのは、幸兵衛の家の壁にかけてあった小道具のホウキ! あの斜めのスレ具合が妙にリアル 実際、大道具さんとかが使用しているものかしら?
隣の家で演奏されている浄瑠璃が聴こえてくる…というシチュエーションはよくありますが、これを【よそごと浄瑠璃】と呼ぶ、という事を今回初めて知りました

三月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

今年の三月歌舞伎座公演は…十三代目片岡仁左衛門さんの十三回忌の追善公演
私は残念ながら、十三代目さんの生の舞台を拝見する事に間に合わなかった歌舞伎好きのひとりですが、役者として人間として大変魅力的な方だった事は今なお熱狂的なファンがいらっしゃる事をはじめ、我當さん、秀太郎さん、十五代目仁左衛門さんの父親として役者として敬愛してやまない言葉の端々に感じられ認識している…つもりです。
歌舞伎座の正面玄関を入ると優しい笑顔の十三代目さんのお写真が出迎えてくれ、2階のロビーでは数々の名舞台のお写真が展示されており、この場に立ち合えなかった悔しさと、素晴らしいだったであろう舞台に想いをはせていました。
特に印象に残ったお写真は新口村の孫右衛門。 忠兵衛と梅川を逃がし、頭を抱えて泣き叫ぶ…あのラストシーンのお写真からは振り絞る声が聞こえてくるようで、しばしボーッと立ちつくして拝見してました(周りの方邪魔ですんまっせん)

吉例寿曽我

“ザ・歌舞伎”ですね。 愛之助さん@八幡三郎進之介さん@近江小藤太が、鎌倉鶴岡八幡宮の大石段で巻物を取り合いながらの立ち廻り、そして“がんどう返し”で舞台転換。 超大掛かりなセットに「おぉ~っ」とうなると、大ゼリでキャラクター全員集合でガーッと型を決めて上がってくる豪華さ☆
「はぁ~っ、やっぱ歌舞伎、好きばい!」と改めて思う演出の連続でしたね、コレは!
後は“対面”や“だんまり”で次々と型を決め…終わり。 ってキャラクターを知らないと「え~っ?!皆さんそれぞれ誰だったのよ~」「何がこの演目は言いたかったのよぉ~」な一幕。 あ~、面白い豪華絢爛満足でした。
そういえば翫雀さん、先月の博多座でも曽我五郎でしたね♪(今月はコレだけ)

吉野山

どなたか教えてください。 人気舞踊なのは分ります…分りますが、ちょっと演りすぎじゃナイですか? それとも歌舞伎座では久し振りにかかったのでしょうか?
…とは言っても今回の配役で拝見するのは初めて。
一番楽しみにしていたのは東蔵さん@逸見藤太。 実は私、東蔵さんの道化役って、多分初めて拝見したんです。
でもって、この演目で“時事ネタ”が仕込まれるなんてビックリでした!(これは国立、PARCOでも同じネタが…でしたね)
愛嬌…というよりは、ひょうひょうとしている印象でありながら可笑し味がありながら…パワフル! 東蔵さんの幅の広さに感嘆した一幕でした。
福助さん@静御前は…私が今まで福助さんに感じた事がナイほどの可憐な感じで意外な印象。
幸四郎さん@狐忠信は…何故だか不気味。狐が人間に化けているのだから怪しい感じがあって然るべきなんでしょうけど、表情が?恐かったです。

道明寺

十三代さん@菅丞相はその名演が伝説となっているこの演目
今回、四年振り三度目、当代仁左衛門さんは菅丞相を務めるにあたって1月末には福岡・太宰府に参詣されました。
・「この演目を出す時には、他の芝居には出ない」
・「天神様のお遣いの牛は食さない」
・「夜の街は出歩かない」
・「楽屋は天神様の軸を掛けて塩と水を毎日取り換え、舞台の前後に拝む」
という日常の精神面からの徹底されるそうで、その役に入っていらっしゃる心がけでつとめていらっしゃるのですね。
ちなみに私、今演目は映像も含めて今舞台で観るのが初めて。 しかしながら、先月の博多座公演【時平の七笑】を観ているので(道真が時平の策略により太宰府への左遷が決まるまで)、続きを観ているようでスッと物語の中に入っての観劇。
芝翫さん@覚寿は婆役の大役。 さすがに立派!というのは失礼かもしれませんが、武家の女性としての凛とした強さ、母親としての慈愛がヒシヒシと伝わってきて感動しました。
仁左衛門さん@菅丞相人間と木像の演じ分けも大きな見所のひとつで、深刻な場面ながらも、その演じ分けの見事さに客席から笑いがもれるほどで、木像の時は瞬きさえしない演技に感嘆。 凛とした涼やかであり、悲しみをたたえる気品と風格は当代では十五代目さんしか表現できないのでは、とさえ思えました。
計らずも菅丞相の流罪の原因をつくってしまった孝太郎さん@苅屋姫。 自らの心のままに行動する…という印象を強く受け、姫のキャラクターは見ていると、ちょっと歯がいい…というか軽い憤りさえ感じられました(姫は何才の設定なんだろう?) 母親を押しのけて前に出たり、たたみかけるように早口で己の気持ちを述べるなど…“気丈”というよりは“気が強い”印象が強く、かなりビックリ☆
段四郎さん@宿禰太郎。 憎らしい!けど滑稽さも充分で豪快。 自分の妻・秀太郎さん@立田の前を、自分の父親と共謀して殺すのだからなんたる非道!と。
憤慨してしまうワルぶり。 時折、笑いが起こった滑稽さがよりワルぶりを際立たせた印象もありました。