ユタと不思議な仲間たち(千穐楽)【福岡シティ劇場】

ヒノデロ・福岡公演

6/29~7/22、全26回公演のうち…7公演、観ちゃいました! ダブル、トリプルキャスト…でロングラン公演ならいざ知らず、1ヶ月もナイ公演期間中に同一キャストで上演された演目に対して、自分でもそのハマり具合にビックリでしたが、それだけホントに素敵な作品なんです☆  勢いで“四季の会”にも入会しちゃったし。 私のミュージカル最高観劇回数記録【エリザベート】を更新です。
福岡シティ劇場でかかる演目は、とりあえずだいたい観ていたのですが作品として漠然と観るだけで“ハマる”という事はありませんでした。 多分、歌舞伎の要素も盛り込まれた“和風テイスト”あふれる…という点が大きな要因かと思いますが、一番の要因は気になる役者さんが見つかった、という事でしょう (多分今までも舞台は拝見してるんだけど) 歌舞伎の時もそうでしたが“好きな役者”さんが出来ると、それからのハマり具合に加速がつきますよね。 …自分がコワイ。
今公演は…残念な事に平日の入りが悪かったようで、昨日の千穐楽も前日まで当日券が余裕で残ってて、心配しましたが…行ってビックリ! 夏休みという事もあって? リピーターが見納めに? ほぼ満席でした。
ですから最初から客席の反応は熱くて、拍手も大きくて、速くて、長い! その熱を受けて、舞台からも熱く力強い演技が返されて感動的な舞台でした。 子供たちが敏感に反応してかわいい笑い声が溢れる客席は観ている方もニッコリです♪
道口さん@ヒノデロをしかと見納めようと、下手のお席での観劇でしたが、かなり端でしたので、実は見切れてしまって期待したほど間近で拝見する事は出来ず、舞台全体を落ち着いて観収める事が出来ました~。 今までど~してもヒノデロに視線が釘付けになってしまって、全体が多分きちんと観れてなかったので、良い機会だったかと…。
本日驚いたのはフライングのシーンで、曲に合わせて手拍子が出た事! 多分、皆メロディーを口づさんでいたんじゃナイかしら。 回転するところは当然スゴイ拍手。 【鐘の音の輪にのって】というよりは、客席の手拍子にのって、5人の座敷わらしとユタはと~っても素敵な表情で空を飛んでました。 役者さんたちのこんな表情を拝見できただけでも「今日観てヨカッタ!」と思える会心の笑みだったんです。
千穐楽かと思うと自分の感情も高まって、今までも心に響いていたセリフのひとつひとつがより深く突き刺さって…ボロボロ泣いてしまいまして、大変でした。
カーテーンコールは一体何回あったか判りませんが、役者さんたちの『やり遂げた』という満足感溢れる素敵な笑顔がズラリと舞台に並び、総立ちの客席から大きな大きな拍手に包まれて…とっても感動的でした。
これで、大好きなペドロ一家とは再会の予定がナイしばしの別れで寂しい限りですが…“道口瑞之さん”という役者さんに注目して、四季の舞台を拝見する楽しみができました

青い旗キャスト
ペドロ:光枝明彦/ダンジャ:増本藍/ゴンゾ:吉原光夫/モンゼ:高城信江/ヒノデロ:道口瑞之/ユタ:望月龍平/小夜子:八幡三枝/寅吉:吉谷昭雄/ユタの母:西島美子/クルミ先生:丹 靖子/大作:菊地正/一郎:澤村明仁/ 新太:小川善太郎/たま子:種市万理子/ハラ子:大口朋子/桃子:大月恵

七月大歌舞伎・昼の部【歌舞伎座】

『夏は“海女活動に専念”』と自分の中で線引きをして観劇遠征はお休み…のはずだったのに… 玉三郎さんの【桜姫東文章】がかかる! しかも相手役はダンジロさん!と聞けば「もう二度とナイわ!海は逃げないし~」とアッサリと戒を破り歌舞伎座へ行って遠征してきました!

修善寺物語

歌六さん@夜叉王は…面作師としての名匠ゆえのこだわりぶりが、ただただ頑固な自分勝手で非情なおやじさん、という印象が強く残るのみ。 門之助さん@源頼家は、元来の感情をあらわに怒鳴りあげるタイプのお役で拝見したことがなかったので新鮮でした。 夜の部での【川連法眼館】での源義経といい、おっとりとした風情が“麻呂”系のニンだなぁ…とつくづく思いました。
笑三郎さん@姉娘桂は、鼻にツンとかけた気位の高さが伝わってきました。 その気位ゆえに悲しい結末になるも、自分の望んだ境遇にてこの世を去る嬉しさと、名匠の父に対する恩義なのか、虫の息でキッと顔をあげる表情はとても心に響いてきました。

桜姫東文章・上の巻

★江の島稚児ヶ淵の場
玉三郎さん@白菊丸段治郎さん@清玄の心中場面。 牛若丸のようなこしらえの初々しい様子の玉三郎さんですが、荒波に立つ断崖絶壁にぐいぐいと登って行く様は、年上の清玄を断然リードしている感じ。 ためらいもなく思い切って荒波に飛び込む様は「玉三郎さん、海はヘッチャラだからなぁ~♪」と雑念が入りながらも、心中におじけづいて「ごめ~ん」という段治郎さん@清玄に笑ってしまいました。
“美男同士の心中”というショッキングで美しい場面なのに…自身の雑念が多すぎて~。

★新清水の場
浅黄幕が切って落とされると「うわぁ…」と客席からどよめきが起こります。 清水の舞台に桜姫ご一行さまがズラリと居ら並んでいて、息を呑む美しさ! 序幕が薄暗く重い場でしたので、この場の転換との対比の鮮やかさにうなる素晴らしい演出の工夫。
玉三郎さん@桜姫は、赤姫ぶりに気品が漂い、でもしかし17歳という若さも感じられる…という、う~んさすがだ!と思って見入ってしまいます。 対して、笑三郎さん@長浦は、驚くほどどっかりと落ち着いた風情で、年を感じさせるうえ、座っている表情だけで「この人はきっとこんな人物」と想像できてしまう局ぶり。 阿舎利となった段治郎さん@清玄は…残念なから、心中から17年経ったという時間を感じることはできず、高僧のもつ威厳や風格の漂いはなく~

★桜谷草庵の場
皆、あのポスターでいやがおうでも期待が高まっていますからね~♪
玉三郎さん@桜姫は、権助があの時の男だと判ってからの表情と視線がとにかく、とにかく艶かしいのです! 権助を誘う表情が…スゴイです! 段治郎さん@権助は上背があるので、玉三郎さん@桜姫の背後から胸元に手を入れたり(鳴神体勢)、帯をほどいたり…が楽勝です(なんじゃそりゃ) 胸元に手を入れた時、桜姫の香箱に触れ「ちぇっ!邪魔だ!」とばかりにポーンと投げる笑いの演出は、固唾を飲んで観入っている観客にひと呼吸与えてくれます。 “帯び解き・あれ~くるくる”を桜姫が権助に対してするのには驚きました! そしていよいよポスター体勢になった時、「玉三郎さん、それ! その表情をポスターでして欲しかった!」というような恍惚とした表情で二人の顔は近づき…「きゃ~っ」となった所で御簾がスルスルと降りてきます。 多分、この場はお客さんの方を観てみるのも楽しいはず! 御簾が降りてきた瞬間「あ~ぁ」「はぁ…」といろんな感情が混じったため息が一斉に漏れましたので。 御簾内の中を覗きみる歌六さん@残月と笑三郎さん@長浦のコミカルな演技で、フッと楽になれました(そんだけ集中して観ていた訳ですね)
段治郎さん@釣鐘権助は安心して観てられました。 ご自身は「世話物は苦手」という事でしたが、色悪は結構されているので悪ぶりはよく出ていたと思います。 軽~いチンピラという感は◎

★稲瀬川の場
段治郎さん@清玄が受戒を破り、豹変して玉三郎さん@桜姫に迫るのは唐突感がぬぐえない。 お姫さまでありながら、腕には刺青をし赤子を抱えてさらし者になっている姿は「なんとも呆れたお姫さま」のセリフの通り。 暗い場面にひときわ赤姫の姿が色鮮やかで、その姿が美しく舞台に浮かびます。

★三囲堤の場
『もっとも風情のある場』とイヤホンガイドで解説がありましたが桜姫が花道で、清玄が上手の土手で…の割セリフは、リズム感があって耳に心地よい感じでした。  気になったのは段治郎さんの赤子の抱き方。 「多分まだ首がすわってナイ赤ちゃんなのに、それじゃ不安定だよ~」と、とにかく終始気になって仕方がありませんでした…。

三社祭

右近さん@悪玉猿弥さん@善玉。 桜姫…が、どんよりとした場面で終わったので、明るく楽しい舞踊に心が晴れます。 …と言いつつ、正直、特記すべき印象に残るものがなかったかな。
猿弥さん、素は左とん平だけど、顔をつくると山城新伍だよなぁ」とか、また自身の雑念が邪魔をしました。

七月大歌舞伎・夜の部【歌舞伎座】

桜姫東文章・下の巻

★三囲土手の場
いきなり夜の部から観たら「???」な、だんまり。 段治郎さん@稲野谷半兵衛も出る予定がカットされていましたので、大詰でいきなりの登場に「???」 上の巻からの通しで観ると「ガッテン!」で必要な場なんでしょう…ね?

★岩淵草庵の場
歌六さん@残月と、笑三郎さん@長浦の落ちぶれた暮らし振りや、そうなってもなお残月を独占しようとする長浦の嫉妬ぶりなど可笑し味のある二人。 身包み剥がれた姿での道行は愛嬌たっぷり♪ 今公演では、特にこのお二人の役者ぶりに驚くことが多かったです。
この場では、玉三郎さん@桜姫あでやかさとお姫さま言葉と岩淵草庵の古びれた建物とのコントラストが面白く、桜姫の美しさを一層引き立たせている感じ。 権助が刺青をみせるため、桜姫の袖をめくってみせると、真っ白い腕に“釣鐘と桜”が浮き彫りに見えて艶っぽい。
段治郎さん@清玄は…ちょっとその顔のつくりは~と思ってしまうほどのヤツレようでしたが、桜姫に対する執着の様はすざまじく、経本を使っての二人の立廻りは見所がありました。 が「あれ~」「あれ~」と盛んに言いながら最後は執念と塊と化した清玄をあっさりと殺してしまう辺りに苦笑。 花道でムシロを巻いての段治郎さん@権助とのツーショットはウットリ…。

★山の宿町の場 ★権助住居の場
春猿さん@葛飾のお十は桜姫の赤子に授乳するシーンがあるのですが…客席には背を向けているもののミョ~に生々しい感じ。 ハッキリ言うと…乳房がある感じ。 「春猿さん、ホントは胸、あるでしょ!」と言う…う~んなんだかドキマギしました。 授乳が終わり着物の衿を引き上げながら胸元を整えるのは「うわぁ…」とかなり動揺した私。
“風鈴お姫”という人気の女郎となり“下々の生活と習慣”が板についてきた玉三郎さん@桜姫。時々、お姫さま言葉や所作が出るのが面白い♪ 『枕元に幽霊が立つ』といってお客に気味悪がられ家に帰されてきてからの段治郎さん@権助との夫婦の会話にニッコリ。 家に帰ってきた途端、二人で布団を敷いて寝てしまうだなんて【桜谷草庵の場】で見せたあの恥じらいは微塵も残ってないのね~。 だだをこねる桜姫に対して「よしよし」と言う権助のセリフが何度も出てくるのですが「もう、仕方ねぇなぁ~」という、愛情をのぞかせる雰囲気と表情で私的にハナマルでした。
桜姫は権助がお家の敵と判ってからは結構さばさばと、権助の血が流れている赤子と権助を殺してしまうのには「なんとも飽きれたお姫さま」であ~る。 「んな、バカな~」な、またしても歌舞伎な感じのお話

★大詰 浅草雷門の場
桜姫は権助を討ち、家の家宝を取り戻し再興が出来ました、めでたしめでたし…という所で切り口上。 澤瀉屋一門を従えて、玉三郎さんが美しい赤姫姿で客席を見渡しての口上はジーンときました! あ~、【桜姫東文章】面白かった~。

義経千本桜・川連法眼館

最初から最後まで…右近さん@佐藤忠信実は源九郎狐の汗が気になって気になって仕方がありませんでした!
狐がパッと姿を消したかと思えば、すまして佐藤忠信として障子から顔を出したりと「何処から出てくるか分からない」というスピード感はさすがで楽しめましたが…「とにかく汗を拭いてくれ~」という感じ。 右近さん、ますますふくよかになられた…ようで…子狐という雰囲気が、私的には厳しかったです。 親と引き裂かれた子供の悲しみ、親を恋い慕う気持ちは、私は残念ながら感じられなかったかな。 鼓をもらって喜ぶ様は無邪気で愛らしかったです。
ラストの宙乗りは、とにかく汗が~、汗が~! 降ってきて降ってきて花横のお席だったので相当ビクビクでした。  終始、汗に気を取られてしまった観劇でしたので、ちょっと離れたお席で再度拝見してみたかったです~。

ユタと不思議な仲間たち【福岡シティ劇場】

日本のミュージカルはこんなに面白いものだったのか。』というキャッチフレーズと、怪しげなポスターで「ホントかなぁ~」と今イチ観劇にノリ気ではなかったのですが…2回の観劇を経て、ハマりました。
ミュージカルといえば外国の作品しか観たことがなかった私にとって、日本の懐かしい風景が広がるセットや、東北弁セリフ、演歌や民謡を取り入れた歌、そしてだっさーい田舎の服装…と軽いショックを受ける事が多かったのも要因
ストーリーは父を亡くした少年・勇太が、母の故郷である東北の山奥の村へ転校するが、もやしっ子の勇太は“ユタ”と呼ばれ、村の子供たちと馴染めずイジメに! ひとりぼっちのユタは村の老人から“座敷わらし”の言い伝えを聞き、彼らとの出会いを通してユタは心の成長を遂げていくというお話し。
『友達はいいもんだ』『生きているって素晴らしい』…とその言葉だけ聞くと説教っぽくて拒否反応があるかもしれませんが、そこは個性的な愛すべき5人のキャラクター“座敷わらし”からのメッセージである事で、観る者の心に素直に響いてきます。
【学級崩壊】【いじめ】【命を軽んじる事件】【教育現場の荒廃】…と、’80年代に作られた作品であっても、現代においてなお一層深刻になっているこれらの問題が提議されている所が興味深い。 これは学校観劇や家族で劇場に足を是非とも運んでほしい舞台。 劇団四季の作品の中でもリクエストが常に高い人気の作品というのはなるほど、そうだろう!…と思える、素敵な作品。
そんな“教育的テーマ”の作品にあって、何故ハマったかと言いますと~
☆ 日本の懐かしい風景を再現したセットの素晴らしさ
☆ …かと思えば、レーザー光線、本水、ワイヤーフライングの最新演出
☆ サエない服装の子供たちがものすご~くダンスが上手い事
☆ 座敷わらしの一人、道口瑞之さん@ヒノデロにグッときた事

座敷わらしは皆、歌舞伎の隈取りのようなメイクをしているのですがヒノデロは女形、という感じ。 所作がと~っても綺麗なんです!! 「きっと歌舞伎の女形をみて研究したんだわ!」と思える役者ぶり。 カーテンコールでも「ヒノデロ~」と客席から声がかかるほどの人気です。 しかもこの道口瑞之さん@ヒノデロ、中村芝のぶさんに似てるんですよね~。 公演期間中、通ってしまいそうです!
この作品、歌舞伎が好きな人は…きっと好きだと思いますよ♪

青い旗キャスト
ペドロ:光枝明彦/ダンジャ:増本藍/ゴンゾ:吉原光夫/モンゼ:高城信江/ヒノデロ:道口瑞之/ユタ:望月龍平/小夜子:八幡三枝/寅吉:吉谷昭雄/ユタの母:西島美子/クルミ先生:丹 靖子/大作:菊地正/一郎:澤村明仁/ 新太:小川善太郎/たま子:種市万理子/ハラ子:大口朋子/桃子:大月恵